このアルバムには一方ならぬ思い入れを持っています。
なぜだろう。
多分このジャケと、そして最後に収録されている ”'Til I Die" と "Surf's Up" のせい。
いくらカールがすばらしい2曲目の ”Long Promised Road” のかっこよさにうなされようとも、ブルースの大傑作、4曲目の ”Disney Girls (1957)” に心から癒されようとも、この2曲が最後に必ずやってくる。これもまた恐ろしいアルバム。
”'Til I Die"
歌詞が分かっていない時から好きだったこの曲。
歌詞を知って愕然として、より好きになった曲。
1人の人間の根源的な心の叫びがここにはあって、一言で言えば「心細いよぉ~!」と言うことかもしれないけれど、これほど途方に暮れた状態というのを曲にしてしまったものを、私は他に知りません。だって普通、人は途方に暮れている最中は曲なんか書けないから。ブライアンはそれが出来た。
この曲の歌詞の素晴らしさは、子供の時にふと思うようなごく自然でシンプルな疑問のような形を取って絶望や生きることの恐怖を書ききれているところ。
天才とは常に自分の中に幼児性を保っているため、時には世界と対峙する時もそのような子供のように無防備な姿でさらされなければならないのかもしれない。それは相当キツいことだろうけど、ブライアンはそれが出来た。
マイケル・ジャクソンは去ってしまったけど、ブライアン・ウィルソンは耐えた。こんな曲を作り出しながら。
”Surf's Up”
レナード・バーンスタインのTV番組の中で、この曲を一心不乱にピアノで弾き語るブライアンの姿。ビーチ・ボーズの傑作ドキュメンタリー映画『An American Band』の中で目に焼き付いたその映像。『スマイル』期に撮られたその映像は今やいつでもどこでも見られるものとなっているのだけれど。
よくミュージシャンが「創造の神が降りてきて曲を一気に書き上げた」なんて言ってるのを聞くけど、あれこそ正に「降りてる」姿そのもの。恐ろしさと美しさとがちょうど半分半分の姿。この頃はまだ『スマイル』はビーチ・ボーイズの、というよりはヒップなブライアン・ウィルソンの来るべきアルバムとして、一部で待たれていた時期だった。
この5年後の1971年のアルバムで、1つのストックとして『スマイル』箱から持ってきて再録音したカールのヴォーカル・ヴァージョンよりも、1993年に出た『Good Vibrations Box』に収録された前途の映像と同時期の1966年のブライアンのピアノ弾き語りヴァージョンの方がより鬼気迫っていることは言うまでもありません。
半ば神がかったような ”Surf's Up” にはものすごくいまだに魅せられ続け、平伏すしかないのだけれど、ちっぽけな人間として自分と一緒に途方に暮れてくれる ”'Til I Die" の方が今は好き。
こんなに暗くて重いアルバムを、高校の時のクラブの夏の合宿の時に持っていっていて、ちょっとした一人の時間の時にウォークマンでよく聴いていたことを思い出しました。
みんなでワーワー言った後のふとした空き時間とかに、畳んだ布団にもたれかかって一人で静かに落ち着いて聴いたりするのが妙に心地好かったのです。
なぜだろう。
多分このジャケと、そして最後に収録されている ”'Til I Die" と "Surf's Up" のせい。
いくらカールがすばらしい2曲目の ”Long Promised Road” のかっこよさにうなされようとも、ブルースの大傑作、4曲目の ”Disney Girls (1957)” に心から癒されようとも、この2曲が最後に必ずやってくる。これもまた恐ろしいアルバム。
”'Til I Die"
歌詞が分かっていない時から好きだったこの曲。
歌詞を知って愕然として、より好きになった曲。
1人の人間の根源的な心の叫びがここにはあって、一言で言えば「心細いよぉ~!」と言うことかもしれないけれど、これほど途方に暮れた状態というのを曲にしてしまったものを、私は他に知りません。だって普通、人は途方に暮れている最中は曲なんか書けないから。ブライアンはそれが出来た。
この曲の歌詞の素晴らしさは、子供の時にふと思うようなごく自然でシンプルな疑問のような形を取って絶望や生きることの恐怖を書ききれているところ。
天才とは常に自分の中に幼児性を保っているため、時には世界と対峙する時もそのような子供のように無防備な姿でさらされなければならないのかもしれない。それは相当キツいことだろうけど、ブライアンはそれが出来た。
マイケル・ジャクソンは去ってしまったけど、ブライアン・ウィルソンは耐えた。こんな曲を作り出しながら。
”Surf's Up”
レナード・バーンスタインのTV番組の中で、この曲を一心不乱にピアノで弾き語るブライアンの姿。ビーチ・ボーズの傑作ドキュメンタリー映画『An American Band』の中で目に焼き付いたその映像。『スマイル』期に撮られたその映像は今やいつでもどこでも見られるものとなっているのだけれど。
よくミュージシャンが「創造の神が降りてきて曲を一気に書き上げた」なんて言ってるのを聞くけど、あれこそ正に「降りてる」姿そのもの。恐ろしさと美しさとがちょうど半分半分の姿。この頃はまだ『スマイル』はビーチ・ボーイズの、というよりはヒップなブライアン・ウィルソンの来るべきアルバムとして、一部で待たれていた時期だった。
この5年後の1971年のアルバムで、1つのストックとして『スマイル』箱から持ってきて再録音したカールのヴォーカル・ヴァージョンよりも、1993年に出た『Good Vibrations Box』に収録された前途の映像と同時期の1966年のブライアンのピアノ弾き語りヴァージョンの方がより鬼気迫っていることは言うまでもありません。
半ば神がかったような ”Surf's Up” にはものすごくいまだに魅せられ続け、平伏すしかないのだけれど、ちっぽけな人間として自分と一緒に途方に暮れてくれる ”'Til I Die" の方が今は好き。
こんなに暗くて重いアルバムを、高校の時のクラブの夏の合宿の時に持っていっていて、ちょっとした一人の時間の時にウォークマンでよく聴いていたことを思い出しました。
みんなでワーワー言った後のふとした空き時間とかに、畳んだ布団にもたれかかって一人で静かに落ち着いて聴いたりするのが妙に心地好かったのです。