時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ラテン・アメリカの風

2014-01-30 23:53:41 | リビア・ウクライナ・南米・中東
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中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)の第2回首脳会議が
28日、キューバの首都ハバナで開幕しました。


議長国キューバのラウル・カストロ国家評議会議長は
開会演説で、米国による通信傍受・情報監視活動を
批判するとともに、中南米カリブ海の各国が戦争を放棄する
「平和地帯宣言」を行うことなどを提起しました。



カストロ議長は、昨年明らかになった米国家安全保障局
(NSA)による各国元首や国際機関などを標的としたスパイ
活動について「国際法と諸国家の主権の明白な侵害」と指摘。
諜報(ちょうほう)機関の活動によって戦争が引き起こされる
可能性があることに強い懸念を表明しました。


そのうえで、中南米カリブ海地域を「戦争と、武力の行使
および行使の威嚇を永久に放棄する平和地帯と宣言することを
提案する」と訴えました。
平和地帯内では、加盟国間の
意見の違いを「国際法の諸原則に基づいて、平和的な手段と
交渉によって解決する」と説明しています。


今回の会議の中心テーマは「貧困・飢餓・不平等とのたたかい」。

カストロ議長によると、中南米カリブ海地域における
2012年の貧困層、極貧層の割合はそれぞれ28・2%、
11・3%です。

同議長は、貧困削減で一定の前進はあるが、
その速度は「遅々としている」と語りました。


カストロ氏は、貧困や飢餓の問題の解決のためにも、
非識字率や就学率を引き上げるなど国民の教育水準の向上が必要だと主張。
各国首脳が、それを実行する「政治的意思を持たなければならない」と指摘しました。


首脳会議は29日まで。
最終文書やテーマ別の諸決議を採択するとともに、
1年交代の新議長国を選出します。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-30/2014013007_01_1.html
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個人的な恨みで日本共産党を蛇のように恨み続けるK・M氏はキューバを
「一党独裁・党治国家=他政党禁止・人権侵害の政治犯罪国家・政党」と語る。


人権侵害の政治犯罪国家が中南米同盟の議長国として
大国に抵抗し戦争を禁じ貧困を撲滅しようと投げかけている。

他方で、積極的平和主義と称して軍拡を推進する日本。
この差は一体なんなのだろうか・・・・・・


セラック(中南米カリブ海諸国共同体)とは、
2011年12月2日、ベネズエラのカラカスで正式に発足した同盟で、
アメリカに対抗し平等な国際秩序の構築などを目標としている。

おそらく、今の日本のソコソコ左翼(=コソコソ右翼)が
かつて目指していた夢を最も体現した共同体ではなかろうか?



歴史的にラテン・アメリカは欧米に侵略され続けた大陸だった。
そのためか、冷戦が終わった今も彼らの資本主義と大国に対して
戦い続ける意思は衰えることがない。アメリカが大国である限り
彼らは紆余曲折を経ながらも抗い続けるのだろう。


実を言うと私は、次の風はラテン・アメリカで吹くのではないかと
考えている。かつてこの風はロシアから吹き、世界中に抵抗の
息吹をもたらしたが、組織や国家は純血であらねばらならないと
信じる人間たちの手によって窒息させられてしまった。


だが、風は止むことがない。日本の左翼がとっくの昔に
捨ててしまった信念を貫き通すだけの気概が彼らにはある。

カストロ兄弟もまもなく世を去るのだろうが、
キューバはベトナムや中国のように市場主義を取り入れたり
あるいはロシアや東欧のように欧米化してほしくない。

ベネズエラはチャベスが亡くなった後も、
幸い、ニコラス・マドゥロが彼の意思を継いでくれた。

キューバもまたカストロの遺志を継いでくれる人物が
現れるのを願うばかりである。

今月の「世界」を読んで

2014-01-30 00:56:10 | 反共左翼
冷戦が終わり、左翼と右翼の境界がなくなったと言われて久しい。


とんでもない話である。
正確には、左翼が右傾化したのだ。



日教組といい解放同盟といい、丸山眞男や吉本隆明といい、
日本の戦後左翼の多くは日本共産党と対立してきた(今もそうだが)。

すなわち、反共左翼である。


彼らの多くは共産党抜きの社会改革を目論んだが、
それは逆からいえば共産主義を封じ込めるための改革に
とどまり、結果的に右翼の尖兵となって共産党を攻撃し続けた。

要するに、共産主義社会にさせないための改革であり、
さらに言えば「日本共産党を与党にさせないための改革」だった。

そのため、本質は反共なので
きっかけさえあればすぐにでも転向できる連中だったのである。


そして案の定、冷戦が終結後、用済みとなった彼らは
簡単に保守派に切り捨てられ、ある者はそのまま自滅し、
またある者はリベラルとか中道とか言いながら、政府や社会に
そこそこ反対するだけの事実上の体制支持者になり下がった。

この動きは実は出版社にもあてはまり、
一見、体制に逆らった本を売っているようで
実のところ、お上にベッタリな本を売るようになった。


岩波書店はそういう「そこそこ左翼」の典型的な出版社で、
自他共に日本を代表する左派系出版社と認められているが、
実際にはアベノミクス礼賛者や慰安婦制度を美化する人間の
本を平気な顔で売りつけている会社である。

さて、そんな岩波書店の月刊誌に「世界」というものがある。

これは一応は抵抗勢力側の雑誌として見られているが、
「内容が右傾化した」と多く批判されているシロモノでもある。


今月号の特集は「空洞化する民主主義」だったが、
執筆者をよく見るとなんと山口二郎氏がいるではないか。

山口二郎氏といえば、
小選挙区制度や二大政党制を主張した御仁である。

この制度はどちらも民主主義を衰弱させた悪法なのだが、
もしかして岩波書店はギャグでこんな特集を組んだのか?

つまり…岩波とつるんでるインテリ共のせいで
空洞化する民主主義って意味なのだろうか?



はっきり言って私はこの特集記事を読んで
ふざけんな」と思った。空洞化させたのは
間違いなく山口であり、彼の主張をバックアップした岩波ではないか。


この出版社はイラク戦争の直前にも岩波新書で
サダム・フセインを非難する本を出版し、結果的に
日本のイラク戦争支持を後押しすることになった前科がある。


もちろん表向きは反対するポーズをとった。
だが、考えてみてほしい。


「フセイン政権は独裁なんだ!イラクには自由がないんだ!
 クエートやイランにも侵略したんだ!国民は苦しんでいるんだ!」
 という論調こそ、戦争主義者たちが最も求める意見ではないのか!?




北朝鮮や中国に対しても同じような調子で、右派の識者も招き
いかにこれらの国が歪んでいるかを書かせた後で、
申し訳程度に「戦争ハンターイ(ぼそっ)」と
つぶやくのが果たして反権力と言えるのか?


そこそこの善ほど卑劣な悪はない。


ここ数年の日本の軍国化は中国や北朝鮮の脅威を口実に行われた。
この間、反共左翼たちは形式的に反対者を演じてはいたが、
その間にも他国の悪いイメージをせっせと流していた。

要するにNoと言いながらも
Goサインを送っていたのである。


このことは慰安婦問題の本を出版しながらも
その制度を弁護する日本兵の本を載せたり、
アベノミクスを批判しながら、
それを絶賛する経済学者の本を売るやり方からも明らかである。

「世界」はアベノミクスを批判しているが、はっきり言って
 こういう経済政策が生まれるきっかけになったのは自分たちのせいでもある。

 そのへんの自覚がものすごく足りない出版社なのだ。


もっとも、これは岩波に限った話ではない。
平凡社や中央公論新社、新評論、青木書店、合同出版社など
かつては左派系のお堅い本を売っていた会社が軒並み
そこそこ左翼になっている。こういう本屋はいきなり保守化すると
売上が落ちると判断してか、少しずつ自分の立ち位置をスライドさせている。

何度も言うが、冷戦以降、左翼と右翼の境界線が消えたのではない。
左翼が右翼にすり寄り、結果的に吸収されているのである。


こういう状況のなか、個人的には高文研とスペース伽耶、
桜井書店と昭和堂、そして新日本出版社は異端として健闘していると思う。

リベラル、中道という聞こえの良いセリフで自分たちの転向を
粉飾するこの時勢、これら出版社が少しでも永らえてくれることを望む。