時事解説「ディストピア」

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イギリスのヘイトデモ(ナショナリズムとレイシズム)

2015-06-27 22:55:53 | 国際政治
イギリスのユダヤ人地区でヘイトデモがあったらしい。

ホロコーストの生存者がドア先で「帰れジュー」(ユダヤ人の蔑称)
のメッセージが貼られたユダヤの星を渡されたんだそうな。



日本のそれもアグレッシブだが、こちらもなかなかレベルが高い。

人類学者のスチュアート・ヘンリによると、
Raceという単語にはいくつもの意味があり、
①人種②民族③エスニック集団④国民⑤種類等、10以上の意味がある。


つまり、人種と民族という言葉は一つの単語で表現でき、
実際、日本の被差別民族の中には自己への攻撃を
レイシズム(人種主義)と表現する人間が少なくないが、
我々日本人は自分たちが「人種」差別をしているという意識は特に持っていないだろう。


これが「民族」差別をしているかと問われれば話は違ってきて、
まぁアイヌや琉球の人々には社会的にしているかもしれないなぁと
思う人も出てきそうだ。否と言い張る絶対差別していないマンも多そうだが。


ナショナリズムの動きが激しくなっているという声は聞くが、
レイシズムの動きが激しくなっているという人はいない。

両者とも意識する対象は同じはずではあるが。


Nation(国民)という概念は近代国家(国民国家=Nation State)が出来て生まれた。
「その土地で生まれた」とか「現地の」といったニュアンスがあり、
アメリカ先住民はネイティブ・アメリカンと言うが、
このネイティブはNative、すなわちNationの派生語だ。

(「Na」に生まれるという意味がある)


「その土地の政治は、その土地の人間が行う」という考えで、
歴史的に言えば、封建国家に対して自治権を要求する中で生まれたものなのである。


ただ、冷静に考えれば、同じ土地に言語や習俗でカテゴライズできる人間が
複数住んでいることなどは、よくあることで、誰がNationになるかが論議されるようになる。


いわゆる「国民とは誰か」ということが近代化と共に発生してくるのである。
その辺から、ナショナリズムにマイナスのイメージが付き始めた。


とあれこれ書いたが、そのナショナリズムと今、
ナショナリズムと呼ばれている動きや思想は、違うように見える。

今やっているのは、どちらかと言えばレイシズムだ。
というのも、こちらの場合、
「先天的な要素を理由に差別を正当化しようとする考え」という意味あいが強いからだ。


そのへんの右翼の暴れっぷりをみれば、ピタリと当てはまる。

何だかんだで日本人は人種差別はしちゃダメだという意識はあると思う。
今、日本で吹き荒れているのは人種主義なんだよと意識することから
それらに対する自戒の念が生まれるのではないだろうか。


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