All I Have To Do Is Dream

2007年04月24日 | 日記
とてつもなく重い台車を押しながら、工場の中の長~い廊下を歩くダンナ。
その廊下の両側にズラーッと並んでいる男たち。
男たちは台車の上に載っているものを羨ましげに、というより嫉妬からか冷たい目で見ている。
台車の上には
「相当良さそうやった」
学習机。
(えぇ、そういう夢を見たらしいんです)
相当重いらしく、ゆっくりにしか進めない。
(何で出来ているのだ、その学習机は)
(と言うか、何故 "学習机" ? と突っ込むべきか)
周りの男たちの視線攻撃もしんどい。もちろん誰も手伝ってはくれない。
無言で攻められ心理的に苦しい。だけどこれは個人的に宝物の様な大事なものなので置いてはいけない。そんな状況。
すると突然後ろの方から走って来て、ダンナの背中を後ろからバンッと押して、台車を押すのを手伝ってくれる人が現れた!
なぜだかそれは黒人の人で、力強かったので、押すのがすごく楽になったそう。
振り返って顔を見ると、それはなんとマイケル・ジャクソンだった!

「白かった?」と速攻訊く私。
「いや、黒いねん。ほんで "Beat It" の頃のかっこいいマイケルやねん!」



マイコー、意外と力があるんやね~


いやいやいや。知らんがな。
どんなもん見て、どんなこと考えてたらマイケルが(しかも "Beat It" の時の)夢の中に出てくるのか、私は知りたい。
それにこのヒトは普段から滅多に夢を見ないというのに、マ、マ、マ、マイケル!
それよりもダンナは
「いやしかし、あの状況で手伝ってくれるっていうのは、なかなか出来へんことやで」
と、一人マイケルの勇気ある行動に感謝して余韻にひたっていた。
ちなみに
「青いポロシャツ着て、チノパン履いとった」
らしい。マイケルが。


どんな夢見るねん・・・と呆れてたら私も次の日見た。

朝礼の場面。そこは会社ではなく、どうやら警察みたいなところで、私は新米の刑事でした。
今日から新しい仕事。どうやら初出勤日のようです。
夢ながらわくわく感があり、なんだか周りもみんな張り切ってる。
そしてコンビを組むパートーナーの名前が続々読み上げられていく。
私のパートナーはなんと・・・國村隼さんっっ!
(最近私が熱をあげているおやっさんです)
じゅ、じゅん(隼)さまぁ~っ♪♪

隼さまは私が大好きだったドラマの「カモカのおっちゃん」役の雰囲気というよりは、もっとニヒルで色っぽかった。
そう、あれはまんま「サントリーオールド 父の上京編」のイメージ。


YouTube


「これから、よろしく」

そうボソッと渋い声で言われて、照れたようなあの笑顔で。
こちらの目を覗き込む様なあの表情で、ニコッと挨拶してくれた。
「あの」と言ってもピンとくる方少ないと思いますが、ここが自分的ポイント。
あと、「これから」と「よろしく」の間の「、」の部分、つまり単語と単語の間に潜む独特の間(ま)が、この人またもう!
ぅよっしゃー!これから刑事として頑張るで~~!と思ったら目が覚めた。

いやぁしかし、こういう夢見た後って、すごく、こう・・・。
しあわせ~な気分ですよね~(笑)
隼さまが目を合わせて挨拶してくれましたから。
めちゃくちゃリアルにそこにいましたから。



ほな、外回り、いきましょか


どっちも実話ですのよ。こういう夢見た、ていう実話ですけど。
ダンナの方のがオモシロイかな~。私のは只の欲望(笑)
私は自分に超好都合の夢って、結構見る方なんですよね。
昔、大好きだったブルーハーツ。最前列ど真ん中で彼らのライブを堪能しました。
後から楽屋にも呼ばれました。ヒロトもマーシーも気さくなイイ人たちでした(笑)

しかし今回のは短すぎた。これから一緒に仕事出来る(っていうか一緒に居れる)のに、目覚めてどないする!
隼さま、また今度一緒に事件、解決しましょう。






Up, Up and Away

2007年04月23日 | 日記
ニール・ヤング好きの私の父はニールと同い年で、今年62歳。
だけど、まだまだどんどん変わっていってて。
人って変わるんだなぁと実感。

先日、ダンナのご両親と、私の父と、私たち夫婦で、滋賀県に山登りに行ってきました。
私の父は10年以上前から、大阪から滋賀県の湖西方面に移住。最初は好きなバス釣り目的で行ったらしいのですが、後に地元の里山を守ったり、盛り上げていく組合などにも積極的に参加。今は主に山登りのガイドをしています。

ダンナのご両親は、どちらともハイキングや山登りが大好きで、ものすごーく健脚。
私たちも歩く事が大好きで、私たち夫婦はそれぞれの親と一緒にハイキングなどしていましたが、この顔合わせで一緒に登る、というのは今回が初めてで、やっと今年実現することが出来ました。

標高800mの山で、これからそこに人を呼ぼうとしているところらしく、まだまだワイルドな自然の姿で、人けもなく、というのがよかったです。天気は曇り、時々晴れ間も出て来る、なかなかの山登り日和。
このゴールデン・ウィーク前後が、高山植物の様々な花が一番の見頃らしく、中でもトクワカ草という花を見て欲しいのだと、事前から言っていました。

でも以前違う山を父に案内してもらった時とは、父のガイド振りが全然違ったんですよね。それは2年前のことで、父がまだ山のガイドを始めたばっかりの頃。頑固でちょい意固地なトコのある父は
「他の人は花の名前とか一生懸命勉強して覚えたりして、ガイドしはるけど俺はそんなんいやや。花とか別に興味無いしー」
みたいなことを言っていたのに、今回は
「まぁ、とにかく花を見てよ!」
という感じ全開で。結局全部で10種類以上の花や木などを教えてもらったのですが、イイ状態で咲いているものを見つけると
「うおぉー、こぉれはかわいいわっ」とか
「うわぁ、こぉれっ、かわいいーっ」
などと花に向かって走っていって「かわいい」を連発。そういうアンタが一番かわいいです(笑)

山が、自然が、地元の人々との交流が、父の角をゆっくりと削っていって、まぁるくしてくれたのかなぁと思いました。父も中から変わろうと努力したのでしょうけど、きっと。
大体、大阪に住んでいる時は山を歩いている父の姿自体、想像できないものでした。今は週1とかで登っているらしいですけど。
最近よくテレビなどで「団塊世代のリタイア後の田舎暮らし」みたいなものを見ますが、全くああいうものを実践してたってことなんですよね。地域に溶け込んで、自然を慈しんで。大変だし時間もかかったろうけど、色々乗り越えて、人生を楽しんでいる風なのを言葉じゃなくてその姿から感じて、なんだかすごく安心しました。そんな父の姿を見る事が出来るなんて、全然思っていませんでした。
お山さま(?・笑)、ありがとう。これからも父のこと、よろしく。

お昼は一応、私が簡単なお弁当を作らさせてもらい、おにぎりも10個作っていったのですが、ちょっと小さくて足りないかもと思い、父に事前にコンビニでおにぎりだけ買ってもらいました。
そしたらね、開けてみて、みんなビックリ!いや、その、私の作ったおにぎりの大きさに。
「お前・・・これ、小さくないやん!」
と父に言われ、、みんなも笑ってる。
「小さい言うからもっとほんまにかわい~い、小さ~いたわら型のがひょこっとあるのかと思ったら!」って。
私が作っていったのは、ドドーンとしっかりにぎったドデカイ三角の米のかたまり(笑)
いやぁ、道理で、その日ご飯9合(^^;) 炊いたんですけど、にぎっていったらすぐなくなって、おっかしいなぁと思ってたんですよね(笑)いつも米好きのダンナが仕事に持っていってるのは(おやつにです)それよりさらにデカイんです。それより小さめに作ったのですが、充分デカかった、と・・・。
ウチの米、10kg買っても早くなくなるワケです。ダンナは痩せの大喰いなのですが、一緒の量食べてる私は道理で順調に太るハズです。はははは・・・。おにぎり、デカすぎて2個、残りました(笑)
父が作って持ってきてくれた、食後のコーヒーが美味しかった!

結局この日は時間の都合で頂上までは辿り着けず、それでも標高700mまでは登り、きれいな風景の第2の目的地までは一応行く事が出来ました。頂上まで行くにはもっと早く歩ける様にしないとダメみたい。今回は全部で5時間くらい歩いたようです。
でも只でさえ柔らかい土の上なのに、さらに枯れた草木がその上に被さり、フカフカの絨毯の上を歩いているような感覚で、すっごくイイ道でした。普段殆どコンクリートの上しか歩いてませんものね。贅沢な道、と感じました。

自然一杯の爽やかな風景の中でも、今回の個人的 Best of 風景は・・・。
私の父と、ダンナのお父さんが並んで、前の方を話しながら歩いている姿、というもの。
背もおんなじくらいでした。年もほぼ同じ。それまで全くお互い関わりのない人生から、ひょんなことから接点を持った2人。
ダンナのお母さんと私の父が、敬語でなしに、普通に話してくれている風景とかもやっぱりこう、イイもんでした。
なんかね、そういうのが、とってもうれしいんですね。子供としては。ありがたいというか。
だって考えてみたら、まだほんの数回なんですよね、親同士が会うのは。

おみやげにと、父がみんなにくれたのは、組合の人たちと一緒に父も開発に携わったという、地元の和菓子屋のおまんじゅう。パッケージはデザイン by 父でした(笑)溶け込んでる!(地元に)

もうみんなに感謝の気持ちでいっぱいの1日で、良き日でした。
次回またみんなで楽しく行けるよう、今度は頂上まで登れるよう、がんばろう。






60’s Rock Album - Best 25!

2007年04月12日 | 60's
なにやら、こちら様で楽しそうな企画をされていたので、私もいってみたいと思います!
パクリのパクリです!(ごめんなさい!笑)

レココレ5月号は「60年代ロックの100枚」という企画らしいのです。
それにちなんで、私も選んでみまーす。

それではモスコ版・60年代ロックの25枚、いってみよっ!





1.The Beatles 『Rubber Soul』
2. The Beach Boys 『Pet Sounds』
3. The Kinks 『The Village Green Presavation Society』
4. The Doors 『The Doors』
5. Harpers Bizzarre 『The Sicret Life of Harpers Bizarre』
6. The City 『Now That Everything's Been Said』
7. Roger Nichols & The Small Circle of Friends 『Roger Nichols & The Small Circle of Friends』
8. The Band『The Band』
9. The Rolling Stones 『Let It Bleed』
10. The Zombies『Odessey and Oracle』
11. The Fifth Avenue Band 『The Fifth Avenue Band』
12. Bunky and Jake 『Bunky and Jake』
13 .Creedence Clearwater Revival 『Willy and the Poor Boys』
14. Small Faces 『Ogdens' Nut Gone Flake』
15. Cream 『Wheels of Fire』
16. Sagittarius 『Present Tense』
17. Traffic 『Traffic』
18. The Temptations 『The Temptin' Temptations』
19. Otis Redding 『The Soul Album』
20. Aretha Franklin 『I Never Loved a Man The Way I Love You』
21. Smokey Robinson & The Miracles 『Going to A Go Go』
22. Left Banke 『Walk Away Renee / Pretty Ballerina』
23. Simon & Garfunkel 『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』
24. Greateful Dead 『Anthem of the Sun』
25. Bob Dylan 『Highway 61 Revisited』



基準は、このロック学校に、ヘッポコ生徒が20年間ほど在籍している間に、めっちゃめちゃ回数聴いたアルバム、ってことで。1アーティスト、1アルバムにしました。順番は好きな順&よく聴いた順でしょうか。

しかしやってみて、改めて気づいたことがありました。
まず私は自分で思ってたより60’sより70’sの方が好きなのかもな~ということ。発表が70年で「惜しい!」となった盤がいくつかありました。70’s編なら50枚は選べる?(笑)
あとは、結構大好きなバンドでも、60'sモノは長年ベスト盤や編集盤などで親しんでいて、それ止まりのものが多いということ。これじゃあいけませんね。猛省!オリジナル・アルバムで、となると、思ったよりむずかしかったです。”ロック” でないのも随分混じっております(苦笑)あぁ、言い訳がましい。。
68~73年くらいまでが、やっぱ私の肝だということも改めて確認!


しっかし、こういうのは無性に楽しいですね。燃えるし。
人のを読むのも、自分のを考えるのも。純粋な喜び、ですね。音楽好きの醍醐味!

あ~、楽しかった!




訂正・13のCCRは『Cosmo's Factory』を選んでいましたが、1970年制作でしたので『Willy and the Poor Boys』に変えました。

『Emoticons』(1999) Ben & Jason

2007年04月09日 | 90's
随分暖かくなってきた、春のこんな午後にはですね、このような美しい音楽がピッタリです。

3枚のアルバム(+ミニアルバム1枚)を出して2001年に解散した英国のフォーク/ポップ・デュオ、ベン&ジェイソンの1st でっす。
耳当たりは初期レディへ、トラヴィスなどによく似ていますが、特筆すべきは断然メロディアスなんですよね、このベン&ジェイソンが一番!トム・ヨークほどベタつかず、フランシス・ヒーリィより流麗なベン・パーカー君の唄声にやられちゃいます。
可憐なストリングス、ツボつくメロディ、展開にファルセットも文句無しのテンダーな唄声。あぁぁ。
アコースティック・ギター、ウッドベース、そしてストリングスの数々といった弦楽器の音色の美しさも存分に味わうことが出来る、春に聴くのにオススメの、超超・好盤なのですよね。


M-2 "Air Guitar" (not ダイノジ・おおち)。この曲が昔から激フェイバリットです。素晴らし過ぎます。
M-12 "I'll Always Want You"。切なさ満開の(でもハッピーエンドの)恋愛映画でも見ているかのような素敵な錯覚に陥ります。イントロのピアノ5秒で間違いなく名曲だって分かりますよ。
いや、この他、全部の曲がもーもー、唸っちゃうほど、いいんですよねぇ。
私が持っているのは日本盤でボートラが3曲入ってますが、それも遜色なくヨイ曲です。
てことでアルバム丸ごと全曲ヨイんです。おおげさでないです。
すばらしいなぁ!逸品!!

アルバム・タイトルは英語版「顔文字」のこと。エモティコン。emo - ti - cons。感情を表す、記号。こういうヤツですね→ :-)
ジャケットにもありますが、CDブックレットには80個以上、意味と共に載ってて、それを見るのも楽しいです。
記号で感情を表すことの奇妙さ、微笑ましさ。今という時代の私たちのコミュニケーション。その背後で鳴ってるサウンドトラックは実に暖かいのです。


ブログを書き始めたりしてから、そして日本の色んなところにいらっしゃる、同じ様に音楽が好きすぎる人たちと交流させてもらってから、音楽について想いを巡らせたり、アレコレ考えたりするのが楽しくって。
音楽を聴いている時の気持ちを、誰に頼まれたわけでもないのに、せっせと稚拙で言葉足らずな文章に起こして、でもそれを読んでくれる人がいて、さらに幸運にも「自分も好きです」とか色々お話してくれたり、色々教えてくれたりする人たちとも出会えて。ホント、素晴らしい刺激を受けているおかげで、音楽を聴くことに対する情熱が再燃して、ずっと続いている状態です。

そんな中で改めて気づいたこと。例えば自分の音楽の好みを、抽象的ですが言葉で表すとしたら、こういうのではないかと。
例え暗い場所にいたとしても、一度聴けば、陽の光をポカポカと感じさせてくれ、木漏れ日とか草の匂いとか連想させ、文句なくウキウキして、足取りも軽くなってしまう、そんな、「太陽のような音楽」。

美しいメロディの素晴らしくポップな曲は、心を暖め、満たしてくれて、おだやかで幸せな気持ちにしてくれる。
一言で言えば「至福」なんですよね。
そしてこのベン&ジェイソンの『Emoticons』は間違いなく、ど真ん中なアルバムなのでした。

このアルバムの日本盤が発売されたのは1999年10月。自分がどんなだったか、あんまり覚えてないです。どこでこのアルバムを買ったかどころか、なぜこのアルバムを持ってるのかさえも。
でも当時はもっともっと狭い世界で、一人で聴いてたんですよね。でも、今はこうやって、気持ちを出せる場所があって、やっぱり幸せです。コレ好き!て人がいたら、うれしいのですけれど。

はぁ~。しかし楽しくも切ない、ロマンティックなメロディの連続で、もう、きゅうきゅうになりましたです。
春ですねぇ~ ((o(^∇^)o))










『The American Dream』(1970) Emitt Rhodes

2007年04月06日 | 70's
桜って、なんでこうも、イイんでしょうねぇ。
桜もモチロンそうなんだけど、桜を見ている人の表情を見るのも、好きですねぇ。
パァ~と華やいで、明るくてね。何とも好ましいイイ顔、なんですよねぇ。心が暖かくなっちゃう。
桜を愛でる気持ちを、昔からずっと当たり前のように持ち続けている日本人って、なんだかとても愛おしいですね。

今週は、いくつかある近所の桜スポットにいそいそと散歩に出かけています。
今日は桜の下でモスの「玄米フレーク ずんだ小豆」を食べて、"モス子" してきました。
コレしばらく見なかったけど、今年復活したみたい。うれしいなぁ。好きなんですよね~、コレ。あっさりしてて実に美味しいんですよ。季節限定ものです。



ずんだずんだ♪(モチ、右) 
白玉は黒ごま&黒米風味なのです 
下のシェイクがまたウメ~んです




さて、前回の記事でメリー・ゴーラウンドの『Listen, Listen: The Difinitive Collection』という編集盤を取り上げましたが、今日はこのCDの後半のお話。

A&Mは、メリー・ゴーラウンドのゴタゴタ(なんでもエミット君とベースのラインハートと殴り合いのケンカになったりとか)から、このバンドに興味を無くしたようです。そしてバンドも69年に解散。
その後、エミット君は自らの才能を世間に知らしめるべく、自宅前のガレージにプライベート・スタジオを作り、曲を作り、ギターもベースもピアノもドラムも全部自分で演奏し、ポールの『McCartney』に負けずとも劣らない、一人っきりの宅録大傑作アルバムを作り上げてしまうのでした。
そのアルバムはダンヒル・レコードから『Emitt Rhodes』として71年に発表されます。

その1stソロ作とメリー・ゴー・ラウンドの間の、ミッシングリンクを繋ぐアルバムがありまして、実はこの編集盤の後半にそれが丸ごと収録されているのです。

それが『The American Dream』。古巣A&Mから70年に出されたいわくつきのアルバムです。

いわくつき、というのは、これ、アルバムとして作られたわけではなく、メリー・ゴーラウンドのアウトテイクやエミット君のデモ的な曲に音を被せた曲などを集めた、言わば つぎはぎ アルバムなのです。

なんでこれをA&Mが出したかと言うと、先程書いたダンヒルからの1stアルバム、このアルバムからの先行シングル ”Fresh As a Daisy” がビルボードで全米54位のヒットを記録したんですね。
「やっぱ売れるんじゃん!」とA&Mがここぞとばかりに、エミット君人気に便乗するため、大急ぎでまとめあげて出したもの、なんだそうです。エミット君の思惑とは別に。そして結果、この『The American Dream』もそこそこのヒット(全米29位)を記録するらしいのですが、A&Mの思惑通り、ダンヒルから満を持して出した渾身のアルバムと、発表時期がバッティングしてしまい、ダンヒルの、つまり本気のアルバムの方は全然売れなかったらしいのです。エミット君は今でもこの事を恨んでいるとか、いないとか。しかしヒドイですよね、やり方が。音楽業界って。。

で、この『The American Dream』。私はアナログを持ってたのですが、そんなに聴いてなかったです。
そういうエミット君のこのアルバムに関しての苦い経緯を知っていたからか、はたまた取って付けた様なセンス最悪な、雑なジャケットだからか。ダンヒルの1stソロが好き過ぎてヒイキ過ぎて、こっちのは今イチ好ましく思っていなかったから、なかなか手が伸びないレコでした。

ところが!この『Listen, Listen~』の編集盤に入っていたのを期に、初めてCDで聴いたわけですが、これがなんとも、やっぱり・・・イイんですよねぇ~!!(どっちやねん!)
そういったゴタゴタなんかを吹き飛ばすのに充分な魅力を持った曲が多数収録されていて。ダンヒル盤ほど、エミット成分が濃密なわけではありませんが、それでもメリー・・ゴー・ラウンドよりも濃くって、それはそれは抗いがたいものだったのです。イメージだけで、聴かず嫌いはいけませんね。

つぎはぎながら、全体的によくプロデュースされてます。アナログの方には何名かいるプロデューサーの中にペリー・ボトキンJr.なんかの名前が書いてあります。曲ごとのパーソネルではないので、どの曲だとかはサッパリ分からないのですが。あとミュージシャンにハル・ブレイン、ラリー・ネクテルなんかの名も見受けられます。CDではここら辺のこと、何にも書いていないのですが。


M-14 "Pardon Me" なんかも、もーたまらない。ポール節の美メロ、優しげ~なポール声。いや、ホントはポールを引き合いに出すのは失礼なんですよね。この人のナチュラルかつ圧倒的な才能においては。しかし惚れます。曲のシンプルさに、そしてその唄心ある声に、心底、捕らえられちゃいます。エンドレスでずっと聴いていたいくらい、ウットリ。

M-16 "Someone Died"。んー、これもたまらない。エミット君のヴォーカルの深い魅力をたっぷり味合う事の出来る、しっとりと聴かせる曲。この深さはメリー・ゴー・ラウンド時代にはなかったものだと思います。もの凄い早さで成長していっているのが分かります。なんたって20歳前後ですもんね、この時。

M-18 ”Let's All Sing”。この曲にノックアウトされたんですよね、最初。飛び抜けてポップな、なんの屈託も感じさせない明るいハッピー・ソング。そうそう、これこれ。エミット君の良さってこういうのですよ。なんとも嬉しくなっちゃいます。天下のトニー・マコウレイにも負けちゃいないのです。
レッツ・オール・シング♪ララ~ラ、ラ~ラララ♪

M-19 ”Holly Park” 。ムーディー・ブルース "Go Now" の出だしのような、何とも魅力的な始まり方。しかもちょいザ・バンド風な哀愁ブラスも隠し味で鳴っている!そして曲の本体はヴォードビル調で、口笛も挟まれるご陽気ポップ・ソングで、これももーヤバイ!この曲を聴きながら昨日も近所の桜咲く公園を散歩していたのですが、やぁ、大変幸せでございました。

M-23 "'Til The Day After" 。これが一番曲としてはよくまとまって出来がいいと思います!牧歌的ポップ好きなら絶対ヤバイ予感がする夢身心地のイントロ、跳ねるリズムと、だんだん弾けてノリにノッテくるヴォーカルにファンキーなコーラスが被さる!(ここでガッツポーズ!)このドラムはハル・ブレインっぽいと思うんですが、どうでしょう?しかし、あぁ~、マジ最高です・・・!



こんなカンジで、手作り感満載のダンヒル盤では味わえなかったような(そっちはそっちでそこがまた大変ヨイのですが)、きちんとお金をかけてあるアレンジ、プロデュースのもとのエミット節を聴けるアルバム。聴いていると色々想像は膨らんできます。このままA&Mにいたら、どうなっていたんだろう、とか。


その後、エミット君はダンヒルから2枚のアルバムを出しますが、全く売れず、評価もされることなく、ついに引退。エレクトラ/アサイラムでスタジオ・オペレイターとして地道に働いていらっしゃいます。プライベートでは2度の離婚やヤク中なども経験。
ちなみにバングルスのカバーや、彼の曲(”Lullabye” です)を使用した映画『ザ・ロイヤル・テネンバウム』での印税をいまだにもらっていないこと、マネージャーにいいように利用されたこと、などなどライナーで愚痴っています。全てがツイテない方向に動いてしまった感がありますもんね、彼。

しかし、時は戻せない。
願わくば、今、エミット・ローズに正当な評価と報酬を!そして心穏やかな平和な日々を!と、祈らずにはいれません。だって彼の音楽を聴いた人は、こんな素晴らしい、幸せな気持ちでいっぱいにさせてもらえるんだもの。
割があわないよ。幸せでいてほしいよ・・・。
私なぞが心配しなくても大丈夫だとは思うのですが、聞こえてくる彼の話はあんまり明るくないので、ついね、そう思っちゃうのです。


あ、そうだ。このCDのブックレットには、この『The American Dream』(しかしなんとも皮肉なタイトルだなぁ・・・)の70年の1stイシュー時のジャケットが載っています。
そう、この記事の一番上のペンキのジャケは71年の2ndリイシューのものなんですよね。私が持ってるレコもこのペンキジャケのもの。
でもね、この1stイシューのジャケの方が断然素晴らしいんですよ!!
それがコレ↓




The American Dream 1970 version

この写真では分かりにくいのですが、それでもこっちのが良さげじゃないですか?
このジャケののものって、どれくらいの枚数、流通してるんだろ?ホントに出たのかな?


とまぁそんな訳で、2回に分けてしつこく(笑)紹介した、この編集盤はメリー・ゴー・ラウンド+エミット君、幻のソロ+ボートラを聴く事の出来る、つまりはダンヒル前のエミット君の音源を網羅した、29曲とヴォリュームもタップリのお得盤なのでした。あ、音も良いです!



オマケ:このCD、シークレットトラックとして、エミット君ゆかりの、あの人たちの誰もが知ってるあの曲の、お茶目でピースフルなカバーが収録されていて、思わずニヤニヤとなること請け合いなのでした。やるなー、Rev-ola!








『Listen, Listen』The Merry-Go-Round

2007年04月04日 | 60's
昨日、叔母(とても愉快なヒトです)と待ち合わせをして、じーちゃん家に行った帰り、一人で大阪(キタ)まで、ちょいと足を伸ばしました。
少し久しぶりの大阪はその人の多さも去ることながら(酔ってしまう)、時節がらやっぱり新入社員さんたち(が徒党を組んで歩く姿)が、目立ちました。昔は同じ格好をした人たちがたくさん群れてる姿に、ハミダシ者、かつスットコドッコイである私は反感を持ってたような気がしますが、今はただ「がんばってねー」と素直に思います。「オマエもがんばれよ」と、すかさず飛んでくるジミーちゃんの声、ではありますが(苦笑)

待ちに待ってた桜も、関西でももう8分咲きくらい?
緊張が見えつつも、前途に希望を持ち、楽しそうなフレッシャーズたちの姿。
そんな春一色の街でのブラブラの最中、私が iPod で選んだのは・・・。

エミット・ローズ率いるメリー・ゴー・ラウンドの編集盤『Listen Listen: The Definitive Collection』でっす。
このエミット君、私の中ではいわゆる "ポール系" の最右翼なヒト。
そう、私にとって大事な大事なヒトなのです。
とにかくポールの音楽のとびきり美味しい部分を、このヒトも確固として持ってんです。
(エミット・ローズ傑作1stソロ・アルバムについて→過去に書いた記事
もっとも、最近知ったジェリー・ラファティというヒトがその座を狙ってぐんぐん追い上げてきているのは、頼もしくも嬉しい限りです。わくわく。


ところでこのエミット君の音楽からひっそり聴こえてくるのはですね、どこかいつも初々しいような、たどたどしいような、妙な生真面目さや、どこか緊張している、そういう雰囲気。
そわそわとわくわくが同居しているような落ち着きの悪さとフレッシュネス。
そう、このエミット・ローズという男の音楽には、どうしてもこんなカンジの ”春色" を感じてしまいます。


メリー・ゴー・ラウンドはそんな彼がリーダーシップを取って作った初めてのバンド(16歳の時に The Palace Guardというバンドにドラマーとして参加しているというキャリアあり)。
66~68年のウェストコーストはL.A.のバンドということで、音はフォーク・ロック、基本はポップ。
作詞作曲はモチロン全曲ほぼ、エミット君。17歳。

メンバーはエミット君の高校(リアルタイム!)のクラスメート、ゲイリー・カトー(リード・ギター)と、元・ジーン・クラーク・グループにいたビル・ラインハート(ベース)、後にグラス・ルーツや他多数のフォークロックの重要作で多数バッキングに参加するジョエル・ラーソン(ドラム)など。
名を馳せてやる!という夢を共有することの出来る同い年のクラスメートと、技術面で支えるリズム隊。彼にとって、ほど良い感じの人たちで構成されていると思います、このバンド。

そしてバンド名を冠した『The Merry-Go-Round』というアルバムは67年にA&Mから発表されます。このCDの1曲目から12曲目に全曲収録されています。

代表曲はなんと言っても M-1 "Live"。穏やかさと、変なテンションが共存してるような、不思議な曲。1度聴けばこのギター・リフが頭ん中でグルグル鳴るんじゃないかしら。名曲です。バングルスの84年の1stアルバムでの愛溢れる完コピカバーも、この曲をさらに愛おしく思わせてくれる理由。
2曲目や3曲目なんかは小型&甘いバッファロー・スプリングフィールド、的な趣も。あくまでも1stまでのフォーキーなバッファローですが。同じ時代の同じロサンゼルスで活躍してるバンドってことで、言ってみればロサンゼルスのクラブ Whiskey A Go-Go 的な(なーんて言っても想像の域を出ない話ですが)、そういう匂いがプンプンしてくる音だと思ったり。
M-2 "Time Will Show The Wiser" はフェアポート・コンベンションがカバー。
あと先程の "Live" ともう1曲シングルカットされた曲が M-7 "You're a Very Lovery Woman"。この曲はリンダ・ロンシュタットが少しタイトルを変えて71年にカバー。

ボートラとして収録されているアルバム後に録音されたいくつかの曲は、さすがにご時世を多少反映してちょっぴりサイケな味付けが施されたりして、メリハリやパンチが効いてきていて、もしこのバンドが続いてたとしたら・・・と想像させて、こちらも良いカンジ。


押しすぎず、されとて引きすぎず、の品の良さ、そのコンパクトな軽さ、弱み。
それが妙にクセになる。血筋のイイ曲群とでも言いましょうか。傑作とまでいかないまでも、楽しめる人には楽しめる、愛される小品。私はこれからも繰り返し聴き続けていくと思います。
例えばその音楽性も、その佇まいも、『ビートルズ・フォー・セール』というアルバムがビートルズのアルバムの中でも特に好きなんだ、というような方には文句無くススメられる、そんな(て強引か?)素敵なメリー・ゴー・ラウンドなのです。

が!実はここまではいわば序章であります。そう、なんたって主役は天才・エミット・ローズ君なのですから!
このメリー・ゴー・ラウンドのアルバムが終わると、このCDの続きにはさらに、めくるめくポップ体験の何ものにも代え難い喜びが待ち受けているのです(つづく)。