『Memphis』(1992) 忌野清志郎

2009年05月30日 | Japanese
大切なアルバム『Memphis』。
リアルタイムで出逢えたことに本当に感謝するアルバムです。
でも持ってなかったので買い直して、ようやく久々聴いとります。

ブッカー・T・ジョーンズ (kbd)、ドナルド・ダック・ダン (b)、スティーブ・クロッパー (g プロデュースも彼)それとジム・ホーン率いるメンフィス・ホーンズという、あのメンツで固めたメンフィス録音作のソロ名義2作目。
やっぱり大人になった今聴いてもすっごいすっごい、いいアルバム。改めて感動してます。
曲が粒ぞろいだし、あこがれの地メンフィスで音楽を作り出す喜びに溢れていて、キヨシローもまだまだ若くて元気もトゲもいっぱいで頼もしいし。

最初の4曲の流れがまずグレイト!
まず1曲目!ソウル好きな人なら心躍っちゃわないわけにはいかない "Boys" !
音も最高なんだけどコレ歌詞もまたたまんない。

楽してられんのもいまのうちさ そのうちツケが回ってくるぞ!いやはやなんとも

ホンット、今、楽してた分のツケが回ってきてるもんなぁ・・・(苦笑)

とんずらきめて とぼけたツラして とっぽい帽子かぶって
うろつくべきだぜ フラフラしようぜ

ホントだよ、ボーイズ、そうしなよ。そうしときなよ。
で、当のキヨシローはええオッサンなのにボーイズ側にもにも立てれて、間を自由に行ったり来たりしてるのを歌から感じられるのがまた素敵です。


2曲目、”雪どけ”
ソウルフルなスローバラード!傑作っ。
この歌声の力!どこに出しても恥ずかしい子じゃありません。
きっとメンフィスの彼奴らもビックラしたろうな。この細っこいジャパニーズはなんでこんな声で歌えるんだ?!ってね。答えはキヨシローがただ本物のソウルマンだってことだけなんだけどさ!

いつもの出来事さ 駅のホームに散らかってる物事さ
いい表せはしない 言葉では言えない
でもそれは とても強い
間違ってはいない 世界で一番強い

それは愛 この愛...


ここたまらんわ~。ここの最後の盛り上がりがグッとくるんですよねぇ。
あとなんだか「ユーモアに ユーモアに」ってとこの歌い方も残るなぁ。


4曲目、”世間知らず”
この曲については前に書いたし、思い入れがありすぎて恥ずかしい(ウザイ)のでもう書きませんが、本当に大切な曲。
歌詞的にもサウンド的にもオープニングの "Boys" と陰と陽として対をなしていると感じます。
若者であるということ。


苦労なんか知らない 恐いものもない
あんまり大事なものもない そんなぼくなのさ

世間知らずと笑われ 君は若いよとあしらわれ
だけど今も夢を見てる そんなぼくなのさ



で、この最初の流れに並んで最高なのが最後の5曲の流れ。
"石井さん"~"僕の目は猫の目"~"ラッキー・ボーイ"~"彼女の笑顔"~"MTN"。最高っしょ。ここ聴くの幸せだなぁ。
全部、陽のヴァイブに溢れてて。きっと子供が生まれてどんどん成長していってるという喜びもすっごい大きいんだろうなぁと思います。


"石井さん"~"僕の目は猫の目" の流れはとにかく楽しくって。子供の声も入っててそれが効いてるなぁ。
その子供の声がキヨシローにとってどれだけ力になってるかってことも伝わってきて、またヤバいっていうか。


"ラッキー・ボーイ" はキヨシロー版 ジョン・レノン”Beautiful Boy” 。親目線がホント素直に泣けます。


"彼女の笑顔" 、このブルーズも大好きだー。
このアルバムで、この位置で、シレッと佇んでいらっしゃいますが、これも傑作だと思うのです。


んでー、ラスト!”MTN”!これ聴いてたらいっつも泣き笑いしちゃうような曲。
幸せで、なぜだか切なくなって涙が出るよな感覚が曲になったような。

この街の 名誉市民の僕だから
MG'sと一緒に 歌をかくのさ
いい時も悪い時も それほどきにすることじゃない

僕は歌を書くのさ
MEMPHISの街の 名誉市民の僕だから
信じがたいことだろ BABY 本当の話さ
OTISの街で 今日も汗をかくのさ
FA FA FA FA FA FA FA FA FA ...


メンフィスの名誉市民になったことを繰り返し自慢して(笑)
でもそれがちっともヤらしくなくて、笑えて、こっちもよかったねーって素直に喜べる。
キヨシローのそういった子供のような正直さ、鋭さ、トボケ具合が好き。
そして彼の「あこがれ」る力の強さに感動する。夢を実現する想いの強さに勇気をもらえる。

というわけで、演奏もソウルのコクたっぷりで聴き応え満点、歌詞もいつにも増してバツグン。
歌声もいつも通り間違いない。全ての要素がばっちり噛み合わさった奇跡的な傑作!

音楽好きの方なら(特にソウルミュージックが好きなら!)、キヨシローを聴かず嫌いしているような方でも、彼の魅力を分かりやすく楽しめる、良質かつ人なつっこいアルバムじゃないかなーと思いまっす!





走れ何処までも

2009年05月10日 | Japanese
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、念のため。

今日5/10(日)23:30~『愛しあってるかい?~キング・オブ・ロック 忌野清志郎~』
明日5/11(月)深夜0:45~『SONGS 忌野清志郎ライブ 完全版』

どちらもNHK総合で放送されます!
BSとかCSだともっと色々してると思うけど、ウチ、今地上派だけなので。すっごい楽しみにしてます。

『SONGS~』は本放送の時に見て感動しました。最近のキヨシローもすごいんだなぁ!曲すっごいいいわぁ!って。今度はちゃんと録画しよう!標準で!(未だ我が家はビデオです)


あとここ→ NHK青春ラジカセ で、サウンドストリートの「1981.03.19」と「1981.07.10」オンエア分、DJ渋谷陽一、ゲスト忌野清志郎で当時のラジオ出演した際のトークが聴けますね。

私はまだ3月分のしか聴いてないけど、そっちはキヨシロー選曲集ってことでウィルソン・ピケットから始まっててシビレます!(曲は聴けませんが)
ドン・コヴェイを選んでるのにもガッツポーズ!しかし彼の名前を何回も間違える渋谷さん、頂けませんね(笑)キヨシローの「知らないの!?」って言葉が痛快(笑)渋谷さん、ローウェル・フルソンもなんか変な言い方してたな(笑)そういう時代だったのでしょう、で、済ましていいようなダメなような(笑)

私はこの番組はリアルタイムではなかったのですが、RCがこれから人気がどんどんうなぎ上りになっていく瞬間の生トークなので、生々しさがよいですね。
それにしてもキヨシロー、かっこいいなー、しゃべりも。


RCとキヨシローしか聴かないもん!ってそういう気持ちなのだけど、今はどっちもCD全く手元になく(爆)
オンラインで注文したものも入荷待ちで全然こないよ。
代わりにオーティスやMG’sなど聴いてたのですが、我慢出来ず今日仕方なく iTunes で2つのシングルをダウンロードしました。アルバムはちゃんとCDで買いたいのでシングルにしました。

ダウンロードした内の1つ『走れ何処までも』ってシングル。この曲、iTunesや着うたフルなど配信限定なんですね。B面は”RUN寛平RUN”。アースマラソン中の寛平ちゃんの応援ソング。

この曲が最後の録音らしいですね。
ちゃんとスティーブ・クロッパーとドナルド ”ダック” ダンと一緒に演奏してるジャケ。



そっか~。
最後が誰かの応援ソングで、そんでもってそれを一緒に演奏してるのが自分を応援してくれる誰か。
ほんっとたくさんのたくさんの人に愛されてるキヨシローさんらしいラスト・シングルなんだなぁと思いました。
ラスト、と言うのもまだまだなんだか受け入れられないような気持ちですけれど。

とにかくシングル聴きまくります!


世界中の人に自慢したいよ

2009年05月03日 | Japanese
RCサクセションというバンドに出逢ったのは高校時代。
最後の作品『Baby a Go Go』が発表されたのもこの頃。
そんな時、初めて参加させてもらったバンドの練習曲。これもたまたま、誰かが決めたRCの「雨上がりの夜空に」だった。
そのバンドはお遊びで、にクラスのメンバーで集まってわいわいやってたもの。ヘタっぴながらみんなで演奏する楽しさみたいなものを少し感じることが出来た。
だけど、RCはもっと個人的に、一人で接するものだという想いを持っていた。
一人で対話して一人で噛み締めて一人で興奮するものだとどこかで思っていた。

当時の私にとってとても大きな存在だったのがブルーハーツの甲本ヒロトと真島昌利だったのだけど、その2人の元の大親分みたいに、キヨシローのことを勝手に捉えていた。キヨシローは彼らよりもっとラディカルでクールで容赦なかった。だけどいっつもサインの横に書くうさぎの目がハートのイラストだとか、『十年ゴム消し』みたいな本の中のキヨシローはとてもとても人間臭く、でも嘘がなくって惹かれた。残酷であることを厭わない、自分をよく見せようと大事なとこで取り繕わない正直さ。信頼出来る大人だと思った。

その後、ふらふらしていた私が出逢ったのが忌野清志郎のソロ・アルバム『Memphis』だった。その中に収録されている「世間知らず」という曲が決定的だった。自分のことを歌ってくれていると思った。そのとき、必要だったもの全てを歌ってくれた。そんな人は誰もいなかった。大人なのに、もう成功しているハズの人が歌える歌ではなかった。だけどキヨシローは歌って、しかもそこに嘘はなかった。すごいことだと思った。そのことにどれほど勇気をもらったことか。

もっと後、相変わらずふらふらしていた私は、RCの熱狂的ファンの人とともだちになった。
彼はアナログとCDの音の違いを熱心に教えてくれ「昔の音源は絶対アナログを買った方がいい!」といつも熱弁して教えてくれたのだけど、私はちっとも分からなかった。でも今、ホントに最近「アナログの音はいい」と感じ始めている。分かるまでに10年かかった。私が鈍感なのを抜きにしてもすごく耳がいい人で、他のことは何もせず音楽や美術のみに神経を集中させていた。私よりももっと生き方のバランスが悪い人だった。色々忘れやすい私だけれど、あの頃のことはすごくよく覚えている。恋愛とか友情とかそんなん少しの間チャラにして、ただ小学生の子供みたいに仲良く遊んだ。キヨシローの歌声を聴きながら。


そして今朝、ネットで知って、『シングルマン』のアナログを聴いた。
例えば ”ヒッピーに捧ぐ” とかで泣くかと思ったけど泣かなかった。
けど、ホントにお別れは ”突然” やってくるんだなぁと思った。
そして「アナログの音、ホントいいなぁ」としみじみ感じた。


キヨシローは、きっとしめっぽいのは嫌いだろうなぁと思ったので、少し気を取り直した。

でもあんなに聴いた『Memphis』のCDも手元になく、だけどやっぱり ”世間知らず” を聴きたかったのですんませんと思いつつ youtube で見てみたら涙が止まらなかった。その後もランダムで次々色んな曲のライブ映像が流れて行く。コメント欄には続々と悲しみの言葉や感謝の言葉が寄せられている。最高の曲、楽しいパフォーマンスの映像ばかりでダメですね。

なんか私もお礼を言いたいんだけど、認めることになっちゃうのもイヤだな。
これからもお世話になることもあるだろうし。まだ過去形にしたくない。

だけど、今は決してファンだとは呼べない私だけど、でもあなたにコネクト確かにしてた時があるっていうのが、チッポケな自分としてはとってもとっても誇らしい気持ちです。
そしてそうやって離れていても、触れればいつでも胸をうんと撃ち抜かれるあなたの曲は最高です。

一番必要な時に一番必要としている歌を歌ってくれてありがとう。
この世に存在してくれてありがとう。
あの~これからも曲の中で確かに生きてるあなたに接していくんで、よろしく。





『Turn On』(1966) The Music Machine

2009年05月01日 | 60's
さて、この間の日曜のお話。
エモに突っ走りたいのに・・・!
エモ狩りに行ったハズなのに・・・!
エモと全く関係ないエライもんに出逢いました。
タワレコ茶屋町店にちょー久しぶりに行ってみたらばナント!
ドイツの再発レーベール、レパートワーのCDの大セールやってた・・・!!

ワゴンの中、全~~部レパートワー!1590円均一!(1290円のもあった!)
いやぁ~、いい買い物しました!
しかしなんちゅうマニアックなセールだ。すんごい眺めでしたよ、そのワゴン。
タワレコはやっぱこの店が一番面白いな~。
そんなわけで米ガレージサイケもの、英ストレンジフォークもの等、お小遣い2ヶ月分を抱え込んでレジに向かいました。
こうなりゃガレージもエモもなんでも来いってんだっ。
男臭い音ばっかりですが、ガッツリ聴いていくのであります。

で、ちょいちょいそのCDたちを聴き出してるのですが、これは今んとこ一番かっこいい!
永遠の「マッシュルーム+黒タートル」の完成型!ミュージック・マシーンでっす!
このレパートワーのは彼らのオリジナル・アルバムを stereo と mono 両方収録+シングル収録した1枚ものです。

これすんごい聴きたかったんですよね~。買ったCDたちん中でも聴きたい度No.1な人たちでした。
で、実際聴いてみても期待通り、素晴らしくかっちょいい音してました!なんか他とは図抜けてる気がします。
音楽センスが高いというか、洗練されてるように思います。

それにもちろん!
ピロピロオルガン+ファズ効かせまくりのギター、そしてイケてる荒れたヴォーカル!
怪しくもチープな、魅惑の世界!
ガレージ・ロック聴いてんなぁ!って満喫させてくれます。
ヴォーカルがキャプテン・ビーフハートとかステッペンウルフのジョン・ケイとか思わせて大変いかがわしくて、イガイガしてて、イイですね!

M-1 ”Talk Talk” やっぱ彼らの代名詞でもあるこの曲が一番かっこいい!

M-2 "Trouble" これは今のハイヴスなんかが随分参考にしてるんじゃないでしょうか。

M-4 ”Taxman” のカバーもなかなかのものですね!でもこれ聴いたらビートルズったら、ガレージってジャンルをたった1曲で表現してしまってたのか!なんて思わざるを得ません。

他 “Cherry”Cherry"、 "96 Tears” 、"Hey Joe" などの60’sという時代をバリバリ感じさせる好カバーも披露しています。

あと、M-11 ”Come On In” なんてちょっとセクシーな曲調/歌声で、もうすぐ出てくることになるドアーズ/ジム・モリソンのプロトタイプみたいな感触ですね。

ガレージ曲以外の曲もチラホラ挟まれてまして、それがまた異常な位普通というか、大変ポップで可愛らしく。
彼らの第2章なんかも聴いてみたかった気がしないでもないですが、ここは時代のあだ花的なガレージロックの世界。早々と散ってった潔い姿を慈しむことにします。


実は今風邪引いてて会社休んでまして。咳が酷くって、咳の途中で情けないことに腰も痛めてしまいました。
ゴホゴホッ!グキッッ!!って。
コルセット巻いてます。立つ座る寝る、が角度に注意しないと、なので非常に難儀です。
情けないっす。これが加齢ってことですかい?

それでは、今の私(の腰)にはピッタリの歌を歌って〆に入ります。

てぃーあーおーゆーびーえぅいー、とらぼ~~~~~~♪("Trouble")


皆様、身体には充分気をつけて、良い休日をお過ごしください!!