RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

無の時間

2014-02-18 21:30:00 | 日常
バレンタインのチョコ関連で。
手作りしました。

キャラメル。
食感柔らかく生キャラメルです。
これ、得意。
とにかく弱火で煮続けるのです。
じっくりじーっくり。
一時期、このキャラメル作りにはまりまして。
仕事後、毎日夜な夜な煮るという行為をしていました。
今考え直すと異常行動ですね。。
でも、本当に上手にできて、母親には
「〇畑牧場の生キャラメルより好みで美味しい」
と言われました。(親バカ)
まぁ私と母親、食の好み似ているし。
私好みの味にしてあったからね。。。

私は以下の材料で作っています。

砂糖
バター
生クリーム
水あめ

全部まとめて鍋で煮るだけ。
だんだん重く、色も変わってきます。
それっぽくなったら、バットに流し込んで冷やすだけ。

弱火がポイント。
時間はかかるけど、人生を考え直す時間になります。

これ、ゆるく作ればキャラメルソースになります。
胡桃や結晶の大きな塩を入れてもおいしい。
簡単で失敗もほぼないので、オススメです。



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画家の目、彫刻家の手

2014-02-17 21:30:00 | 美術
見てきました

ブリヂストン美術館

会期は2014年1月18日から2014年4月13日。

画家と彫刻家。
その名の通りですが、画家は絵画を描き、彫刻家は彫刻を制作します。
今回は絵画と彫刻、同時に展示し、その特徴を見出す展示です。
ブリジストン美術館所蔵作品から約160点の展示です。

バルビゾン派から始まり、おおむね年代順に展示されています。

カミーユ・コロー「ヴィル・ダヴレー」
まぁおなじみというか。。。
コレクション展なので見たことがある作品ばかりなので仕方ない。
でも、今回変化があって。
いつものきらきらをあんまり感じませんでした。
もっときらきらしていたと思っていたのにな。。
その代わり、というわけではないのですが、木が動いていました。
すーっと迫ってくる感じ。
木のざわめきを感じました。
今まで"光"にばかり気を取られていたってことでしょうか。。。
ただ、これを人に言ったら危ない人扱いを受けました。
私は平常です。

ジャン=フランソワ・ミレー「乳しぼりの女」
乳搾りをする女性が描かれています。
逆行で暗い中、一頭の牛と一人の農婦。
小屋ではなく屋外で、周りにほかの牛も見当たりません。
なんだか不思議な印象を受けました。

アントワーヌ=ルイ・バリー「牛」
ロダンの師です。
牛の躍動感、首筋のしわまで素晴らしい表現力です。
これは感動。

アルフレッド・シスレー「サン=マメス六月の朝」
素敵ですね。
休日にここをのんびり散歩したら仕事も頑張れる、かもしれません。
色使いも華やか。

アレキサンダー・アーキペンコ「ゴンドラの船頭」
彫刻です。
キュビズム的で人物を大胆に切り取っています。
シャープな印象もありかっこいい。

ペリクレ・ファッツィーニ「爽風(B)」
こちらも彫刻。
体に巻いた布が飛ばないように抑えています。
そのたなびくさまや、抑えているようすの表現が素敵です。

フィンセント・ファン・ゴッホ「モンマルトルの風車」
いつか行きたいな、とは思いますが、なんだか行けるのか不安です。。
将来に対する不安、かな。
ピエール=オーギュスト・ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」は今日も微笑みをこちらに向けてくれました。笑
ただルノワールなら「少女」のほうが好きです。
大きな青の瞳、青い服、長くつややかな髪、柔らかな微笑みに背景のピンク色。
優しい色使いと合わせて見ていて笑顔になれます。

ここにはドガの彫刻「右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク」も。
やはり踊り子です。
手の跡も見えます。
今回のテーマをしみじみと感じられます。

ギュスターヴ・カイユボット「ピアノを弾く若い男」
これ、大好き。
ピアノを弾く男性。
カイユボットの弟ですが。
床のじゅうたんの模様や壁の模様、風にそよぐカーテンの軽やかさ。
ぴかぴかのピアノに映るピアノを弾く男性の手。
細かいところまで丁寧に描き込まれています。
カイユボット展(その1その2)、すごくよかったな~。

ポール・ゴーガンの「ポン=タヴェン付近の風景」はモエレ沼公園を思い出しました。
ポール・セザンヌの「水浴」はとても小さい作品。
ラフな印象です。

ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ「ノルマンディー」
岩に腰掛ける男性。
手には枝、もしくは花を持っています。
奥には切り立った崖。
シャヴァンヌ展はよかったですね~。(その1その2)
オーギュスト・ロダン「ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ」
ロダンはシャヴァンヌを称賛していたそうです。
またその逆もしかり。
1890年7月、アミアンのピカルディー美術館のためにロダンはシャヴァンヌの胸像の製作を依頼されたそう。
シャヴァンヌは7月11日付のロダン宛の手紙のなかで、
"あなたが私の胸像を作ってくださると聞き、嬉しく思っています。
いつ取り掛かりましょうか。
私としては早ければ早いほどいいのですが。
あなたの手の中で傑作が出現するのを少しでも早く見たいですから"
と書いています。
一流同士のやりとりですね。。

青木繁「天平時代」
天平時代風の女性たちと中央に白い鳥。
女性たちの足の形と白い鳥の首の形がゆるやかにS字曲線を描き、不思議なリズムを与えています。

黒田清輝「杣」
山の中の小道を行く男性。
その道は色づいた葉に埋め尽くされています。
暖かい色使いが印象的な作品。

ジョルジュ・ルオー「ピエロ」
目を閉じ穏やかな表情のピエロ。
道化師というより、静かな祈りを捧げる存在です。

ギュスターヴ・モロー「化粧」
あでやかな服をまとった女性がもたれかかっています。
エキゾチックな空気が謎めいて美しい。

フランソワ・ポンポン「家鴨」
彫刻です。
つるっとしたその表面は触ってみたいと思うほど。
細部と無駄をそぎ落とし、シンプルになったその鴨は流麗な線が美しい。

アンリ・マティス「石膏のある」
テーブルには赤のクロスに白いトルソ。
お皿の上には果物。
ばらばらな組み合わせです。
色彩も強い印象。

パブロ・ピカソ「生木と枯木のある風景」
理解者のいなかったルソーを高く評価していたことでも知られるピカソ。
この作品をみたらなんとなくわかる気がしました。
私はピカソもルソーもどっちも好き。

佐伯祐三「ガラージュ」
佐伯らしい文字の描かれた建物が描かれています。
空はどんより。
憂鬱な気分です。

モーリス・ユトリロ「サン=ドニ運河」
緑色の水の運河、灰色の空、立ち並ぶ煙突。
音のない静かな景色です。

アンドレ・ドラン「自画像」
画面いっぱいに描かれた顔。
黒い背景に浮かぶ顔からはぎょろりと大きな目がこちらを見ています。
なんだか不思議な魅力に惹かれる。。

アルベルト・ジャコメッティ「ディエゴの胸像」
顔が極端に細く、ごつごつしています。
ディエゴは弟、ディエゴ・ジャコメッティのこと。
ディエゴも彫刻家として活躍しました。

古賀春江「涯しなき逃避」
黒い空間を浮遊する黄色い物体。
船や横たわる女性がいて、その下には渦が。
不思議な世界。
どうゆうときにこういったものは思いつくのでしょうか。
うらやましいなぁ。

パウル・クレー「冬」
灰色の地に濃い灰色で線が描き込まれています。
直接冬をイメージするモチーフは一切描かれていないけど。
その色と線で冬のさみしく暗い様子が伝わってきます。

アンス・アルトゥング「T 1963 K 7」
黒い背景にひっかき傷のような細い線が黄色で無数に描かれています。
画面下に行くと黒は水色に変わり、夜の水辺のような印象。

以上です。
絵画は見慣れたものばかりでしたが、彫刻は意外性があり面白かったです。
今まで彫刻って常設で入口などにあったためじっくり見ていなかったと思います。
それってもったいないな。。
絵画は何度見ても新しい発見があるのだし。。
今後は彫刻もしっかり見ようかと思ったのです。



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IMARI / 伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器

2014-02-16 21:30:00 | 美術
見てきました

サントリー美術館

会期は2014年1月25日から2014年3月16日。

今回は「伊万里」
17世紀初頭、佐賀県の有田一帯で作られた日本で最初の磁器は、伊万里港から日本全国へ。
「伊万里」と呼ばれました。
17世紀中ごろからは、伊万里は、オランダ東インド会社によって世界各地にも輸出されます。
特にヨーロッパでは、高級実用品としてのみならず、宮殿や邸宅を彩る室内装飾として、王侯貴族の一つのステータスシンボルになるほど。
日本初公開となる大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の輸出伊万里を中心に約190作品が展示されています。

《1. IMARI、世界へ 1660~1670年代》
オランダ東インド会社によってヨーロッパに運ばれた最初の磁器は中国のものでした。
ですが、明・清王朝交代に伴う内乱により、清によって海禁政策が打ち出されます。
生産の中心であった景徳鎮からの磁器輸出は激減。
それに変わるものとして目を付けられたのが中国の技術を取り入れた有田の磁器。
有田は、オランダ東インド会社による厳しい品質基準の注文を受けてさらに技術を高め、景徳鎮磁器に勝るとも劣らない品質の磁器をつくり出しました。
そして1659年から、本格的にヨーロッパに向けた伊万里の輸出が始まります。
ここではそういった輸出初期の作品が展示されています。
ほとんどが染付でした。

18「染付芙蓉手花盆文皿」
見込みに花いっぱいの花盆や花かごが描かれています。
これは輸出品として人気のモチーフでした。
いわゆる"芙蓉手"とよばれるもの。
周囲の8つの区切りが芙蓉の花びらに見立てられ、そう呼ばれてるようになりました。
芙蓉手は元々中国製の磁器に描かれていた模様。
輸出が始まったころは景徳鎮の代替品としての出荷だったためその影響が明らかに見えます。

12「染付紅葉文瓶(一対)」
下にぎっしりもみじが描かれています。
ゆったり波に泳ぐかのようです。

40「色絵花卉文壺」
窓絵使いの意匠構成。
器の表面に赤で地文様が密に描き込こまれています。
これは輸出初期の色絵伊万里の特徴だそう。
赤い花があでやかです。

1「染付牡丹文瓶」
首が細長く、口は小さい洋なし型の瓶。
胴にはハイカイドウの木が大きく描かれています。
首には図案化された唐草文様が。
この模様、ちょっとかわいらしい。

10「塩釉貼花獅子文手付瓶」
ドイツ、ヴェスターヴァルト窯で1625-1640年代に作られた手付き瓶。
胴には紋章と獅子のレリーフがあしらわれています。
それを有田で写したものが、
9「染付貼花獅子文手付瓶」
オランダ東インド会社からの注文で作成されたもの。
客先の要望にも応えていたんですね。
獅子やレリーフなど江戸時代の日本に馴染みのないものですが、かなりの再現度です。

13「白磁瓶」
"ガリポット"と呼ばれる薬用瓶。
白磁ですが、ちょっと灰色っぽい感じです。
胴がまんまるでかわいらしい。
1653年、バタヴィア(現在のジャカルタ)の病院に輸出した記録が残っているそう。

27「染付色紙丸文稜花皿」
稜花形の平皿。
長方形の色紙文と小さな丸文で幾何学的なデザインとなっています。
日本国内向けの高級品でしたが、輸出にまわりました。
注文生産だけでまかないきれなかったときに、日本国内向けのものも輸出されたようです。
濃い藍色が素敵です。

33「染付兎文皿」
ダミ染めの施された2つの花形の文様にうさぎと唐草が描かれています。
こちらも日本国内向けの高級品。
かわいらしいです。

34「染付鳥籠文皿」
三脚の籠に小鳥とまり、その脇にはもみじ。
なんだかよくわからない組み合わせですが、もちろんモチーフがあります。
これは、雀を伏せ籠に飼っていた紫上、紫上にもみじを送った梅壷の女御を示し、全体で源氏物語の"少女"帖を表現しているのです。
これは輸出向けだとその内容までは伝わらなそうですね。
このあたりはデザインがかわいらしいものが多かったです。

《2. 世界を魅了したIMARI―柿右衛門様式 1670~1690年代》
この時期は伊万里の輸出の最盛期。
その中でも、オランダ東インド会社からの注文で、1670年代に温かみのある乳白色の型づくりの精緻な白磁「乳白手」に繊細な色絵を施した色絵磁器が柿右衛門窯でつくられました。
これが今日「柿右衛門様式」として知られているもの。
この柿右衛門様式は有田全体で流行し、ヨーロッパでも好評を博し、のちにドイツのマイセン窯やフランスのセーブル窯、イギリスのチェルシー窯などでも倣製品がつくられるほど。
ドイツ・ザクセン選帝侯アウグスト強王が伊万里を盛んに収集したのもこの時期。
ヨーロッパ王侯貴族の東洋趣味を背景に、室内装飾用の大型の壺と瓶の5点セットもこの時期です。
伊万里輸出の全盛の作品が並んでいます。

46「染付人物文耳付鉢・受皿」
透かし彫りの花の形の耳つきです。
スープ鉢には中国風の人物が描かれています。
デルフト製品を基にした注文生産品です。

59「色絵花鳥文六角壺」
小型の蓋付きの壺です。
牡丹や鳳凰、花文様が明るい赤色や緑色で描かれています。
柿右衛門様式のものになります。
マイセンなどでも写しが作られた人気のモデルです。

55「染付鳳凰文八角大壺」
かなり大きな壺です。
ろくろで成形後、八角を面取りしたもの。
こういった大きな作品がヨーロッパ貴族の邸宅を飾ることとなります。
鳳凰文を中心に牡丹などが描かれ、華やかです。

54「染付楼閣山水文広口大瓶」
山中の楼閣が描かれています。
この瓶の何が好きって描かれているものが私好み。笑
そびえたつ岩、細く高い木。
大型の花瓶で"ロールワゴン"と呼ばれ、輸出伊万里の代表的な器種とのこと。

60「色絵花卉文輪花鉢」
うすく花の形に作られた器です。
牡丹や柘榴、梅などが乳白手に鮮やかに描かれています。
繊細な印象もあり素敵です。

63「色絵菊桔梗文八角瓶(一対)」
細い首の角瓶。
口まわりの色彩がとてもきれい。
描かれたものの繊細です。
柿右衛門に準ずる作品、とのことですが、遜色なく見えます。

《3. 欧州王侯貴族の愛した絢爛豪華―金襴手様式 1690~1730年代》
1670年代、輸出用として一世を風靡した柿右衛門様式の磁器。
悲しいかな、1690年代には姿を消し、変わって登場したのが"金襴手様式"
金襴手様式は明の嘉靖・万暦に盛行した金襴手を手本とし、染付の釉上に金彩と赤絵を低火度で焼き付けたもの。
緑・黄・紫などの色絵が加えられたものも存在します。
この金襴手様式を用いた大型の壺や瓶の注文が増えていきます。
その華やかさの一方で、1684年に清の展海令によって海禁政策が解かれました。
景徳鎮などの中国磁器が再び輸出されるようになってくるのです。
伊万里は景徳鎮の代替品として輸出が始まりましたが、この時代には既にヨーロッパで一定の評価を得ていた伊万里を模倣した"チャイニーズ・イマリ(Chinese Imari)"と呼ばれる製品が景徳鎮窯でつくられるようになります。
伊万里、輸出競争に巻き込まれるのです。
ここでは貴族の宮殿を飾った大型の作品が目立ちます。

71「染付芙蓉手牡丹文大皿」
芙蓉手となっていますが、区画と区画の間が広く16分割されているように見えます。
抽象化された植物文様が描かれ、見込みには牡丹やコオロギが。
かわいらしいです。

73「染付花唐草文輪花大皿」
見込みから周縁までぎっしりと唐草文が描き込まれています。
これ、描いていたら途中でいやになりそう。。。

70「染付鳳凰文皿(「VOC」銘)
見込みの中央には"VOC"
Vereenigde Oostindishe Compagnieの略です。
オランダ東インド会社のオランダ語の社名。
鳳凰より存在感があります。。

101「色絵花盆文八角皿」
有田の金襴手をマイセンが写したもの。
華やかです。
有田の色使いや模様もよく再現されています。

115「色絵邸宅文大皿」
とても大きな皿。
中国式邸宅の庭先を描いたもの。
華やかなタイルの敷き詰められた部屋に犬が2匹。
衝立は楼閣山水図。
お皿の中にこれだけの世界を詰め込めるんですね。

105「色絵美人文髭皿」
髭皿とはヨーロッパの理髪店で髭を剃るときにアゴの下に当てた皿。
17世紀から19世紀にかけて使用されました。
このお皿の絵柄は遊女の恋を主題としています。
見込みに枝を連ねる松と梅。寄り添う2羽の鳥。
縁側からうらやましそうに見上げる遊女。
また、周縁には恋文をしたためる遊女が施されています。
なんだかきゅんとするテーマです。

また、大きな写真が展示されていました。
ベルリンにあるシャルロッテンブルク宮殿の「磁器の間」の写真。
初代プロイセン王フリードリヒ1世が、1699年、妃ゾフィー・シャルロッテのために建てた離宮です。
世界遺産。
壁一面にぎっしり陶器が飾られ、圧倒されます。
本物見てみたい。。

76「色絵花卉人物文窓抜瓶」
胴部の両側に窓絵風のくぼみがあり、その中に片方には2人の人物、もう一方には対の鶏と3匹の雛。
なんだかほのぼのとしていてかわいらしい。
このような立体装飾は輸出伊万里にみられるそう。

77「色絵丸文瓶」
首の細長い瓶。
花唐草文を背景に円文様が散らされさまざまな文様の部分を配してあります。
おしゃれです。

107「色絵ケンタウロス文皿」
描かれているのはギリシャ神話のケンタウロス。
手には武器を持ち、戦いの場面かと思われます。
赤い花の咲く野での戦いです。
なんだかのどか。。
馴染みのない題材を描くのは大変だったでしょう。。
有田の絵師、ご苦労様です。

94「色絵花鳥文鉢」
蓋付きの鉢です。
蓋の上には柘榴とそのさらに上にうさぎ。
描かれているのは鳩を抑え込む鷹でしょうか。。
どういった意味なのかが分からないのが悲しい。。

89「色絵龍虎文大壺」
染付金彩の牡丹文の地に団扇状の枠内に虎、扇状の枠内に龍がそれぞれ迫力ある姿で描かれています。
蓋のつまみには鷹。
全体的に黒を基調とし、強い印象です。

87「染付蒔絵鳥籠装飾付広口大瓶」
とっても変わっています。
胴部に鳥かご上の装飾が施されているのです。
かごの中には鶯のような小鳥が2羽。
伊万里コレクターのザクセン選帝侯アウグスト強王のコレクションにも、類品があり、マイセンで写しも作られたそう。

91「色絵透彫楼閣人物文八角大壺」
つまみ、蓋の側面、身の方にそれぞれ金で彩った格子状の透かし彫りが施されています。
きらびやかです。

126「色絵花卉文注器」
ころんと丸い胴、太い取っ手と注ぎ口。
胴部は6画に区切り、各部分に菊や撫子などの秋草文。
かわいらしいティーポットです。

そして小コーナー、<IMARIとオランダ陶器>がありました。
17世紀から18世紀のオランダ・デルフト窯では景徳鎮や有田の影響を受けた陶器が盛んに作られました。
その東洋趣味のデルフトが展示されています。

157「色絵楼閣文瓢形瓶」
描かれているのは楼閣山水図。
色とりどりの花が咲き、大きな鳥が飛んでいます。
色彩がゴッホっぽいのです。

《4. 輸出時代の終焉》
1684年、景徳鎮がヨーロッパへの輸出を再開すると、伊万里は強烈な競争を強いられます。
さらに、伊万里のヨーロッパ輸出を扱ったオランダがイギリスとのアジア貿易で敗れたこと、
マイセンをはじめとしたヨーロッパ各地での磁器生産の発展も、伊万里輸出の衰退に影響します。
1733年には伊万里ファンのドイツ・ザクセン選帝侯のアウグスト強王が亡くなり、伊万里人気も下火となります。
1757年、伊万里のヨーロッパへの公式な輸出は終了。
ヨーロッパ輸出の立役者であるオランダ東インド会社も1799年に解散しました。
ここでは伊万里の輸出終焉までの作品が展示されています。

171「色絵鳳凰文注器」
金属製のコックを取り付けるための穴が開いているため、コーヒーポットかと思われます。
三脚付きで胴には大きく鳳凰が描かれています。
衰退していくとは思えない立派な作品です。

178「色絵傘美人文皿」
これは景徳鎮でつくられたもの。
アムステルダムの画家、コルネリス・プロンクが描いた原画をもとに景徳鎮に注文されたもの。
傘をさす人と女性が描かれ、女性は鳥に餌を与えています。
原画に忠実でインド人風となっています。

177「色絵傘美人文皿」
こちらは178と似ていますが、伊万里が模倣したもの。
描かれている女性が遊女になるなど日本風にアレンジされています。
輸出競争の厳しさが垣間見える作品です。。
普段、貿易業務をやっている身としてはなんだか胸が苦しくなります。笑

179「色絵竹梅菊鳳凰文角皿」
有田で作られた金襴手様式の角皿です。
染付の発色は暗いのですが、かえって金彩の装飾効果を高めています。
菊花文が大きく丁寧で緻密です。
菊梅竹と2羽の鳳凰。
裏面にも梅が描かれています。

180「色絵竹梅菊鳳凰文角皿」
こちらは景徳鎮で作られたもの。
179の模倣品です。
177-178の逆Ver.
チャイニーズイマリと呼ばれるものです。
うん、、市場競争の激しさを感じます。

186「染付紋章文皿」
あごひげを長く垂らした3人の人面が中央にあしらわれた、なんだか不気味な作品。
紋章が描かれ、周囲には唐草文。
謎の意匠です。

以上になります。

伊万里の輸出の始まりから終わりまでがとても分かりやすく面白い展示でした。
最初は代替え品から始まった輸出。
次第に技術力を付け、顧客からのニーズに応え、品質・デザインなど製品の価値を高めていきますが、価格競争に敗れ、衰退する。
近年の日本の輸出産業にも似た構図が江戸時代からあったことが興味深いです。
なんだか美術品を見ていたのに勉強した、という感覚も。
展示されている作品も素晴らしいものばかりでした。



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バレンタインチョコ

2014-02-15 21:30:00 | 食べ物
2月14日はバレンタインでしたね!!
みなさん、チョコいっぱいもらえましたか??
私は。。。

今年のバレンタイン。。。
毎年、サロン・デュ・ショコラではしゃぎ、都内百貨店のチョコ売り場をはしごするのがお決まりでした。
今年は以前にも書いたように、買いませんでした。
(記事はこちら→「チョコ断ち」)
サロン・デュ・ショコラ行かなかったし、百貨店も巡らなかった。。
というか、なるべく寄り道せずに帰りました。笑
お金貯めねば。
だって旅行に行きたいからー!!!!!

そんな私にチョコが届きました。
あ、人にあげるのとかは買ったの。
そこで一緒に購入した自分用。

ナオミ・ミズノ
数年前、サロン・デュ・ショコラ初出展のときに買って。
そのおいしさに驚いて。
以後、毎年買っています。
この人のだけは絶対に食べたかった~!!


ボワシエ
大丸東京に入っていたカフェ、いつの間にかなくなってしまったんですね。。
寂しいです。
華やかで可愛らしい上に賞味期限が長いので、実家に持ち帰って母親と食べようと思います。
ので未開封の状態。。
中にチョコが入っているの。
開けたらまた載せます。
なお、実家に帰る予定は未定です。。


パティシエ エス コヤマ


ドゥバイヨル
見た目がかわいい!!
すごく私好み。


なにこれ。
可愛すぎる!!!!!


セバスチャン・ブイエ
今年はANNASUIとコラボです。

母親にはドゥバイヨルと水野さんのチョコとブイエを。
父親には別のチョコを。(自分用には未購入)
宅急便で送りました。

お返しは草間の作品で構いません、とカードを付けて。笑



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渡辺おさむ「Sweets Sentiment」

2014-02-14 21:30:00 | 美術
見てきました

POLA MUSEUM ANNEX

会期は2014年2月7日から2014年3月9日。

今回は"スイーツ王子"こと渡辺おさむ氏の個展です。
身の回りにある様々なものにデコレーションを施す手法で作品を発表している方。
今回はバレンタインやホワイトデーといったお菓子で世間が賑わうシーズンに合わせて、ケーキのキャンドルスタンドやスイーツのお皿が並ぶ晩餐会のシーンを新作インスタレーションとして再現した会場となっています。

その可愛らしい作品柄、女性ばかりだろうな、、、とちょっとビビリながら行きました。。
だって、POLA MUSEUME ANNEXのいいところは
"わーい!!展示室貸切りや~!!!"
ってぐらい人がいないことだもん。
(POLA的にいいのか!?)
そこに人がいたらびっくりして挙動不審になるよね!?
と、思ったけど意外。
人いなかった。
私のほかに女性が一人。
帰るときに男性が一人来たぐらい。。
楽しいからおすすめなのに。。。

今回撮影可能でしたので、その可愛らしい作品をご紹介したいと思います。


最後の晩餐


落穂ひろい、、じゃなくてお菓子拾い。


パーティーが始まるよ!!


このティーカップ欲しいです。
かわいい!!



「やっべ~。今日お菓子食べすぎたよ。ダイエット中なのに~。」とかね。


ゴッホのぐるぐるもこの通り。


クリームの流れる泉ですか。。
アングルもきっとびっくり。


マリア様はスイーツだったのです。笑


ロバート・インディアナのお馴染みの作品もお菓子。



かわいい


かわいい


きりん、かわいい


しか、かわいい

なんだ、この可愛すぎる世界。。


今、私の会社のPCのデスクトップ画像はこれ。


実はさ。
私、彼の作品、1つ持っているのです。。。

全部がフェイクスイーツではなく、プリントに1つだけフェイクスイーツがついているもの。
だからお安いんですけどね。。
数年前に購入してそのまま。。
どこかに飾りたいけど今の部屋では、と思って。
引っ越ししたら飾ろう!!!!!

癒される展示です。
楽しくなれる展示です。

おすすめ。



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理想郷

2014-02-13 21:30:00 | 美術
見てきました

松岡美術館

会期は2014年1月8日から2014年4月13日。

作家たちが思い描いた理想の世界。
人々がさまざまな願いや思いをこめて工芸や絵画に表現してきたもの。
今回は日常とは異なる世界をテーマに展示されています。
写真とともにご紹介します。

まずは展示室4.《古代中国 -いのりのかたち》
ここでは古代中国の"いのり"について。
神を信仰することで"理想郷"が作り出されていきます。
ここでは"いのりのかたち"を通して、"理想郷"を見て行きます。


「き龍百乳文 方てい」
表示できない漢字で書かれている部分をひらがなにしたらなんだかマヌケな感じが。。
これ、写真では分からなくて、あの感動を伝えきれないのが悲しいぐらい。
とっても細かく細工が入っているのです。
もう、ずーっと見ていても飽きないぐらい。
素晴らしいのです。


「青磁 人物楼閣 壺(神亭)」
なんじゃこれ、な壺。
人物のようなものが楼閣の屋根を支えているのです。
けっこう大きくて使い道が気になります。


「緑釉鴨圏望壺」
なんじゃこれ、な壺、その2.
下のお皿の部分には鴨が優雅に(?)泳ぎ、楼閣の上では何かを構えている人物。
こちらも大きくて使い道が気になります。。


「翡翠楼閣花鳥図挿屏」
なんて素晴らしいんだ!!と思うこと間違いなし。
翡翠に施されているのは楼閣図。

そして花鳥図。

細部まで美しく見事です。


張宏「山水画図」
この不思議な感じがたまらなく私好み。
中国の山水図は現実のようで異世界のような景色が描かれていて見ていて面白い。


「金銅 観音菩薩遊戯坐像」
腰掛け、片膝立てて腕をだらんと。
なんだか"あ~、だるいな"って感じに見えてきてしまいます。笑


「五彩百蝠文壺」
色鮮やかにえがかれているのはコウモリ。
中国では「コウモリ(蝙蝠)」の「蝠」が「福」に通ずることから縁起物とされています。
こうやって見ると可愛らしく見えます。

続いて、展示室5、6で《理想郷》
俗世を離れた楽園"理想郷"に、いつの時代の人々も夢を描いてきました。
ここでは神や仙人が住むところや、理想・夢の景色などを扱った作品が展示されています。


麻田鷹司「芦ノ湖富士」
淡い色彩が素敵です。
富士山は宙に浮かんでいるのかのよう。
水の青、空の青、色づき始めた山の緑。
すべてが美しい景色を作り出しています。


山下新太郎「黒部渓谷鐘釣付近」
これまた美しい山の景色。
流れる水の勢いも、穏やかなだけではない自然を感じられます。


山口蓬春「山湖」
これまた、これまた素敵。
色使いとリズム感ある空の白い雲がいい。
湖に映り込む景色の描き方も独特でおもしろい。


橋本雅邦「鉄拐仙人」
鉄拐は中国、隋時代の仙人。
汚れた布を纏い、竹杖を術によって鉄に変えた杖(鉄拐)を持っているそう。
ふっと息を吹いたようなポーズですが、鉄拐は気を吐くと空中に自分の姿をふきあらわすとされたそう。
これもその瞬間を描いたもの。
まさに異世界。


竹内邦夫「残照」
この作品が今回一番好きかも。
静けさ漂う砂漠をぽつんといくのは一匹の生き物。
照りつける光が作り出す影が寂しさをより表します。


堀川公子「古経を排す」
古経は善通寺所蔵の"一字一佛法華経"
この下りのコピーを手にしたとき、作家は夢かと思ったほど、嬉しかったとか。
この作品には作家の祈る気持ちが静かに込められているんですね。。

以上になります。
まだまだ面白いものがありましたが、特に展示室4はおすすめ。
変わったものが多くてついつい時間を忘れてしまいます。



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牛かつ

2014-02-12 21:30:00 | 食べ物
私の好きな食べものの一つ、かつ丼。
おいしい!!
大好き!!
毎日でも食べられるくらい好き。

かつも好きだよ。
ヒレが好きです。

そんな私が先日「牛かつ」なるものを食べました。
豚じゃない、牛のかつ。

それがまぁ、おいしくて。
揚げ時間は60秒。
お肉はミディアムレアぐらいの火の通り。
わさびで食べるのです。
なんて素晴らしい組み合わせなんだ!!
山わさびのソースが最高においしい。
あと、大葉でくるっとして食べたのもさっぱりして美味しかった~。

あぁ、素晴らしき、かつ。

豚も牛もどっちも好き。



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Kawaii 日本美術 -若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで-

2014-02-11 21:30:00 | 美術
見てきました

山種美術館

会期は2014年1月3日から2014年3月2日。

この展示、前期と後期に別れています。
前期:1月3日 - 2月2日
後期:2月3日 - 3月2日
後期に見たい作品があったので後期に行ってきました。

今回は「Kawaii」日本画。
日頃よく耳にし、私もブログで使いまくっている言葉です。
「Kawaii」は今や海外でも使われる言葉。
日本では平安時代まで遡り、清少納言の"枕草子"には
「うつくしきもの(=かわいいもの)」として幼い子や雀の子などを挙げ、小さいものや幼いもの、未完成なものの愛らしさ、儚さを「かわいい」と愛でていました。
今回は、そんな「Kawaii」に注目した展示です。
ペットとしてもおなじみの犬や猫、鳥や虫に子供たちなどほのぼのとできる可愛らしい作品がいっぱいの展示です。

伊藤若冲「伏見人形」
まず最初に出迎えてくれたのがこの作品。
ゆるい作品描かせたら最強の伊藤若冲。
7人の伏見人形が連なり笑顔をこちらに見せています。
うん、かわいい。

《第1章 描かれた子供 -人物のなかのKawaii-》
枕草子の“うつくしきもの(かわいいもの)”の半数近くは子供の例だそう。
昔から子供は「かわいい」の対象であったことが窺い知れます。
ここでは唐子や金太郎などの伝統的なものや子供が登場する絵巻や風俗画が展示されています。

伝 長沢芦雪「唐子遊び図」
中国の文人の嗜み、"琴棋書画"の子供Ver.
得意気に絵を描く子。
その後ろでは書を書き、その紙を頭に巻いたり破ったり。
後ろで喧嘩している子供たちの足元には碁石が散らばっているため、勝敗などを巡っての喧嘩かと思われます。笑
子供らしさがよく出ている作品。

吉井忠夫「伊勢物語(合作)のうち「筒井筒」」
幼馴染の男女が井戸の竹垣で背比べをして遊ぶ様子が優しい色使いで描かれています。
ほほえましいですなぁ。。
この2人、のちに夫婦となりますが、男が浮気するんだよね。。。
あぁ、、、ヤダね。。。。。。

柴田是真「山姥と金太郎図」
是真といえば、蒔絵、漆絵。
これは普通の(というのもおかしいかな。。)日本画です。
2幅の掛け軸。
左は斧を持ち、地面に座り込んだ金太郎。
まるまるとしていて、蟻を眺めています。
右はそれを見守る山姥。
優しさを感じます。

上村松園「折鶴」
鶴折る親子が描かれていますが、その細やかさにはさすがの一言。
色彩の美しさや細い線のようすがとにかく美しい。
可憐でかわいらしい作品。

小林古径「童女」
お手玉をする子供が描かれています。
髪がはね、動きが伝わってきます。
かわいい。

小出樽重「子供立像」
その題どおり、子供が立っているところが描かれています。
かわい、い、、、??
椅子に手をかけ、ポーズをとっていますが、なんだか、小さいおっさんって感じです。笑

川端龍子「百子図」
真ん中に大きく描かれているのは首に鈴をつけた象。
周りを子供達が取り囲むように描かれています。
第2次世界大戦後、『象が見たい』と子供達はインドに手紙を書いたそうです。
その結果、昭和24年にインド象の『インディラ』が来日。
首につけた鈴を鳴らして港から上野まで歩いたそう。
日本画ではないような、童話の世界のような絵。
柔らかい色彩と楽しそうな子供達が印象的です。
"百子図"とはもともと子孫繁栄を願う画題だそうですが、子供が楽しく過ごせるような未来への思いが込められていたように感じます。

関山御鳥「琉球子女図」
4曲の屏風。
朱の背景に女子が5人。
顔立ちも可愛らしく、また沖縄らしい服装の鮮やかさが眩しい作品です。

《第2章 生き物大集合 -動物のなかのKawaii-》
若冲に栖鳳、土牛に華楊。。。
ここでは動物を好んで描いた画家の作品を中心とした展示です。

渡辺省亭「葡萄」
籠に入れられた葡萄をねずみが食べにきています。
ねずみかわいい。
穏やかな色使いでほのぼのとした気分になれる作品。

奥村土牛「栗鼠」
大胆な筆遣いで描かれた作品。
少ない筆致で描かれています。
リスがこちらを振り向くようなポーズなのですが、これまた可愛らしい。
しっぽがふわふわです。

藤袋草紙絵巻
室町時代のお伽草子です。
老夫婦が大事に育てた娘が猿にさらわれてしまうのですが、通りがかりの狩人に助けてもらうというストーリー。
いのししに乗る猿や、娘を迎えるにあたって和歌を詠む猿などかわいらしい。
娘そっちのけで動物に目がいってしまいます。

雀の小藤太絵巻
こちらも室町時代のもの。
雀の小藤太夫婦は蛇に子供を食べられてしまいます。
悲しみにくれる夫婦のもとに、13種類の鳥たちが弔問に訪れ、歌を詠んでいきます。
のちに小藤太は出家。
諸国をまわるようになります。
なんだか切ないです。

山口華楊「生」
薄暗い納屋の中、こちらを見つめるのは生まれたばかりの子牛。
右上から入ってくる光が優しく照らします。
外に見える青葉の鮮やかさといい、生きるということを素直に表現した作品。
穏やかです。

山口華楊「木精」
巨大なケヤキの木の巨大な樹幹。
入り組んだ根の曲線上にミミズクがいます。
おぼろげに照らされたその姿は神秘的。

伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」
この作品は後期からの展示。
この作品が見たいから後期に行きました。
静岡県立美術館所蔵の作品です。
だいたいGWに公開されることが多いのですが、昨年は公開されず。
ここ、東京にて久しぶりの再会となりました。
六曲一双の屏風です。
右隻は白い象を中心にうさぎやトラ、馬に猿に鹿。
左席は鳳凰を中心ににわとり、鴨、孔雀。
ほかにも唐獅子や麒麟など空想上の霊獣も描かれています。
にぎやかで色彩も美しい作品。
とても素晴らしいです。
ですが、この作品の特筆すべき点は描き方。
屏風の画面を約1cm四方のマス目で区画。
その1マスごとに色を塗り分けていくという考えただけで苦労でくらくらする描き方をしているのです。
その方眼の数はおそらく10万個超え。
しかも小さなマス目の中に淡色から濃色へと2、3色重ねてあります。
どのくらいの苦労でどのぐらい時間がかかったのか。。
この作品によく似た構図の作品に「鳥獣花木図屏風」があります。
若冲に魅せられたジョー・プライス氏のコレクションです。
これを巡り、そしてこれと静岡県立蔵の作品と比較し、真贋話がたびたび沸き起こります。
どちらも若冲だ、いや、どちらも若冲ではない。
こっちは若冲でそっちは違う、とかね。。
どちらでもいいのです。
この屏風に描かれた生き物たちはそこで楽しく生きているのです。

奥村土牛「兎」
当時珍しいアンゴラうさぎを描いたもの。
土牛は"目が楽しいから生き物を描くのが好き"と方っていたそうです。
赤い目が白いふわふわの毛並みの中に目立ちます。
細い毛まで繊細に描かれた作品。

森狙仙「猿図」
狙仙といえば猿!!
丸い円の中に山中の木で遊ぶ猿たちがぎっしりと描かれています。
ふわふわの毛並みで癒し系。
背景の水の流れが不思議な印象。

奥村土牛「寅」
山種美術館が日本橋兜町にあったころ。
是信庵という茶室で正月に初釜が行われていました。
その茶会では参加者に扇子が配布されるのですが、その扇子の原画です。
土牛はこのデザインを昭和50年から12年間担当したそうです。
こちらを見つめるトラはのんびりとくつろいでいました。

奥村土牛「鹿」
折れそうなほどに細い足。
つぶらな瞳が可愛らしい。
土牛は仕事に行き詰ると奈良へ度々行っていたそうです。
鹿は身近だったのかもしれません。

守屋多々志「波乗り兎」
波乗り兎は古くから絵画や工芸の主題として扱われていました。
能「竹生島」でも謡われています。
シンプルな白いうさぎが金泥の波を渡ります。
軽やかです。
水の青の爽やかさも雰囲気にぴったり。

長沢芦雪「百鶴図」
遠い山の向こうからこちらに飛んでくる鶴たち。
連なってこちらに来る様子は連続写真のよう。
鶴たちの表情も描き分けられなんだかかわいらしい。
斬新な構図も相俟って印象に残っています。

福田平八郎「桐双雀」
小さな雀が2羽。
落ち着いた色彩で描かれています。
リズミカルに配置された木なども印象的。
さすが福田平八郎。
モダンでおしゃれな作品です。

竹内栖鳳「緑池」
水からひょこっと顔を出す蛙。
かわいい。
水の色やその濃淡の表現も素晴らしいです。
小さめな作品ですが、その技術の高さに感心するばかり。

柴田是真「墨林筆哥」
こちらは漆絵。
是真らしい作品です。
小さな紙に漆で富士山や傘など描かれています。
琵琶を弾く蛙はユーモラスでかわいらしい。

《第3章 小さい・ほのぼの・ユーモラス -Kawaiiってなに?-》
Kawaiiってなに?
と言われても。。笑
ここでは様々な「あ、かわいい」といった作品が展示されています。

竹内栖鳳「干柿」
干柿食べたくなりました。
簡素なのですが、ここまで描ける??といった印象。
私が書くのはおかしな話ですが、絵上手いよね~。笑

竹内栖鳳「艸影帖・色紙十二ヶ月のうち「達磨(十一月)」」
小さくころんとした達磨の夫婦。
寄り添う様がほほえましい。

また、ここではサントリー美術館所蔵の携帯用の化粧道具も展示されていました。
蒔絵の紅板など小さいのに精巧でおしゃれ。

上村松園「夏美人」
はい、美人です。
文句のつけようがありません。
松園の作品、人物が美しいのはもちろんのこと、着物も美しいなと毎回思うのです。
この作品でも着物が爽やかな美人を引き立てていると思います。

安田靫彦「飛天」
先日サントリー美術館でいっぱい見てきた飛天。
靫彦は焼損した法隆寺金堂壁画の模写にも携わっており、飛天はおなじみ、なのかな。
優雅に舞う、ようですが、足の向きが変な気もする。。。

熊谷守一「ほたるぶくろ」
板に描かれた油彩の小作。
薄紫色のほたるぶくろが薄い緑色の背景に描かれています。
配置のリズミカルな感じが見ていてなんだか楽しくなります。
なお、静岡県立美術館の所蔵です!!
(だから何!??笑)

以上になります。
かわいいものだらけ。
一部そうではないものもありますが、楽しく見れました。
伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」もまだ間に合います!!
ぜひ、ぜひ、どうぞ。



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西洋絵画×キティちゃん

2014-02-10 21:30:00 | ミュージアムショップのお菓子たち
いや~、日本美術って素晴らしい!!
後期も絶対見なくては!!
と思いながら「世紀の日本画」展のミュージアムショップでグッズ物色。

って、なんか、こう。。
ぐっとくるものがないな。。。

結局買わずに出ました。
が、展示室外にあるミュージアムショップにも、もちろん立ち寄ります。

そこで出会いました。
キティちゃん。



箱の上はマネの「笛を吹く少年」

キティちゃんって結構仕事なんでもやるよね。笑
同じ場所には「ムンクの叫びVer.キティちゃん」もありました。
白目です。。。


側面にはフェルメール「牛乳を注ぐ女」、モネ「散歩、日傘をさす女」、ダ・ヴィンチ「モナリザ」、ムンク「叫び」
世界の名画に扮したキティちゃんが描かれています。
かわいい!!!!!

マネの「笛を吹く少年」は今年の夏、国立新美術館で開催される「オルセー美術館展」で来日予定!!
楽しみ

モネは日傘をさす女性を何枚か描いているため、この作品の名前を迷いました。。
が、後ろに人がいるVer.はワシントンナショナルギャラリー所蔵「散歩、日傘をさす女」のみなので、それと断定。
オルセーにある作品は「日傘をさす女性」として紹介されています。


中身は普通のチョコレートクランチ。
ピンク色の包装もかわいらしい。

8個入り525円です。
値段もかわいい



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世紀の日本画 (前期)

2014-02-09 21:30:00 | 美術
見てきました

東京都美術館

会期は2014年1月25日から2014年4月1日。

今回の「世紀の日本画展」
東京国立博物館で開催の「クリーブランド美術館展」「人間国宝展
この3つの展示で『日本美術の祭典』とされています。
クリーブランド美術館展」「人間国宝展」を書いたので、今日は「日本美術院再興100年 世紀の日本画」を。
こちらはトーハクの2つより会期が長く、前期と後期に分かれています。
【前期】2014年1月25日 - 2月25日
【後期】2014年3月1日 - 4月1日
今回、前期を見てきましたのでその感想を。
なお、前期と後期ですべての作品が入れ替わります。
後期も見に行く予定です。

昨年、横浜美術館で開催された「横山大観展」「下村観山展(その1)、(その2)」
どちらも日本美術院の創設から立ち会い、再興もした日本美術院にとって重要な画家です。
日本美術院絡みの展示が続くな、と思いきや。
今年は日本美術院の再興から100年。
今回の展示はこれを記念し、前史としての東京美術学校設立から現在に至るまでの約130年の活動を振り返るものです。
狩野芳崖、横山大観、小林古径、安田靫彦、平山郁夫など、近代日本画の巨匠たちの代表作約120点が展示されています。

《第1章 名作で辿る日本美術院の歩み》
日本美術院は岡倉天心が1898(明治31)年に設立したもの。
その後様々な理由からいったんは事実上の解散状態に。
その後、1914(大正3)年に横山大観、下村観山らによって再興されました。
ここではまず院展のハイライトとも言うべき作品たちが展示されています。

狩野芳崖「不動明王」
口をきゅっと結び岩に座る不動明王。
がっしりとはしていないのですが、全身から力がみなぎっているような作品。
彩色も鮮やかで、背景は金色で空間表現も見られます。
狩野芳崖はその名からも分かるとおり狩野派の画家。
ですが、近代日本画の父とも称されております。
芳崖がアーネスト・フェノロサと出会ったのは1882(明治15)年。
日本美術を高く評価していたフェノロサは、岡倉天心らと日本画革新運動を繰り広げます。
新・日本画の創生を託された芳崖じゃ鮮やかな西洋顔料を取り入れた「仁王捉鬼図」で鑑画会大会で一等。
人気画家となりますが、フェノロサはこの作品を、当時の総理、伊藤博文に見せて日本画の可能性を示し、東京美術学校(後の東京藝術大学)設立の契機としました。
肺を病み、すでに54歳であった芳崖はさまざまな試行錯誤の結果、「悲母観音」を生み出します。
なお、この作品は後期で展示される予定です。
楽しみ。
芳崖は東京美術学校の教官に任命されますが、「悲母観音」を書き上げた4日後の1888年11月5日、同校の開学を待たずに亡くなります。
日本美術院の展示で日本美術院に参加していない画家の作品が一番最初、ということが不思議かもしれませんが、近代日本画の父としての業績は疑いようもありません。
日本美術院が再興された際には、院の原点を築いた一人として、岡倉天心とともに敷地内の霊社に合祀されています。

橋本雅邦「白雲紅樹」
とても大きな掛け軸です。
渓谷にたなびく白い雲。
白い筋となった滝。
岩場には小さく猿も描かれています。
川には落ちた紅葉が流れ、季節を感じる美しさを添えています。
スケールが大きく、滝の轟音が聞こえてきそうですが、落ち葉から静寂も漂う作品です。
雅邦は芳崖亡き後、東京美術学校の教授として大観や春草ら若手を育成しました。

菱田春草「四季山水」
四季の情景を描いたもの。
桜、滝、紅葉に雪景。
丁寧に描かれた作品を見ていると日本の美しさを思い知らされます。

平櫛田中「鏡獅子」
六代目尾上菊五郎をモデルとした作品。
大胆に形作られ力強さを感じます。
国立劇場には同名の作品が展示されています。
見に行きたい。

下村観山「弱法師」
謡曲"弱法師"に取材したもの。
父を求めて摂津の天王寺にさまよう俊徳丸が、日輪を拝している場面。
画面構成など全てにおいて隙がない。
横浜美術館でも見た作品。
でも、こちらで見たほうがより素晴らしい。
展示空間が広いこと、また、鑑賞スペースも広いからかな。。
横浜は全体を見ようと後ろに下がるとすぐに壁となってしまいましたが、今回はどこまでも(ってことはないけど)後ろに下がって見れる!!
スケールの大きさがより伝わります。
じわっと感動する作品。
やばいな、、私、観山好きだ。

小林古径「楊貴妃」
楊貴妃といえば美人で名高いですが、この楊貴妃は無表情。
能の「楊貴妃」の一場面です。
能面つけているから無表情なのですが。。
玉簾のひそかな動きや役者の仕草などがミステリアスな雰囲気を出しています。
その一方で色は明るく美しい。

安田靫彦「飛鳥の春の額田王」
万葉歌人としても有名な額田王を描いたもの。
背景の大和三山には霞がたなびき、そこに凛と佇んでいます。
鮮やかな色彩も美しく、たおやかな雰囲気が素晴らしいです。

奥村土牛「閑日」
白い画面に赤い絨毯のようなものが描かれ、そこに座るペルシャ猫。
左側には赤い実の付いた枝。
ここまでに展示されている日本画の中では明らかに変わっています。
モダンな印象を与える作品。

《第2章 院展再興の時代 大正期の名作》
ここでは再興日本美術院展の日本画、洋画、彫刻から代表作が展示されています。

横山大観「遊刃有余地」
再興美術院展第1回出展作。
2幅の掛け軸です。
左は包丁を持った料理人の丁。
右は梁の主、文恵君。
牛をさばいたときのその技を褒めたところ、
"私の好むところは道であって技以上のものである"と丁が答えた場面。
再興美術院へのメッセージがこめられた作品です。

下村観山「白狐」
二曲一双の屏風です。
こちらも再興院展第1回出展作。
そして横浜美術館でも見ています。
琳派的な作品ですが、金泥、銀泥を使い自然を描写している様子は素晴らしい。
林に佇む白い狐。
周りには亡くなった岡倉天心や菱田春草をイメージできるモチーフを配置。
偲ぶ心が狐の寂しげな様子かな。。
天心は亡くなる直前に英文によるオペラ「白狐」を書いていたそうで、観山の師を思う気持ちが伝わってきます。

安田靫彦「五合庵の春」
背の高い木々が並ぶ道。
奥には庵があり、和尚の姿が見えます。
手前の道には少女が2人。
霞かかる、、というより湿っているかのような空気感があります。

川端龍子「佳人好在」
京都の老舗料亭「瓢亭」の室内とそこから見た庭の景色が描かれています。
人はいませんが、畳の上に膳が既に据えられています。
庭が美しいです。
池の様子や光の様子など。

小杉未醒「飲馬」
少年が馬に水を飲ませる情景が描かれています。
目を瞑り座り込む少年と静かに水を飲む馬。
明るい金色のような背景に黒い馬が映えます。
静かな祈りのような景色です。

足立源一郎「チューリップ」
セザンヌ的な作品。
白いクロスの上に置かれた青い花瓶。
そこには萎えかけたチューリップ。
明るい色彩なのに落ち着いて見えます。

戸張狐雁「虚無」
彫刻です。
背を丸め座り込む老人。
顔を下に向けていますが、考えているのか寝ているのか、、はたまた別なのか。。

《第3章 歴史をつなぐ、信仰を尊ぶ》
ここからは日本画のテーマ別に展示されています。
歴史画や信仰をメインとしています。

小林古径「竹取物語」
竹取物語の6つの場面が描かれています。
大伴御行が龍の首にかかる玉を取りにいった場面は遭難しそうになっているのに丁寧に描かれた波に見とれてしまいます。
月に帰ってしまうと知ったときの侍女が泣く場面も華やかです。
でもなんといってもクライマックスの「昇天」
華やか。
彩りもきれいです。
金色で囲まれているのですが、オーラのよう。

安田靫彦「卑弥呼」
噴煙をあげる阿蘇山を背景に玉枝を持つ卑弥呼が描かれています。
壮大な古代ロマンです。
色彩豊かで華やか。

平山郁夫「祇園精舎」
緑茂る森の中。
釈迦とその弟子たちが金色の光の中に影として浮かび上がります。
後光がさしているかのようで幻想的。

小山硬「天草(礼拝)」
天草の協会で祈る人々を描いた作品。
黒く太い輪郭線で描かれています。
祈るために組んでいる手は大きく祈りの強さを表しているかのよう。

《第4章 花。鳥。そして命を見つめて》
ここでは花鳥風月といったものが展示されています。

平山郁夫「天堂苑樹」
先ほどの作品に似ていますが。
深い緑の森の中。
金色に輝く釈迦と白い象。
静かで荘厳な雰囲気です。

那波多目功一「うすれ日」
満開の白い牡丹。
かすんだ太陽に照らされ、色彩は少ないのですが、美しさが際立ちます。
静かで気品のある作品。

横山大観「紅葉」
六曲一双の屏風。
とにかく色鮮やかで華やか。
左から右へ水が流れ、それを背景にした紅葉は真っ赤。
群青の上にプラチナで描かれた波が美しい。

須田�桝中「篝火」
四曲一隻の屏風。
激しい雨の中、暗闇に浮かび上がる篝火。
火の粉を撒き散らしながら空間を明るくしています。
鵜は暗い水の中を浮き沈みしています。
迫力あります。

小茂田青樹「虫魚画巻」
その名の通り、虫や魚を描いたもの。
銀地の水中を泳ぐ金魚や黒い背景に浮かび上がる蜘蛛と蜘蛛の巣。
赤紫のあざみやどくだみの白い花も映えます。
とても写実的で丁寧に描かれています。

《第5章 風景の中で》
ここには風景画が展示されています。

今村紫紅「熱国之巻(熱国之朝・熱国之夕)」
バンコク、シンガポール、ラングーンに寄港し、カルカッタに15日間滞在した紫紅。
その際に見聞きした光景を架空の風景として描いたもの。
点描で描かれ、金砂子が撒かれています。
牛車や椰子の木、海にかかる虹など装飾的です。

速水御舟「洛北修学院村」
群青の森の中。
描かれた村の家は童話の世界のよう。
木々や田畑は細密に描かれています。
色彩も美しく静かでのどかな景色です。

吉田喜彦「霧氷」
四曲一双の屏風。
全体が灰色に覆われ、ぼんやりとした世界です。
シルエットで表現された木々は元気がなさそうです。

小松均「雪の最上川」
とてもとても大きな作品。
壁一面を覆いつくしています。
雪景色の中を流れる最上川。
雄大な山々と水面に映る自然。
迫力あります。

後藤純男「淙想」
どこかで見たことある、と思って思い返したら根津美術館。
「那智瀧図」を連想させます。
この景色は那智ではなく北海道の層雲峡。
北海道に行ったときに後藤純男美術館に行ったことを思い出しました。
構造はちょっとキュビズム的な印象も与えます。
流れ落ちる滝の白さが目をひきます。
この作品は1969年、再興第54回院展で日本美術院賞・大観賞を受賞しました。

宮廻正明「天写田」
ウブドに一度は行ってみたい。
バリの棚田を描いた作品。
柔らかな曲線が美しい田園景色を作り上げています。
全体的にぼかされ、おぼろげな光が温かい。
静かな情景です。

村上裕二「市」
所狭しとテントが張られ、人がぎっしり。
少ない色彩でにぎやかな市を描いています。
活気あります。

大野百樹「谷川岳」
点描で描かれた山。
空にさす明るみは黄色とピンクで表現され、あたたかい景色を作り出しています。

大野逸男「水溜りの道」
雑木林の中の道に出来た水溜り。
太陽の光を反射し、金色に輝いています。
夕暮れの美しい一瞬を描いた作品。

《第6章 幻想の世界》
ここでは画家の心眼に映った幻想の世界が展示されています。

中村岳陵「婉膩水韻」
エメラルドグリーンの水の中、全裸で泳ぐ女性。
日本画で全裸の女性とは珍しいのではないでしょうか。
色彩はとても美しい。
泳いでいる周辺の景色も不思議です。

岩橋英遠「神々とファラオ」
エジプトの壁画と、画面下にはラクダの一群がシルエットで表現されています。
かすれ具合といい、壁画そのもの。
ゆっくりとした時が流れています。

郷倉和子「真昼」
燃えるように咲く芥子と枯れた芥子。
お辞儀をしたつぼみ。
その3つが一緒に描かれ不思議な世界を織り成しています。

荘司福「風化の柵」
これが日本画なのか、と驚く作品。
暗い背景に白く浮かび上がるのは壊れた仏像たち。
防人の柵近くに作られたお寺。
役目が終わると捨てられるか朽ちるかとなっています。
これはそういったものを描いた作品。
悲しい祈りの景色です。

松尾敏男「樹梅」
白い木、金の枝、梟、赤い丸い月。
作者は戦時中に成年を迎え、徴兵検査を受けました。
"これが絶作になるかもしれない"
毎日そのようなことを考え、自分の余命を考えるようになったそうです。
その気持ちは平和な世を迎えても消えずそのまま。
この作品は死を覚悟した記憶を巡るもの。
光を求めて影を描いたものだとか。
静寂の世界が逆に生を感じさせるのかもしれません。

《第7章 人のすがた》
最後です。
人を描いたものが展示されています。

小林古径「異端(踏絵)」
爽やかな色使いでピンクの蓮の花が目に付きます。
にこやかな3人の少女がしているのは"踏絵"の現場。
"踏絵"といえば暗いイメージですが、この作品の色使いからはそういった雰囲気は感じられません。

速水御舟「京の舞妓」
祇園の茶屋、吉はなの君栄を描いたもの。
"彼女の着ている群青の絞りの着物が描きたかった"
という作品。
その着物のみならず、九谷焼の壷までも細密に描かれています。
"美しく見せたいという醜態を舞妓に託した"
というなかなか深い作品です。

竪山南風「大観先生」
ゆったりとくつろぐ大観の姿が描かれています。
慕っていた様子が見て取れます。
竪山南風は大観に師事して43年。
70歳のときの作品です。

安田靫彦「風神雷神」
風神雷神と聞けば、国宝の俵屋宗達の屏風が思い浮かびます。
が、この描かれた風神と雷神
なんて軽快なんだろう。
現代風な若者の姿で描かれ、風袋も太鼓も持っていません。
こういって進化していくことが、これからの日本画を変えていくのかもしれません。

小倉遊亀「舞妓」
貝模様の着物が爽やか。
真っ白の空間に座っているのですが、プラチナ箔押しだそう。
胡粉を200回もかけたという背景は人物を美しく引き立てています。

菊川多賀「文楽」
文楽の舞台裏です。
人形のみが鮮やかに描かれ、黒子は見えず。
あくまで影の存在である黒子を、舞台裏でも暗く描き、その存在を徹底させています。
太い線で描かれ力強さを感じます。

西田俊英「プシュカールの老人」
腰をかけ、まっすぐにこちらを見つめる老人が描かれています。
その眼差しは温かくも冷たくも感じられ、長老として周りをまとめる不思議な求心力を感じました。
背景の深い緑に溶け込みそうです。

小倉遊亀「径」
母親、娘、犬が並んで歩く姿を描いています。
その構図はリズミカル。
人物の服は白でまとめられ、明るくモダンな印象を与えます。

以上になります。
盛りだくさんな内容で楽しめました。
後期も期待です。



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