『Songs of Innocence』(2014)U2

2014年09月24日 | 10’s

U2のこの新作のことはTVのCMで知ったです。

なんとiTunesで無料でU2の新作がアルバムごとダウンロードできるよ、とのことで。

そんで最近はなかなか音楽をちゃんと聴けていなかったのですが、これには食いつきました。
おぉー!って。そりゃそでしょ。

とか思ったのですが、世間ではそーでない人もたくさんいて。
この無料ダウンロード、色々物議を醸していたのですね。

特にU2にあまり馴染みのない若者の間で。
曰く「U2って誰?」「こんなのいらない」。

要はiPhoneなりiPod TouchなりPCの中なりに勝手にダウンロードされて、しかも(最初は)無用でも消せず、消すには有料サービスを利用しないといけないという仕様が悪いと思うのですが(今は無料で削除可能)。


まぁそりゃ怒りますよね。容量の問題があるからね。なんで欲しい人だけ各々がダウンロードする今までのやり方にしなかったんだと思いますよ。

怒るのも分かる。よく分かるんだけど。

一方で、寂しい時代、せちがらい世の中になってんなぁって思っちまいました。

”あの!””U2!”の”新作!”が”無料!”
ってのに効力がないんだから。
いらないもんはいらないんだから。


世界中の人が(iTunesを利用できる環境にいる人ってことだけど)一斉にみんなが無料で楽しむことができる。でもそれ(U2の新作)を楽しむ人は確実に減っていっているってことなのかなぁ。

同時代を生きるビッグ・アーティストとの、ちょっとしたお祭りなのにね。

U2でもダメなんだね。
だったら誰がいるの??


音楽の趣味が細分化されすぎているのと。
もう元々音楽自体、好きな人が少なくなっているのと。


と、一抹の寂しさを覚えた私はギックリ腰持ちの腰痛に悩めるおばさん。

そりゃそーだよね。
U2との初めての出逢いは1987年の「ヨシュア・トゥリー」。私、中学生。

”With or Without You"がMTVでもベスト・ヒットUSAでも「もういいよ!」ってくらいずーっと1位を陣取ってて。子供にはなんかショッキングすぎるくらい地味なPVと渋い曲でねぇ。そのシリアスさが新鮮で。早速レンタルレコード屋に学校帰りに行って、アルバム借りてね。

その後のシングル切ってく流れも実によくて。”I Still Have'nt Found What I'm Looking For"。そんで”Where The Streets Have No Name"っていう。なんとも強力だったなぁ。

もちろんアルバムも丸ごとよくて。落としたカセットテープでよく聴きました。

そっからはふつうにU2は追っかけるもんだった。
プラス、さかのぼって全部聴きも当たり前で。


特別大好きっていうアーティストでもないんだけど、なんやかや言うて聴いてるもん、時代時代、そん時そん時で。

そういうアーティストって特別だし、大事にするべきです(←これは自分に言ってる)。

ふつうに好き、なんだよ。U2。


そしてこのアルバム。

私は気に入りましたよ。
まずちゃんと落ち着いてヘッドフォンで音楽聴くのちょっと久々だったので、「シンプルだけど、さすがお金かかって今の良い音してる」!って最初、音そのものに興奮(笑)

2009年の前作だけ聴いてない(追っかけきれてない...)のですが、これはいいです、ふつうのいつものU2らしいアルバム、うたにフォーカスしてる、シンプルなアルバムで。最近?のU2によくある突き出たキラー曲はないんだけど、逆に変な気負いのなさそうな佇まいに好感が持てて。
なんかちょっと新しい目の雰囲気も取り込んで逆にダサくなってる的なオッサン部分が、聴いててすんごい落ち着くっていうのもあり(笑)


大きく分けたらね、私、U2と同じ文脈で生きているんだなぁって、なんか強くそう思ったんですよね。聴いてて。それが同時代に生きてるってことなのかなぁ、とかね。少なくとも今の若いアーティストより共通項は抜群に多い訳でしょ、好きなアーティストとか聴いてきた音楽。見てきた映画、過ごしてきた時代や風景。
May J.とかだったらボノとの方が楽しくご飯食べれるよ、私(なんの比較)。

まぁ何が言いたいかというと、このアルバムを聴いていると、ミョーに落ち着きますのです。

慣れ親しんできたものの、あたらしい今のカタチがそこにあるから、なのかな?

変化でなく、かといって別に停滞でもない。
最先端でもないし、とがってもない。
だからって時代錯誤でもないし。
なーんか今の私に超よい塩梅なんだなぁ。

でも結局そん時そん時で、私にとって超良い塩梅をU2は提供してくれていたんだろうなぁと思います。


1991年頃には確かに『Achtung Baby』な感じがなきゃやってられなかったんだろうし。
2000年頃には『All That You Can't Leave Behind』のうたが必要だったんだと思います。

ありがとう、アップル。
私にはグッタイミンなすてきなプレゼントでした!

 


10/13までダウンロードできるようなので、U2と同じ時代を生きている人でまだな人は、ぜひ。