RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

クリーブランド美術館展 -名画でたどる日本の美

2014-02-06 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館

会期は2014年1月15日から2014年2月23日。

今回の「クリーブランド美術館展」
同じく東京国立博物館で開催の「人間国宝展」
東京都美術館で開催の「世紀の日本画」
この3つの展示で『日本美術の祭典』とされています。

この3展共通の前売り券、1,000円という価格のものが、2013年8月1日から限定5,000枚で発売され話題にもなりました。
私ももちろん買ったよ!!
それ以降の共通前売りも2,400円とかなり安いものだったけど、1,000円で3つ見れるなんてお得以外の何ものでもない!!

と言うわけで。
昨年8月に購入して約半年暖め続けたチケットを手に行ってきました!!

クリーブランド美術館。
アメリカのオハイオ州クリーブランド市にある全米有数の規模の総合美術館です。
収蔵点数は70,000点、展示室の数は70を数えます。
日本美術のコレクションは、古代から江戸、近代にまで及び、ボストン美術館やメトロポリタン美術館に匹敵する全米屈指の規模と質を誇ります。
今回は平安から明治に至る、選りすぐりの日本絵画40件余りと中国、西洋絵画を加えた約50件の展示です。

今回、展示の見所として下記、4点が挙げられていました。
1.全米屈指の規模と質を誇るクリーブランド美術館の日本美術コレクションが里帰り。
2.雪村、始興、蘆舟、蕭白に暁斎。人気の絵師が勢ぞろい。
3.平安から明治まで、日本絵画の流れと魅力を約50件の名品でたどる。
4.ピカソ、モネ、ルソーなど、西洋絵画の名品も来日
きぇぇぇぇ!!
楽しみ。

《第一章 神・仏・人》
まずは神仏や人の姿の表現について。
日本の絵画は中国からその主題と表現を学びましたが、日本の信仰感情や風土にあわせ、時代ごとに変遷していきます。

「伊年」印 「雷神図屏風」
「風神雷神図屏風」といえば俵屋宗達の「風神雷神図屏風」がよく知られています。
国宝ですし。
他には尾形光琳、酒井抱一の描いたものが。
この作品は「雷神」のみが描かれたもの。
「風神」はもう一隻に描かれていたのかな。。
顔はどことなくユーモラスで怖さを感じるものではありません。
なんだか、、一番最初がこれなんだ。。。と気が抜けてしまう作品。
なお、宗達の「風神雷神図屏風」は東京国立博物館平成館で3月25日から開催の特別展「栄西と建仁寺」で約5年ぶりに公開されます。
と、同時期に尾形光琳の「風神雷神図屏風」(重要文化財)も東京国立博物館本館2階の「日本美術の流れ」7室で公開されるそうです。
これは見逃せませんね!!

「釈迦如来像」
東福寺伝来のもの。
若冲が制作した仏画の原本としても知られているもの。
どことなく不安げな表情に見えます。
あと気になったのは手。
白くて長い爪が気になってしまいました。。
切ろう。

「文殊菩薩及び眷属像」
眷属従え、獅子に乗る文殊が描かれています。
獅子は目と口を開き咆哮しているかのよう。
対して文殊はすっと静かに前を見つめています。
静と動の組み合わせ。

「仁王経曼荼羅」
仁王経曼荼羅とは鎮護国会を祈る仁王会で使われたもの。
色はありませんが、伸びやかな線ですっきりと描かれ美しい。
それぞれの表情もとてもいいです。

「二河白道図」
仏教説話画です。
色も明るく美しい。
上部に描かれた極楽浄土にたどり着くには、現世の様々な誘惑に打ち勝つことが必要です。
執着心をあらわす水河と越え、人々の怒りや憎しみを表す火河を越え。
細い白い道を辿ることで極楽浄土へたどり着くのです。
その信仰が分かりやすく表現されています。

「遊女物語絵巻断簡」
都の貴公子と遊女の間の子供が中宮となるお話。
画中に人物のセリフが書かれ、さながら漫画のよう。
細く伸びやかな線で描かれた宮中や人物が美しい作品。

春屋宗園賛「霊昭女図」
描かれているのは唐の仏教者、ほう居士の娘、霊昭女。
ほう居士は悟りを啓き財産をなげうったため、生活は苦しかったようで。。
霊昭女は竹籠を売り両親に孝を尽くしたそう。
禅僧の間で好まれた画題です。
色彩はほぼなく、落ち着いた印象。
神々しささえ感じられるような美しさです。

「融通念仏縁起絵巻」
融通念仏縁起絵巻とは、融通念仏を広めた良忍の伝記。
原本にごく近いものとしてこのクリーブランド版は知られています。
またシカゴ美術館にも良く似たものが。
色鮮やかです。
特にオレンジ色が目に眩しいほど。
状態良すぎて驚きです。

「福富草紙絵巻」
滑稽譚「福富草紙」を描いた室町時代の絵巻です。
放屁の芸で長者となった高向秀武と、その成功を羨んで真似をし、失敗した福富を描いたもの。
展示されているのは福富が失敗するシーン。
芸に失敗し、袋叩きにあった福富。
血だらけで笑いものにされながら帰るシーンからしてちょっと笑えるのですが。
なにを思ったかそれを遠くから見た福富の妻はお金持ちになって帰ってきたと勘違い。(どこで!??)
「新しい服を買えばいいから、今ある服はいらないわ~」
と着物を全部燃やしてしまいます。(なぜそうなる。。)
家に着いた福富。
着るものがなく、寒さに震えるのです。。
裸で震えているさまは、おかしいというか、かわいそうといつか。。
哀愁誘います。

渡辺崋山「大空武左衛門像」
ものすごく大きな掛け軸に描かれているのはものすごく大きな男性。
見上げるほどです。
熊本半お抱えの力士、武左衛門。
なんと身長は7尺3寸(約227cm)もあったとか!!
この作品、等身大で描かれているそう。。。
牛を跨げるほど足が長いことから"牛跨ぎ"との愛称も。
すごすぎるよ。。
隣の壁に実寸代のコピーと手形のコピーがあったのですが、大きい!!
背も高いけど、手も大きい。
びっくりです。

田村水�貎「待人図」
微妙な距離で話す男女とそれを御簾の中からのぞく3人の女性。
「うまくいくかしら」といったところでしょうか。
私もこれを見ながら御簾の中の3人の気持ちに。
ちょっとキュンとします。笑
着物など色彩も綺麗で、流れるような筆遣いも美しい作品。

山本梅逸「群舞図」
室内で踊る男女を描いた作品。
といっても、はっきり描かれているのではなく、障子に写るシルエット。
左端の障子だけ少し開いていて、赤と青の華やかな着物で舞う女性が見えます。
そこからでも室内のにぎやかさが伺えます。
明るい室内と対照的に、屋外は暗く静か。
おもしろい作品です。

窪俊満「唐美人図」
屋外に立つ女性が一人、描かれています。
後ろの草は南国的。
着物、帯、扇、髪飾りなど丁寧でまた、色彩も豊かで艶やかです。

河鍋暁斎「地獄太夫図」
地獄とは室町時代の境の遊女。
山賊にさらわれて遊女にさせられたのですが、それを前世の報いと受け入れ自ら"地獄"と名乗ったそう。。
身にまとう着物は地獄模様。
内掛けは紺地に赤い珊瑚が描かれているのですが、地獄の業火のよう。
色彩も鮮やかで艶っぽい。
が、よくよくみると七福神の面々も。
おなかの辺りに布袋さま、右袖には閻魔大王と福禄寿、裾には恵比寿さまと大黒さま。
地獄と福が入り混じっています。
おもしろい。
室内には月と秋草が描かれた屏風が置かれ、色彩の対比が目立ちます。

《第二章 花鳥風月》
ここでは植物や動物などの自然を描いた作品が展示されています。

伝没倫紹等賛「南瓜図」
私好みに奇妙な作品。笑
触覚のある蟻人間のような不思議な生き物がカボチャを引っ張って運んでいます。
後ろからテコを入れて手伝うもの、カボチャの上で笹を持って振っているもの。(応援か指揮??)
周りでは太鼓や笛をならし、鼓舞するなど実に不思議。
でも楽しそうです。
画題は不明とのこと。
確かに。。
巨石や巨木を引っ張る祭礼を描いたものでは、とのこと。
ワケ分からないところがいいのに。。

「薄図屏風」
六曲一双の屏風です。
金泥のもやの中、文様化された薄が描かれています。
うーん、これなら千葉市美術館所蔵の鈴木其一の薄が好き。
こっちはなんだか惜しい感じがしてしまう。。

雪村周継「龍虎図屏風」
六曲一双の屏風。
右隻には雲を呼ぶ龍。
左隻には風を呼ぶ虎。
龍は渦巻く雲間から現れますが、表情がちょっと弱そう。。
虎は風なびく竹林の岩の上に足を揃えて座っています。
ちょっと可愛らしい。
迫力よりも可愛らしさ、おもしろさがにじみ出ている作品。

伝海北友松「松に椿・竹に朝顔図屏風」
こちらも六曲一双。
右隻には、松と遠くに山。椿の白が目立ちます。
左隻には、竹に水辺の景。竹は霞の中。
くっきりした朝顔の青が目立ちます。
モノクロの景色の中、植物だけ色がつけられ、印象的です。

《第三章 物語世界》
《花鳥風月》のあとは《物語世界》、そして最後に《山水》だったのですが、展示リストなどでは《山水》→《物語世界》となっています。
ここでは展示の順番に即して、まず《物語世界》を。
ここでは物語、、とくに「伊勢物語」を主題とした作品がならんでいます。

伝俵屋宗達「伊勢物語図色紙 住吉の浜」
社殿とその前に3人の男性が描かれます。
住吉大社を描いた作品で太鼓橋を描かないものは珍しい。。
色紙サイズの小さな作品ですが色鮮やか。

渡辺始興「燕子花図屏風」
六曲一双の屏風です。
燕子花といえば伊勢物語9段"東下り"
始興は尾形光琳を慕っていたそうで、この主題も光琳の作品からの発想だそう。
金地に燕子花が描かれているのですが、橋は描かれていません。
花の背丈が短くちょっと詰まっているようにも。
水面からひょこっと顔だけ出しているような感じです。
花は風にたわみ、葉も裏表で色調を変えるなど細やかな描写が見られます。
が、なにか、おかしく感じてしまう。。
なんでだろ。。光琳のと比べてしまうからかな。。。

深江蘆舟「蔦の細道図屏風」
同じく伊勢物語の"東下り"から業平が東海道津谷峠にさしかかる場面。
薄暗い峠で京にいる恋人への手紙を託した修行僧を見送る業平。
華やかな金色や鮮やかな蔦が逆に業平の心細さを強調させるようです。
なんだかぐっとくる場面。

<近代西洋の人と自然>
唐突な感じが否めないのですが、ここで、クリーブランド美術館所蔵の西洋絵画4点が展示されていました。

アンリ・ルソー「トラとバッファローの戦い」
もう、ルソーワールド全開の作品。
鬱蒼としたジャングルの中でトラがバッファローに飛び掛っています。
逆の向きになるバナナやオレンジの果実も不思議な雰囲気に拍車をかけています。
なんかこれを見れただけで満足。

クロード・モネ「アンティーブの庭師の家」
アンティーブは地中海に面したフランスの港町。
オレンジ色の屋根の家が手前い描かれ、奥には青い海。
空にはピンクが使われています。
全体的に明るい色彩で地中海の暖かな様子が伝わってきます。

ベルト・モリゾ「読書」
第1回印象派展への出品作のひとつでもあるこの作品。
屋外の芝の上に座り、読書をする女性。
白い衣服と緑の組み合わせが非常に美しいです。

パブロ・ピカソ「画家の妹ローラ」
ピカソ、18歳の作品。
きりりとした表情のローラも気になりますが、窓の外に見える強いオレンジ色が目をひきます。

《終章 山水》
最後です。
山水画が展示されています。
また、ここではクリーブランド美術館の中国絵画コレクションも展示されています。

呂文英「江村風雨図」
呂文英は、明の宮廷画家。
激しい筆遣いで描かれています。
画面右から左下へ風の流れが表現され、勢いを感じます。
大胆でおもしろい作品。

相阿弥「山水図」
描かれているのは霞がかる山、橋を歩く人など。
山水や樹を"氷点"と呼ばれる点で形作った作品。
点描みたいな感じです。
幻想的。

伝天章周文「春冬山水図屏風」
六曲一隻の屏風です。
右の4扇には冬の景色を、左の2扇には春の紅梅を描いています。
この作品を描いたとされる天章周文は室町中期の禅僧。
真筆といえる作品がないそうです。
貴重なものがあるんですね。

狩野秀頼「四季山水図 夏景・秋景・冬景」
3幅対の掛け軸。
夏と秋と冬が描かれています。
元々は春もあり、4幅だったそう。
いずれも山と川を描いたもの。
木々が生い茂り、川には船の浮かぶ夏。
渡り鳥が飛び、旅人が道行く秋。
雪に覆われた冬。
とても細やかに情景が描かれています。

米友仁「雲山図巻」
米友仁は、北宋から南宋にかけての画家。
山々の間に雲が漂う景色が描かれたこの作品は南宋絵画の名品といわれています。
山や樹木の形を輪郭線ではなく点描で表現し、墨の濃淡で量感をあらわしています。
湿潤な空気漂う私好みの作品です。

「近江名所図屏風」
六曲一双の屏風です。
右隻に日吉大社や坂本の街並みが描かれ、左隻に石山寺が描かれています。
琵琶湖周辺の観光ガイドのようですが、人々の生活も描かれ、なかなかおもしろい作品です。

曽我蕭白「蘭亭曲水図」
王羲之の曲水の宴を題材とした作品。
会稽山の蘭亭に客を集め、曲水を流れる杯の酒を飲んでは詩を作ったという話です。
奥には会稽山と蘭亭。
切り立つ岩山と滝、そしてこちらに川の流れが。
川沿いには豆粒のような小さな人の姿。
宴なのに人物が小さいというところがおもしろい。
はっきりした線と濃淡がさすが蕭白といったところ。
(関連:「書聖 王羲之」)

といった感じです。
平成館の特別展示室のいつもの半分の量です。
のこり半分は同じく"日本美術の祭典"のなかの「人間国宝展」
少なめの量ですが、これぐらいでいいのかも。。
トーハクでの展示、見終わるといつもぐったりだし。。

全体的には地味な印象の作品ばかりでしたが、こういった貴重なものが海外のコレクションにあるといったことにびっくり。
なお、クリーブランド美術館では2014年2月6日から5月11日まで「日本の近代美術」という展示が開催されるそうです。
作品を貸し出したのはもちろんトーハク。
こういった海外との美術交流がもっと盛んになるといいなぁ。



ブログランキングよかったらお願いします