時事解説「ディストピア」

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事実上の国営放送が流した事実上のプロバガンダについて

2013-04-16 19:06:09 | 北朝鮮
今朝、NHKが北朝鮮のニュースを流していましたが、
「米韓の軍事演習を口実に」「威嚇」をしているとのことです。

この前の記事に書いたように、
アメリカが行っている演習は核爆弾の搭載可能な戦闘機を交えて
20万以上の軍隊が領海近辺で行っているもので、
これはいわば尖閣諸島や沖縄近海で中国が大軍で軍事演習
(しかも有事の際に日本へ攻め込むといった内容)をしているようなものです。


「口実に」なんてレベルではないのです。

向こうの行動は「威嚇」で、こちらの行動は「制裁」だそうです。

日中戦争の際に、戦争の大義として「支那膺懲」、
つまり「悪い中国を懲らしめてやる」という言葉がありました。

鬼退治でもするつもりだったのかよと言いたいですが、
これと同じ感覚がいま、北朝鮮問題でも取られているのではないでしょうか?

悪い北朝鮮をやっつける。懲らしめる。制裁してやる。
「指導」と称して体罰を食らわした大阪の某高校と同じですね。

今日の朝日新聞の天声人語でも、
「狂気」とか「若き独裁者」とか日中戦争中の軍やメディアのように
相手の「異常性」を煽り立てる文章で埋められていました。以下の青文字はその引用です。

来日した米国のケリー国務長官は名前のイニシャルが「JFK」で、
あのケネディ元大統領と同じである。ジョン・フォーブス・ケリー氏という。

ケネディに憧れて政治家を志し、高校時代にはその選挙運動を手伝ったほどだ
ほかにも2人は共通点が多い。たとえばケネディは太平洋戦争で、
ケリー氏はベトナム戦争で、ともに海軍の小型艇長をつとめ
死地を生き延びている。

そんな人だから、北朝鮮の現状を、半世紀前の「危機」に
重ね合わせての歴訪だったに違いない

1962年、キューバ危機が起きた。
ケネディ政権下、米ソが核戦争のボタンに指をかけた一触即発の事態だった。

時代も事情もむろん違うが、核とミサイルをめぐる狂気は今、
地球を半周して極東の若い独裁者に取りついている

死命を握る米国を、振り向かせたいゆえだろう。
昨日の故・金日成主席の生誕記念日にも「核武装の拡大」を強調した。
世襲3代目は民衆を飢えさせて、なけなしの体力で尖(とが)る

キューバ危機は米ソの「理性」で回避された。
ケネディの弟、ロバート司法長官(当時)は、
最大の教訓を「他国の靴を履いてみる、つまり相手国の立場になってみること」
だと述べている。だが北の「歪(ゆが)んだ靴」は誰にも履けそうにない

ケリー氏と同じく訪日したアウンサンスーチー氏のミャンマーは、
悪名高い軍事独裁から劇的に変貌(へんぼう)した。

北朝鮮に、内からの勇気を束ねる勢力はないものか。
今が金王朝の「終わりの始まり」にも思われるが。


つっこみどころが多すぎますが、まず
「北の歪んだ靴は誰にも履けそうにない」という箇所。

要するに、北朝鮮の立場になってみることは不可能だ、と
言っているのですが、さて、本当に不可能でしょうか?

この前、私が書いた文章をもう一度並べてみましょう。



3月11日以来、アメリカと韓国は北朝鮮の領海近くで軍事演習をしています。

これは、予算にして韓国の1年分の軍事費に相当し、
米軍約1万3,500人、韓国軍約21万人が動員され、
世界最高水準の戦闘能力を有するとされる
F22ステルス戦闘機とB52爆撃機、原子力潜水艦
「シャイアン」が投入され、イギリスやオーストラリア
といった朝鮮戦争時に「国連軍」として参加した国の軍隊も
加わっている「防衛訓練」とは言いがたいものです。


冷静に考えれば、日本が沖縄や対馬の近くでこんなことをされたら
どう感じるかイメージできるはず
なのに、なぜか日本のメディアも知識人も言及しません。



私が調べた情報は、ちょっと本気になれば誰でも入手可能なものばかりです。
朝日新聞は、はっきり言って理解しようともしないから
向こうの行動が見抜けず、毎回予測を外すのです。

向こうの言い分をガン無視して、「やれやれ!理解不能だ!」
とアメリカの後で吠えるのが本当に自由な国の言論なんでしょうか?

本来、そのような御国べったりの意見に対して
抗うのが自由な報道ではないですか?日本では言論を
弾圧する必要がないほど自国に盲従してはいませんか?

私には、毎回おばちゃんが強い語気でしゃべっている
北朝鮮のテレビとNHKがほとんど同じ
に見えるのです。

細かいところにツッコミを入れると、ケネディは
CIAが反カストロ派をそそのかして軍事訓練を施し、
彼らを率いてキューバに向かって侵略して失敗した際に、なんで他国に
攻撃したんだではなく、なんで失敗したんだと言って激怒した人です。

つまり、なぜ侵略したのかではなく、なぜ失敗したのかについて
怒った人間であって、はっきり言って聖人でも何でもありません。

このケリーの評価にしても、ベトナム戦争中にアメリカ軍が
ベトナムの民衆に行った大量虐殺については何ら言及がされていません。

飢えにしても、いつも飢えているような印象を与えがちですが、
本気でやばかったのは冷戦終結以後の90年代であり、
現在は回復しています。それでも中国の食糧支援を受けて
いっぱいいっぱいという感じです。

この間にあれやこれや理屈をつけて食糧支援をやめた日本に
北朝鮮を責める権利がはたしてあるのでしょうか?

朝日にせよNHKにせよ、
「対話の必要などない、米さん韓さん懲らしめてあげなさい」
と水戸黄門のような口上をのたまうのは本当に恥ずかしい。

いっそ、彼らの報道スタイルに習って、これから彼らの報道を
「事実上の国営メディアの事実上の検閲済み報道」とでも
称してやろうかとさえ思いますね。

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