ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

モンハンで生物の戦略を考えてみた

2010-06-16 00:11:16 | モンハン生態学
 これは、モンスターハンター(以下モンハン)を使って生物学について考えてみようという趣旨の記事です。基本的に参考資料としてハンター大全Gを使っていきます。ちなみに、僕自身がポータブル2Gしかやっていないのでトライやフロンティアのモンスターについて取り上げる予定は(今のところ)ありません。これは、僕自身がモンハンのモンスターの生態を自分の生態学や進化生物学の知識で解釈、分析してみたというものです。あたりまえですが、製作者のカプコンの発表があったら、そちらが優先されます。個人の解釈なんて聞きたくねえよという方は見ないことをお勧めします。では、第一弾はモンハンでも特に有名なモンスターの繁殖戦略についてです。
モンハンで有名なモンスターといえば、リオレウス(以下レウス)がトップにきますね。キークエストに武器防具のための希少素材にと、狩りまくられるモンスターです。

レウスには生態ムービーがあるので、それを見てみましょう(ムービーに出ているのはリオレイアというレウスの同種の雌です)。これを見ると、子供の数は一度に2,3匹ほどであることがわかります。また、子供に親がエサを持ってきていること、捕食者の来づらい安全な巣の中で育てられていることから、現実の猛禽類と類似した子育て方法をとっていることがわかります。このことから、それほど繁殖速度は早くないことが予想されます。おそらく、早くても1年に1度子供を育てるのが限界でしょう。
この様に、一度に生む子供の数が少なく、その子供の成長に投資して(つまりエサを運ぶなど手間暇をかけて育てる)、ある程度育てた状態で独り立ちさせる生物の繁殖戦略をK戦略と呼びます。大型の動物によく見られる繁殖戦略です。具体的にはゾウやクジラですね。
一方で、一度に子供をたくさん産む半面、子供の成長にあまり投資しない、つまり、子供をほとんど育てずに独り立ちさせる繁殖戦略もあります。こちらのことをr戦略といいます。ネズミをイメージしてもらえるとわかりやすいでしょうか。小型の生物によく見られる繁殖戦略です。
この様に生物には大きく分けて2つの繁殖戦略があるわけですが、どうしてこのような違いが生じるのでしょうか?おおざっぱに言うと、その生物がおかれた環境の違いによるものです。冒頭で話の枕にさせてもらったレウスの例でいえば、成体のレウスを捕食するモンスターはほとんどいません。しかし、レウスが生きていくためには他のモンスターを狩らなくてはならず、それにはある程度の力量がいります。モンハンでいえば、ランポス(小型の肉食モンスター。ゲーム内における雑魚)などは集団でなければアプトノスのような大型の獲物を狩ることができませんが、レウスは単体でそれができます。それは体が大きく力が強いためです。しかし、単体で狩りができるまでに成長するのは時間がかかります。
レウスの場合は、成体を捕食する天敵がほぼおらず、少ない子供の数でも、成長さえしてしまえば育てるだけの価値があるので、子供にたくさん投資するK戦略に進化の過程でなっていったわけです。
・・・・・・とここまでr-K戦略に基づいた仮説を書いてみたのですが、仮に鳥類と類似した生態を持つ場合、成体の大きさではなく、繁殖開始年齢と相関している可能性もあります。この面からの仮説も僕がきちんと勉強してから立ててみたいところです。

参考
これからの進化生態学 Peter Mayhew著 共立出版

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