時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

戦争中毒国家、アメリカ(韓国のTHAAD配備、中露朝への挑発病)

2016-07-08 22:00:41 | 北朝鮮
ロシア、中国、北朝鮮、そして何よりも現地の韓国国民に猛反対されていた
韓国へのアメリカのミサイル防衛システムの配備がとうとう決定された。正直、驚きを隠せない。


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米韓、韓国へのTHAAD配備の決定

米国防総省は7日、米韓は朝鮮民主主義人民共和国からの脅威に対抗するために
韓国領内への米ミサイル防衛システム THAADの配備に合意したことを明らかにした。


米国防総省の声明では
「韓国と米国は韓国およびその国民の安全確保のための防衛手段として、
 また朝鮮民主主義人民共和国の大量破壊兵器および弾道ミサイルから(両国の)
 アライアンスの軍事力を守るため、THAAD配備の決定を採択。」


これに対して中国外務省は断固とした抗議声明を表し、
米韓両国に対しこのプロセスを停止するよう執拗に呼びかけた。
中国外務省はこの決定は朝鮮半島の非核化という目的達成も半島の平和と安定の確保も促さないと指摘している。

一方で日本は米韓のTHAAD配備の決定を歓迎。
萩生田 光一内閣官房副長官は東京での記者会見で政府のこうした見解を発表した。

http://jp.sputniknews.com/politics/20160708/2444647.html
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あれだけやめろと抗議されていたのに、問答無用で決定してしまう。
今の韓国・アメリカ政府はここまで市民の言い分を無視してしまうものなのか。


ミサイル「防衛」と言えば聞こえは良いが、
実際にはアメリカと韓国はキー・リゾルブ、フォール・イーグル作戦をはじめとして
北朝鮮を先制攻撃するための軍事演習を10年以上、継続して行っている。


その要は、
1→まず軍事的に重要な地点を先制攻撃
2→反撃として撃ってきたミサイルをTHAADが迎撃。

というもので、先制攻撃ありきの「防衛」であることを忘れてはいけない。


実のところ、最近、アメリカはロシアに対しても同様の行動を取っている。
次のParsTodayの記事を合わせて読んでみたい。



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ミュンヘン安全保障会議のイッシンガー議長が、
「イランと6カ国の核合意により、もはやNATO北大西洋条約機構のミサイル防衛は必要ない」
と強調しました。


イルナー通信によりますと、イッシンガー議長は、6日水曜、
「現在イランの核合意は締結されており、
 このためNATOのミサイル防衛システムの配備に向けた戦略はまったく必要がない」と語りました。


また、
ルーマニアとポーランドのミサイル防衛システムの配備により、ロシアの懸念が高まると考えられる
 こうした中、ドイツは軍縮を目的にしたNATOとロシアの話し合いを深めることを求めている」としました。


さらに、
「NATOはロシアに対して賢明で冷静な政策をとるべきであり、
 すべての国が新たな兵器競争を防ぐために努力すべきだ」と語りました。

イッシンガー議長は、
「ワルシャワでのNATOの次期会合ではロシアとの協力に向けた扉を開くべきだ。
 なぜなら、ロシアとの話し合いは兵器管理につながる可能性があるからだ」としました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i12031
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現在、アメリカはルーマニアとポーランドにミサイル「防衛」システムを配備しているが、
ここで唱えられているのが「イランの脅威に対抗するため」である。


上で言われているように、核合意が締結された今、イランの脅威というものは存在しない。
にも関わらずイランを自らの軍拡の口実として利用しようとしている。

「北朝鮮の脅威」「イラクの大量虐殺兵器」と同様のでっち上げだ。


その本当の目的はロシアの封じ込めなのだが
実のところ、韓国のミサイル防衛システム配備も、その真の狙いは中国の封じ込めだと言われている。

次のスプートニク紙の記事を読んでみよう。


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米韓は米MDのTHAADの配備の時期と場所についていまだ決定に至っていない。
韓国国防省のムン・サンギュ報道官が明らかにした。

この声明の前日、韓国政府は
これからの1-2か月内でMD配備の決定とその場所について公式的に明らかにするはずだった。


米MDのTHAADの配備について韓国社会ではますますさかんに公式的な声明が出されるようになっている。
一連の地方の代表者らからはすでに自分の地域では配備受け入れはないという言明がなされている。


野党の選挙での勝利によって議会内ではTHAADの配備についての態度が割れる結果となった。
これとは対照に韓国軍部は米MDへの関心を隠そうとはしていない。


軍事専門家でCIS諸国研究所のウラジーミル・エヴセーエフ副所長は
THAADは韓国国民を北朝鮮の核の脅威から守るどころか、
反対にその攻撃の対象としてしまうものだ

との考えを示し、次のように語っている。



韓国国民はTHAAD配備計画を不服としている。
 それは地政学的紛争が起きた際、その相手は北朝鮮だけでなく中国もなりうるのだが、
 MDは中国からのミサイル攻撃の対象になりうるからだ。

 なぜなら近い基地に配備されている中国の中距離ミサイルは
 日本へ仮に攻撃が行われる際にはTHAADの攻撃ゾーンの上空を通過するからだ。
 このため中国はこれを殲滅せざるをえない。

 核を積んだミサイルが攻撃されれば地域住民が被害を受けるのは当然だ。
 これは韓国国民は自国内へのTHAAD配備を熟慮する根拠を与えていると思う。

 第2に韓国の国民は国の指導部とは異なり、全員が反北朝鮮ではない。」


 米国はロシア、中国からの反対を恐れ、韓国に対して早急に決めるよう迫っている。
 ロシアと中国はTHAADの韓国配備に断固として反対しており、
 米国は韓国を単にグローバルMDシステムに引き入れようとしているとの見方を示している。

 エヴセーエフ氏は今の複雑な状況のなかで
 韓国指導部はなんとか巧みに切り抜けようとしているとの見方を示し、さらに次のように語っている。



 「韓国が示そうとしているのはこの状況を注視しているのは中国だけでなく、
  韓国領内にはTHAAD展開の必要性はないとする中国を支持しているロシアも同じだということだ。

  このことから韓国は極めて慎重な態度を取らざるを得ない。
  一方では米国が韓国に圧力を加えており、
  もう一方では中国、ロシアと深刻な問題を引き起こさぬようなんとか妥協の道を探さざるをえない。

  中国とは経済関係を損ねてしまう危険性がある。
  中韓には共通の市場を創設する計画がある以上、こうした関係悪化は韓国にとっては危機的になりうる。
  このことすべてから韓国指導部はジグザグ走行をせざるを得ない。

  だが韓国領内に最終的にこうしたシステムが出現した場合、中国はこの挑戦をかわすだろう。
  なぜなら中国はこれを脅威と受け止めているからだ。」

韓国が中国の憂慮をしっかり受け止められぬ場合、
たとえば韓国領内のMD施設に自ら攻撃をしかけるなど、中国は自力で解決策をとりかねない。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160707/2436268.html
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日米韓が朝鮮民主主義人民共和国のミサイル迎撃のための初の3カ国演習を行なった。
米海軍太平洋艦隊は演習に関して出した声明には
「この間、ミサイル発射は行なわれなかったものの、演習参加者らは連携行動を策定し、
 連絡チャンネル、データー収集、脅威への反応の可能性の評価を強化したことを明らかにしている。

これはつまり、仮想敵国の発射した弾道ミサイルのシュミレーション飛行が追跡され、
情報の交換が行われたことを意味する。



6月22日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射。
ミサイル発射にあたって金正恩氏はこれは太平洋上の米軍施設を攻撃出来るものという声明を表した。


その理由は、理論上は北朝鮮のミサイルは
米国のこの地域における国境の警備拠点であるグアムまで到達できるものだからというのだ。

このため公式的な発表では日米韓の3国演習は
この諸国を多大に脅かしている北朝鮮の核ミサイル発射実験に関連して組織されたものとされている。

だがロシア科学アカデミー、経済研究所で朝鮮プログラムを率いるゲオルギー・トロラヤ氏は、
今回の演習はかなりの部分、中国に対抗する性格を持ったものとの見方を示し、次のように語っている。

「今回の演習は米国が北朝鮮の核ミサイルの野心に対してとった、かなり迅速な報復の手だ。
 だが北の野心は演習が行なわれる原因というよりも言い訳に近い。

 つい最近、ワシントンとサンフランシスコのロビーで米国人と話した際に、
 彼らは、米国は本当のところは北朝鮮が自分のほうから米国へ核ミサイル攻撃を行う能力があるとは
 誰も真剣にとらえていない
と語っていた。だがそのかわり米国にとってはこれは韓国にMDを配備し、
 日米韓の3国軍事ブロックを強化する上での格好のいいわけだ。


 もちろん、これはかなりの部分、反中的な方向性を持っている。
 それは米国の対中関係はパートナー関係、ライバル関係の段階から
 対立の段階へとますます移行しているからだ。北朝鮮というファクターは
 この上でこうした米国の行為には一種のフリップフロップの役割を演じている。

 しかも忘れてはならないのは北朝鮮が黙って何もしなかったとしても
 米国は他のきっかけを探し出しただろうということだ。

 もちろん北朝鮮は挑発的な行為を行なっているが、これは北東アジアの緊張増大の本当の原因ではない。」

 北朝鮮はイージスシステム搭載の軍艦が加わるこの演習を煽動と呼んだ。
 こうした厳しい反応を見せるだろうことは予想の範囲だった。

 北朝鮮指導部は米国が「核の脅威と制裁」を振りかざして北朝鮮への圧力を止めない限り
「対抗措置をとり」続けると約束している。


 さらに、「NATOとロシアはできる限りの協力と信頼醸成を追求すべきだ」としました。

 また、政府が崩壊したリビアなど、中東・北アフリカの数カ国について触れ、
 「NATOとEUはこれらの国の安定と平和において重要な役割を果たすことができる」としました。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160701/2402685.html
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アメリカの爆撃機が朝鮮半島上空を飛行
(http://parstoday.com/ja/news/world-i11851)

韓国が、北朝鮮の和平会議の提案を拒否
(http://parstoday.com/ja/news/world-i11449)

北朝鮮の指導者が、アメリカの制裁のリストに
(http://parstoday.com/ja/news/world-i12040)

韓国、北朝鮮要人に対するアメリカの制裁決定を歓迎
(http://parstoday.com/ja/news/world-i12052)


北朝鮮は、南北朝鮮の和平統一会議を、
8月15日の終戦記念日(韓国では光復節と言う)にあわせて開催するよう求めていた。


これに対して韓国は「核廃絶が先決だ」というアメリカの見解をいつも通りになぞり、
何十回目かわからない和平への誘いを断固として拒否し、アメリカの傀儡国家としての道を歩んでいる。


韓国にとっての米軍基地やミサイル防衛システムは日本にとっての沖縄のようなもので、
地元の住民は猛抗議をしているのだが、当局は問答無用で軍拡を進めている。


十年以上、和平(核兵器廃絶と引き換えの平和条約締結)を申し出ている北朝鮮に対して、
北朝鮮の一方的な核兵器廃絶を主張し、軍縮も軍事演習の中断も一切行わず、強硬姿勢に固執する米韓。


どちらがより好戦的かは、まともな人間なら誰でもわかることだ。


あわせて、北朝鮮がなぜムスダンを発射したかについてもおさらいしておきたい。
そのことで、いかにオバマ政権が好戦的で軍国主義であるかがわかるはずだ。


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北朝鮮が、地域におけるアメリカ軍基地に対する報復攻撃について、警告を発しました。

北朝鮮の公式メディアによりますと、北朝鮮の国防委員会のメンバーは、
20日月曜、声明を発表し、北朝鮮は挑発行為が確認された際、
地域のアメリカ軍基地を攻撃すると警告を発しました。

このメンバーはまた、爆撃機B52が配備されているアメリカ・グアムのアンダーセン基地や、
アメリカの原子力潜水艦のための海軍基地は、
しばらく前から北朝鮮の正確な攻撃の射程範囲に入っているとしました。

北朝鮮の声明は、今月13日にアメリカの原子力潜水艦ミシシッピが韓国南部のプサン港に入り、
またグアムの米軍基地でB52爆撃機による軍事訓練が行われた
ことに反発して、発表されました。



北朝鮮の国防委員会のメンバーは、
このような北朝鮮に対する挑発行為は、朝鮮半島における核戦争の勃発の危険性を増しているとしました。

以前にも北朝鮮外務省は、巡航ミサイルを搭載した原子力潜水艦をプサン港に派遣するアメリカの決定は、
北朝鮮と地域全体に対する直接的な脅迫とみなしているとしました。

この声明ではまた、
アメリカは北朝鮮の原子力発電所と核施設に対する先制攻撃にむけた準備を検討しているとしました。

原子力潜水艦ミシシッピは世界最新鋭の原子力潜水艦とみなされています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i10237
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この記事が書かれた2日後に北朝鮮はムスダンを発射した。

もうおわかりだと思うが、北朝鮮を先制攻撃するための演習が行われたのが先で、
グアムを標的とした中距弾道ミサイルの発射実験が行われたのが後
である。


その後、日米韓は、合同軍事演習を敢行、そして今回のTHAAD配備である。


挑発しているのは、客観的に見ればアメリカであり、
北朝鮮は常に後手で対応しているのだが、西側諸国ではアベコベの報道がされている。


人民日報論評、米国の武力誇示が中国の懸念を深めた
(http://j.people.com.cn/n3/2016/0627/c94474-9078049.html)

人民日報が論評で米国によるフィリピン周辺海域での武力誇示を強く非難する
(http://j.people.com.cn/n3/2016/0624/c94474-9077099.html)

露外務省、米THAADの韓国配備で朝鮮半島非核化は複雑化
(http://jp.sputniknews.com/russia/20160708/2446399.html)


NYT:米国務省で「ユーゴスラビアのシナリオ」によるシリア空爆が呼びかけられる
(http://jp.sputniknews.com/us/20160623/2356565.html)

クリントン氏の電子メール公表、シリアのアサド政権の転覆を支持
(http://parstoday.com/ja/news/world-i11911)


重要なのは、アメリカは何も北朝鮮に対してだけ強硬姿勢を取っているのではなく、
イランやシリア、中国、ロシア、要するに敵国のいずれに対しても好戦的な態度を見せ、
特にシリアに対しては、貪欲に同国の消滅を主張し続けている。

その代表的人物が我らが民主党大統領候補、ヒラリー・クリントンである。

全方位にむけ、争いの種を撒こうと躍起になっているのが今のアメリカだ。
正直、これはブッシュ政権よりも性質が悪い。極悪といっても良いレベルである。


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最高指導者、「イスラム世界の情勢不安の元凶は、アメリカを筆頭にした覇権主義大国」

~中略~

全ての国や大国が、表面的にテロへの嫌悪を表明し、
テロとの戦いの偽りの連合を結成していることに触れ、
「大国は、その主張に反し、実際には、テロを支援し、広めている」と述べました。


ハーメネイー師は、シリア危機が始まった当初、反体制派の中にアメリカの大使がいたことや、
シリアの政治的な対立を内戦に発展させるための動き
に触れ、

彼らは政治的な対立を同胞の殺し合いに変え、その後、資金や武器を供与し、
 不当な石油収入により、各地からシリアとイラクに戦闘員を集め、
 地域に現在の混乱や情勢不安を生じさせた
」と述べました。

また、「一部の主張に反し、イランはバーレーン問題に干渉しておらず、今後もすることはない。
この国に政治的な見識が存在するのであれば、政治的な対立が内戦に発展するの許してはならない」
と強調しました。


ハーメネイー師は、イエメンの状況と
この国の人々の住宅、病院、モスク、インフラに対する日常的な爆撃に触れ、
「侵略者は攻撃をやめるべきであり、イスラム世界も侵略者を処罰すべきだ」と強調しました。

(http://parstoday.com/ja/news/iran-i12001)

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米国務省 イラク戦争に関する英委員会の報告書検討を拒否
(http://jp.sputniknews.com/politics/20160707/2440956.html)

アメリカ軍のアフガニスタン駐留継続
(http://parstoday.com/ja/news/world-i12064)

英のイラク参戦誤り 独立調査委が報告書
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-07-08/2016070801_04_1.html)

日本は南中国海でどのような役割を演じたいのか
(http://j.people.com.cn/n3/2016/0705/c94474-9081776.html)


サウジアラビアのような正真正銘のテロ国家が野放しにされる一方で、
オバマが固執するアフガン侵略戦争は未だに終わる気配がなく、イラク戦争参戦を誤りとし、
ブレア首相(当時)を非難する調査結果に対しても特に反省しようともしない日米。


それどころか、これらの国の指導者は次の戦争に備えて着々と準備を進めている。

今の日韓米の指導者の頭の中にあるのは「戦争・戦争・戦争」だ。
こういうテロ脳の持ち主が国を牛耳る今、各国の社会不安はますます増大する一方である。


今回のTHAAD配備は単に北朝鮮だけに関わる問題ではない。
全体を眺めれば、これはアメリカが現在進行形で行っている軍国主義の一環であり、
それに喜々として従おうとしている日韓与党の戦争病を如実に示すものなのだ。


日本におけるイスラム差別

2016-07-08 00:05:15 | 日本政治
前回、軽く日本におけるイスラモフォビアについて触れたが、
これに関連して数日前に掲載されたスプートニク紙の記事を紹介したい。


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日本にいるムスリムへの当局の監視については、
2010年の警察情報の大量漏洩で知られるようになった。

そこには彼らの通うモスクや、名前、住所、風貌、交友関係など、あらゆる個人情報が含まれていた。
情報共有サイトには数週間で20カ国から1000万人以上のユーザーのダウンロードがあった。

宮坂直史防衛大学教授は、
 
 これは日本の対テロ史上最大の失敗である。警察と情報提供者との間の信頼と協力を通じて
 潜在的な脅威に関する情報を収集する治安機関の評判が傷ついたためだ。

 その後まもなく、日本のイスラム教徒のグループが(中には日本人もいた)、東京都と政府を提訴した。
 このような措置は違法であり、信教の自由を侵害するものである、とのことだった。

 アルジャジーラによると、裁判所は、補償として原告に88万ドルを支払うことを命じた。
 しかし裁判所は、テロ防止の必要性を考慮し、監視の停止については決定を取らなかった。

 モハメッド・フジタさんは日本人。20年以上前にイスラム教に改宗した。
 氏は、これではすべてのイスラム教徒が自動的にテロの容疑者になってしまう、と言う。
彼らは私たちをテロ容疑者にしてしまった。我々は違法なことなど何もやっていない」とフジタ氏。

日本の裁判所の判決に対し、スプートニクの取材に応じた
イスラム研究センター基金のマルジャニ・イルシャト・サエトフ学術代表が見解を示した。


「私は、このやりかたは人権を侵害している、と思う。
 連帯責任の原則が特定の人種、国籍、社会集団や宗派に課されてはならない。
 イスラム教徒の99.9%は平和な人々であり、誰にも害を及ぼさない。

 一方、治安機関と警察は、犯罪やテロリストとの関連を疑われている人を追跡する必要がある。
 裁判で、原告の弁護士は、日本のイスラム教徒人口の98%以上が監視下にあった、と述べた。

 しかし、私は日本ですべてのイスラム教徒が追跡されていたとは思わない。
 おそらく追跡は特定の個人に対して行われており、インターネットに流出した
 114件の警察ファイルから判断すると、おそらくその人々こそ最も強い疑いがかけられていた。

 この人々にはもしかしたらインターポールや外国の特務機関も追跡を行っていたかもしれない。
 しかし、日本の当局がイスラム教徒へのスパイ行為を容認する最高裁判決に関する情報を
 「ミュート」するために最善を尽くしたことは注目に値する。

 どうやら彼ら自身、特定の宗教グループを追跡することは正しいことではない、
 ということを理解しているらしい。ここには矛盾が見られる。

 一方で、裁判所は、原告に有利な判決を下し、補償を与えている。
 一方で、監視は必要であると認定された。私は追跡の性質についてはデータを持っていないが、
 おそらく、最高裁は国家安全保障の観点から問題を検討しており、
 下級裁判所は単に法律の条文に従ったのだろう」

元NSA職員エドワード・スノーデン氏も意見を述べている。

まず第一に、何の犯罪にも関わっていないイスラム教徒が苦しむ。
 日本でテロが最後に行なわれたのは20年前の 「オウム真理教」事件で、
 東京地下鉄へのガス散布により13人が死亡、6000人以上が負傷した。
 それはイスラム教徒のグループではなかった。
 単に教祖を日本の皇帝にしようとした狂信者の犯行に過ぎなかった」

とスノーデン氏。イスラム・トゥデイが報じた。

日本の国外では、日本人はしばしばイスラム過激派のテロの犠牲者になっている。
7月1日に発生したダッカの人実事件では、報道によると、日本人7人を含め、20人が殺害された。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160705/2423847.html
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重要なことは、イスラム原理主義者の犠牲者の多くはイスラム教徒であるということである。
ムスリムの多様性を無視して、悪戯に敵視する。これは日本に限られた話ではない。

例えばフランスのパリで起きた同時多発テロ事件は大きく取り上げられる一方で、
シリアやレバノンで日常的に起きるテロに対してはこれといった批判が起きない。

こういう矛盾が当たり前のように受け入れられている。
そのため、フランスの知識人の中には日本はまだマシと答える人間もいる。


とはいえ、彼らは日本当局がムスリムを監視していたことは知らないわけで、
ムスリムに対する偏見を助長させるような真似を政府が行っているという点では
フランスとどっこいどっこいである。


加えて、ヨーロッパが歴史的にイスラム圏と衝突していたのに対して
日本はこれといってイスラム圏と敵対したことがないことを思えば、
むしろ、イスラムに対する過剰な恐怖心は日本のほうが勝っているのかもしれない。