大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション 第1回

2018年12月24日 | 大瀧詠一
いやぁ、いいもの聴いちゃったなぁ。

時は2018年の12月24日。
クリスマス・イヴになりたての深夜0時。
それはあるラジオ番組。

これを聴きたいがために関西住みの私はradikoの有料のプレミアム会員にもなりました。
録音もしたかったのですが、iPhoneでは録音出来ず、パソコンでは録音する手があるようでしたが、家にあるパソコンは昔このブログを書いていたもので、今では古くなってしまったiMacしかなく、何年か前に買ったiPhoneとは同期出来ないので、何聴くのにももうiMacは立ち上げずにiPhoneで聴いている私は、録音を泣く泣く諦めました。

なので、子供がぐぅぐぅ横で寝ている真っ暗闇の中、ひたすらこのお方の声を、かけてくれる曲を、iPhoneにイヤフォン挿して耳を澄ませて聴きました。

「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」。ラジオ日本の開局60周年記念特番であります。





あの有名なラジオ番組、ゴー・ゴー・ナイアガラのアーカイブからセレクトされた回が、ノー・カットで放送されたのです。これが来年の3月末まで毎週続くのです。

今回は1975年12月24日放送の、題してブライアン・ウィルソン対フィル・スペクター、『ビーチ・ボーイズとフィル・スペクターのクリスマス・アルバム特集』それぞれのアーティストの今や有名なクリスマスアルバムから交互に曲がかかる回です。


ここから聴いてみての感想。

まずね、大瀧さん、あったかい。
なんか人間性って、やっぱ何やってもどっかに出るもんです。良くも悪くも。怖いくらい。

それでなんか、しみじみいいなぁと思いました、この人。喋りが思ったよりすごい自然体で、時々なんか色々恥ずかしがってて、かわいい人だなぁと。
1975年ってことは当然、大瀧さんも若い。若さも声や話の内容に出てたけど、ドカッて安定感もあって。聴いてて、なんと心地いい声よ、笑い声よ。

時代的なものもあってか、話の内容も話し方ものんびりとシンプルで。だけど今の時代にはないような豊かさみたいなものを感じることが出来て。
大瀧さんの子供の時の冬休みの情景が思い浮かぶ素敵な話の数々。それがビーチ・ボーイズやロネッツなどの曲の合間に挟まれるわけです。しかもちゃんと次かける曲の振りの内容に、もちろんちゃんとなってる。

最後の方、リスナーに、1人で聴いてるそこのあなたと、一緒に良いクリスマスのひとときを過ごせましたね、的な事を言われた時にはホロリときましたよね。心があったかくなりましたよね。

雪が降ってる時の、しんとした静けさがお好きとお話しされていましたが、まさに、雪が降る静かな夜に、大瀧さんと素敵なクリスマスを過ごせたようで、感動しました。

思えば、大瀧さんを好きになったきっかけもラジオ「今日は1日 大瀧詠一 三昧」だったし、大瀧さんがご存命だった時、唯一生声を聴けた接点はラジオ「アメリカン・ポップス伝」だった。
全部、録音したかったものだけどできず、一回勝負。その分、必死。
アメリカン・ポップス伝の時なんかは、まだ子供が小さかったため、抱っこしてあやしながらそれでも負けじと流しながらでも聴いていた覚えがあります。

ゴー・ゴー・ナイアガラは今やYouTubeにも沢山上がっており、聴ける回も沢山あるようですが、今回のようにリアルタイムの一発勝負で聴けたのが、また、なんだか1975年放送当時に聴いてる雰囲気が出て、集中して聴けたし、結果オーライでした。

昔はラジオをもっと聴いてました。
せっかくradikoの会員にもなったんだし、も少しラジオに触れてみようかな。
でもまずは3月末までは毎週日曜の夜に、何は無くともゴー・ゴー・ナイアガラだ。
あの素敵な体験を、一発勝負をまだ何度も経験出来るんだー。


ラジオ日本 大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション


…なんて。おひさしぶりです。
感動したので、書きました。
BGMはもちろんビーチ・ボーイズとフィル・スペクターのクリスマス・アルバム。
Apple Musicでちょちょいとすぐ聴けちゃいます。


今回の大瀧さん風に言えば、カップルの方も、お一人の方も。
そして家族と一緒の方も、友達と一緒の方も。
皆さま、よいクリスマスをお過ごしくださいませ。



大滝詠一に御用心

2014年06月15日 | 大瀧詠一

大滝さんのことを好きになったのは2011年3月21日だ。
時刻は夜9時頃か、10時頃だったかと思う。
大滝さんの70年代の曲を続けて何曲も聴いて、俄然ウキウキして、それから3年(大滝さんの曲を聴いている時は)ウキウキしっぱなしの状態で今に至る。

なんで好きになった日時までわかるかと言うと、それはラジオを聴いたのがきっかけだったから。NHK FMの「今日は一日“大滝詠一”三昧」を聴いたのがその日の夜だったから。そこからはいっぺんに夢中になっちゃったのだ。

 

それ以前の長い間、大滝さんのことは実はあんまり好きじゃなかった。
レコードコレクターズ誌でのインタビュー記事を何回か読んで、もう自分はアーティスト活動をしていないのに「な~んか偉そうな物言いのおじさんだなぁ」と面白く思わなかったのだ。

大滝さんのことを少しわかった今なら「で、なんだい、その”アーティスト活動”ってのは?(笑)”と思う。大滝さんの声でそう聞こえてくる。

そんな感じで積極的に聴こうとしなかったのですが、そんな私でも実は幾度も出逢っていたのが偉大なるナイアガラ・マジック。

 

ハイ、ここからどんどん過去にさかのぼっていきますよ。

●まず、97年のシングル「幸せな結末」だけはリアルタイムで短冊のシングル買って割と喜んで聴いていました。その前にはっぴいえんどにハマってた時期があるので、レジェンドの久々の新曲か~って軽い気持ちで。これが思えば私的初ソロ大滝さんとの出逢いだったんだな。

 

●さかのぼって94年に出たシュガー・ベイブの『SONGS』再発。これも買ってズッパマリしてたけど、長い間これが大滝さんプロデュース作でナイアガラから出てたって知らなかった。知らずに大好きだった。あと同時期に買った金延幸子の『み空』も同じく。

 

●もうちょいさかのぼって私が20歳前後くらいかな?はっぴいえんどにハマって。ここは大きく出逢ってる。でもその時はどっちかというと細野さんのイメージが大きかったなぁ、いや、なんとなくなんですけど。

 

●もうちょいさらにさかのぼって高校生の時、クラスでスチャダラパーやフリッパーズギターを流行らせた我がクラスのトレンドセッターの友達がトニー谷のCD「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」を持ってきてクラス中に流行らせた!これには参った。すっごく面白くて。

その流れでその後の「スーダラ伝説」なんかでクレイジー・キャッツにもいきました(これは私のみ)。おかげで私の当時のカラオケの十八番はクレイジーの「ハイそれまでヨ」とその後のおもしろ曲を探して行き着いたところの小林旭「自動車ショー歌」。なんとも大滝三昧じゃないか。
(「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」は監修、「スーダラ伝説」はプロデュース。小林旭も楽曲提供&編集CD監修)。

 

●もうちょいさらにさらにさかのぼること中学生の時。私は映画が大好きで特に昔のサイレント~50年代のハリウッド映画が好きで、いっぱしの映画小僧(いや、娘)気取りだったのですが。ある時図書館で借りて何度も愛読してたのが小林信彦著の「世界の喜劇人」。後で知るには大滝さんの生き方、作風に多大なる影響を与えた本。ここでクロスしていたのは嬉しかったナ。私が読んでたのはグルーチョ・マルクスが表紙の赤い本。

 

●もううーーんとさらにさかのぼること小学生の時。時は80年代。アイドル全盛期。
そりゃあ普通に歌ってましたよね、「風立ちぬ」、「快盗ルビイ」、「探偵物語」、「冬のリヴィエラ」。
「うなずきマーチ」も大好きだったし、「熱き心に」、こっちは父のカラオケの十八番曲だった。
あと幾多のCM曲でだってむっちゃ出逢ってる。出前一丁だとか(あとはどんなのがあるのかはまだよく知らないのだけど)

 

そんなわけで、幾度も幾度も出逢っていたわけです。
なんと知らずに出逢っていたのが多いことか!
2011.03.21以降に「え!あれもこれも!?」ってなったことが多いのですが。
そこで恥じるわけです。「アーティスト活動してないのに」なんて思ってた自分を。
知らなかっただけで随分お世話になっていたのです。
こんな私でも同じ時代を間違いなく共有させてもらっていたわけです。

 

そんなわけで、その2011.03.21に「今日は一日“大滝詠一”三昧」を聴いてからは。
すぐ難波のタワレコに行って発売したての『Long Vacation』 30th Editionとレココレ増刊の「Talks About Niagara」をレジに持って行き。ハマる気満々で。
もうあとはずぶずぶと。


今持ってるアルバムはその『Long Vacation』、『ナイアガラ・ムーン』に『ナイアガラ・カレンダー』。

そして今年の3.21に発売された『EACH TIME』 30th Edition。
それに昨日届いた『Go! Go! Niagara』。この5枚。
わざと我慢してちびちび買っていってます。お楽しみを早々に終わらせたくないから。

 

でも2013.12.30に逝ってしまわれた。
私が好きになってから2年しか経ってないよ。
それでもラジオ番組『アメリカン・ポップス伝」は出来るときは生で聴いたし、当時1歳だった子供もご機嫌なRock'n'Rollチューンに身体ワサワサを動かして笑ったりして。
子供の夜泣きやなかなか寝付いてくれない時も「Sunday Songbook」の新春放談のネットで拾ったやつを聴きながらなんとか乗り切ったり。笑い声をあげながら。

今思えば、初めてのことばかりの馴れない育児で疲れたり悩んでる気持ちを、随分大滝さんに助けてもらったように思う。
大滝さんは、明るいのだ。楽しいのだ。面白いのだ。
くすっ、ふはははと笑えるのだ。脱力的に。
そして照れ屋さんということだが、時々とても、かわいい。
そういったことが曲にも、ラジオでのおしゃべりにも、文章にも、うんと現れている。
私にとって大滝さんの歌と声は、悪戦苦闘中の育児というものと強く結びついている。

そして大滝さんの考え方や生き方そのものにもとても刺激と感銘を受ける。
「偉そうな物言い」に聞こえた言葉には全部裏付けがあったことを知った。
偉そうに聞こえるけど、全然偉そぶらない人だということを知った。
上段に構えるんではなく、冗談ばっかかましていた。
知らずにレココレ読んでる時は説明がくどくどしていると思ってたけど、全部に意味や背景があるからいくらでも説明できるだけなのだ。一旦その魅力がわかれば、もっとやれやれー!とどんどん説明して欲しくなった。もうかなわないけれど。

 

ニュースを知ってからしばらく、春くらいまでは、大滝さんのことを気付けばよく考えていた。
最初の方は現実感があまりないようだったのだけど、大滝さんの最後の言葉を知ってからはもうダメだった。
だけど、最後のラジオ出演だというアルフィーの坂崎さんの番組中で「(中秋の名月の日)孫と月見をした」という大滝さんの言葉を聞いた時も同じで、「幸せに暮らしていたんだな。よかった」と、おこがましいけれど、でもしみじみ思った。

 

昨日届いた『Go! Go! Niagara』は、私が大滝さんの一番好きな持ち味全開の曲ばかりで、参った。一番好きなアルバムかもしれない。


これが私にとって”最後から何番目の恋”かは知らないけど、まだしばらくは冷めて欲しくないです。