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『The Amazing Bud Powell』 Bud Powell

2008年07月01日 | JAZZ
今宵はバド・パウエル。私の20歳前後の第一次ジャズ・ブーム時代に買った、懐かしいアルバム。

私の持っているコレは『コンプリート・アメイジング・バド・パウエル』って20曲入りの日本盤CDなんですけど、全然コンプリートじゃないのですよね。第1集は網羅してありますけど、第2集からは4曲だけ。あとは『ファビュラス・ファッツ・ナヴァロ』の第1集、第2集からピックアップされていて、1949年の8/8(or 8/9)と1951年の5/1の録音を全部録音順(つまり『アメイジング~』の第1集のコンプリートという意味なのですね)に収録しているんだとか。このCDの悪評読んだことあるな。無粋だって。私もそう思うのでiTunesで普通の第1集、第2集の収録順に並び替えて聴いております。オリジナル通りがいいですよ、やっぱ。でもホントのオリジナルということになると、アルバムの元になった10inch盤の曲順通りに組まなきゃってことになるらしいですけど、ま、そこまでは、いいや(笑)

しかし、バド・パウエル。わかんなかったっすねー。当時。ホントにジャズ聴きたての頃に「名盤!」のうたい文句につられて買ってはみたものの、ロックやポップス漬けの耳には最初「?」だらけで。だから、もうわかるまでずーっと何回も何回もトライして聴き続けておりました。だから曲自体は耳に残っております。

最初、バド・パウエルの何が怖かったって、曲の間中「アァァ~~~☆●△※」と聴こえてくる訳の分からないうめき声。そんなの商品化されているモノから聴こえてくるのが初めての体験だったので、聴いてはイケナイものを聴いてしまったんだ(幽霊系)、私は・・・と思って、ドキーーッ!としてしまいました。とにかく実際はバドがピアノを弾きながらうめいていたわけで。今は逆にこの彼の「バックコーラス」がないと物足りなく感じます(笑)

そして今でもわかるかわかんないか、そこんとこ全然わかんないのだけど、ようやくいいと思えるようになったのはここ最近。
でも、昔からそんな感じで売られもせずに、ずっとウチにいらっしゃるので、勝手に戦友扱いしてます、アメイジング・バドさん。

さらに、最近の第2次ジャズ・ブームの時にバドがサイドメンで入ってるアルバムもいくつか購入して聴いてたり、ということもあって、長い年月をかけて、だんだんバドとの距離感が近づいていっているのでした。サイドで、というのはチャーリー・パーカーの『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』やデクスター・ゴードンの『アワ・マン・イン・パリ』などのアルバム。リーダー作は未だにこれしか持っていません。


で、またちょっと聴いてみようと思ったキッカケは、なぜか今ハマりにハマっているマンガ『ワイルドマウンテン』(レコスケの本秀康さんの連載もの。マジ最高です!)。



淵野辺 銀造(銀ちゃん!私のiPod!)も右下に!


このマンガ、やたらジャズ、しかもブルーノートのオリジナル盤とかホントよく出てきて、そこも私はめちゃウレシイんですが、このマンガの4巻に、主人公のロマンスが始まるキッカケの重要な小道具としてこの『アメイジング・バド・パウエル』の第2集収録の ”Over The Rainbow” が使われているんですよねー。なんともニクイ使われ方で。あとね、バド自身もそのマンガに出てくるんですよね。逸話のシーンでね。
それで、一気にもうぐっと近くなっちゃったんです。バド・パウエルとの距離が。
で、思わず聴きたくなってiTunesに入れた次第なのです。


今の耳で聴くと、結構わかりやすいというか、聴きやすさすら感じて。
少し前までジャズばっか聴いてましたからね。ブルーノートものに集中していたし。
”ウン・ポコ・ロコ”の3連チャンだって怖くない。むしろ楽しい(笑)
アルバム全体に漂っているビバップの香りがオツなんです。

で、一番聴きたかった ”Over The Rainbow” 。"虹の彼方に"。3分弱でアッサリ終わっちゃう小品なんですけど、ぐっとくるのはマンガの余韻のせいでしょうか。なんかバドがぐーっと迫ってくるような迫力と、それでいて切なさも感じてしまう。これ、不思議だなぁ。
だからこそ、何回も聴いて、ずいぶん年月が経った後でも、また同じように何回も聴いて、引き込まれてしまうのでしょうね。
全盛期のバド・パウエルの姿。テンション最高に冴えまくってて、かっこいい。怖いくらい、スゴイ。
"虹の彼方に” はピアノソロなんですが、そんなソロとかピアノトリオで演奏している曲に、やっぱり耳も心も持っていかれがちです。ピアノをじっくり聴くことが出来る曲。”オーニソロジー” とか "パリジャン・ソローフェア" とか "イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー" など。
そういうのは、当時尖りに尖っていた、ということは裏ではドラッグと精神面での不安で苦しんでいた、ヤバイ、バド・パウエルの姿を想像しながら聴くんです。
ピアノ弾いている時だけは、この世の誰よりも真っ当で、そして誰よりも美しい人だったんじゃないかなー、なんて思いながら。
うん、バド、もっと聴いてみよう。
まずは『アメイジング~』の第2集のちゃんとしたヤツが欲しいなぁ。




『Way Out West』(1957) Sonny Rollins

2008年06月03日 | JAZZ
昨年末から今年の春にかけては、ジャズしか聴かない、ジャズしか買わないという時期があったのですが、今はロック時々ジャズという感じで、ジャズともイイ感じのお付き合いをしています。

ソニー・ロリンズ(ts)が西(L.A.)にやってきた。だからこのジャケ、このタイトル。そしてこの内容。なんともイカシてるじゃありませんか。

西のドン、シェリー・マン(ds) と、レイ・ブラウン(b)とのピアノレス・トリオ。

M-1"I'm An Old Cowhand" とM-4 "Wagon Wheels" はジャケットのイメージを生かした西部劇映画からのナンバー。元々西部劇趣味がある私はこのジャケットだけでも狂喜乱舞(はチトおおげさでですが)していたのに、ハードバップで西部劇を表現するなんて!とすっかり嬉しくなったのでした。

特にM-1、(邦題「俺は老カウボーイ」も最高!)はシェリー・マンの馬の蹄の音を表しているなんともノンキでユーモラスなイントロから、テーマも覚えやすいし、すごく人懐っこくていっぺんで大好きになりました。この曲のイントロがウチで流れ出すと何故かは知らないのですが「(私の)テーマ曲だ!」とダンナさんに言われるようになりました。多分お気楽風だからかな(笑)でもそれはなんだかとても嬉しかったりします。

裏ジャケのライナーによると、それまで一度も共演したことのなかった人気者で忙しい3人のスケジュールが合うのは何と夜中の3時以降だったそうで、アルバムの半分くらい録り終わった4時間後の朝の7時には「調子が出てきた!」「もっと演奏したいね!」とノリノリだったとか。それは演奏を聴いていても分かりますね。3人が互いの才能を認め合って楽しんでいる、その喜びが。


こういう西部劇の格好をした(コスプレというと身もフタも情緒もないので言わない)ジャケットって時々あるでしょう?ジョニー・キャッシュとかボ・ディドリーとか。イーグルス、ドゥービーズもそうだなぁ。まだまだいっぱいありそうですが、私がもし「○○ジャケ」というくくりでCDやレコードを集めるとしたら、絶対それは「西部劇ジャケ」なのであります。なんで?と言われてもしょうがない。西部劇は子供ん時からのあこがれの世界で、血が騒ぐんだから(笑)
以前sugarmountainさんが「テンガロンハットジャケ」をブログに並べられていた記事にも大変トキメいた私です。

このロリンズのも相当イケテる西部劇ジャケであると思います。
後ろの空っぽな荒野が抜群だし(牛の骨のワンポイントが効いてる!)、ロリンズの銃に見立てたサックス(ヒモでぶら下げてる!)やポーズもかっこいい!

あとこの紙ジャケの美しさも素晴らしい!コンテンポラリーは昔ウェスト・コースとを主に聴いていたので親しみがあるレーベルなのですが、最近集めているブルーノートの紙ジャケとはまた違って、コンテンポラリー盤のこの紙ジャケは光沢とか色合いがとてもきれいで目に与えてくれる喜びもひとしおです。日本の技術ってすごいなぁ!

そんなこんなで大切盤!



『6 PICES OF SILVER』(1956) HORACE SILVER

2007年12月20日 | JAZZ
「すぐほかのがほしくなってくる」

これは植草甚一さんの有名(だと思う)な『モダン ジャズを聴いた六00時間』というエッセイの一文。

ホントにそんなトコあるなぁ、とつくづく思ってます。今もジャズはブルーノートものばっかり猛然と聴いていってる最中。だって面白いんだもん。

中古屋さんに行けば聴きたいアルバムが結構ヤバイくらい、毎回ゴロゴロ補充してあって、選ぶのに楽しくって楽しくって仕方がない。近頃は少しオマケさえしてくれるようになりました(女子はトクです ^^)


今日はそんな中で出会って、大好きな人になったホレス シルヴァ―のアルバム『6 ピーシズ オブ シルヴァ―』でござんす。

ホレスさん、人呼んでファンキー ピアニスト。
ジャズにも"ファンキー"とかってあるんですね。なんにも知らなかったので最初、新鮮に思いました。
あと"ブルース"とか"ソウル"もあって。ジャズってもっと"ジャズ"に特価したものかと思ってたんだけど、実際聴いていくと「こいつはソウル ミュージックだ!」とか「いやぁ…、ブルーズだねぇ…」とかすごい思って。特にブルーノートはそういうのが多くて。そこら辺のが今すこぶる面白いのです。分かりやすいので、楽しみやすいから。そしてジャズの事がとっても好きになる。偉大なレーベルですね。

で、ホレスさん。これは彼のキャリアの中でもまだ初期の方だからファンキーばりばりではなくて、でもやっぱりリズムの付け方とかすごい良かったりして、カッコいい!ノリノリ。ピアノに集中して聴くと時々「天才!」って思ったりするとこもあったりして。

テナー サックスにハンク モブレー、トランペットにドナルド バードを迎い入れてるのが、また何とも個人的に嬉しくなってしまう人選。彼らにしてもキャリアの初期の録音になりますが、若々しく弾けてて、元気ありありなのが良いです。

このアルバムは何と言っても5曲目の「セニョール ブルース」がヒットした事で有名らしいのですが、それ以外の曲がまた素晴らしくって(「セニョール ブルース」の終わり方は痺れます!)。

明るい曲想の1曲目「クール アイズ」とか3曲目「カモフラージュ」、好っきやな~。

2曲目の「シャール」とアルバム中唯一のスタンダード、ラスト7曲目の「フォー ヘヴンズ セイク」はモブレーとバード抜きのピアノトリオで聴かせてくれて、良いアクセントになってて、これまたどっちも大好きなんですが、なんつってもこの2曲目「シャール」。"不安"を曲に表したような、何とも言えない不思議な暗さと美しさを持つ曲で、ファンキー、ファンキーと言われている人の影の面を垣間見る事が出来る喜びというか、なんというか。とにかくこの曲の存在で、このホレス シルヴァ―という人にぐっと興味を抱き、惹かれていき、そしてなんだかとても身近な存在として浮き上がってきたわけなのです。

あと4曲目の静かなるスリルがある「エンチャントメント」も耳にずっと残る曲で、これも好きだなぁ。

そんなこんなで、びっくりするくらい全曲好きなアルバムとなりました。ジャケットにも心惹かれたままですしね。




『BLUES WALK』(1958)LOU DONALDSON

2007年12月08日 | JAZZ
ロックンロールを聴き始めた頃って、楽しかったですよね。アメリカ、イギリス、60年代、70年代、たくさんのバンド、たくさんの伝説、たくさんの名盤。
そのうち左右に、前後に、無限に拡がっているものの中で、少しでも点や線を見つけ出したら必死に追いかけたりしてね。
そしてそんな中、だんだん私的にグッと来るヒト、妙に引っ掛かるオトが出てきたりして、そしてもっともっと、って…。


今、自分の中でジャズが丁度そんな感じです。今はまだ聴くもの聴くもの名盤ばかりの美味しいとこザクザクで。こんな高カロリーな美味しい体験は初心者だけの特権なのだ!イェイ!と小躍り中。

そうやってムチューで聴くうち、ジャズでも個人的にグッと来るヒトもぽつりぽつり出てきまして。

今日はそんな内の1人、アルト サックス奏者のルー ドナルドソンの『ブルース ウォーク』でっす。

チャーリー パーカーからの強い影響を持ちつつも、アーシーかつ軽快でファンキーな持ち味の演奏の人で(ご存知『アリゲーター ブーガルー』はこのアルバムの9年後に大ヒット)、私なんかは全然知らない人だったのですが、ただジャケットだけは知ってて(前の記事に書いた本で)。
で、コレが中古屋で紙ジャケで面陳されてて、目が合った時「あ!」って一瞬時が止まりました。
理由もなくただただ惹かれるジャケット。
色も(何ブルー?)、文字の配置も。
背景の木々の様子も、ルーの表情も。
そしてこっちに向かってくるその歩き方も(ブルースウォーク!)、その瞬間を捕らえた素晴らしさも。

とても力が抜けてて、愉しげで、少しだけ寒そうで。完璧。


今でも見とれてしまいます。ミニサイズだけどジャケを手に、目にしながら、中身を聴く喜びを味わいながら。


さてそれでは中身のお話。特徴としてはとにかく明るくって、陽のヴァイブに溢れてる!(やっぱりジャケに間違いはなかった!)全編レイ バレットのコンガが入っていて、これがウキウキ気分を増長させていて、自然肩の力も抜けてきます。

4曲目、その名も"プレイ レイ"はそのレイさんのコンガがかなりユーモラスな音色で大フューチャーされてて、私にはそのコンガの音が♪ド テ チンッ♪とどうしても聴こえてしまうのです(笑)。

そしてルーの演奏は軽やかで淀みがない!
1曲目、タイトル曲。ブルースなんだけど、聴いてて楽しくなってきちゃう。
3曲目"ザ マスカーレード イズ オーバー"のテーマ部分の胸がすくよな晴れやかな音色と言ったら!
5曲目"オータム ノクターン"は、このアルバム唯一のしっとり聴かせどころ。
ラスト、6曲目"コーリン オール キャッツ"。ユーモラスなタイトル同様、愉しい曲想で幕を閉じます。ホントはこのタイトル、今の私には全く笑えないのだけど…(苦笑)

ハーマン フォスターという人のピアノも何だか印象的で、ルーさんと相性が良いのでしょうね。このアルバムと全く同じ面子でルーさんは他にもアルバムを作ってるみたいなので、それらを聴くのもまた楽しみなわけであります。

そんなこのアルバム、[BLUE NOTE 1593] という限りなく4000番台に近い位置にあるのがまたイイんですよね~。固すぎず柔かすぎず、イイ塩梅で。
…とかって、こういう覚えたての事、嬉しがりなのでシレッと書いちゃう(笑)


個人的にはジャケットが与えてくれる喜びと、聴き心地の良さとで、敢えて休日しか手を伸ばさないようにしている、大切なリラクシン盤となりました!





青の音色

2007年11月26日 | JAZZ
ジャズが楽しい!楽しくって仕方がない!というこの頃です。それはもう、その極端さに自分でも呆れて笑っちゃうくらい。

専らそれしか聴いておらず、手にするのはそれの本ばっか。自転車漕いでる時とかにふと口ずさむメロディも、猫にミルクあげる時に後ろで鳴っているのも、それ。JAZZ。

ジャズって一度ボタンが入ると、そうなってしまいます。中毒性をかなり感じます。麻薬的と言うか。逆にボタンが入ってない状態だと全然聴こうと思わないの(笑)わたくすの場合、ですけど。

前にジャズボタンがポチッとなと入った状態になったのは、確か15年ほど前だったと思いますが、なんかホントーっに夢中だった。時を経て、今また夢中になれる事が、うれしい。わくわくしてんです。日々の活力になるんだよなぁ~。ジャズは、活力の音楽だ!ソウル ミュージックだ!


今は主にブルーノートものを聴いております。その理由の第一はミスター火付け役(笑)、kura_mo氏の一連の記事の影響が大なのですが、ジャズと言えばまずは、のブルーノートの、その中でも基本中の基本アルバム、私なぞはもちろん聴いていないものが山ほどありますので、そこからきちんと聴いていきたくなったのです。

ブルーノート自体は昔、ジャズに夢中になった時から、このレーベルのアルバム ジャケットを集めた美術本『ブルーノート アルバム カバー アート』というのもをずっと大事に持っていて、よ~~く眺めていたのでジャケとアーティスト名は色々と頭に入っていたのですが、肝心の音を知らないのは本末転倒ですね。

しかしながらこの本、素晴らしいのがそのサイズ。実はアナログ サイズの本でして、掲載ジャケが233点、そしてその内原寸大で(つまり1ページでドーン!と)51点と掲載されているのです、もちろんオールカラー!その数々の名ジャケットが持つ本来のダイナミズムを感じられるのです!これはたまりませんよー! シャイコーです♪

ご存知写真がフランシス ウルフ、デザインがリード マイルス。名前だけでも名うてのジャズ プレイヤーかと見紛うクールさのこの2人。素晴らしすぎるんですね、その仕事振りも。
タイポグラフィ的なデザインはホントイカしてるし、写真の処理、陰影とか粒子の荒らさ加減とかたまらん!かっこよすぎ。写真のトリミングも痺れる。要はジャズのカッコヨサを完璧に視覚で表現しきったこの2人。レコード ジャケット メイカーの王様でしょう、文句なく。いつ見ても見とれて飽きる事がないのです。

そんなわけで「これ、どんな音してんだろう?」とトキメキながら見つめていたジャケットのアルバムを、今少しずつ実際に聴いていく喜びを味わっているところ。以前は「全部聴いちゃる!」とか思ってるうちにジャズスイッチのボタンが外れちゃって、元のロック好きに戻ったのでした(笑)


レーベル創始者のアルフレッド ライオンと先の2人、そしてブルーノートにとって重要な第4の男として、この私の第2期ジャズ ブームに新しく浮上してきたのはルディ ヴァン ゲルダーという名の録音エンジニア。恥ずかしながら知りませんでしたが。ブルーノートの数々のアルバムはもちろん、他のレーベルの名盤も沢山録音しているゲルダーさん。
「BLUE NOTE 24bit by RVG」と題した、彼が再び実際にリマスタリングに関わったとされる、音が超良いシリーズのCDが98年から出ていた事ももちろん知らず、今、タワレコでこれの輸入盤セールやってたりしたものや、中古レコ屋さんでこのシリーズの紙ジャケがドドンとあったりして、それらを、きゃあ♪と時間かけて選んで買ってきては、絶賛聴き込み中の日々なのです。聴くどーー、ってカンジ。

なんとも、楽しいじゃあ、あ、あーりませんか(なんで最後がチャーリー浜…)。




『GERRY MULLIGAN QUARTET』(1952,1953)

2007年11月18日 | JAZZ
今またジャズを、ぽつりぽつり聴きだしています。

自分の中のリスニング熱の流れの、ぽっかり空いた場所に、グッタイミンにポンっと飛び込んできました。

と言ってもジャズ。私、持ってる音源がとーてーも少ない。レコード、CD合わせて20枚ないよ。元々少なかったけど、聴かなくなるとここぞとばかりに売っちゃってました。

そんな中、マイCD棚に生き残ってて、なおかつ昔から一番よく聴いているジャズのCDって、多分コレです。

ジェリー マリガン カルテット。彼が好きなのです。トランペットがチェット ベイカーなのも気に入っている理由。ジャケットも素敵じゃないか。

これはカルテットの10インチを2枚合わせて収録したもの。1枚目のドラムはチコ ハミルトンです。

"バーニーズ チューン"とか"木の葉の子守唄"とか"フレネシー"とか、ポップでコンパクトに、魅力的にまとまった曲ばかり。
一抹の寂しさは確実に感じさせるんだけど、底のトーンには絶対的な"明るさ"みたいなのがあって、好き。私はそういうのが、好き。全然うまく言えないけど。


気がつけば秋ももう冬に片足突っ込んじゃってて、自転車に乗るのも手袋がないと厳しくなってきましたね。
「おぉ、さむぅ~」とか言いながら、駅への道をCDウォークマン聴きながら自転車かっ飛ばせば、紅葉した木々を横目に、曲のテーマのメロディがイッチョマエに口笛なんかで出てきたりして。覚えてるもんですね。

まだ慣れない寒さに縮こまった身体もふぃーーって伸びて、ゴキゲンにもなるってもんです。

2曲目、マリガン作の"ウォーキン シューズ"のテーマがイチオシ"口笛楽しいソング"か?
ピッタリ決まる程、ゴキゲンさも増すのです。

いやぁ、しかしいいなぁ。この季節に合ってて。陽が落ちるのがどんどん早くなってくる今にピッタリ。
家でコーヒー飲みながら。
落ち葉をカサコソ踏みしめながら。
いつでもどこでも口笛と、あと指ドラムでリズム取りながら、楽しむとしますか。





ジャズとわたくす

2006年05月26日 | JAZZ
今から10年ちょっと前くらい、私にもジャズに夢中な時期がありました。
もう、他の音楽は一切聴けない程、一筋に。
そういう話はよく聞きますから、きっと激しい中毒性がある音楽なのでしょう。
それにそうでもして集中して聴かないと、追いつきゃしないんですよね。
こっちもこっちとて、広ーくて深ーい大海原ですから。

聴いていたのは殆どモダン・ジャズ。
コルトレーンやデイブ・ブルーベックなどが好きでした。
そのうち、ジャズ・ライター(評論家に非ず)の寺島靖国さんの本と出会い、さらにかぶれてしまって、アート・ペッパーやジェリー・マリガンなどの寺島さんお気に入りのジャズメンのアルバムを、廉価の再発アナログや、安い中古CDを探しまわってコツコツと買い集めては熱心に聴いていました。

寺島さんの文章はとにかく平易。「いつも本音で、自分の感じたことを率直に書く」スタイルを貫かれていて、本当に分かり易いです。それに独断と偏見にこれでもかと溢れているのがまた小気味良く、あぁ、心底このアルバムが、この曲が、好きなのだなぁと感じさせられるものばかりで、ついつい読んでて聴きたくてどうしようもなくなるのでした。

ジャズを聴きながら、ジャケットを眺める。
パーソネルなんかをいっちょまえに、けれど懸命に頭に入れたり、寺島さんの文章を読みながら聴く。
寺島さんの本の中にいーっぱい掲載されてある、想像力を刺激するテクニカラーのジャケット群を眺める。
そういう時間がすごく好きでした。
音に唸り、文章に唸り、一人、熱くなってました。
「セロニアス・モンクを、したり顔で聴いたりなんかする、私ってばカッコイー!」
と、悦に入っていたとこもあることでしょう。
なんてたって、ジャズの世界はロックのそれとは違い、知的でクールで、「大人」な気がしましたから。
「自分は人とは違うんだぞぃ」と思いたい年頃の小娘が選ぶのには充分な世界でした。
偏りながらも、まだまだ入り口ながらも、とにかく性急にハマっていくのでした。

そんな私とジャズとの蜜月がいつ頃終わりを迎えたのかはよく覚えていませんが、また私はただのロック娘に戻って行きました。
勢い良く出て来たオアシスあたりに呼ばれたのかも知れません(えー!)。
嘘みたいに熱が冷め、もう自分からジャズを聴こうとはしなくなりました。

・・・

話かわって今週の月曜に見たテレビ。
波田陽区とスピードワゴンの井戸田がそれぞれ一流サックス奏者の指導のもと、10日間の猛特訓の末、どちらがうまくサックスでジャズを演奏出来るか対決する、というのをやっていました。
課題曲はスタンダード “Fly Me To The Moon “。
井戸田はセクシーな音色でよく唄い上げて、10日間とは思えない程の上達ぶりでした。
波田はちょっとスクエアーに、けれどこれも初心者とは思えぬ演奏でした。

私は気がつくと波田の演奏を聴いているとき、泣いていました。
涙があふれて仕方なかった。
ジャズが何たるかなんて、私には到底分かるハズはなく、それでもその(猛特訓の末とはいえ)超初心者が吹くサックスの音色、アドリブなんかの中に、ジャズの「何か」が確かに入っていて、それが自分に届いたのだと思います。
「ジャズっていいなぁ~」
自分でも驚く程、感動していました。

(にしても、トム・ヨークに泣かされることはあっても、波田陽区に泣かされる日が来ようとはー!)



そんなわけで、ジャズ。ここのところ久々に聴いてます。
今はゆったりした気持ちで、コーヒー飲みながら。
モチロン、ロックも交えつつ。
同じアルバムでも、以前とは少し違う聴こえ方がするように感じています。
意気がって聴いていた頃より、素直に音やメロディそのものを楽しめるというか、自然にスーッと入って来る気がします。
これは大人になったということですか?

しかし、また大海原に出てしまった。
傍らには大事にしてきた寺島靖国さんの本。これだけは、いつまでも変わらず。



特に思い入れがあるアルバムはこんなカンジ・・・











やぁ、ひさしぶり