見てきました![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0151.gif)
三菱一号館美術館![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0235.gif)
会期は2014年1月30日から2014年5月6日。
今回、唯美主義を取り扱った日本で初の展覧会。
ロンドン、パリ、サンフランシスコと巡回した「カルト・オブ・ビューティ展」を再構成したものです。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点の展示。
長~くなるので、2回に分けて書いていきます。
今日はその2です。
(その1はこちら→「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (その1)」)
今回、展示されていた順に書いています。
出品目録と順番が違ったり、また、目録に書いてある項目と展示されていたところが違う点もあります。
《Whistler and Godwin:ホイッスラーとゴドウィン》
日本美術の影響を強く受けた画家ホイッスラーと、同じく、日本の影響を受けた建築家ゴドウィンの交流がここでは展示されています。
エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「サイド・テーブル」
シンプルなテーブルです。
これはゴドウィンの最高傑作の1つ。
軽くて実用的なため、模倣され普及していったそう。
エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「飾り戸棚(フォーシーズンズ・キャビネット)」
普通の戸棚ともっとも違う点は棚の中ほどの扉のデザイン。
釣鐘型の窓に格子となっています。
そしてそこには4つの絵。
これらは、北斎漫画から倣ったものだそう。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン:黒と金 -輪転花火」
暗い暗い背景の中、打ち上げられた回転花火の火の粉を描いています。
これまで展示されてきた作品とは違い、抽象的です。
同じテーマで描かれたノクターンという6作品のうちの1点。
この「ノクターン」たちですが、1877年にグローヴナー・ギャラリーに出品されます。
これを批評家のジョン・ラスキンが酷評。
"公衆の眼前に絵具の壷を投げつけたようなものだ"と。
それに怒ったホイッスラーは名誉毀損でラスキンを訴えます。
ホイッスラーは訴訟に勝ちはしたものの、得た賠償額はわずか1ファージング。(4分の1ペニー)
裁判費用の足しにもならず、多額の訴訟費用を支払うためにできたばかりの自宅を売却するはめになりました。
なお、ラスキンもダメージを受け敗訴&オックスフォード大学美術講座教授を辞することとなりました。。
《Whistler's Etchings:ホイッスラーのエッチング》
ホイッスラーは独自のテイストで19世紀のオリジナル版画の地位を向上させました。
が、実際はラスキンとの訴訟で失った金銭を稼ぐために制作したものだったそう。。
ここではそれらの作品が展示されています。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン -パターシー地区からみたテムズ川」
霧に包まれたテムズ川。
川には人影、奥には建物と光が見えます。
幻想的です。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「戸口」
古めかしい建物の戸口からこちらを見ている人が見えます。
手前には川。
なんだか不思議の世界をのぞいているかのよう。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「サン・ビアッジョ」
ヴェニスの景色を描いた作品たちのうちの一つ。
アーチをくぐるゴンドラや古めかしい景色がどことなく神話の世界のようでもあります。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「刺繍の施されたカーテン」
細密です。
窓のカーテンの刺繍の草花模様までしっかりと見えます。
ホイッスラーの版画全体にいえることですが、そこから物語が続くような、そんな印象。
《House Beautiful:ハウス・ビューティフル》
唯美主義は絵画芸術としてだけではなく、応用芸術として室内装飾などを含み"ハウス・ビューティフル"といった日常生活にも美を取り入れるという概念を生み出します。
こうした中で唯美主義芸術家の自宅は唯美主義の装飾で彩られ"芸術の殿堂"と呼ばれるようになります。
これらは事などを通じて、上流・中流階級の強い共感と憧れの的となり、人々の芸術への考え方や家の中を変えていきました。
アンナ・アルマ=タデマ「「タウンゼンド・ハウス」応接間、1885年9月10日」
ローレンス・アルマ=タデマの自宅兼アトリエを描いたもの。
艶やかな床、ペルシア産の絹織物、天井から吊るされた鳥かご。。
すべてが美しい。
水彩で描かれているのですが、色も濃厚でびっくり。
さらにこれを描いたのが、17歳の娘、アンナだということにもびっくり。
アーサー・シルヴァー「応接間のデザイン」
アーサー・シルヴァーはさまざまなデザインを手がけ、商業的工房の先駆けとなりました。
ここに描かれている部屋にはうちわや鶴の絵らしきものが見えるなど、日本文化の影響が見えました。
《Art Manufactures;Aesthetic Designers and Commercial Enterprise:「美術産業製品」-唯美主義のデザイナーと営利企業》
唯美主義が定着していくにつれ、どのように製品を作るかということが問題になっていきます。
手工業と量産の両立をいかになりたたせるか、が課題となりました。
ブルース・ジェイムズ・タルバート「壁紙「ひまわり」デザイン」
装飾的に並べられたひまわりがおしゃれで素敵です。
少ない色彩で大小さまざまなひまわりが咲き誇っています。
ウォルター・クレイン「太陽模様の壁紙(部分)」
くねくねしています。
淡い緑と淡い黄色が使われ、おしゃれで可愛らしい印象に。
ウィリアム・ド・モーガン「壺」
鳥の描かれた青い色でまとめた壺。
鳥はくじゃく、かなぁ。。
足が長いので違う気もするのですが。
エドワード・バーン=ジョーンズとジョン・ヘンリー・ダール「タペストリ「ポモーナ」」
バーン=ジョーンズが下絵を手がけたタペストリ。
伝統にのっとって手織りで作ったため、高額商品だったそう。
花の咲き乱れる場所で果物を持った女性が立っています。
古代的です。
ジョージ・C・ヘイテ「布地「コウモリ」」
こうもりと桔梗と菊、かなぁ。
これらが並んで模様を成しています。
金糸で美しい。
ルイス・フォアマン・デイ「布地「ナルキッソス」」
深い緑色の中に水仙がリズミカルに配置された布地。
名前はもちろんギリシャ神話のナルキッソスのお話からですね。
確かに見とれる美しさ。
ルイス・フォアマン・デイ「掛時計」
黒檀調の木材に彩色したもの。
月をモチーフとしていて神話の世界のような幻想的なものとなっています。
エドワード・バーン=ジョーンズ「刺繍作品《弓を持ち鳩の群れの下で子供たちに囲まれて立つアモル》下絵」
画題はダンテ「神曲」から。
赤い翼を広げたアモルが子供たちに囲まれています。
下絵だからか全体的に粗い気がします。
《Oscar Wild, the Aesthetic Movement and Satire:オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺》
アイルランド出身の詩人で作家のオスカー・ワイルド。
19世紀末において欠かすことのできない人です。
その生き方は唯美主義と共鳴し、一時代のアイコンとまでなりました。
が、男色の罪に問われ収監。
出獄後は失意から回復せず、人気も回復せず。
そのまま亡くなりました。
それは唯美主義の落日に大きな影響を与えました。
私は彼の"自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから"という言葉が好きです。
ここは唯美主義に対する風刺画などがありました。
《'Book Beautiful':美しい書物(ブック・ビューティフル)》
唯美主義は絵画、家具などだけではありません。
本でさえも美しくしようとしていきます。
マックス・ビアボーム「オーブリー・ビアズリーの諷刺画」
頭が大きくおかっぱでするどい顎。
細身で鼻の大きな人だったそうですが。。
諷刺画とはいえ、、悪意を感じます。笑
《Decadence of Aestheticism:唯美主義におけるデカダンス》
ここでは先ほど諷刺されたビアズリーの素描などが展示されています。
オーブリー・ビアズリー「クライマックス -サロメ」
美しい。
有名ですが。
サロメがヨカナーンの首を手に入れて口づけする、その場面。
首から滴り落ちる血が池を作り、そこから花が咲く。
なんとも不気味で幻想的。
25歳の若さで亡くなったことが残念でなりません。。
チャールズ・リケッツ「オイディプスとスフィンクス」
緻密で構図も素晴らしい作品。
旅人に謎かけをして、間違えれば殺してしまうスフィンクス。
そんな妖しさが溢れています。
シメオン・ソロモン「月と眠り」
星が輝く中、眠る人を見つめる擬人化された月。
月って女の人で表現されることが多いのに、これは中性的というか、男性みたいにも見えます。
眠る人も男性。
ソロモンは同性愛でつかまったこともあるとか。
うん、、まさかね。
《Glorious Sunset:Late Aesthetic Painting and 'New Sculpture':輝かしい落日-唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」》
最後です。
唯美主義の終わり。。
時代の寵児だったワイルドとともに終わったように見えた唯美主義ですが、世紀末デカダンスにつながるものを残しながら終わりを迎えました。
フレデリック・エヴァンス「階段の海」
写真です。
階段を下から撮ったもの。
緩やかなカーブを描き続いていく階段は別世界に行けるよう。
美しいです。
ジョージ・フレデリック・ワッツ「内奥の世界の住人」
この作品は心の中を描いたものだそうで幻想的。
額に星を付け、背に翼のある女性が頬に手をついて考え込んでいます。
ひざには矢とトランペット。
翼は良心、矢は見せかけを突きぬけ、トランペットは世界に向けて真実を宣言するもの、だそう。
心の奥底って難しい。。
アルバート・ムーア「真夏」
今回のチラシにも使われている作品。
オレンジ色の服を身にまとい、椅子に座り眠っているかのように目を瞑る女性。
椅子はマリーゴールドの花が飾られています。
両脇には扇子を持ち、風を送る女性。
その眠りを妨げないように、と守っているかのよう。
夏のけだるさと静けさが同居しています。
"唯、美しく"
なんて美しいんだろう。
息を呑むほど、、しばしその前から離れられません。
以上になります。
とてもとてもおもしろいものでした。
唯美主義について色々知れる、また作品の見れる数少ない機会です。
まだまだ会期がありますから、その美しい世界をぜひ体感していただきたいなと思います。
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三菱一号館美術館
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会期は2014年1月30日から2014年5月6日。
今回、唯美主義を取り扱った日本で初の展覧会。
ロンドン、パリ、サンフランシスコと巡回した「カルト・オブ・ビューティ展」を再構成したものです。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点の展示。
長~くなるので、2回に分けて書いていきます。
今日はその2です。
(その1はこちら→「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (その1)」)
今回、展示されていた順に書いています。
出品目録と順番が違ったり、また、目録に書いてある項目と展示されていたところが違う点もあります。
《Whistler and Godwin:ホイッスラーとゴドウィン》
日本美術の影響を強く受けた画家ホイッスラーと、同じく、日本の影響を受けた建築家ゴドウィンの交流がここでは展示されています。
エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「サイド・テーブル」
シンプルなテーブルです。
これはゴドウィンの最高傑作の1つ。
軽くて実用的なため、模倣され普及していったそう。
エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「飾り戸棚(フォーシーズンズ・キャビネット)」
普通の戸棚ともっとも違う点は棚の中ほどの扉のデザイン。
釣鐘型の窓に格子となっています。
そしてそこには4つの絵。
これらは、北斎漫画から倣ったものだそう。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン:黒と金 -輪転花火」
暗い暗い背景の中、打ち上げられた回転花火の火の粉を描いています。
これまで展示されてきた作品とは違い、抽象的です。
同じテーマで描かれたノクターンという6作品のうちの1点。
この「ノクターン」たちですが、1877年にグローヴナー・ギャラリーに出品されます。
これを批評家のジョン・ラスキンが酷評。
"公衆の眼前に絵具の壷を投げつけたようなものだ"と。
それに怒ったホイッスラーは名誉毀損でラスキンを訴えます。
ホイッスラーは訴訟に勝ちはしたものの、得た賠償額はわずか1ファージング。(4分の1ペニー)
裁判費用の足しにもならず、多額の訴訟費用を支払うためにできたばかりの自宅を売却するはめになりました。
なお、ラスキンもダメージを受け敗訴&オックスフォード大学美術講座教授を辞することとなりました。。
《Whistler's Etchings:ホイッスラーのエッチング》
ホイッスラーは独自のテイストで19世紀のオリジナル版画の地位を向上させました。
が、実際はラスキンとの訴訟で失った金銭を稼ぐために制作したものだったそう。。
ここではそれらの作品が展示されています。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン -パターシー地区からみたテムズ川」
霧に包まれたテムズ川。
川には人影、奥には建物と光が見えます。
幻想的です。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「戸口」
古めかしい建物の戸口からこちらを見ている人が見えます。
手前には川。
なんだか不思議の世界をのぞいているかのよう。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「サン・ビアッジョ」
ヴェニスの景色を描いた作品たちのうちの一つ。
アーチをくぐるゴンドラや古めかしい景色がどことなく神話の世界のようでもあります。
ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「刺繍の施されたカーテン」
細密です。
窓のカーテンの刺繍の草花模様までしっかりと見えます。
ホイッスラーの版画全体にいえることですが、そこから物語が続くような、そんな印象。
《House Beautiful:ハウス・ビューティフル》
唯美主義は絵画芸術としてだけではなく、応用芸術として室内装飾などを含み"ハウス・ビューティフル"といった日常生活にも美を取り入れるという概念を生み出します。
こうした中で唯美主義芸術家の自宅は唯美主義の装飾で彩られ"芸術の殿堂"と呼ばれるようになります。
これらは事などを通じて、上流・中流階級の強い共感と憧れの的となり、人々の芸術への考え方や家の中を変えていきました。
アンナ・アルマ=タデマ「「タウンゼンド・ハウス」応接間、1885年9月10日」
ローレンス・アルマ=タデマの自宅兼アトリエを描いたもの。
艶やかな床、ペルシア産の絹織物、天井から吊るされた鳥かご。。
すべてが美しい。
水彩で描かれているのですが、色も濃厚でびっくり。
さらにこれを描いたのが、17歳の娘、アンナだということにもびっくり。
アーサー・シルヴァー「応接間のデザイン」
アーサー・シルヴァーはさまざまなデザインを手がけ、商業的工房の先駆けとなりました。
ここに描かれている部屋にはうちわや鶴の絵らしきものが見えるなど、日本文化の影響が見えました。
《Art Manufactures;Aesthetic Designers and Commercial Enterprise:「美術産業製品」-唯美主義のデザイナーと営利企業》
唯美主義が定着していくにつれ、どのように製品を作るかということが問題になっていきます。
手工業と量産の両立をいかになりたたせるか、が課題となりました。
ブルース・ジェイムズ・タルバート「壁紙「ひまわり」デザイン」
装飾的に並べられたひまわりがおしゃれで素敵です。
少ない色彩で大小さまざまなひまわりが咲き誇っています。
ウォルター・クレイン「太陽模様の壁紙(部分)」
くねくねしています。
淡い緑と淡い黄色が使われ、おしゃれで可愛らしい印象に。
ウィリアム・ド・モーガン「壺」
鳥の描かれた青い色でまとめた壺。
鳥はくじゃく、かなぁ。。
足が長いので違う気もするのですが。
エドワード・バーン=ジョーンズとジョン・ヘンリー・ダール「タペストリ「ポモーナ」」
バーン=ジョーンズが下絵を手がけたタペストリ。
伝統にのっとって手織りで作ったため、高額商品だったそう。
花の咲き乱れる場所で果物を持った女性が立っています。
古代的です。
ジョージ・C・ヘイテ「布地「コウモリ」」
こうもりと桔梗と菊、かなぁ。
これらが並んで模様を成しています。
金糸で美しい。
ルイス・フォアマン・デイ「布地「ナルキッソス」」
深い緑色の中に水仙がリズミカルに配置された布地。
名前はもちろんギリシャ神話のナルキッソスのお話からですね。
確かに見とれる美しさ。
ルイス・フォアマン・デイ「掛時計」
黒檀調の木材に彩色したもの。
月をモチーフとしていて神話の世界のような幻想的なものとなっています。
エドワード・バーン=ジョーンズ「刺繍作品《弓を持ち鳩の群れの下で子供たちに囲まれて立つアモル》下絵」
画題はダンテ「神曲」から。
赤い翼を広げたアモルが子供たちに囲まれています。
下絵だからか全体的に粗い気がします。
《Oscar Wild, the Aesthetic Movement and Satire:オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺》
アイルランド出身の詩人で作家のオスカー・ワイルド。
19世紀末において欠かすことのできない人です。
その生き方は唯美主義と共鳴し、一時代のアイコンとまでなりました。
が、男色の罪に問われ収監。
出獄後は失意から回復せず、人気も回復せず。
そのまま亡くなりました。
それは唯美主義の落日に大きな影響を与えました。
私は彼の"自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから"という言葉が好きです。
ここは唯美主義に対する風刺画などがありました。
《'Book Beautiful':美しい書物(ブック・ビューティフル)》
唯美主義は絵画、家具などだけではありません。
本でさえも美しくしようとしていきます。
マックス・ビアボーム「オーブリー・ビアズリーの諷刺画」
頭が大きくおかっぱでするどい顎。
細身で鼻の大きな人だったそうですが。。
諷刺画とはいえ、、悪意を感じます。笑
《Decadence of Aestheticism:唯美主義におけるデカダンス》
ここでは先ほど諷刺されたビアズリーの素描などが展示されています。
オーブリー・ビアズリー「クライマックス -サロメ」
美しい。
有名ですが。
サロメがヨカナーンの首を手に入れて口づけする、その場面。
首から滴り落ちる血が池を作り、そこから花が咲く。
なんとも不気味で幻想的。
25歳の若さで亡くなったことが残念でなりません。。
チャールズ・リケッツ「オイディプスとスフィンクス」
緻密で構図も素晴らしい作品。
旅人に謎かけをして、間違えれば殺してしまうスフィンクス。
そんな妖しさが溢れています。
シメオン・ソロモン「月と眠り」
星が輝く中、眠る人を見つめる擬人化された月。
月って女の人で表現されることが多いのに、これは中性的というか、男性みたいにも見えます。
眠る人も男性。
ソロモンは同性愛でつかまったこともあるとか。
うん、、まさかね。
《Glorious Sunset:Late Aesthetic Painting and 'New Sculpture':輝かしい落日-唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」》
最後です。
唯美主義の終わり。。
時代の寵児だったワイルドとともに終わったように見えた唯美主義ですが、世紀末デカダンスにつながるものを残しながら終わりを迎えました。
フレデリック・エヴァンス「階段の海」
写真です。
階段を下から撮ったもの。
緩やかなカーブを描き続いていく階段は別世界に行けるよう。
美しいです。
ジョージ・フレデリック・ワッツ「内奥の世界の住人」
この作品は心の中を描いたものだそうで幻想的。
額に星を付け、背に翼のある女性が頬に手をついて考え込んでいます。
ひざには矢とトランペット。
翼は良心、矢は見せかけを突きぬけ、トランペットは世界に向けて真実を宣言するもの、だそう。
心の奥底って難しい。。
アルバート・ムーア「真夏」
今回のチラシにも使われている作品。
オレンジ色の服を身にまとい、椅子に座り眠っているかのように目を瞑る女性。
椅子はマリーゴールドの花が飾られています。
両脇には扇子を持ち、風を送る女性。
その眠りを妨げないように、と守っているかのよう。
夏のけだるさと静けさが同居しています。
"唯、美しく"
なんて美しいんだろう。
息を呑むほど、、しばしその前から離れられません。
以上になります。
とてもとてもおもしろいものでした。
唯美主義について色々知れる、また作品の見れる数少ない機会です。
まだまだ会期がありますから、その美しい世界をぜひ体感していただきたいなと思います。
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