時事解説「ディストピア」

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人権と言う名の凶器 ~国連の対イラン・シリア人権非難決議~

2015-11-21 23:49:43 | 中東
9.11以降にアメリカが名指しした悪の枢軸国、
シリア・イラン・北朝鮮・リビア・キューバの5カ国のうち、
リビアはNATOの空爆とアルカイダの攻撃により文字通り消滅、混乱地帯と化し、
キューバは一応の国交回復に成功したが、未だに制裁は続き領土は返されていない。

そして、シリア・イラン・北朝鮮は
人権侵害をしている国家として国連で非難決議が取られている。

欧米のイスラモフォビアやルソフォビアは言うまでも泣く、
中東における武装組織への軍事支援、空爆は不問にされる一方で、
この3カ国だけ巨悪としてみなされるこの理不尽さ。凄まじいの一言だ。

それでも確かな情報に基づいた報告書ならいいのだが、
北朝鮮のそれについては、後で証言者の偽証が発覚してしまったし、
イランのそれにしたところで、現地の武装組織の言い分を根拠に作成されている。

メディアによく登場するイギリスのシリア人権監視団体も会員が一名のみで、
それも反体制派の人間という思いっきりプロパガンダな媒体だが、
なぜかテレビ局や新聞社は、信頼できる情報としてよく引用している。

こういう状況に対して、
イランラジオのモハンマディ解説員およびアミーンザーデ解説員は
それぞれ、以下のような評論を載せている。


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イランのデフガーニー国連次席大使が、イランの人権侵害を非難する国連の決議を、
イランに存在する事実のねじ曲げを目的とした政治的な行為だとしました。

カナダが提案したこの決議の採択後、デフガーニー国連次席大使は、
「これはイランの事実に反する政治的な決議であり、
 イランイスラム共和国を弱体化させるために調整されたものだ」と述べました。

さらに、
「この決議に関する採決は、イランと6カ国の核の合意が、
 さまざまな問題に関するイランと国際社会の協力の新たな展望を開いている中で行われた」
と述べました。この決議は19日木曜午後、賛成76、反対55、棄権68により、採択されました。


この決議の内容は、イランの人権問題を担当するアフマド・シャヒード国連特別報告者の
報告に基づいて調整されており、この報告者はこれまで一度もイランを訪れたことがなく、
自らの報告を常にモナーフェギンといったイランの反体制派テロ組織から提示された
情報に基づいて作成してきました。

カナダ、アメリカ、シオニスト政権イスラエルの賛成によって可決されたイラン人権非難決議では、
これまで同様、イランでの死刑の増加、表現の自由の侵害、少数派の権利の侵害が非難されています。

この決議がカナダによって提起された一方で、この国は人権侵害に関して、
市民の権利への侵害、移民、とくにカナダの原住民への権利侵害に関する分厚い調書を有しています。

このため、イランは何度となく、これらの決議の採択の目的は、
イランに圧力をかけ、西側での人権侵害から目をそらせることにあると表明してきました。


これにより、イラン非難決議において考慮されるべきことは、
イランにおける人権侵害の主張の証明です。


なぜならイランは他の国と同様、独自の法律や権利を有しており、
それはイランの慣例やイスラム法に基づいて調整されたもので、刑法などの必要性に注目し、
法的なアプローチに基づいて、常にこれに関して進展や状況の改善が行われているからです。

宗教や民族の多様性にもかかわらず、
これらの少数派の権利に関して、イランは、常にその保護に努めてきました。
地域諸国の中でもとくにイランでは、少数派にとっての安全や平穏が維持されています。

こうした中、思想の自由、出版物における表現の自由もまた、市民の重要な権利として、
重視されています
が、残念ながら、現在人権問題は、明らかに捻じ曲げられ、
西側の政治的な目的を推し進めるための手段になっています。

こうした方向で、イランでは裁判の過程をへて死刑判決が下されますが、
アフマド・シャヒード氏の報告で言われているように、
イランでの政治活動を理由に処刑された人は一人もおらず、
麻薬密売など国家の安全や社会の安全を乱した人物にのみ死刑が執行されています。


このため、イランはアフマド・シャヒード氏の行動を大きく疑問視しており、
この疑いは、実際の人権とは何か、現在世界の人権は
どのような状況にあるのかを再認識する必要性を生じさせているのです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/59974
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国連総会の会議で、人権問題が一部の国によって悪用され続けている中、20日金曜、
国連総会の第3委員会で、シリアの人権状況を非難する非強制的な決議が採択されました。

サウジアラビアの代表は
この決議の草案を提示し、シリア危機の真の原因について触れることなく、
シリア政府にこの国の人々の殺害の責任があるとしました。

この政治的な決議ではさらに、
イランがシリアで行っている軍事的な役割に関しての主張が提示されました。
こうした中、イランはシリアで、軍事顧問としての役割を果たしているだけです。
この決議はイランの国連次席大使の反発を引き起こしました。

イランのデフガーニー国連次席大使は、これに関して、
シリアにおけるイランの存在は、シリア政府の公式な招待を受けたものだ。
 このため、このような決議の採択は、自国の領土における
 平和と安定の確立に向けた各国政府の権利と国際法規を侵害するものだ」としました。

デフガーニー次席大使は、国連のシリア非難決議をテロリストへの贈り物だとし、
「これらの主張の提示は、テロや過激派対策において
 影響力を行使している勢力に対する報復だ」と述べました。

サウジアラビアもまたアメリカやイスラエルと同様、
イランに対する根拠のない非難によって自らの目的を追求していることは間違いありません。

こうした中、人権問題はこの決議の内容に関して
一部の国の反発を引き起こすほど、政治的な問題になっているといえるでしょう。

EUの立場から、国連の委員会で発言していたルクセンブルクの代表は、
シリアにおけるイランの軍事顧問としての役割に関して挿入されたパラグラフに関して、
人権決議の政治化を控える必要性を強調しました。


またハンガリーの代表も、この決議に関する協議のやり方を批判し、
「イランに関する内容は政治的な目的を伴っている」と表明しました。

これに関する同様の発言が、日本やブラジルからも提示されました。

明らかなことは西側は現在、シリアで誤った費用を投じており、
サウジアラビアもこの問題に巻き込まれているということです。


サウジアラビア、カタール、トルコがテロを支援しているのは、誰の目にも明らかです。
サウジアラビアは現在、責任を取るべき事実に直面していますが、
自らの状況に関して回答するのではなく、他者を非難しています。


アメリカも世論を扇動し、テロ対策ではなく、テロへの自らの支援を隠蔽しています。

もし4年前にシリアのテロが真剣に捉えられ、
西側がテログループをより分けて、都合のいいグループを支援していなければ、
現在、テロリズムはこれほどまで拡大しなかったでしょう。

明らかにテロリズムはどんな形であれ非難されるべきです。
しかしながら、テロの指導者はテロを懸念しているように装い、
テロとテロの実行犯、支援者の境界を改ざん、おそらく消し去っています。

テロ対策を主張しているサウジアラビアは、
自ら、過激派、タクフィール主義のテロリストの流れの一部を構成しています。


このため、テロ対策を主張している裏で、真の姿を隠そうとしています。
世界はISISがサウジアラビアをはじめとする一部のアラブ諸国の資金や武器、
アメリカの支援によって生まれたことを知っています。

このことから、この決議は、国連人権機関の弱体化から生じたものであり、
こうした機関の悪用の機会をテロリストの真の支持者に与えているのです。


http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/59983-%E5%9B%BD
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日本も反対しているのがかなり意外。まぁそれはさておき、
あのサウジアラビアが人権非難ってどういうジョークだよと失笑してしまう。

学者も含めて欧米を未だに特別視していて、人権大国であるかのように考える人がいるが、
実際には、テロ組織に軍事支援するわ、国内でムスリム差別をするわ、
テロ抑止を理由に難民を排除しようとするわ、外国人にむけての監視体制を強めるわ、
極めツケに一国の元首をアルカイダと協力して殺害するといった凄まじい状態だ。

フランスのテロとベイルート(レバノンの都市)のテロとの扱いの差を見ても、
フランスのテロは悲嘆すべきものだがベイルートは別にそこまでではない
という考えが広く受け入れられていることに気づかされるのではないだろうか?

全ての国連機関を否定する気はないが、
この国連第三委員会は以前から大国の道具にされていて、
とてもじゃないが、公正あるいは公平な態度で臨んでいるとは思えない。

で、やはり気になるのはこういう「人権」や「民主主義」という言葉を
政府が他国の政治的経済的従属化の道具として利用している状況において、
いとも簡単に右翼とつるみながら一緒になって援護射撃をする反共左翼の存在。

フランスの状況は知らないが、日本の場合、一部の専門家を除いて、
こぞって左派系の知識人がリビアやシリア、北朝鮮の「人権侵害」を訴えている。

しかし、今、私たちが気にすべきなのはヒトラーやスターリンを悪役にすることで
チャーチルやトルーマンを善玉に変えた詐術であり、元・現共産主義国家を攻撃する一方で、
自国の軍事的経済的征服行為を不問にする先進国の独善的な行いである。

国連の人権非難というものには政治的な意図が隠されていて、
安易に便乗すると、逆に特定の国家の消滅に加担することになる。

その危険性は自覚しておいたほうが良いと思う。


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