北朝鮮のNO2が処刑されたというニュースが流れている。
「これが事実なら」由々しき事態と騒いでいたが、日本の
北朝鮮に関する情報はそのほとんどが韓国経由のものとなっている。
言うまでもなく韓国は北朝鮮を吸収することを狙っているのであり、
当然、その報道内容も自らの利益に準じたものとなっている。
今回の逮捕・刑執行でも、これをもってミサイル開発が
加速する恐れがあると報じている。しかし考えてほしい。
別に軍縮を唱えていたわけでもない人間が処刑されて
どうして軍事化が進むというのか?核武装反対派が
殺されたというのならば、今後国内の反対派が意見を
自粛するだろうという読みは理にかなっている。
だが、党内のナンバー2が殺されたから軍事化が進む
というのは、因果関係が成り立っていない。
当てつけも良いところだ。
このような報道とは対極的に今回の事件を別の視点から
考察したものもある。
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北朝鮮において党、政、軍の高官が解任される場合、
韓国のメディアはおおよそ「粛清」と報道するが、
粛清の性格によって大きく三つのパターンに分類できる。
まず死亡、あるいは病気などの非政治的理由で
これ以上公職を行えない場合だ。脳出血で倒れた
ウ・ドンチュク国家安全保衛部第1副部長が代表例だ。
「名誉退職」の場合も、このパターンに当てはまる。
次に、政治的理由で解任された後に再起できないケースだ
2005年に公金横領容疑で解任されたチョン・ハチョル
宣伝担当秘書、11年にスパイ容疑で銃殺されたとされる
リュ・ギョン国家安全保衛部副部長などがそれに当たる。
三つ目に、政策執行の過程で、あるいは事業遂行の過程での
失敗で一次的に解任され、再教養(革命化)を経て
再び現職に復帰するケースだ。崔竜海総政治局長、
朴奉珠総理、李光根朝鮮合営投資委員会委員長など、
多くの労働党と内閣の幹部は一度は再教養課程を
経験したケースが多い。11年に解任されたチュ・サンソン
人民保安部長も2年ぶりに復帰し、今年7月の
戦勝節記念行事にその姿を表している。
今回粛清された張成沢は、どのパターンに当てはまるだろうか。
現時点では、二番目のパターンに当てはまると言える。
張成沢は2004年に解任され、2年間の再教養課程を経て
党に復帰したが、今回は再起は難しいようだ。
もちろん、1969年に反党容疑で粛清され、十数年ぶりに
現職に復帰した崔光・元人民軍総参謀長のケースもあり、断定は難しい。
しかし、金正恩が「労働党の課長級以上の
幹部を新たに任命した際、50歳以上は排除せよ」と支持したことがあり、
今年68歳になる張成沢が再教養を経ても再び党の高官に任命されるのは
難しい状況だ。ただ、過去の功績と金日成主席の親戚という点を考慮し、
一定期間が過ぎた後に元老として政治的復権がなされる可能性も残っている。
張成沢の粛清で金正恩後継体制と金正恩体制樹立の
過程において莫大な影響力を行使した労働党行政部は、
これまでのように党組織指導部傘下の一部門に縮小され、
組織指導部の地位が高まるものと予想される。
党行政部の主要幹部に対する解任や人事も行われるだろう。
http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201312100000/
-------------------------------------------------------------
おわかりだろうか?本来の分析というのは
こうやって相手をたたくわけでも褒めるわけでもなく
ただ冷静に客観的に行うものであって、やたらめたら
危機を煽るものではないのだ。さらに先を読んでみよう。
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一部では、張成沢が中国とつなぐパイプ役をしており、
南北対話や対米交渉などを主導してきた点を取りあげ、
彼の粛清が北朝鮮の外交と中朝経済協力にも影響を与えうると見ている。
しかし、昨年末から張成沢の発言権が弱まっていた点、
北朝鮮内外の主要政策が協議機関を通じて決定されている点を考慮すると、
説得力が弱い分析だ。2009年から10年にわたって行われた
党、政、軍に対する組織改編以降、
北朝鮮は金正日時代に跛行的に運営されていた
党中央委員会全員会議、政治局会議、党中央軍事委員会が
正常的に稼働し始め、国防委員会と内閣全員会議も随時開かれている。
また、今年5月29日付で制定された経済開発区法で
確認されるように、北朝鮮の経済特区拡大政策など
金正恩時代の主要政策が組織の集団的決定と法律で後押しされているため、
一部幹部の人事異動で一定期間影響を与えうるが、
基調は大きく変わらないだろう。
かえって金正恩主導で推進されている内閣責任制の確立、
社会主義経済管理改善措置の拡大、経済特区の拡大政策
などは短期間の調整を経てより確かなものとなりそうだ。
ただ、対米、対南政策は来年上半期まで
は現在の強硬基調を維持する可能性が高いだろう。
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つまり今回の処刑は、党内の民主化の障害を物理的に除去した
ということで、実はアメリカや日本が散々叫んでいる「民主化」
に着手した現れであったのである。
もちろん処刑という手段は大いに批判されるべきだが、
私が言いたいのは北朝鮮が近年、少数の権力者ではなく、
大勢の党員による協議をもって政策を決定しているという
事実を述べないのはおかしいということだ。
ほとんどの幹部は逆らっても命が保証されているという
事実も報じずに、処刑ばかりを集中的に報道すれば、
自然と「逆らう者には死の制裁を下す恐怖政治」という
イメージが出来上がる。こうやって虚像を創り上げることで
結果的には相手の姿がますます見えなくなっているのではないだろうか?
繰り返すが、今回の事件をミサイル開発と結び付けるのは無茶苦茶な
話である。そうやって危機をあおって日本の軍事化を急かそうとする
のが残念ながら今の報道機関のスタンダードらしい。
それでいて日本の軍事化の第一歩として可決された特定秘密保護法には
文句をつける。それも決まる直前に(直前というのがポイントだ)。
こういうダブルスタンダードな報道は、結局のところ
日本は反対意見が許される国だという錯覚を生ませるだけで
何一つ良いところがないだろう(反対意見というのは発言
だけでなく、それが認められて政策が修正されて初めて
反対意見となる。叫ぶだけで政治に反映されないならば
叫ばないのと同じである)。
「これが事実なら」由々しき事態と騒いでいたが、日本の
北朝鮮に関する情報はそのほとんどが韓国経由のものとなっている。
言うまでもなく韓国は北朝鮮を吸収することを狙っているのであり、
当然、その報道内容も自らの利益に準じたものとなっている。
今回の逮捕・刑執行でも、これをもってミサイル開発が
加速する恐れがあると報じている。しかし考えてほしい。
別に軍縮を唱えていたわけでもない人間が処刑されて
どうして軍事化が進むというのか?核武装反対派が
殺されたというのならば、今後国内の反対派が意見を
自粛するだろうという読みは理にかなっている。
だが、党内のナンバー2が殺されたから軍事化が進む
というのは、因果関係が成り立っていない。
当てつけも良いところだ。
このような報道とは対極的に今回の事件を別の視点から
考察したものもある。
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北朝鮮において党、政、軍の高官が解任される場合、
韓国のメディアはおおよそ「粛清」と報道するが、
粛清の性格によって大きく三つのパターンに分類できる。
まず死亡、あるいは病気などの非政治的理由で
これ以上公職を行えない場合だ。脳出血で倒れた
ウ・ドンチュク国家安全保衛部第1副部長が代表例だ。
「名誉退職」の場合も、このパターンに当てはまる。
次に、政治的理由で解任された後に再起できないケースだ
2005年に公金横領容疑で解任されたチョン・ハチョル
宣伝担当秘書、11年にスパイ容疑で銃殺されたとされる
リュ・ギョン国家安全保衛部副部長などがそれに当たる。
三つ目に、政策執行の過程で、あるいは事業遂行の過程での
失敗で一次的に解任され、再教養(革命化)を経て
再び現職に復帰するケースだ。崔竜海総政治局長、
朴奉珠総理、李光根朝鮮合営投資委員会委員長など、
多くの労働党と内閣の幹部は一度は再教養課程を
経験したケースが多い。11年に解任されたチュ・サンソン
人民保安部長も2年ぶりに復帰し、今年7月の
戦勝節記念行事にその姿を表している。
今回粛清された張成沢は、どのパターンに当てはまるだろうか。
現時点では、二番目のパターンに当てはまると言える。
張成沢は2004年に解任され、2年間の再教養課程を経て
党に復帰したが、今回は再起は難しいようだ。
もちろん、1969年に反党容疑で粛清され、十数年ぶりに
現職に復帰した崔光・元人民軍総参謀長のケースもあり、断定は難しい。
しかし、金正恩が「労働党の課長級以上の
幹部を新たに任命した際、50歳以上は排除せよ」と支持したことがあり、
今年68歳になる張成沢が再教養を経ても再び党の高官に任命されるのは
難しい状況だ。ただ、過去の功績と金日成主席の親戚という点を考慮し、
一定期間が過ぎた後に元老として政治的復権がなされる可能性も残っている。
張成沢の粛清で金正恩後継体制と金正恩体制樹立の
過程において莫大な影響力を行使した労働党行政部は、
これまでのように党組織指導部傘下の一部門に縮小され、
組織指導部の地位が高まるものと予想される。
党行政部の主要幹部に対する解任や人事も行われるだろう。
http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201312100000/
-------------------------------------------------------------
おわかりだろうか?本来の分析というのは
こうやって相手をたたくわけでも褒めるわけでもなく
ただ冷静に客観的に行うものであって、やたらめたら
危機を煽るものではないのだ。さらに先を読んでみよう。
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一部では、張成沢が中国とつなぐパイプ役をしており、
南北対話や対米交渉などを主導してきた点を取りあげ、
彼の粛清が北朝鮮の外交と中朝経済協力にも影響を与えうると見ている。
しかし、昨年末から張成沢の発言権が弱まっていた点、
北朝鮮内外の主要政策が協議機関を通じて決定されている点を考慮すると、
説得力が弱い分析だ。2009年から10年にわたって行われた
党、政、軍に対する組織改編以降、
北朝鮮は金正日時代に跛行的に運営されていた
党中央委員会全員会議、政治局会議、党中央軍事委員会が
正常的に稼働し始め、国防委員会と内閣全員会議も随時開かれている。
また、今年5月29日付で制定された経済開発区法で
確認されるように、北朝鮮の経済特区拡大政策など
金正恩時代の主要政策が組織の集団的決定と法律で後押しされているため、
一部幹部の人事異動で一定期間影響を与えうるが、
基調は大きく変わらないだろう。
かえって金正恩主導で推進されている内閣責任制の確立、
社会主義経済管理改善措置の拡大、経済特区の拡大政策
などは短期間の調整を経てより確かなものとなりそうだ。
ただ、対米、対南政策は来年上半期まで
は現在の強硬基調を維持する可能性が高いだろう。
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つまり今回の処刑は、党内の民主化の障害を物理的に除去した
ということで、実はアメリカや日本が散々叫んでいる「民主化」
に着手した現れであったのである。
もちろん処刑という手段は大いに批判されるべきだが、
私が言いたいのは北朝鮮が近年、少数の権力者ではなく、
大勢の党員による協議をもって政策を決定しているという
事実を述べないのはおかしいということだ。
ほとんどの幹部は逆らっても命が保証されているという
事実も報じずに、処刑ばかりを集中的に報道すれば、
自然と「逆らう者には死の制裁を下す恐怖政治」という
イメージが出来上がる。こうやって虚像を創り上げることで
結果的には相手の姿がますます見えなくなっているのではないだろうか?
繰り返すが、今回の事件をミサイル開発と結び付けるのは無茶苦茶な
話である。そうやって危機をあおって日本の軍事化を急かそうとする
のが残念ながら今の報道機関のスタンダードらしい。
それでいて日本の軍事化の第一歩として可決された特定秘密保護法には
文句をつける。それも決まる直前に(直前というのがポイントだ)。
こういうダブルスタンダードな報道は、結局のところ
日本は反対意見が許される国だという錯覚を生ませるだけで
何一つ良いところがないだろう(反対意見というのは発言
だけでなく、それが認められて政策が修正されて初めて
反対意見となる。叫ぶだけで政治に反映されないならば
叫ばないのと同じである)。