おばあちゃんの衣類を片づけている。
半纏や靴下など、わたしが使えるものはもらった。
やがて、わたしが二代目おばあちゃんになるだろう。
誰か着てくれる人でもあれば良かったけど、
仕方なく、沢山片づける事になった。
プラスティックゴミの日に出せるのだけれど、月2回だけだし、
この雪の中、重くてバス停の所までゴミを出すのも大変である。
昨日はとても風が穏やかで、絶好の片付け日和だった。
落ちた屋根雪に大きな穴を掘り、その中で燃やした。


洋服が大好きで、1日に何回も着替えるのがおばあちゃんのお楽しみだったと思う。
長い時間をかけて集めた洋服である。晩年は整理する事も出来なくなり
セーターは穴だらけになったり、食べ物の汚れや排泄物の汚れでわやだった。
火事にならないと思うものの,ヒヤヒヤしながら片づけた。
見事にほぼ焼いてしまった。クレーターのような大きな穴に、黒く焦げた化繊の残骸だけが残った。
なんか虚しい気もするけれど、跡形もなく消えていくのはおばあちゃんだけではない。みんなそうだ。
おばあちゃんは時々わたしの中に登場する。
スーパーで野菜入のはんぺんを買う時、二人でよく食べたなと思い出す。
買って来たばかりのはんぺんを二人で分けて、
炊きたての白米で食べるその美味しさはおばあちゃんと共有できた。
旦那の留守に、二人でアメリカ産の牛肉のステーキもしたっけ。
何故か食べ物の事ばかりが思い出される。
まあいいや。わたしはまだ生きている。明日美味しいものを作って食べよう。
「生きてるうちが花なのよ」と坂村真民が言っているじゃん。
