ここのところ映画を無理くりでも観るようにしてます。
良くないんだけどね、寝不足&夜型になっちゃうので。
でも、ね。
せっかくなので先月の記録を残します。
えらそうな物言い、許してちょ。
10/5(日)
「遠い雲」(65・松竹) 木下恵介 レンタルDVDにて
結末のケリのつけ方がユニーク。ザ・にっぽん!ハリウッドだと絶対汽車に乗るよね高峰秀子は。
しかしここでのデコちゃん、罪な女。屈託なく描かれる佐田啓二に影が出来ちゃったものねぇ。
田村高廣の母の息子をかばう台詞が好きだった。「私が可愛いのは世間様じゃないよ」
10/7(火)
「妖僧」(63・大映) 衣笠貞之介 日本映画専門チャンネルにて
アラー、道鏡の話やったか!似てるとは思ったけど途中まで気づかなかった!この時代の時代劇、好きだなぁ。まだ途中まで。観なきゃ。
10/8(水)
「カーズ」(06・米)ジョン・ラセター/ジョー・ラフト レンタルDVDにて
子供の為に借りたけど自分の方がズッパマリ。ピクサー好きだったけど見てなかったのよねぇ今まで。ホントこれはいい。初期のピクサーの良さが濃くある。ピクサーのドン、ジョン・ラセターの思い入れたっぷりで。
でもヤバイ。トミカのカーズが我が家に続々増えて行くことと思われる…(後日、早速トイザらスでフローとラモーンを購入…)。
シェリル・クロウで始まり、肝の場面で流れるJTには参りやした。
10/10(金)
「浮雲」(55・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて
暗めの撮影と森雅之が素晴らしかった!
きゃあ。
ダメな色男とダメな色女の哀れで儚い話。浮気の上乗せはなかなか出来るこっちゃない。
話がなんともな話なのだが、何度も何度も観たくなる。確かまだ2回目だけどこれからも観るだろう。映画は筋の好き嫌いではない。傑作だす。
小津安二郎曰く:俺に出来ないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だけだ。
「乱れ雲」(67・東宝) 成瀬巳喜男 日本映画専門チャンネルにて
成瀬の映画は女が日本列島を軽々縦断する。人生に翻弄され、移動する様。成瀬のカラー映画。非常に端正な画作り。小津みたい。小津没後4年目の作品で成瀬の遺作。
加山雄三は演技はいつもちょっとあれだと言われるけど成瀬にいつも上手に使われている。演技力など屁でもない、活かし甲斐のある人間味を持っているということか。さすが若大将。
姉役の草笛光子の描き方秀逸なり。取るものは取る、しっかり者のやらしさ。だけど一緒には住んでやらない。義姉役の森光子は一緒に住んでやるし、サバサバしてるけど不倫中でありなかなかドロドロした所を見せる。辛い司葉子。
しかしこの「乱れ雲」も「浮雲」もこの前観た木下の「遠い雲」もジトッとした"雲"三作だなぁ。今の時代に映画館にかかるのが想像出来ない。今の日本映画は子供向けの娯楽作ばかりだもの。今は人間も子供っぽいものね、自分含め。
10/11(土)
「ワールド・トレード・センター」(06・米) オリバー・ストーン
リアルだった…。最後の最後に"家族への愛"が生きる力になるのであれば…。がんばんなきゃねー。
ニコラス・ケイジの奥さん役のマリア・ベロ、よろし。「50歳の恋愛白書」でのイカレた母親役も良かったよなー。親近感あるけど何出てた?と調べたら「ER」のシーズン4のアンナ・デル・アミコ役とな。これだな。
10/12(日)
「キューポラのある街」(62・日活) 浦山桐男 日本映画専門チャンネルにて
キューポラ:鋳物工場の煙突のこと。埼玉県川口市の中小工場地帯の話。
あまり期待しないで観たのだけど良かった。朝鮮の友達が吉永小百合に自転車をあげるところで涙腺崩壊。
吉永が一瞬グレかけるけど、また立ち直る、そのどこまでも前向きなのがいい。この映画の生命線。元気出ます。
弟のヤンチャ三人組の川下りのシーンもいい。
10/13(月)
「祇園囃子」(53・大映) 溝口健二 日本映画専門チャンネルにて
木暮実千代が得な役。あんな人がいるのかな。
しかし昔の日本映画は女の貞節とその喪失が描かれる事が多いなぁ。最近観たヤツはそればっか。戦後すぐ~しばらくの間はそういう時代だったのかな。
溝口は殆ど観たことないけれど、これはちょっと溝口作品としては小品かしら?十分見応えありましたが。
10/14(火)
「小早川家の秋」(61・東宝) 小津安二郎 日本映画専門チャンネルにて
中村鴈治郎の持つ幼児性。この映画の鴈治郎を観ると、いつもうちのじーちゃんを思い出す。よく似てる。言う事やちょっとした仕草。じーちゃんも口が悪かったなぁ。「あほんだら!何言うてけつかんねん!」とか。けつかんねんて…(笑)好きやけど。
これは何度も観ている。明るいのか暗いのかわからん不気味な映画。途中まで観る。
10/17(金)
「有がたうさん」(36・松竹キネマ) 清水宏 YouTubeにて
バスの中、皆揺れてる。いいな。
場面展開なく、ずっとバスの中の道程の話かと思ったら少しゾッとしたのだけどだんだんよくなった。
トーキー初期作品の為、全編アフレコっぽい。セリフの異常なまでのゆっくり加減。
筋とは関係なしに、無賃乗車している(後ろにぶら下がってる)学校帰りの男の子達の描写がいい。
トンネルの手前で休憩中に皆で石を投げるとこもいい。
バスの運転手の制服姿の若かりし上原謙もいい。
その服装にて、お通夜と祝言(結婚)の混同が既に描かれていた!早い!松竹の伝統かしら?
この映画で清水宏と出逢う。
YouTubeで映画を観るのもこれが初めて。
「按摩と女」(38・松竹) 清水宏 YouTubeにて
わおー!傑作だーっ!!
「有がたうさん」と続けて観たので、「有がたうさん」のラストとこの映画の冒頭、山道の移動ショットが繋がってんのでビックリする。この奥行のある道のど真ん中で後ずさりする移動ショット、清水宏の得意技なのね。ずっと観ていたい。
余韻がたまらない。この映画でホントの意味で清水宏に出逢った。
清水宏を観てしまうと、ほぼ無視されてる清水に比べ、もてはやされてる小津がちょっと憎らしくなっちゃうね。
でも2人は親友同士。小津も清水を認めていたらしい。
徳大寺伸、高峰美枝子の演技も素晴らしい。
清水宏はロケ得意なんだな。山道や宿場町や川の美しいこと美しいこと。
美しいと言っても堅苦しくなくユーモアや人情味に溢れててカラッと明るい。明るいと言っても薄っぺらくなく、子供っぽくもなく、とにかく映画の詩情しかそこにはなくて。
極上です。すっかりトリコになっちゃった。
10/19(日)
「娘と私」(62・東宝) 堀川弘通 日本映画専門チャンネルにて
これはなんとも理解し難い。いやー参った。悪い意味で。これではテレビドラマです。と思ったら、NHK朝の連続テレビ小説ドラマの記念すべき第一回の作品の映画化とのこと。なるほど、なんであれが、幼少期~戦争~戦後という話の流れやナレーションをよく用いるかとか、この作品を踏襲していることを知る。
原の節っちゃんがもったいないなぁ。ちょっと良かったけど。
一つだけすごく良かった台詞あり。父親からお嫁に行く娘に。曰く「人は結婚したから夫婦になるのではない。5年かかる人もいりゃあ10年かかる人もいる。パパとママを見てごらん。14年かかったよ。コツコツと積み上げることさ」14年て!細かい!と笑ったけど。でもここはグッときました。
10/21(火)
「風の中の子供」(37・松竹) 清水宏 YouTubeにて
清水は真正面の移動ショットの他に横移動もあるのだな。いいね。
昔はこんなにも長男と次男で差別したの?割とドイヒーよね、この母親。しかしこんな素朴な時代でもこういう母親の思惑や近所の子のイジメ的なものはあるわけで。変わらないんだなぁ。
それゆえにラストの三平の、いじわるしていた金太郎に対する所業が清々しく胸を打つ。なんとも心地良い余韻。
20人前後の子供の連なって走る姿。時には裸。これがいい。昔は子供がホントにいっぱいいたんだな。群れる人数が今とは全然違う。
葉山正雄演じる長男のかくれんぼシーンに涙腺崩壊。
10/22(水)
「ヒッチ・ハイカー」(53・米) アイダ・ルピノ YouTubeにて
女優のアイダ・ルピノが監督したフィルム・ノワール。観たかったんだこれずっと。YouTubeで映画観れることを知って(超遅)探したらあった!字幕ないので半分わからんちんだけど。
でも面白かった。女優が初めて撮りたかった映画がB級フィルム・ノワールで、しかも内容がヒゲむさいオヤジ達の逃避行(誘拐)だというユニークさ。いいね。
10/23(木)
「市民ケーン」(41・米) オーソン・ウェルズ 手持ちDVDにて
シーンの画、音、台詞、全てのリズムが映画の呼吸。
何度も観てるけどやっぱ素晴らしい!と思って観てたのだけど、米版ブルーレイのリストアされた映像が凄すぎる旨の文章をネットでいくつも見て、観る気を途中でなくしてしまう…。廉価版DVDはヒドイもんなので。
欲しいな。これの日本版ブルーレイが出てないのは犯罪的。
10/24(金)
「ハイ・シェラ」(41・米)ラオール・ウォルシュ 手持ちDVDにて
映画づいてきたのですんごい久々に映画のDVDを買う。中古で。
昔BSで観て以来二度目。観る前は「死の谷」(好き!)と少しごっちゃになってたけどオリジナルはこっち。こっちは犬であっちは西部劇(&ジョエル・マクリー主演)。どちらも監督はウォルシュ。
ボガートはやっぱりいい。彼の実質的な初主演映画なり。クレジットはアイダ・ルピノの方がスターだったので先にくるのです。
第三幕の山でのロケが効いている。
こういったテーマのものを英語で"ONE LAST HEIST(強盗、盗む)もの、と言うらしい。