時事解説「ディストピア」

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8月15日のNHKスペシャルについて

2013-08-17 20:39:27 | マスコミ批判
数年前、NHKが安部晋三に簡単に屈服して
慰安婦特集の内容を改ざんしてしまってから、いよいよもって
このテレビ局は民営とは名ばかりの国営テレビだなと思っていたのだが、
先日の終戦記念日に放送された安全保障の是非を問う討論会には正直驚かされた。


こんなにあからさまな出来レースもないからである。

まず、出演者が岡本行夫、半藤一利、伊勢崎賢治、
土井香苗、宇野常寛と狙ったかのような顔揃いで、
この中には浅井基文氏や梅林宏道氏、大西広氏のような
近年の中国や北朝鮮といった仮想敵国に対する嵐のような
バッシングとデマゴーグスに反対意見を唱える人間が一人もない。

要するに、反北朝鮮で固められていて、
北朝鮮にも言い分があるんじゃないの?とか
北朝鮮に対する日本の報道はおかしいよと言う人は
初めから除外されているのである。

そういうわけだから、中国や北朝鮮は危険だという認識を
前提に議論が進むわけで、当然、国を守るためには軍事化と
同盟強化はやむを得ないという、てめぇら自民党の回し者か
と問いかけたくなる方向へ進んでいったのである。


正直、旧ソ連の兵器を使いまわししている北朝鮮と
最新鋭の軍艦と通常兵器で装備しているアメリカや日本の
どっちが危険かわからないなんてことはないだろう。

特にアメリカは普天間基地の移転にもの申しただけで、
強硬態度を取ってきた国で、怪しいという理由だけで
イラクにクラスター爆弾を投下した国である。

沖縄那覇市の市長を務めた瀬長亀次郎氏は、
沖縄の占領統治は日本がアメリカに反旗を翻したさいの
戦略拠点になっていたと回顧している。

つまり、日米安保同盟というのは、アメリカに攻撃されないために
奴隷契約を結んでいるものであるのだが、そういう意見は終始なかった。


そういう小さなコップの中で繰り広げられる舌戦が
はたして有益になるかと考えると非常に怪しいものである。


私は以前このブログで北朝鮮の領海ギリギリの地域で
アメリカと韓国が20万以上の大群で、しかも核爆撃可能な
最新戦闘機をもっての軍事演習をしており、何だかんだで
結局、人工衛星を飛ばしただけの北朝鮮と比べると、よっぽど
こちら側のほうが物騒じゃないかと主張した。

今月の6日、つまり8月6日の原爆の日に海上自衛隊は
「いずも」という旧日本海軍の軍艦と同名の戦艦の進水式を行った。

これを日本は「護衛艦」と称しているが、この戦艦は
英国、イタリア、スペインの一部現役空母よりも大きく、
ヘリ14機が搭載可能で、その気になれば戦闘機の搭載も可能だ。

しかも進水式では旧日本軍が使用した旗、旭日旗が掲げられたのである。
これで平和の国、ニッポンなどと言われて信じる国がどこにある?


筆者と立場は異なりますが参考になる情報が載っているので一応。
ttp://ameblo.jp/sniper1968/entry-11587665287.html


本来なら、こういう前提の認識に対して異議を唱えることが
必要であるはずなのに、中国危険、北朝鮮悪魔、さぁどうする?
といった議論なのである。そういう問いかけなら自然と答えは
軍備拡張や同盟強化を考える人が出てくるに決まってる。

アンケート調査では相手に自分が望むような答えを選ばせる
問いかけ(例えば、戦争にどちらかといえば反対ですか、
それとも絶対に賛成ですかといえば、答えは自ずと前者になる)
はご法度なのに、よりによって敗戦記念日にそういう番組をやるのが
仮にもプロのジャーナリズムを気取っている連中のすることか?

とまぁ、私に言わせれば露骨なやらせ番組だったのだが、
こういう番組を極右が見ると全く別の評価になるらしい。

ttp://omoixtukiritekitou.blog79.fc2.com/blog-entry-2124.html

ブログのデザインからしてネット右翼の雰囲気を醸し出しているが、
この人の面白いコメントが、岩田温専任講師(こんな奴でも専任講師
になれるんですね。本当に大学って保守思想には甘甘だなぁ)だけを
保守派に入れていること。対北朝鮮政策を考えれば、
ここにいる連中は全員、保守派なんだけどな。


一応パネラーを紹介すると、岡本行夫は元外交官で
バリバリの従米保守、半藤一利は文芸春秋の編集長を務め、
その後取締役になった作家だが、彼は基本的に昭和は悪いが
明治は良いという典型的な司馬史観の持ち主で、大日本帝国自体に
問題があったという基本的な事実を認知していない。

伊勢崎賢治は平和のために軍が必要なんだと語っているし、
土井香苗はシリアやリビア、北朝鮮といった途上国への経済制裁や政治的圧力を
全力で支持していて、宇野常寛は気鋭の保守派論客と騒がれているが、元々は
ただのヲタクで文芸評論で大賞を獲ったのをきっかけに出しゃばっている男だ。
ついでにいえば、こいつは中曽根の写真を自分のブログに飾っていたりする。


・・・・こう書くと、本当にろくでもないやつばっかりだなぁ(汗
この人選をした奴のセンスに脱帽するぜ。


まぁ、脱線してしまったのだけれども、上に紹介したネトウヨの
意見はどうでもいいんだけれども、やっぱり半藤や土井のような
連中は今の保守派にとっては恰好のネタなのである。


一見すると議論しているように見えるのだが、
実際には勝てる相手を選んでゲームをしているのだ。

マリオで言えば、ファイアでなければ倒せないトゲゾーやゲッソー
ではなくてクリボー・ノコノコを呼んできているのである。

橋下徹と山口二郎の「討論」の時にも感じたのだが、
反共左翼(基本的には反共なので、場合によっては簡単に
保守派と同調してしまう左翼)って共産党系の論客を排除する
割には対抗勢力としては役不足に感じてならない。

共産党も領土問題に関しては竹島は植民地問題として
解決する、尖閣・北方領土は自国のもの(これは70年代以前から
一貫してこう主張していた)という態度をとっているので、
かならずしも反発しているわけではないが、少なくとも安全保障に
関しては、現在の日米の上下関係を踏まえれば、米国の侵略戦争に
参加するのは必定なので断固反対という立場を取っている。
防衛に関しては和平外交と民間支援によって
各国との平和友好関係の構築を軸にして考えている。


それに比べると半藤氏をはじめとした反共(=戦後)左翼は
「日本が危なくなった時にどうするか」といった議題の立て方自体が
問題で「日本が危なくならないためにどうするか」といった議題に
しろとすら言わないのである。要するに、この討論会の欺瞞的な
ものは、予防策と緊急策を混同している点にあり、我々がまず
話さなければならないのは予防策なのだと言ってやればいいのに、
それができないのである。

「よその国が攻めてきたらどうするの?」じゃなくて
「よその国が攻めさせないためにはどうするの?」としなければいけないと
 はっきり言えないあたりが本当に問題だなと思わずにはいられない。


 よその国が攻めてくるならば、軍備の拡張と軍事同盟の強化以外に
 考えれないだろう。だが、攻めさせないならば、外交による
 友好関係の構築とか、日本の経済力を活性化させて国際経済上
 混乱を起こさせてはならない場所にさせるとか色々考えられるわけだ。

 その点で考えれば、安倍の靖国外交や麻生のナチス発言など、
 他国に脅しをかける以外の何物でもなく、そういう日ごろの行いを
 改めさせるのが一番基本的かつ確実な安全保障になるのである。

 私は軍事問題を「安全保障」と言い換える詐欺的レトリックに対して
 本当に辟易しているのだが、何も安全を守るために武器だけが必要な
 わけじゃないんだよということを知っておいてほしいものである。

 最後になるが、私としては安全を本気で構築するのならば
 向こうの安全も保障しなければならないと考えている。

 すなわち東アジア全国加盟の不戦・軍縮同盟の設立が
 究極的には必要となるだろうと思う。

 また、今の日本の情報力は脆弱極まりなくて、
 韓国や米国に頼りっぱなしであり、確かな情報機関、
 CIAのような陰謀機関ではなく、市民に向けた情報公開を前提にした
 情報機関を構築しなければならない。そう思うのである。

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