Sky Blue, Emotion

2024年05月28日 | 20's

Sky Blue, Emotion  長澤知之


2023年 夏

2023年07月30日 | 20's

blur - The Narcissist (BBC Radio 2 In Concert)


お知らせ

2019年07月16日 | ブログ運営

ここに来て下さって、ありがとうございます。




ブログを引っ越ししたので、お知らせします。



新しいブログ↓




strumblog

※休止中






前の記事で、ここの記事を新しい場所に移行して…と書いており、その事を随分考えもしたのですが、やはりここはここでこのままにしておくことがベストだと思うようになりました。





本当にここでは、たくさんの方々に出会えました。

また、やりとりなどはしていなくても、見て頂いていた方々もいらっしゃるかと思います。

お一人お一人に心より感謝を申し上げます。

本当にどうもありがとうございました。







よろしければ、新しい場所に、是非お越しくださいね。



モスコ












Can't we play a love song?

2019年04月18日 | ブログ運営
そこのあなた。


ここに来て、読んで下さってありがとうございます。



予定は未定…

なんですが、近々また本気でブログやってくつもりです。

ここの記事を、出来れば全部移行して新しいところで。


まだ準備の準備くらいの段階ですが、環境が整えばガンガンやっていきたいと思っております。

なかなかスタート出来ないのがもどかしいところですが、でも新しいことにチャレンジするのは、いくつになっても楽しい!



気長に、ゆるりと、乞うご期待、です。
よろしければ。













"the Big O" と呼ばれた男、ロイ・オービソン

2019年01月21日 | Oldies




毎週お馴染みになってまいりました「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」。
昨年12月から今年3月までの全14回。
昨夜は第5回目ということで、ロイ・オービソン特集。オリジナル放送としては第18回だそうです。




「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」


もう今放送は5回やってるんですねぇ。早いなぁ。毎回記事書こうかなとか思ってたけど、無理ですねぇ。
子供が冬休み明けて学校行ったと思ったらインフルエンザにかかって私ももらっちゃったりで。
なかなかに出鼻をくじかれた年明けでした。


で、やっとこ全復活して久々フツーにリアルタイムで聴けたのがこの昨夜のロイ・オービソン特集。

ロイ・オービソン。あだ名は "ビッグ・オー"。
好きですねぇ、めちゃめちゃ。


私の場合のロイ・オービソンを大好きになったきっかけ。それははリアルタイムで見ていた90年代のアメリカのテレビドラマシリーズ『アリー my ラブ』。
彼の"Crying" と "Dream Baby" と "In Dreams" がいい具合にドラマ内でカバーされてたんですよね。特に "Crying" 。

ちなみにこの『アリー my ラブ』というドラマは50's、60's、70's辺りのヒット曲を、しかも話の内容に沿った歌詞のものをガンガン使ってて(カバーですが)、それはそれは音楽ファンにもありがたいドラマだったんですよね。
勉強になったなぁ、あれは。製作のデビッド・E・ケリーという人が、超音楽マニアなんですよね。
しまいには本物のアル・グリーンや、メイヴィス・ステイプルズ、バリー・ホワイトなんかが出てきて歌い出したりね。
ドラマ自体も大好きだったんで、ドラマで使われた曲のオリジナル音源を探し求めてCDやアナログを探し求めて買っては聴き込んだり。
沢山の大切な曲に出会わせてくれた忘れられないドラマです。








閑話休題。そんな感じで、思い入れたっぷりドラマで特にグッときたのがこのロイ・オービソンの "Crying" 。

タカタンタンジャン、タカタンタンジャン、っていう静かだけどその後のドラマティックな展開を期待させるイントロからしてもう最高ではないですか。

そして溜めに溜めてからの "クラァァァイン" のファルセットときたら!天国ではこのような曲がBGMで流れているに違いない!

歌詞も実に素晴らしく。かのドラマの中でも主人公の切ない恋心を表すニクい使われ方をしていたように思います。泣ける。


で、大瀧さんが、この曲かけた後、たまらず? "クラァァァイン、オバーユゥー"とかって鼻歌歌うんですよね!それがまた最高で…。ええ声でねぇ。好きなんだねぇっていう…。
たまにそうやってかけた曲の鼻歌歌わはるんですけど、おぉっ!てなりますよね。そんなん聴けると思ってなかったから嬉しくてね。


そんなわけで、私はロイ・オービソンさんと言えば、有名な "Oh, Pretty Woman" でもなく "Only the Lonely
" でもなく、断然!の "Crying" 派なのでありました。



で、今回放送を聞いていて改めて思ったことは、ロイ・オービソンはシングル発売順を意識して聴くのが大事なんだなぁってこと。勿論、大瀧さんはカバーなどをあいだに挟みながらですが順番通りにかけてはりました。
まぁ私の愛聴していたCDも、今サブスクで聴いているアルバムも、発売順に収録しているアルバムなので問題なしです!

特に重要なのがサン→RCA (ここまでの流れはエルヴィスと同じらしい) から、モニュメントに移ってきてからの1960年、最初の3枚!

つまり

"Only the Lonely"
"Blue Angel"
"I'm Hurtin'"

彼のスタイルを確立してヒットし出した肝の3枚!
どの曲もいいですよねぇぇぇ。


放送で大瀧さんが「ロイ・オービソンを好きな人は "Only the Lonely" と "I'm Hurtin'" の違いは克明に分かるけど、嫌いな人には一緒に聴こえるらしい。好みの問題ですが好みで争うのは良くないと思う(笑)」と言うてはったのが印象的でした。


あと "Blue Bayou" 好きって言うてはったのも、そりゃそうでしょうと、なんとなく。エルヴィス特集で『闇に響く声(キング・クレオール)』好きって話から。
私も好きな曲です。南部好き。


他にも60年代当時の日本でのヒット裏話など、興味深い話を色々聞くことが出来ました。
前回のビートルズ特集もグッときましたが、今回もまた完璧だったですね。
若くても大瀧さんは大瀧さん!流石に完成されておられます。


最近は音楽を聴くきっかけを見つけるのも一苦労な時もあるので、とても良い刺激をもらっています。

おかげで昨夜からすっかりオービソン漬けです。



ちなみに、放送の最後に毎回確信犯的に大瀧さんは「次週は◯◯特集です」って言うんだけど、本放送、オービソン特集の次は三橋美智也特集だって!(笑) マジ聴きたい。






トノバンと呼ばれた男、加藤和彦

2018年12月26日 | Japanese
私はトノバンの音楽を愛する。

誰が何と言おうと…!って、誰もなんも言ってないですけど。でも断然トノバンの味方なのです!
なぜでしょう、なぜかこういう事を言いたくなる人。


彼のカタログはApple Musicにほとんどあります。
今年の夏くらい急速にハマって、聴きまくっています。
映画『この世界の片隅に』で使われたコトリンゴがカバーした「悲しくてやりきれない」。この曲が何かのきっかけでふと耳に入ってきて、あぁ、やっぱこの曲すごいなぁ、ちゃんと聴かないとなぁ加藤和彦、とか思ったのがキッカケです。

彼のソロ・ワークの代表作的な誉れ高いヨーロッパ三部作なんて、割と苦手な路線なんだけど、それでも我慢して聴き続けてたら、その良さも少し感じられている気がするし、でもそれ以上に私はやっぱりソロ初期ですわ。

1st『ぼくのそばにおいでよ』(1969)
2nd『スーパー・ガス』(1971)
サディスティック・ミカ・バンド後の
『それから先のことは…』(1976)

断然好き。
あとフォークルもミカ・バンドもかなり好きになりました。当然です。素晴らしいんだもの。

これって渋谷系がリアルタイムな青春時代を送った人間としては当然のチョイスでしょうか。でもなんでその90年代にこの人はもっと再評価されなかったんだろう!
当時の小沢健二やサニーデイ・サービスの曽我部恵一、渋谷系ではないけど奥田民生とかの諸々のミュージシャンへの影響を考えると、大瀧詠一さんや細野晴臣さん、キヨシローとかと比べてその評価の低さ、騒がれなさに、不憫と言っては失礼なほど大成功している人なのに、とても寂しい残念な気持ちになります。特に当時の小沢健二は65%くらい加藤和彦だったんだなと勝手に断定。

2代目、3代目ミカ・バンドはその都度それなりに話題にはなっていた記憶はあるけれど、それと共に加藤和彦の功績を振り返っての盛り上がり、なんかはあまりなかったように思います。それだけ現役感あったってことかもだけど。

でもその確固たる才能に対して、正当に評価された時代が彼にはあったのかしら。色々2018年暮れの今頃、ですけど。
こういう事を言いたくなる人。


何にこれほど夢中になったのでしょう。


まず、なによりも加藤和彦が音楽の人であったこと。
トノバン、ってあだ名が全てを物語ってるのではないでしょうか。大好きです、このあだ名。もちろん由来はあのドノバン。
トノバンって呼ばれる彼のことも好きだし、今も彼のことをトノバンって呼ぶ人たちが好き。


あと、彼の作るすべての音楽に通底してある、その儚さ、か細さ、弱さ。
フッて息を吹きかければ消え入りそうな心細さがどこかにある。寂寥感が半端ない。明るい曲でも。そこが、いい。怖いくらい妙に軽いとこも。
才能が突出してる分、そこに脆さが出てしまっているのでしょうか。


そして、その儚さと反して、メロディの堂々とした存在感。
「悲しくてやりきれない」や「あの素晴らしい愛をもう一度」のメロディはそれ以外はないっていうドンピシャでとても強いもので。


私はつくづく、寂しげな人が作る、寂しげだけど多くの人々の心を鷲掴みにするわかりやすいポップな音楽が好きなんだなぁと思わされます。


彼の中にあるアンビバレンツ。両極性。
儚さと強さ。
日本と英国、または米国、または諸外国。
陰と陽。
古さと新しさ。
保守的なとことアバンギャルドなとこと。
一筋縄ではいかない複雑で繊細な匂いがするところが好きです。




私の親と同世代のあなたと同じ時代を多く生きていたにも関わらず、恥ずかしいくらいすれ違ってやっと出逢えた、遅れすぎたファンが何言おうと知ったこっちゃないと思いますが、トノバン。

どれだけカッコ悪く、ダサく足掻いててでも、あなたに生きていて欲しかったですよ。
でも苦しかったのなら仕方ないですよね。
だけどあなたがいない世界はこんなにも味気ない。







【おまけのはなし】この写真↑、トノバンの音楽を聴くようになるずっとずっと前から、この写真が好きでした。
妙にポール・マッカートニーの「出ておいでよ、お嬢さん」の日本盤のシングルで使われている写真を思い起こさせるんですよ。
そんで実はさっきまでパロディで撮ったのかなって思ってたくらい、頭の中ではその2枚の写真が繋がって見えてました。
ほんでまた私がこの時期のポールがとてつもなく好きで。
で、この時期のポールの完コピ写真撮るくらい加藤和彦ってポール好きなんだ、じゃあいい人に違いない、って勝手に勘違い妄想突っ走ってました(笑)
でもその勘違いのおかげで、ずっと聴かなきゃなー加藤和彦とか思ってたんでしょうね、頭の中のどっかで。
よかった、いい勘違いしておいて。





大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション 第1回

2018年12月24日 | 大瀧詠一
いやぁ、いいもの聴いちゃったなぁ。

時は2018年の12月24日。
クリスマス・イヴになりたての深夜0時。
それはあるラジオ番組。

これを聴きたいがために関西住みの私はradikoの有料のプレミアム会員にもなりました。
録音もしたかったのですが、iPhoneでは録音出来ず、パソコンでは録音する手があるようでしたが、家にあるパソコンは昔このブログを書いていたもので、今では古くなってしまったiMacしかなく、何年か前に買ったiPhoneとは同期出来ないので、何聴くのにももうiMacは立ち上げずにiPhoneで聴いている私は、録音を泣く泣く諦めました。

なので、子供がぐぅぐぅ横で寝ている真っ暗闇の中、ひたすらこのお方の声を、かけてくれる曲を、iPhoneにイヤフォン挿して耳を澄ませて聴きました。

「大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション」。ラジオ日本の開局60周年記念特番であります。





あの有名なラジオ番組、ゴー・ゴー・ナイアガラのアーカイブからセレクトされた回が、ノー・カットで放送されたのです。これが来年の3月末まで毎週続くのです。

今回は1975年12月24日放送の、題してブライアン・ウィルソン対フィル・スペクター、『ビーチ・ボーイズとフィル・スペクターのクリスマス・アルバム特集』それぞれのアーティストの今や有名なクリスマスアルバムから交互に曲がかかる回です。


ここから聴いてみての感想。

まずね、大瀧さん、あったかい。
なんか人間性って、やっぱ何やってもどっかに出るもんです。良くも悪くも。怖いくらい。

それでなんか、しみじみいいなぁと思いました、この人。喋りが思ったよりすごい自然体で、時々なんか色々恥ずかしがってて、かわいい人だなぁと。
1975年ってことは当然、大瀧さんも若い。若さも声や話の内容に出てたけど、ドカッて安定感もあって。聴いてて、なんと心地いい声よ、笑い声よ。

時代的なものもあってか、話の内容も話し方ものんびりとシンプルで。だけど今の時代にはないような豊かさみたいなものを感じることが出来て。
大瀧さんの子供の時の冬休みの情景が思い浮かぶ素敵な話の数々。それがビーチ・ボーイズやロネッツなどの曲の合間に挟まれるわけです。しかもちゃんと次かける曲の振りの内容に、もちろんちゃんとなってる。

最後の方、リスナーに、1人で聴いてるそこのあなたと、一緒に良いクリスマスのひとときを過ごせましたね、的な事を言われた時にはホロリときましたよね。心があったかくなりましたよね。

雪が降ってる時の、しんとした静けさがお好きとお話しされていましたが、まさに、雪が降る静かな夜に、大瀧さんと素敵なクリスマスを過ごせたようで、感動しました。

思えば、大瀧さんを好きになったきっかけもラジオ「今日は1日 大瀧詠一 三昧」だったし、大瀧さんがご存命だった時、唯一生声を聴けた接点はラジオ「アメリカン・ポップス伝」だった。
全部、録音したかったものだけどできず、一回勝負。その分、必死。
アメリカン・ポップス伝の時なんかは、まだ子供が小さかったため、抱っこしてあやしながらそれでも負けじと流しながらでも聴いていた覚えがあります。

ゴー・ゴー・ナイアガラは今やYouTubeにも沢山上がっており、聴ける回も沢山あるようですが、今回のようにリアルタイムの一発勝負で聴けたのが、また、なんだか1975年放送当時に聴いてる雰囲気が出て、集中して聴けたし、結果オーライでした。

昔はラジオをもっと聴いてました。
せっかくradikoの会員にもなったんだし、も少しラジオに触れてみようかな。
でもまずは3月末までは毎週日曜の夜に、何は無くともゴー・ゴー・ナイアガラだ。
あの素敵な体験を、一発勝負をまだ何度も経験出来るんだー。


ラジオ日本 大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション


…なんて。おひさしぶりです。
感動したので、書きました。
BGMはもちろんビーチ・ボーイズとフィル・スペクターのクリスマス・アルバム。
Apple Musicでちょちょいとすぐ聴けちゃいます。


今回の大瀧さん風に言えば、カップルの方も、お一人の方も。
そして家族と一緒の方も、友達と一緒の方も。
皆さま、よいクリスマスをお過ごしくださいませ。



’14年10月に観た映画

2014年11月04日 | 映画

ここのところ映画を無理くりでも観るようにしてます。
良くないんだけどね、寝不足&夜型になっちゃうので。

でも、ね。

せっかくなので先月の記録を残します。
えらそうな物言い、許してちょ。

10/5(日)

「遠い雲」(65・松竹) 木下恵介 レンタルDVDにて

結末のケリのつけ方がユニーク。ザ・にっぽん!ハリウッドだと絶対汽車に乗るよね高峰秀子は。
しかしここでのデコちゃん、罪な女。屈託なく描かれる佐田啓二に影が出来ちゃったものねぇ。
田村高廣の母の息子をかばう台詞が好きだった。「私が可愛いのは世間様じゃないよ」


10/7(火)

「妖僧」(63・大映) 衣笠貞之介 日本映画専門チャンネルにて

アラー、道鏡の話やったか!似てるとは思ったけど途中まで気づかなかった!この時代の時代劇、好きだなぁ。まだ途中まで。観なきゃ。


10/8(水)

「カーズ」(06・米)ジョン・ラセター/ジョー・ラフト レンタルDVDにて

子供の為に借りたけど自分の方がズッパマリ。ピクサー好きだったけど見てなかったのよねぇ今まで。ホントこれはいい。初期のピクサーの良さが濃くある。ピクサーのドン、ジョン・ラセターの思い入れたっぷりで。
でもヤバイ。トミカのカーズが我が家に続々増えて行くことと思われる…(後日、早速トイザらスでフローとラモーンを購入…)。
シェリル・クロウで始まり、肝の場面で流れるJTには参りやした。


10/10(金)

「浮雲」(55・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて

暗めの撮影と森雅之が素晴らしかった!


きゃあ。

ダメな色男とダメな色女の哀れで儚い話。浮気の上乗せはなかなか出来るこっちゃない。
話がなんともな話なのだが、何度も何度も観たくなる。確かまだ2回目だけどこれからも観るだろう。映画は筋の好き嫌いではない。傑作だす。

小津安二郎曰く:俺に出来ないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だけだ。


「乱れ雲」(67・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて

成瀬の映画は女が日本列島を軽々縦断する。人生に翻弄され、移動する様。成瀬のカラー映画。非常に端正な画作り。小津みたい。小津没後4年目の作品で成瀬の遺作。

加山雄三は演技はいつもちょっとあれだと言われるけど成瀬にいつも上手に使われている。演技力など屁でもない、活かし甲斐のある人間味を持っているということか。さすが若大将。

姉役の草笛光子の描き方秀逸なり。取るものは取る、しっかり者のやらしさ。だけど一緒には住んでやらない。義姉役の森光子は一緒に住んでやるし、サバサバしてるけど不倫中でありなかなかドロドロした所を見せる。辛い司葉子。

しかしこの「乱れ雲」も「浮雲」もこの前観た木下の「遠い雲」もジトッとした"雲"三作だなぁ。今の時代に映画館にかかるのが想像出来ない。今の日本映画は子供向けの娯楽作ばかりだもの。今は人間も子供っぽいものね、自分含め。


10/11(土)

「ワールド・トレード・センター」(06・米) オリバー・ストーン

リアルだった…。最後の最後に"家族への愛"が生きる力になるのであれば…。がんばんなきゃねー。
ニコラス・ケイジの奥さん役のマリア・ベロ、よろし。「50歳の恋愛白書」でのイカレた母親役も良かったよなー。親近感あるけど何出てた?と調べたら「ER」のシーズン4のアンナ・デル・アミコ役とな。これだな。


10/12(日)

「キューポラのある街」(62・日活) 浦山桐男 日本映画専門チャンネルにて

キューポラ:鋳物工場の煙突のこと。埼玉県川口市の中小工場地帯の話。

あまり期待しないで観たのだけど良かった。朝鮮の友達が吉永小百合に自転車をあげるところで涙腺崩壊。
吉永が一瞬グレかけるけど、また立ち直る、そのどこまでも前向きなのがいい。この映画の生命線。元気出ます。
弟のヤンチャ三人組の川下りのシーンもいい。


10/13(月)

「祇園囃子」(53・大映) 溝口健二 日本映画専門チャンネルにて

木暮実千代が得な役。あんな人がいるのかな。
しかし昔の日本映画は女の貞節とその喪失が描かれる事が多いなぁ。最近観たヤツはそればっか。戦後すぐ~しばらくの間はそういう時代だったのかな。
溝口は殆ど観たことないけれど、これはちょっと溝口作品としては小品かしら?十分見応えありましたが。


10/14(火)

「小早川家の秋」(61・東宝) 小津安二郎 日本映画専門チャンネルにて

中村鴈治郎の持つ幼児性。この映画の鴈治郎を観ると、いつもうちのじーちゃんを思い出す。よく似てる。言う事やちょっとした仕草。じーちゃんも口が悪かったなぁ。「あほんだら!何言うてけつかんねん!」とか。けつかんねんて…(笑)好きやけど。
これは何度も観ている。明るいのか暗いのかわからん不気味な映画。途中まで観る。




10/17(金)

「有がたうさん」(36・松竹キネマ) 清水宏 YouTubeにて

バスの中、皆揺れてる。いいな。
場面展開なく、ずっとバスの中の道程の話かと思ったら少しゾッとしたのだけどだんだんよくなった。
トーキー初期作品の為、全編アフレコっぽい。セリフの異常なまでのゆっくり加減。
筋とは関係なしに、無賃乗車している(後ろにぶら下がってる)学校帰りの男の子達の描写がいい。
トンネルの手前で休憩中に皆で石を投げるとこもいい。
バスの運転手の制服姿の若かりし上原謙もいい。
その服装にて、お通夜と祝言(結婚)の混同が既に描かれていた!早い!松竹の伝統かしら?

この映画で清水宏と出逢う。
YouTubeで映画を観るのもこれが初めて。


「按摩と女」(38・松竹) 清水宏 YouTubeにて

わおー!傑作だーっ!!
「有がたうさん」と続けて観たので、「有がたうさん」のラストとこの映画の冒頭、山道の移動ショットが繋がってんのでビックリする。この奥行のある道のど真ん中で後ずさりする移動ショット、清水宏の得意技なのね。ずっと観ていたい。

余韻がたまらない。この映画でホントの意味で清水宏に出逢った。
清水宏を観てしまうと、ほぼ無視されてる清水に比べ、もてはやされてる小津がちょっと憎らしくなっちゃうね。
でも2人は親友同士。小津も清水を認めていたらしい。

徳大寺伸、高峰美枝子の演技も素晴らしい。

清水宏はロケ得意なんだな。山道や宿場町や川の美しいこと美しいこと。
美しいと言っても堅苦しくなくユーモアや人情味に溢れててカラッと明るい。明るいと言っても薄っぺらくなく、子供っぽくもなく、とにかく映画の詩情しかそこにはなくて。
極上です。すっかりトリコになっちゃった。


10/19(日)

「娘と私」(62・東宝) 堀川弘通 日本映画専門チャンネルにて

これはなんとも理解し難い。いやー参った。悪い意味で。これではテレビドラマです。と思ったら、NHK朝の連続テレビ小説ドラマの記念すべき第一回の作品の映画化とのこと。なるほど、なんであれが、幼少期~戦争~戦後という話の流れやナレーションをよく用いるかとか、この作品を踏襲していることを知る。
原の節っちゃんがもったいないなぁ。ちょっと良かったけど。
一つだけすごく良かった台詞あり。父親からお嫁に行く娘に。曰く「人は結婚したから夫婦になるのではない。5年かかる人もいりゃあ10年かかる人もいる。パパとママを見てごらん。14年かかったよ。コツコツと積み上げることさ」14年て!細かい!と笑ったけど。でもここはグッときました。


10/21(火)

「風の中の子供」(37・松竹) 清水宏 YouTubeにて

清水は真正面の移動ショットの他に横移動もあるのだな。いいね。
昔はこんなにも長男と次男で差別したの?割とドイヒーよね、この母親。しかしこんな素朴な時代でもこういう母親の思惑や近所の子のイジメ的なものはあるわけで。変わらないんだなぁ。
それゆえにラストの三平の、いじわるしていた金太郎に対する所業が清々しく胸を打つ。なんとも心地良い余韻。
20人前後の子供の連なって走る姿。時には裸。これがいい。昔は子供がホントにいっぱいいたんだな。群れる人数が今とは全然違う。
葉山正雄演じる長男のかくれんぼシーンに涙腺崩壊。


10/22(水)

「ヒッチ・ハイカー」(53・米) アイダ・ルピノ YouTubeにて

女優のアイダ・ルピノが監督したフィルム・ノワール。観たかったんだこれずっと。YouTubeで映画観れることを知って(超遅)探したらあった!字幕ないので半分わからんちんだけど。
でも面白かった。女優が初めて撮りたかった映画がB級フィルム・ノワールで、しかも内容がヒゲむさいオヤジ達の逃避行(誘拐)だというユニークさ。いいね。


10/23(木)

「市民ケーン」(41・米) オーソン・ウェルズ 手持ちDVDにて

シーンの画、音、台詞、全てのリズムが映画の呼吸。
何度も観てるけどやっぱ素晴らしい!と思って観てたのだけど、米版ブルーレイのリストアされた映像が凄すぎる旨の文章をネットでいくつも見て、観る気を途中でなくしてしまう…。廉価版DVDはヒドイもんなので。
欲しいな。これの日本版ブルーレイが出てないのは犯罪的。


10/24(金)

「ハイ・シェラ」(41・米)ラオール・ウォルシュ 手持ちDVDにて

映画づいてきたのですんごい久々に映画のDVDを買う。中古で。
昔BSで観て以来二度目。観る前は「死の谷」(好き!)と少しごっちゃになってたけどオリジナルはこっち。こっちは犬であっちは西部劇(&ジョエル・マクリー主演)。どちらも監督はウォルシュ。
ボガートはやっぱりいい。彼の実質的な初主演映画なり。クレジットはアイダ・ルピノの方がスターだったので先にくるのです。
第三幕の山でのロケが効いている。
こういったテーマのものを英語で"ONE LAST HEIST(強盗、盗む)もの、と言うらしい。







鳴り止まないラブソング [初回限定盤 CD+DVD] のDVD、たまらん!

2014年10月29日 | Japanese

ザ・コレクターズの新作『鳴り止まないラブソング』。
7月の発売と同時に買って聴いていたものの、どっか自分の中の治まり具合がうまく見つけられなかった。というか少し ”思ってたんと違う” かったのよね。タイトルからして、コレクターズが得意とするキュンキュンの泣き系ラブソングが一杯入ってるのかなと思いきや、ビートバンド的な曲、カラッとした明るめの曲が多いように感じて、期待が大きすぎた分、最初はちょっと拍子抜けしちゃったのです。
でも違ったねー。3ヶ月間聴き続けた結果。いいですこれ。ようやくわかってきた!彼らの20枚あるオリジナルアルバムの中で、初めて買うアルバムがこれでも全然オッケー。むしろ今ならこれがいい。
なぜならコレクターズはいつでも「今が最高!」なのです!!これホント。

 

でもアルバムよりも、最初は初回限定盤のオマケのDVDにやられちゃった。
これは今でもほんといいと思うし、飽きずに何度も観てしまう。
今日はこのDVDの感想をば。

今年5月に岩手の北上と東京の赤坂で行われたギターのコータローの50歳記念ライブ映像と、このアルバムの録音風景のドキュメンタリーのダブル構成になってて。収録時間は全部で1時間くらいかな?

これがどっちもすんごい見応えあるものになってて、どんだけ太っ腹なんだー!と。
彼らの最近のアルバムやシングルのCDはこうやって初回限定盤にオマケDVDが毎回必ず付いててファンを、これでもかっ!って喜ばせるんですよね。最近のコレクターズの特徴として、出し惜しみしないっていうのがあるよね。ケチ臭さが一つもないの。


さてDVDの感想ですが、まずライブの方。最近私的にとんとご無沙汰だった彼らのライブでの勇姿がたっぷり観ることが出来て超満足。なにこれ、キレッキレやん!シンプルな編集だからその場に居てるような臨場感もあるし、もうウハウハです。”GROOVE GLOBE” とか気合い入りまくりの素晴らしい演奏、歌で、思わず終わった後に毎回拍手しちゃうよー、TVの前で。

新メンバーのベースのJEFF(ジェフ)さんのライブでの勇姿も初めてこれで観れるわけですが。
コーラス(今までの彼らのライブのちょっとした弱点であった)もバンバンしてくれるのが頼もしいし、なによりルックスと気合い、佇まいが今のコレクターズにすごく合ってて、これからすごい期待しちゃうなぁ。いいなぁ。私、妙に好きだなぁ、あの人。あなたの男気でこれからもリーダーをサポートしてあげていってください!

あと初期のメンバー、チョーキーがサプライズで出てきて ”Too Much Romantic!” を一緒に演奏するシーンがあるのですが、これがたまらん!わかってても、何度観ても、泣けちゃうよあれは。このコータローの50歳記念ライブというものの持つ特別感、時の流れやそれぞれの人が持つ人生の重み。バンドが背負ってきたキラキラした栄光とドロドロした挫折が否応なくそこにあって、いやぁあれは参った。よく収録してくれました!あの時、歌いながら色々考えて辛くなったって加藤さんもツアーブック「DONUT」のインタビューで言ってたもんね。バンドをやり続ける意味。これはどのバンドにも降りかかるけど、ブレイクしないまま、もしくはその歴史のほとんどを「ブレイク寸前!」と言われながら30年近くやり続けているコレクターズの命題がそこにあってね。

何はともあれ「コレクターズはやっぱりライブ!」ということを有無を言わさずスッと分からせてくれる有り難いライブサイドであります。


そしてアルバムの録音風景のスタジオサイドですが、これもまた実に味わい深い。先ほども「新メンバー」と書きましたが、先に書いたチョーキーの後に入って、既にもう20年以上一緒に演っていたベースの小里くんの、アルバム制作前の突然の脱退劇があったことと、とにかく数が多いツアーなどなど、えらく忙しいのと、最近歌詞に苦労していてなかなか出来ない苦しみと。要は時間がない中でのアルバム制作。

そんなリーダー、加藤さんの苦悩する姿、疲れ過ぎてる姿が嫌と言うほど観れる!これはたまらんぜ?(笑)いやほんと、ここの素の加藤さんにグッときますよ、私ゃ。疲れてるオッサン、好きなのよ(笑)雨に濡れたクタクタのでっかいのら犬みたいで(笑)
いや、でも実際かっこいいです。男が仕事してる姿だからね、これも。華々しいライブとは違った姿で。命削りながら、ね。
ここでの加藤さんは少なくともアー写の加藤さんの100倍はかっこいいと思う!!

ほんで、「素」って書きましたけど、「いやいや、カメラ廻ってるんだから、ちょっとはかっこつけてるでしょ。意識してるでしょ」とか思うでしょ?でも芸歴というかバンド生活もうすぐ30年の彼らは最早カメラの前であろうが、素なのです。だってオーラゼロだもん(笑)加藤さんもコータローもポッドキャスト「池袋24時」で「(カメラが廻っていても)全然気にならない、してない」って言ってたしね。そこはほんとうだと思う。そここそがグッとくる見所であるわけだし、最近の二人の止まらない魅力でもあるのです。

そしてそんな素の疲れている(コータローはそうでもないか)二人の、1曲1曲に対するあーでもない、こーでもない的なやりとりが、これまた!!こうやってコレクターズの名曲の数々は産まれてきたのか!なんて感動が待っております。

コレクターズの曲におけるコータローのギター・ワークの重要さに、加藤さんに夢中すぎて気付いたのが最近という超遅い私ですが、それが観れるんですよね、形として。コーちゃんじゃなきゃ、ダメだったんだね。当たり前だけど。
最近、ホントにこの二人の年月を積み重ねてきた、いい夫婦振りにやられっぱなしです。
二人のポッドキャスト聴いてたら、誰でもそう思わずにいられないですよね。

 


そんなわけで彼らに興味を持ってる人で、このアルバムを買ってみようかなぁという人がもしいたら、絶対DVD付きの初回限定盤!全力でオススメです!

そして気付けばどんどんハマって抜け出せなくなるよ!

アルバムの感想を書きたかったんだけど、今日はもう無理だ。
出来ればまたいつか書きたい...!

 


『対音楽』(2012)中村一義

2014年10月02日 | Japanese

中村一義名義ではなんと10年振りの作品という。
もちろんその間、100s(ひゃくしき)というバンドで活動してはいたのだけど。

でもやっぱ、ソロの中村くんが、私はいい。
うたってる「中村一義」とそれを聴いてる「私」に届く、その 個人 対 個人 の感じが、中村くんの場合は本当に特別だと思うから。

中村くんのうたとは進んで対峙したい。
歌詞は聴き取りがちょっとしにくいところもあるから歌詞カードと首っ引きでね。
あの独特の長文の歌詞をむりくり美メロに乗せて歌う、トリッキーな強引さがまたよかったり。

 

2年前の先行シングル発売時はiTunesでうほうほとダウンロード購入したんだけど、アルバムまで辿りつかんかった。
そうだ、あの2年前の夏はそれどころでは本当になかったんだった。
ということをこれを書いてて思い出した。

 

そして、アルバム発売から2年後の本日(日付は記事の一日前だけど)。
最近あまりお金持ってないけど、ひれ伏せさせてくれる音楽となんとか出逢いたくて、レンタル屋さんに行き、この「対音楽」を借りてきて、私は今日初めてこのアルバムを聴いたのです。今日出逢った。


いい!すっごくいい!
1曲1曲、創作することにフォーカスされてて、想いも消化されてて、全曲いい。
作詞作曲、全ての楽器の演奏、歌、全てが文句なく120%中村くんである嬉しさ。
聴いててウキウキしてくる。

そしてやはりソロ名義であった1st「金字塔」や2nd「太陽」に匹敵する 個人 対 個人 の
あの感じが戻っている。そこにある。

これだよぉ、中村くん。
待ってたよー。ほんと。

100sも嫌いではなかったけど、やっぱこの120%中村一義、っていうのがいいよ。

本当に特別なんだよ、この感覚は。

  愛情は何度、暴いたって、ただ、愛情      

      「ウソを暴け!」

  どっか狂っていたって、秒針は時を刻む。
  愛が常時だなんて、なかなかないんだからさ。あ、そう。  

      「きみてらす」

といった言葉が、すーっと入ってくる。沁みる。


2年前にシングルで「ウソを暴け!」を聴いた時、あの中村くんが帰ってきた!?うわー
!!って感動したのを覚えているんだけど、嬉しいことにアルバム丸ごと、帰ってきてたんだなぁ。

私はこれを退化だとは思わない。
本当の自分の中でも、もっと奥の核みたいなものを今一度大切にして表した結果なんだろうと思う。


幼少の頃、父親にも母親にもに捨てられ、愛情深い祖父母に育てられたという過去を持つ彼は、その作品の中で何度も何度も、自分が今、ここにいる理由を探し、疑い、愛を見つけ、そこにただひたすらすがり、信じ、つまずき、引きこもり、そしてビートルズに出逢い、それまで打ち込みだった作風を捨て、一人でリンゴとジョージとポールとジョンを演ってのけ(ほんとうにビートルズのようドラムもベースもギターもピアノも彼一人で演奏したのです)、「あぁすべてが人並みにうまくいきますように」「愛がすべての人たちにわけられてますように」と、一番ビートルズらしいメロディと4人の残像を借りて超絶裏声で歌い、表に出てきて私たちリスナーと出逢ったアーティストであって。

 

今回のこの「対音楽」の中に「おまじない」(この曲最高!)という曲があるのだけど、彼のデビュー当時(1997年)、確かに彼のうたは、私にとって生きるためのおまじない、のようなものでした。

そしてまた、おまじないになるアルバムを作ってくれたんだ。

そのおまじないとは決して、自分をなくしちゃうくらいにすがりつくもんじゃなくて。
逆に、自分という人間を明るく照らしだし、周りにいる人たちを照らしだし、そのことをとってもありがたく感じ、そして今、本当に、ここに、この中に、いるんだ、自分は、ということを、くっきりと、でも少し悲しみみたいなものを携えながら、教えてくれるものなのです。

  そういった「今」というものを、死ぬまでに出来るだけたくさん感じたい。そのとき助けになってくれるのが、中村くんのうたというおまじないなのです。

   君にとって私はどういう存在でしたか?
  僕にとってあなたはどういう存在だったのかな?

なんて中村くんがうたうなんてね。

その続きは

  逢えるかな?また逢えるかなぁ。
  「いつだって心、出逢えるだろ?また、逢えるだろ。」
  ホントだ。逢えたね。

      「歓喜のうた」

とかね。

逢えたねー(レンタルすまぬ)。

大切に何回も何回も聴こう。

このアルバムを。

 

 

あ、そうだ。これも覚え書きとして書いておかなきゃ。 今日は実は前から気になっていた身体のちょっとした不具合の検査の日で、問題なければ当日に結果がわかるという。 きっと大丈夫だろう…でも万が一のこともあるし…っていうヤな日だったんだけど、結果問題なしで。 ホッとしたその足ですごく久しぶりにCDを借りに行ったんだった。それで出逢ったのでした。

『Songs of Innocence』(2014)U2

2014年09月24日 | 10’s

U2のこの新作のことはTVのCMで知ったです。

なんとiTunesで無料でU2の新作がアルバムごとダウンロードできるよ、とのことで。

そんで最近はなかなか音楽をちゃんと聴けていなかったのですが、これには食いつきました。
おぉー!って。そりゃそでしょ。

とか思ったのですが、世間ではそーでない人もたくさんいて。
この無料ダウンロード、色々物議を醸していたのですね。

特にU2にあまり馴染みのない若者の間で。
曰く「U2って誰?」「こんなのいらない」。

要はiPhoneなりiPod TouchなりPCの中なりに勝手にダウンロードされて、しかも(最初は)無用でも消せず、消すには有料サービスを利用しないといけないという仕様が悪いと思うのですが(今は無料で削除可能)。


まぁそりゃ怒りますよね。容量の問題があるからね。なんで欲しい人だけ各々がダウンロードする今までのやり方にしなかったんだと思いますよ。

怒るのも分かる。よく分かるんだけど。

一方で、寂しい時代、せちがらい世の中になってんなぁって思っちまいました。

”あの!””U2!”の”新作!”が”無料!”
ってのに効力がないんだから。
いらないもんはいらないんだから。


世界中の人が(iTunesを利用できる環境にいる人ってことだけど)一斉にみんなが無料で楽しむことができる。でもそれ(U2の新作)を楽しむ人は確実に減っていっているってことなのかなぁ。

同時代を生きるビッグ・アーティストとの、ちょっとしたお祭りなのにね。

U2でもダメなんだね。
だったら誰がいるの??


音楽の趣味が細分化されすぎているのと。
もう元々音楽自体、好きな人が少なくなっているのと。


と、一抹の寂しさを覚えた私はギックリ腰持ちの腰痛に悩めるおばさん。

そりゃそーだよね。
U2との初めての出逢いは1987年の「ヨシュア・トゥリー」。私、中学生。

”With or Without You"がMTVでもベスト・ヒットUSAでも「もういいよ!」ってくらいずーっと1位を陣取ってて。子供にはなんかショッキングすぎるくらい地味なPVと渋い曲でねぇ。そのシリアスさが新鮮で。早速レンタルレコード屋に学校帰りに行って、アルバム借りてね。

その後のシングル切ってく流れも実によくて。”I Still Have'nt Found What I'm Looking For"。そんで”Where The Streets Have No Name"っていう。なんとも強力だったなぁ。

もちろんアルバムも丸ごとよくて。落としたカセットテープでよく聴きました。

そっからはふつうにU2は追っかけるもんだった。
プラス、さかのぼって全部聴きも当たり前で。


特別大好きっていうアーティストでもないんだけど、なんやかや言うて聴いてるもん、時代時代、そん時そん時で。

そういうアーティストって特別だし、大事にするべきです(←これは自分に言ってる)。

ふつうに好き、なんだよ。U2。


そしてこのアルバム。

私は気に入りましたよ。
まずちゃんと落ち着いてヘッドフォンで音楽聴くのちょっと久々だったので、「シンプルだけど、さすがお金かかって今の良い音してる」!って最初、音そのものに興奮(笑)

2009年の前作だけ聴いてない(追っかけきれてない...)のですが、これはいいです、ふつうのいつものU2らしいアルバム、うたにフォーカスしてる、シンプルなアルバムで。最近?のU2によくある突き出たキラー曲はないんだけど、逆に変な気負いのなさそうな佇まいに好感が持てて。
なんかちょっと新しい目の雰囲気も取り込んで逆にダサくなってる的なオッサン部分が、聴いててすんごい落ち着くっていうのもあり(笑)


大きく分けたらね、私、U2と同じ文脈で生きているんだなぁって、なんか強くそう思ったんですよね。聴いてて。それが同時代に生きてるってことなのかなぁ、とかね。少なくとも今の若いアーティストより共通項は抜群に多い訳でしょ、好きなアーティストとか聴いてきた音楽。見てきた映画、過ごしてきた時代や風景。
May J.とかだったらボノとの方が楽しくご飯食べれるよ、私(なんの比較)。

まぁ何が言いたいかというと、このアルバムを聴いていると、ミョーに落ち着きますのです。

慣れ親しんできたものの、あたらしい今のカタチがそこにあるから、なのかな?

変化でなく、かといって別に停滞でもない。
最先端でもないし、とがってもない。
だからって時代錯誤でもないし。
なーんか今の私に超よい塩梅なんだなぁ。

でも結局そん時そん時で、私にとって超良い塩梅をU2は提供してくれていたんだろうなぁと思います。


1991年頃には確かに『Achtung Baby』な感じがなきゃやってられなかったんだろうし。
2000年頃には『All That You Can't Leave Behind』のうたが必要だったんだと思います。

ありがとう、アップル。
私にはグッタイミンなすてきなプレゼントでした!

 


10/13までダウンロードできるようなので、U2と同じ時代を生きている人でまだな人は、ぜひ。

 

 

 

 


真夜中の太陽

2014年07月06日 | Japanese

このまま終わってほしくない。
眠って起きてそのまま明日になってほしくない。
そんな悪あがきの夜。

The Who聴いて、んで、The Collectorsを聴いてる。
どちらも久しぶりに聴く。

ザ・コレクターズ。
私にとってどれだけ大切なバンドなのかは、ずぅっと以前にここに書いたのだけど。


彼らはモッズ・バンドとして87年のメジャーデビュー以来、ずっとコンスタントにアルバムやライブ、はたまたいくつかの別名義の活動など、精力的に今も活動している。

リーダーの加藤さんは1960年生まれだから、今年で54歳だけれど、年齢を重ねれば重ねるほどアグレッシブに活動していて、で、そのつどその時その時の若いファンを獲得していってて、元・若い人だった大ファンとしても、とても誇らしい気持ちになる。

ちょっと間が開いていたというか、契約を切られて苦戦していた時代もあったと思うのだけど、ここ10年位、作品で言えば2005年の「夜明けと未来と未来のカタチ」くらいからかな?のリリース・ラッシュは正直ビックリする。

本当に私が大好きだった90年代にこれだけの数のアルバムやライブ映像作品が毎年発表されていれば、どれほど狂喜乱舞してたことだろう。

作品の数と比例して、どんどん歌自体も吹っ切れていってて、身軽になっていってて、こうなんかバンドの核にフォーカスされていってて、なんともよい塩梅。昔より売れてるっぽいし。

ロックってこういう可能性があるんだから、素敵です。


このバンドの核。
それは加藤さんの描く歌詞の世界。
なんたって歌詞にやられちゃうんだよなぁ~。

90年代に聴いていたときは、若い時固有の「孤独感」を歌った歌詞にやられてた。
加藤さんも若かった。

今はその時の自分から「年を重ねる」ということに、いや、年を重ねるということについての焦燥感やなんともいえないやるせなさを、そのまま嘆くのではなくて、素晴らしき過去を愛おしむことで表現している歌詞にやられている。

同時代に年を重ねていけてるんだなー。
こんな長いつきあいになるとは思いもせなんだなー。


無邪気だったあの頃
好きで好きで仕方なかった
遠い過去の日々
色褪せた今の自分

あの頃の輝いていた二人
あの頃の輝いていた自分
あの頃の輝いていた日々

日々の重みに押しつぶされて
無くしてしまった
失われてしまった
自ら手を放してしまった
それどころじゃないと
言い訳しながら
どれほど大切だったか
今ならわかる
だけど二度と取り戻せない
本当に大好きだったよ

的な。
全然上手く書けないけど。

つまり「昨日」と「今日」における切なさ、みたいなもの。

本気の季節がいかに人生にとって大切だったかってこと。

曲で言ったら”キミノカケラ”とか”未来のカタチ”とか。
”真夜中の太陽”とか”GLORY DAYS”とか。

 

輝いている「今日」や「明日」だけを描いている、最近の若い人よりも精神的に若い、元気な曲も必ずある。
それは超恋愛賛歌的な曲が多い。
ハッピーで青い青い「大好き」がぎゅーっと詰まってる。
こっちも大好きだ。

アルバムの割合的にはそういうポジティブな曲7割、切ない系3割くらいなのだけど、どっちも実にコレクターズらしい。

加藤さんのスウィートなヴォーカルやコータローの紡ぎ出すギターは、子供の無邪気さと大人の滋味が入り交じってて、そんであの歌詞が歌われるんだから、笑いながら泣く。切なすぎて幸せになる。く~~~~っとなる。


とか言いつつ、吹っ切れたように見える2005年以降のコレクターズ作品は「夜明けと未来と未来のカタチ」と2011年の「地球の歩き方」しか持ってないんです。

ぜんぜん追いつかない、どんどん出すから。

でも知ってる。全部等しく良い作品であることを。
どれを聴いても変わらず好調で、同じ魅力の金太郎飴状態であることを。

ゆっくり聴いていきたい。

そんで今年は買いたいな。
もうすぐ発売する、ニュー・アルバム。タイトルは『鳴り止まないラブソング』だって!

実はほぼ毎日彼らのニュー・ソングを聴いてる日々です。
子供が見ているNHKのEテレのアニメ、「おじゃる丸」のエンディングソングがコレクターズの新曲なのです。

”Da!Da!!Da!!!”という曲。
これがまたね、素晴らしいの。
これは本当に青い「大好き」の歌。
ブルーハーツの”キスしてほしい(トゥー・トゥートゥー)”級の、人を好きになった時の真っ直ぐな気持ちを真空パックして、とびきりポップにしたプリミティブな魅力いっぱいで。

言葉遊びみたいな歌詞だから、息子もしょっちゅう「だ、だ、だ!」て歌ってて。楽しそうで。

息子がコレクターズの歌(それも新曲!)を歌っている、という現実に、その時の流れに一瞬クラクラしそうになる。

10代20代のあの頃の自分に教えたくなる。
ビックリするだろうな。

そしてこんな年になっても、未だそのまま明日になるのが怖い夜があって。
よせばいいのに夜更かしして、悪あがきしてるお供にコレクターズ聴いてるってことも。

ビックリするだろうなー。

 

 


『Runt』(1970)Todd Rundgren

2014年06月26日 | 70's

残念にもほどがありましたね、ワールドカップ!
悲しいやら悔しいやら腹立たしいやら。

もうすこしなんとか出来たはずなのに。
でも一番つらいのは選手と監督、スタッフ達でしょうね。4年間努力したのにね。

連日のテレビ観戦のおかげでうちのチビすけも新しい言葉を覚えました。
”しゃっかー”(サッカー)と”うっちー”です(笑)

ただインタビューを受けている大久保や岡崎の顔を見ても得意げに「うっちー!」と言っていたので、きっとチビすけの中では”うっちー”=”サッカーする人”なんでしょうね。

 

さて、前回書いたアル・クーパー同様、この人のアルバムもとっちらかってることこの上なし!

その人の名はトッド・ラングレン!

私はトッドはこの1stがお気に入り。ひいきにしてる。
理由はソウル風味溢れてる曲が多いから。

特に M-3”We Gotta Get You A Woman"
それと M-9”Baby Let's Swing~The Last Thing You Said~Don't Tie My Hands"のメドレー曲!

たまらんですね、この2曲は。
人類が誇ることの出来る至宝っす。
いつ何時聴いてもハッピーになれるもん。


特に”Baby Let's Swing~”は私は文句なしに大好き!

ちょっとバカっぽいイントロもいいし、その後「ロ~ラ」って歌に入ってくとこがいい。

このバカっぽいイントロを入れる技?と言うかアイデアと言えば!
思い出すのは中村一義の1st「金字塔」最終曲の”永遠なるもの”なんですが。
あれも変な声満載からのシリアスな「あーあーすべてが人並みにぃ~上手くいきますようにぃ~」だからグッとくるんですよね。

中村君はこの技はスモール・フェイセズの”Afterglow of Your Love”から頂いたらしいですけどね。超そっくり。


この、バカっぽいイントロからのシリアスというアイデアに繋がっている話をもう一つ。

この”Baby Let's Swing~”の前の曲はなんか変な曲で。
なんか中期ビーチ・ボーイズの実験作品みたいな。幻想的な雰囲気の中「あ~」としか歌っていないちょっと退屈な。でもそれをちゃんと我慢して聴いて(笑)乗り越えて聴き終わった時にこの”Baby Let's Swing~”のおバカなイントロが聴こえてきた⇒「ロ~ラ」のカタルシス!!

こういうの中山康樹氏がビーチ・ボーイズ本でよく言ってましたね。

つまり、実験的(でよくわからん)な曲の直後に来る、その人の持ち味が思う存分出ている分かり易い魅力的な曲。
このアルバムで言うとスゥイートなソウル曲やバラード。

わかっちゃいるけどこれもまた聴くたんびグッとくるみたいな。
アルバムとして聴いてて良かったーみたいな。

冒頭の1曲目と2曲目の関係なんかもそれに当てはまるかな。
ちょっとハードな1曲目の後に、トッドの優声で歌われる極上バラードの2曲目”Believe In Me”とか。
やられるもんねぇ。ギャップにねぇ。

ラスト曲”Birthday Carol"もそういう瞬間があるけど。
上手いんだなぁ、そういう仕掛けが。
そこはプロデューサーさんのトッドが出てくんだろね。

ポールもちょっとそーゆうことしますけどね。
”Why Don't We Do It In The Road"の後の”I Will"みたいなね。
あこぎっちゃあ、あこぎなアレ(笑)

まぁでもこういった曲と曲の間、切り替わる瞬間の妙味と言いますか。
おバカの後の真剣。
ダメの後の最高。
ハードの後のソフト。
そういうのをチマチマ楽しむの、私、嫌いじゃないです(笑)。


この1stを経て、トッドは曲単位ではなくアルバム単位(いや、最近ではライブ単位??)でそういうギャップを産みだし続けて私たちを驚かせたり楽しませたりしてくれるわけで。

周りの言うことなんてきっと関係なしに自分の音楽道を突き進む、頼もしきトッド。

もしトッドがザック・ジャパンにいたら...。
きっともどかしい展開のイライラそわそわする試合の中。
決めないといけないところで決めてくれて、スカーーーッとさせてくれたんじゃないかなぁ...(って〆がむりくりすぎか!!)

 

 


『Easy Does It』(1970) Al Kooper

2014年06月19日 | 70's

アル・クーパーって、ほんっといいよな。

アルバムの中はいろんな音楽が好きすぎて、いつもとっちらかってるし。
ソウルでも、ブルーズでも、本物でない良さがあって。
なに歌ってもアル印で。

で、あの声。
アルの歌声、好きだなー。
情けなさいっぱいで。
やっぱりちょっとこっちも情けなくなってる時っていうか。
どっちかっていうと元気ないときとかに聴きたくなるな。
そんでそういう時はいっつもやられるんだなぁ。

アルはメロディ、やっぱいいな。
アルが大好きなソウルやR&B、ブルーズの肝みたいなものが身体に染み着いているんだろう。
ローラ・ニーロやキャロル・キングと一緒で。
身体から溢れ出たメロディ。”うたごころ”を感じる。
極自然に曲を作れていたんだろうなぁ。

そして通低音として流れるニューヨークの香り。都会の孤独。


つまり、本物でなくて、情けなくて、うたごころがあって、都会的で孤独そうで...。
やっぱ最高やん!SSWはこうでなくっちゃ。とか思っちゃう。

 

映画的というか表情豊かでリッチで、でもどこか変なストリングスやホーンもなんか泣かせる演出。無駄に(と言ってはなんですが)盛上がるのがいい。
この記事書くためにライナーとかレココレとかちょこっと読んで今知ったことなんだけど、このストリングスやホーンのアレンジはチャーリー・カレロって人がやってんですね。へぇ~、フォー・シーズンズとかやってた人なんだ。達っつぁんとかもやった人かな?


何年か前、三宮の中古レコ屋で3枚くらいまとめてアル・クーパーの持ってないやつあってゲットしたんです。中古CDで。うれしかったなぁ、あん時。


その時ゲットした1枚。「Easy Does It」。
冒頭のM1"Brand New Day"いきなり名曲!
こーいうのがアルらしい曲だなぁと思う。
ソウルフルでポップでカッコイイ!。

レイ・チャールズのM3"I Got a Woman"これベタだけど感動的なカバーだなぁ。
こうやって深夜に夜更かししてる時に聴くにはもってこいの感じ。泣ける。

ジェイムス・テイラーのM4"Country Road"もいい。
日本盤ライナーの牧有紀さんという方の訳詞、これがまた最高。
たとえばサビのとこ↓


だけどサ!カントリー・ロードに出りゃ
バッチリ感じちゃうんだなー


だって(笑)めっちゃアルっぽい(笑)
JTのだったらこうは訳さないもんね。きっと。 
軽い男だからいいんだよね、アルは。

シタールばりばりの M10"Sad Sad Sunshine"の突然のサイケ具合もたまらん!

M12"She Gets Me Where I Live"これもアルらしい曲でいいな!

と、全面これアル・クーパー節炸裂してるいいアルバムなんですよね。


アル・クーパー。
ジャケでいっつも自分の顔をコラージュしてきたり、妙な効果音を入れないと気が済まない、変な人。
顔もやってることもなんか母性本能くすぐり屋さんで。
そして聴いている私たちよりも、誰よりもきっと音楽の大ファン。
いいよねぇ、アルは。 

 


大滝詠一に御用心

2014年06月15日 | 大瀧詠一

大滝さんのことを好きになったのは2011年3月21日だ。
時刻は夜9時頃か、10時頃だったかと思う。
大滝さんの70年代の曲を続けて何曲も聴いて、俄然ウキウキして、それから3年(大滝さんの曲を聴いている時は)ウキウキしっぱなしの状態で今に至る。

なんで好きになった日時までわかるかと言うと、それはラジオを聴いたのがきっかけだったから。NHK FMの「今日は一日“大滝詠一”三昧」を聴いたのがその日の夜だったから。そこからはいっぺんに夢中になっちゃったのだ。

 

それ以前の長い間、大滝さんのことは実はあんまり好きじゃなかった。
レコードコレクターズ誌でのインタビュー記事を何回か読んで、もう自分はアーティスト活動をしていないのに「な~んか偉そうな物言いのおじさんだなぁ」と面白く思わなかったのだ。

大滝さんのことを少しわかった今なら「で、なんだい、その”アーティスト活動”ってのは?(笑)”と思う。大滝さんの声でそう聞こえてくる。

そんな感じで積極的に聴こうとしなかったのですが、そんな私でも実は幾度も出逢っていたのが偉大なるナイアガラ・マジック。

 

ハイ、ここからどんどん過去にさかのぼっていきますよ。

●まず、97年のシングル「幸せな結末」だけはリアルタイムで短冊のシングル買って割と喜んで聴いていました。その前にはっぴいえんどにハマってた時期があるので、レジェンドの久々の新曲か~って軽い気持ちで。これが思えば私的初ソロ大滝さんとの出逢いだったんだな。

 

●さかのぼって94年に出たシュガー・ベイブの『SONGS』再発。これも買ってズッパマリしてたけど、長い間これが大滝さんプロデュース作でナイアガラから出てたって知らなかった。知らずに大好きだった。あと同時期に買った金延幸子の『み空』も同じく。

 

●もうちょいさかのぼって私が20歳前後くらいかな?はっぴいえんどにハマって。ここは大きく出逢ってる。でもその時はどっちかというと細野さんのイメージが大きかったなぁ、いや、なんとなくなんですけど。

 

●もうちょいさらにさかのぼって高校生の時、クラスでスチャダラパーやフリッパーズギターを流行らせた我がクラスのトレンドセッターの友達がトニー谷のCD「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」を持ってきてクラス中に流行らせた!これには参った。すっごく面白くて。

その流れでその後の「スーダラ伝説」なんかでクレイジー・キャッツにもいきました(これは私のみ)。おかげで私の当時のカラオケの十八番はクレイジーの「ハイそれまでヨ」とその後のおもしろ曲を探して行き着いたところの小林旭「自動車ショー歌」。なんとも大滝三昧じゃないか。
(「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」は監修、「スーダラ伝説」はプロデュース。小林旭も楽曲提供&編集CD監修)。

 

●もうちょいさらにさらにさかのぼること中学生の時。私は映画が大好きで特に昔のサイレント~50年代のハリウッド映画が好きで、いっぱしの映画小僧(いや、娘)気取りだったのですが。ある時図書館で借りて何度も愛読してたのが小林信彦著の「世界の喜劇人」。後で知るには大滝さんの生き方、作風に多大なる影響を与えた本。ここでクロスしていたのは嬉しかったナ。私が読んでたのはグルーチョ・マルクスが表紙の赤い本。

 

●もううーーんとさらにさかのぼること小学生の時。時は80年代。アイドル全盛期。
そりゃあ普通に歌ってましたよね、「風立ちぬ」、「快盗ルビイ」、「探偵物語」、「冬のリヴィエラ」。
「うなずきマーチ」も大好きだったし、「熱き心に」、こっちは父のカラオケの十八番曲だった。
あと幾多のCM曲でだってむっちゃ出逢ってる。出前一丁だとか(あとはどんなのがあるのかはまだよく知らないのだけど)

 

そんなわけで、幾度も幾度も出逢っていたわけです。
なんと知らずに出逢っていたのが多いことか!
2011.03.21以降に「え!あれもこれも!?」ってなったことが多いのですが。
そこで恥じるわけです。「アーティスト活動してないのに」なんて思ってた自分を。
知らなかっただけで随分お世話になっていたのです。
こんな私でも同じ時代を間違いなく共有させてもらっていたわけです。

 

そんなわけで、その2011.03.21に「今日は一日“大滝詠一”三昧」を聴いてからは。
すぐ難波のタワレコに行って発売したての『Long Vacation』 30th Editionとレココレ増刊の「Talks About Niagara」をレジに持って行き。ハマる気満々で。
もうあとはずぶずぶと。


今持ってるアルバムはその『Long Vacation』、『ナイアガラ・ムーン』に『ナイアガラ・カレンダー』。

そして今年の3.21に発売された『EACH TIME』 30th Edition。
それに昨日届いた『Go! Go! Niagara』。この5枚。
わざと我慢してちびちび買っていってます。お楽しみを早々に終わらせたくないから。

 

でも2013.12.30に逝ってしまわれた。
私が好きになってから2年しか経ってないよ。
それでもラジオ番組『アメリカン・ポップス伝」は出来るときは生で聴いたし、当時1歳だった子供もご機嫌なRock'n'Rollチューンに身体ワサワサを動かして笑ったりして。
子供の夜泣きやなかなか寝付いてくれない時も「Sunday Songbook」の新春放談のネットで拾ったやつを聴きながらなんとか乗り切ったり。笑い声をあげながら。

今思えば、初めてのことばかりの馴れない育児で疲れたり悩んでる気持ちを、随分大滝さんに助けてもらったように思う。
大滝さんは、明るいのだ。楽しいのだ。面白いのだ。
くすっ、ふはははと笑えるのだ。脱力的に。
そして照れ屋さんということだが、時々とても、かわいい。
そういったことが曲にも、ラジオでのおしゃべりにも、文章にも、うんと現れている。
私にとって大滝さんの歌と声は、悪戦苦闘中の育児というものと強く結びついている。

そして大滝さんの考え方や生き方そのものにもとても刺激と感銘を受ける。
「偉そうな物言い」に聞こえた言葉には全部裏付けがあったことを知った。
偉そうに聞こえるけど、全然偉そぶらない人だということを知った。
上段に構えるんではなく、冗談ばっかかましていた。
知らずにレココレ読んでる時は説明がくどくどしていると思ってたけど、全部に意味や背景があるからいくらでも説明できるだけなのだ。一旦その魅力がわかれば、もっとやれやれー!とどんどん説明して欲しくなった。もうかなわないけれど。

 

ニュースを知ってからしばらく、春くらいまでは、大滝さんのことを気付けばよく考えていた。
最初の方は現実感があまりないようだったのだけど、大滝さんの最後の言葉を知ってからはもうダメだった。
だけど、最後のラジオ出演だというアルフィーの坂崎さんの番組中で「(中秋の名月の日)孫と月見をした」という大滝さんの言葉を聞いた時も同じで、「幸せに暮らしていたんだな。よかった」と、おこがましいけれど、でもしみじみ思った。

 

昨日届いた『Go! Go! Niagara』は、私が大滝さんの一番好きな持ち味全開の曲ばかりで、参った。一番好きなアルバムかもしれない。


これが私にとって”最後から何番目の恋”かは知らないけど、まだしばらくは冷めて欲しくないです。