時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮の脅威について (そんなものはない)

2016-07-21 20:59:33 | 北朝鮮
虎穴に入らずんば虎子を得ずということわざがある。


子供の虎を捕まえるには虎の巣穴に入らなければならない、
転じて大きな成功のためにはリスクは避けられないということを意味するが、
このことわざ、よく考えるとなかなかおかしな例えである。


なるほど、狩る側にとっては虎の子を生け捕りにするのは「大きな成功」だろう。
だが、トラにとっては、人間の行動は住処を蹂躙し、我が子をさらう「侵略」でしかない。


危険であるのは人のほうであって虎ではない。


この故事成語は、そういう人間のエゴイズムを完全に無視し、正当化しているのだが、
現在の国際政治の場においても、前提条件の個所を取消し線で引き、加害と被害を逆転させる現象がある。



北朝鮮を滅ぼしたいがこのままでは虎に襲われるかもしれない。
 それゆえ、我々は十分に武装しなければならない。」



こういう理屈のもと、加害者側が「自国」の「安全」を保障するために
「他国」の領土に基地を建設し、ミサイルを設置し包囲網を築こうと邁進している。



--------------------------------------------------------------
韓国での反米デモの継続


韓国人数千人が数度にわたって、アメリカのミサイル防衛システムTHAADの配備に抗議し、
ソウルにある国防省の前でデモを行いました。



ガッファーリー解説員

14日木曜、韓国で行われたデモは、THAADの配備に関する合意に抗議したものですが、
これまでのデモより大きなものとなり、韓国の政府関係者による強いメッセージを含むものとなりました。


韓国のデモ参加者は「政府の決定は、国内や地域に緊張を拡大させるだけだ」と述べています。
THAADは韓国南部のソンジュに配備される予定です。一部ではこの地域は戦略的地域と見られています。


韓国の抗議者と共に、中国、ロシア、北朝鮮も韓国政府の決定を
アジアにおけるアメリカのより幅広い駐留に向けた道を整えるものだとしています。



中国やロシアは、アメリカはできる限り、
東アジアや極東、東南アジア諸国との関係を見直し、強化しようとしていると見ています。


これは、この地域におけるアメリカのアジア政策の維持を再度強調するものです。

こうした中、アメリカのミサイルシステムTHAADの韓国配備はアメリカによれば、
単に防衛の側面を持ち、北朝鮮の核・弾道ミサイルから生じる脅威を抑制するためのものだということです。

アメリカは北朝鮮が日を追うごとにこれに関する自らの活動を拡大していると主張しています。

おそらく、北朝鮮にとって軍事的な優勢を手にすることは不可能でしょうが、アメリカは
防衛、治安、軍事戦略を進めることで、ある意味、戦争は実際外交の延長だと吹き込もうとしています。


こうした中で、一部の国は兵器競争の継続に懸念を表明しており、
その原因はアジアにおけるアメリカの軍国主義政策にあるとしています。



さらに兵器競争の継続はおそらく軍事的な衝突につながるでしょう。

このため、中国は何度となく朝鮮半島における核兵器廃絶を支持しており、
行動のイニシアチブをアメリカやその同盟国から奪い、
地域を危機から救い出すための最良の方法は、協議の継続だと考えています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i12553
-----------------------------------------------------------------------

韓国の星州(ソンジュ)郡ではすでに数日間にわたり、
米国のTHAADシステム配備への地元住民の抗議活動が続いている。

その主張は、THAADは韓国を守るための盾になるどころか、
最悪北朝鮮が韓国にミサイルを飛ばしてくる場合、THAADがあるソンジュが標的になるというもの。


実際、北朝鮮は闇雲にミサイルを飛ばすつもりはない。
上の記事にもあるように、北朝鮮が攻撃をする場合、その標的はアメリカの軍事施設である。



------------------------------------------------------------

Pyongyang, July 20 (KCNA)


-- Supreme Commander of the Korean People's Army (KPA) Kim Jong Un,

chairman of the Workers' Party of Korea (WPK)
and chairman of the State Affairs Commission of the DPRK,

provided field guidance to the drill for ballistic rocket fire of the Hwasong

artillery units of the KPA Strategic Force.

(要約)
朝鮮労働党委員長、共和国国務委員会委員長の金正恩・朝鮮人民軍最高司令官が、
朝鮮人民軍戦略軍火星砲兵部隊の弾道ロケット発射訓練を現地で指導した。


He, together with General Kim Rak Gyom, commander of the Strategic Force,
and other commanding officers, went round the firing sites to learn about
the preparations for ballistic rocket firing.
After hearing about its plan, he ordered to kick off the drill.

金正恩最高司令官は、戦略軍司令官の金絡謙大将をはじめとする指揮メンバーと共に
発射場を見て回りながら弾道ロケット発射訓練の準備状況を直接了解し、
発射計画を聴取した後、訓練開始の命令を下した。


The drill was conducted

 by limiting the firing range
    under the simulated conditions

     of making preemptive strikes
        at ports and airfields in the operational theater
      in south Korea where the U.S. imperialists nuclear war hardware is to be hurled.


演習は、作戦地域に当たる韓国の港や飛行場でアメリカ軍の核兵器が発射されようとした際に
先制攻撃を与える
ことを想定して射程を制限して行われた。


And it once again examined the operational features of the detonating devices of nuclear warheads mounted on the ballistic rockets at the designated altitude over the target area.


目標地域の設定された高度で弾道ロケットに装着した核弾頭爆発操縦装置の動作特性を再度検閲した。

http://www.kcna.co.jp/item/2016/201607/news20/20160720-02ee.html
------------------------------------------------------------



同様に、北朝鮮が日本にミサイルを撃ってくるとしても、それは在日米軍基地である。
あくまで、北朝鮮のミサイル開発はアメリカを対象としたものであることに注意しなければならない。



北朝鮮は、非核化について、次のような見解を述べている。


------------------------------------------------------------------
朝鮮は5月に行われた朝鮮労働党第7回大会で、責任ある核保有国として、
核の先制不使用と核の非拡散を遵守し、「世界の非核化実現のため努力する」という立場を示した。


朝鮮政府スポークスマン声明では朝鮮半島の非核化について言明した。



まず、朝鮮半島の非核化は金日成主席と金正日総書記の遺訓であり
金正恩委員長が領導する朝鮮労働党と人民軍、人民の揺るぎない意志であるとせん明した。

そして朝鮮が主張する非核化は「朝鮮半島全域の非核化」であるとして、
米国とその追随勢力の「の非核化」要求を退けた。




非核化のプロセスに関しては朝鮮半島が「核化」した経緯、
すなわち朝鮮戦争以来、米国の核威嚇が続き、朝鮮が生存のために核抑止力を持つに至ったことに触れ、
「自衛のための核」より「侵略の核」の除去が先行されなければならないと主張した。



そして

▼南朝鮮に持ち込んで肯定も、否定もしない米国の核兵器を全て公開すること

▼南朝鮮から全ての核兵器とその基地を撤廃し、世界の前で検証を受けること

▼米国が朝鮮半島とその周辺に随時展開する核攻撃手段を二度と持ち込まないということを保証すること

▼いかなる場合も核で、核が動員される戦争行為で朝鮮を威嚇、恐喝したり、
 朝鮮に反対して核を使用したりしないことを確約すること

▼南朝鮮で核の使用権を握っている米軍の撤退を宣布すること



――を求めた。

朝鮮半島非核化を議題とする6者会談は8年間中断状態にあるが、
その間も朝鮮は非核化プロセスを稼働させるための努力を続けてきた。



「米・南の行動次第」

米国が南との合同軍事演習を「臨時中断」すれば朝鮮も核実験を「臨時中断」するとの提案を行い、
平和協定締結によって非核化実現の条件と環境を整えることをくり返し求めた。


しかし米国は朝鮮の要求を受け入れず、朝鮮に対する核先制攻撃を想定した米・南合同軍事演習を強行した

「史上最大規模」で行われた3月には、朝鮮も
「核先制攻撃の権利は米国の独占物ではなく、米国が朝鮮の自主権と生存権を核で脅かそうとする時には、
 ためらうことなく核先制攻撃する」と強硬な姿勢を示した。


米・南当局による核の恫喝がエスカレートしていくに従って、
「核には核で対応する」というスタンスを明確に示した訳だが、
今回の政府スポークスマン声明では、朝鮮半島非核化実現に向けた5つの要求を
米・南当局が満たし朝鮮の安全保障が実際に担保されるなら、朝鮮側もそれに合致する措置を取ると強調した。



http://chosonsinbo.com/jp/2016/07/15riyo-jjj02/
------------------------------------------------------------------

北朝鮮のミサイルは米軍を狙ったものだ。

だから
仮に「北朝鮮の脅威」が存在するとすれば、それは米軍にとっての脅威である。


要するに、アメリカが平和条約を締結し北朝鮮を攻撃する意思を捨てること、
米軍が日韓から撤退することを決めれば問題は簡単に解決される。



虎穴に近づかなければ虎が人を襲うことはない。


では、北朝鮮の脅威を喧伝している連中はどのような行動を取っているのか?

アメリカと韓国は北朝鮮の申し出を断固拒否してきた。
これは日本もしかりで、これらの国は北朝鮮への制裁を強化することを強く主張している。

改憲しかり普天間基地しかりTHAADしかり、軍拡・軍拡・軍拡だ。
しかも、それに反対する市民が逮捕までされている。いったいどちらが私たちの脅威なのだろうか?


北朝鮮からの攻撃を恐れているのであれば、早急に平和条約を締結すべきだが、
オバマも安倍も朴も逆の方向に向かって全力疾走している。虎子を得ようとしているのだ。


私たちは北朝鮮を併合統一したい。韓国の領土にしたい。
だが、北朝鮮の攻撃は受けたくない。だから軍拡しよう。戦争が出来る国にしよう。


これが連中の言うところの安全保障である。

そういう意味では北朝鮮の脅威は元からそこにあるのではなく、現在進行形で作られている。
他ならぬ我々民主主義国家の元首たちの手によって。

次の記事を読めば、それがよくわかるだろう。

--------------------------------------------------------------
【平壌7月21日発朝鮮中央通信】


朝鮮外務省のスポークスマンは
英国首相がわれわれの「核脅威」をうんぬんしたことに関連して20日、
朝鮮中央通信社記者の質問に次のように答えた。



最近、英国首相は議会で行われた自国の新型戦略原子力潜水艦建造計画に対する表決を控えて、
自国が「ロシアと北朝鮮のような国々から実際の核脅威を受けている」と発言した。



英国首相の発言は、驚かざるを得ない。
われわれの核兵器が英国に脅威になるということはそれこそ、理に合わない。

原潜を建造しようとするならそのまますることであって、
口実がなくて数千キロも離れているわが国にかこつけるのは実に気恥ずかしいことである。



英国が去る1950年代の朝鮮戦争に軍隊を派遣したことによって両国が戦ったことはあるが、
その後、われわれは相互尊重と平等に基づいて外交関係まで結んだので英国を敵と見なさない。


われわれが英国の核兵器をわれわれに対する脅威と見なさないように、
英国もわれわれの核兵器を自国に対する脅威と見なす必要がない。




英国が現世代と次代を保護するために核兵器を必要とするのと同じように、
われわれもやはり、米国がもたらしている極端で実質的な核戦争の危険から
自分を守るために核抑止力を打ち固めているのである。


われわれは、誰が何と言おうと、米国の核脅威から
国の自主権と民族の生存権を守るための自衛的核抑止力を引き続き強化していくであろう。

http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this
--------------------------------------------------------------

なんと、イギリスは北朝鮮の脅威のために核兵器を製造しようとしているのである。


アフガンやイラク、リビア、シリアで空爆を行い、
あるいは現地の武装組織を支援しているイギリス。

つい先日も、サウジアラビアにクラスター爆弾を売却していたことがバレたばかりだ。
どう考えてもイギリスのほうが平和を脅かしているのだが、これまた加害と被害が逆転して語られている。


----------------------------------------------------------------
イギリスが秘密裏に新型核弾頭を製造


イギリスが、密かに新型核弾頭を製造しています。          

プレスTVによりますと、イギリスの核兵器関連機関は、
より正確で性能の高い核弾頭の製造計画を実行しようとしています。

この計画は、
アメリカが、核弾頭W76の改良と
その耐久性の強化に向けて進めている計画と平行して実行されています。



さらに、アメリカとイギリスの専門家による合同グループが結成され、
この核軍事プロジェクトで両国が協力し、
アメリカの実験所で新型核弾頭を実験する可能性を整えようとしています。



ロンドンで、核研究の分野で活動する機関の責任者は、
「イギリスの核弾頭製造プロジェクトは、今世紀半ばまでに
 トライデントの耐久性が強化されることにつながり、イギリス政府によって、
 寿命の長い新型核弾頭の製造に莫大な投資が行われている」と語っています。

この報告によりますと、イギリス議会は、この計画の時期や費用については把握していません。

http://parstoday.com/ja/news/world-i10060
---------------------------------------------------------

私の知る限り、上のニュースは各新聞、テレビメディアでトップニュースにはならなかったし、
国際社会とやらが、上の英米の動向について経済制裁を加えたことも非難決議を下したこともない。


代わりに、この頃に日本を騒がしていたのが
オバマが広島に訪問して献花したというパフォーマンスだった。




---------------------------------------------------------
アメリカ軍備管理協会、「アメリカは核軍縮に努めていない」



アメリカ軍備管理協会が、
「アメリカ大統領が世界の軍縮に十分に取り組めていないことから、この計画が進んでいない」
としました。

イルナー通信によりますと、アメリカ軍備管理協会は、20日水曜、
“軍縮と核兵器不拡散の進捗状況に関する評価”と題する報告の中で、
アメリカは、2013年から2016年の間、核軍縮の目標の推進に向けてわずかな歩みも進めていない
としました。


この協会の専門家の一人であるフィリップ氏は、この報告の中で、
「アメリカは、保有している核兵器の強化に向けた大規模な投資に忙しく、
 そのために、世界における軍縮の流れが滞っている」

としました。

フィリップ氏はオバマ大統領に対し、アメリカの戦略的な政策において、
核兵器の役割を削減することに努めるべきだと勧告しました。

アメリカ軍備管理協会は、1971年、アメリカの軍備管理に関する一般の理解を促すために設立され、
毎月、「軍備管理の今」というタイトルの出版物を発行しています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i12988
--------------------------------------------------------------

そもそもオバマの来日の主要な目的は北朝鮮やロシアに対する制裁の強化であった。
虎穴に進もうとする意思確認がされたその時、我々はオバマこそ平和の守り神と崇拝した。



まさに虎は虎ゆえに悪であり人は人ゆえに善だった。加害と被害が逆転し、
虎子捕縛の野心は話題にすらならず、代わりに危機が喧伝され武装が囃された。


百歩譲って、イギリスやアメリカにとっては、北朝鮮は脅威なのかもしれない。
だが、北朝鮮にとってみれば、アメリカやイギリスこそ自分の土地を荒そうとする脅威である。

(しかも、両国はアフガン、イラク、リビア、シリアなど、前例をいくらでも持っている)


----------------------------------------------------------------
イルナー通信によりますと、イギリスのファロン国防大臣は、18日月曜、
下院で、トライデントと呼ばれる同国の核防衛システムの更新計画の承認の必要性を強調すると共に、
イギリスはロシアやテロの脅威に対抗するため、核の抑止力の維持と強化を必要としている」と語りました。



ファロン大臣は下院でのトライデントの更新に関する票決を前に、
議会の労働党議員に対し、核の抑止力の問題を政治的な論争、ゲームに巻き込まないよう警告しました。


労働党の影の内閣の国防大臣は18日、ファロン大臣の発言に対して、
「トライデントの更新計画には賛成しないだろう」と述べました。


影の内閣の国防大臣はさらに、トライデントの更新計画への賛同を得る目的で
政治的なゲームを追求しているとして、保守党を非難しました。


労働党のコービン党首は以前、
「核兵器廃絶は労働党党首選挙の公約の一つであり、自らに票を投じた人々に対して
 この計画に反対することを約束している」と述べていました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i12832
----------------------------------------------------------------

現実として脅威があるわけではなく、北朝鮮なりロシアなりテロなり、
とにかく何者かが私たちを襲おうとしているから、それに備えなければならないと声高に叫ぶ。


自分たちが虎の巣に分け入って石油なりウランなり、
資源という名の虎子を得ようとする行為を透明化するために脅威という言葉が利用されている。



駐日米軍レイプ兵は本当に罰を受けたのか?

(http://jp.sputniknews.com/japan/20160720/2522704.html)

安全保障を声高に叫ぶ連中は上のクイズにどれだけ正解できるのだろうか?
現在進行形で実際に日本の国民に危害を加えているのはどこの国なのだろうか?


その国との軍事同盟を強化し、攻撃のマトになる基地を増やそうとしているのは誰なのだろうか?
北朝鮮や中国の安全保障を脅かすことは、私たち日本人の安全を脅かすことと同義なのである。


最新の画像もっと見る