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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

金正日総書記が死去

2011-12-19 | 日記
YOMIURI ONLINE」の「金正日総書記が死去…北朝鮮メディアが報道」( 2011年12月19日12時03分 )

 【ソウル=中川孝之】北朝鮮の国営テレビとラジオは19日正午から特別放送を行い、最高指導者の金正日(キムジョンイル)・朝鮮労働党総書記が「17日午前8時半、現地指導に向かう列車内で肉体的過労のため死去した」と発表した。

 69歳だった。国営朝鮮中央通信は「金総書記が心筋梗塞を起こし、心原性ショックを併発した」としている。金総書記は、核兵器・弾道ミサイル開発を主導し、日本人拉致事件にも深く関与していた。同通信は、三男の正恩(ジョンウン)氏(28)の統治に移行すると正式に伝えた。ただ、北朝鮮が今後、権力移行期に不安定化する可能性は高い。1994年の金日成(キムイルソン)主席死去後、97年10月に総書記に就くなど17年にわたり独裁体制を敷いてきた。

 死去を伝える朝鮮中央テレビでは、黒いチマチョゴリ姿で登場した女性アナウンサーが金総書記の死去を伝え、途中で金総書記の黒縁の遺影が映し出された。朝鮮中央通信が伝えた「医学的結論書」の内容によると、金総書記は心臓・脳血管疾病の治療を長期間受けていた。同通信によると、葬儀は28日に平壌で国葬として行われ、遺体は、金日成主席の遺体がある平壌の錦繍山記念宮殿に安置される。


 北朝鮮の金正日・朝鮮労働党総書記が死去したと報じられている、と報じられています。



 大ニュースですね。おそらくこれが、明日の朝刊一面トップ記事でしょう。

 下記の報道(日経)では、今後の問題が述べられています。それによれば、
  1. 後継の正恩氏の権力掌握がスムーズにいくか。人民軍の統率を保てるか。
  2. 北朝鮮が今後、対外強硬姿勢をとらないか。
  3. 大量の脱北者・難民が発生しないか。暴動や略奪が頻発して社会が不安定化しないか。
  4. 核物質や核技術が拡散しないか。
  5. 日本人拉致問題はどうなるのか。
  6. 南北朝鮮間の関係はどうなるのか。
が焦点となるようです。



 来年は、台湾を皮切りに、(中国やアメリカなど)日本をとりまく各国で、指導者の交代(または選挙)が次々に予定されています。日本をとりまく政治状況も激変する可能性があります。

 そこで、明日以降、このブログでは安全保障問題を考えます。引用する本は『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』(リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイJr、春原剛3者の対談)です。引用は年内に終わらず、年を越す予定です。

 欧州のソブリン危機問題や、日本の「社会保障と税の一体改革」問題、円高問題など、今後取り上げたい重要テーマはたくさんあるのですが、安全保障は経済よりも重要だと考えます。経済については年明け以降に取り上げます。



日本経済新聞」の「金総書記死去、北東アジア混迷深まる 核拡散に警戒」( 2011/12/19 13:29 )

 【ソウル=尾島島雄】金正日総書記の死去により、核問題をはじめ北東アジア情勢の先行きが混迷の度を深めるのは確実だ。北朝鮮は党や軍など全権を掌握し独裁体制を敷いた金総書記を失い、後継の正恩氏は当面、権力の掌握を最優先課題にするとみられ、対外強硬姿勢をとることを懸念する声もある。核放棄も道半ばで、核物質や核技術の拡散も懸念される。二国間関係でも日本人拉致問題の解決や南北朝鮮の交流・協力に大きな影響を与えるとみられる。

 金総書記の政治スタイルは、外交や内政、経済政策などテーマ毎に各機関から報告を受け、少数の側近から助言を受けて自ら意思決定するというもの。過去にも金総書記が病気などで業務から外れた時は、政策遂行が停滞したとされる。

 父の金日成主席が1994年に死去した時は、すでに息子の金正日氏が後継者としての立場を確立し政策全般を統括していたが、それでも90年代後半は「苦難の行軍」と呼ばれる食糧危機など内部把握に苦心した。

 今回は後継体制が完全に確立する前に最高指導者を失い、体制の混乱は避けられない。特に、金総書記も常に気を配っていた人民軍の統率を保てるかがカギを握る。

 北朝鮮は2005年2月に核保有を宣言、06年と09年に核実験を強行し、弾道ミサイルの開発も継続している。金総書記の死去に伴い、核放棄プロセスは一段と不透明になる。すでに保有する核・ミサイルの管理も国際問題として浮上しそうだ。

 さらに、労働党を頂点にした内部統制システムが緩めば大量の脱北者が発生したり、暴動や略奪が頻発するなど社会が不安定になる事態も想定される。日中韓など周辺国は陸上、海上からの難民流出に神経をとがらせている。

 日朝関係への影響もありそうだ。日本人拉致の問題は長く膠着状態に陥っていただけに、北朝鮮の体制流動化が局面打開のきっかけになるとの見方もあるが、絶対的な指導者がいなくなり問題解決が遠のく可能性もある。


弁護士が増員に反対する本当の理由

2011-12-17 | 日記
 ここでいう「増員に反対」とは、「合格者数を減らそうとする動き」を指しています。つまり、「増員ペースを緩やかにしろ」という主張も含めて「増員に反対する」と簡潔に表現しています。

 簡潔に表現するために(やむなく)このような表現をしています。お読みになられる際には、その点に注意してください。



森田税務会計事務所」の「見当違いの,司法試験合格者数の下方修正」( 2010年01月08日 )

1月5日の読売新聞夕刊は、政府(つまり法務省)が司法試験の合格者数を下方修正するという方針であることを伝えました。
司法改革の一環としての平成14年の閣議決定により、本来であれば、「今年(22年)頃には合格者数をほぼ3,000人程度まで増やす」という計画でした。それを見直すことを明言したわけです(なお当初の合格者数は1,000人見当で、ここ2年は2,000人水準までに増えています)。

下方修正の理由は、「無理に増員を目指せば、法曹界の質が低下しかねないため」とのことです。さらに日弁連はこれに加えて、「弁護士の就職難が深刻になる」という点を挙げています。
しかしそうした問題は、当初の計画段階で分かっていたはずです。それでも「国民が弁護士を容易に利用できるようにするためには、大幅増員が必要」ということで、この計画が正式に決定されていたはずではないでしょうか。

しかしペーパー試験を難しくすれば、本当に弁護士等の質が向上するのでしょうか。私はそうは思いません。試験が難しくなればなるほど、やたらペーパー試験に強い人だけが合格するだけの話です。そういう人は、いわゆる「頭のいい」人なのかもしれません。しかしそれが本当に弁護士といった法律家に適しているかどうかとは、別問題のように思います。

私は本業の関係や、多くの行政訴訟を行っていること等から、弁護士をよくみることのできる立場にいます。そうした面からはっきり申し上げると、彼らの少なからぬ人は、弁護士の素養・資質に欠けているように思えてしまいます。
弁護士に必要な素養とは何でしょうか。それは「人の気持ちが分かる」が最大だと思います。弁護士が依頼者の代理人として動く以上、それは当然のことといえましょう。

その他としては、まず常識を中心とするバランス感覚がある。折衝力がある。法律を含む文章を的確に読みこなすことができる。頭と口が達者で文章力もある、等々です。
そして世の中がこれらの素養の重要性を認識したからこそ、法科大学院を設け、それらを優先的に身につけさせようとしたわけです。

法律的専門知識は、その次の段階で要請されるものです。したがって、ペーパー試験的な高度な実力も必要となります。しかしそのレベルのものは、実務に就いてからしっかり学べば十分ではないでしょうか。
第一、ペーパー試験的実力をいくら付けても、複雑な実務をこなせるはずがありません。ですからスタート段階では、ある程度の法律的素養があればいいように思います。したがって彼らのいう「法曹界の質の低下」など、さして問題にするに足りません。

しかし下手をすると、先に述べたような素養に関しては、弁護士は一般の人に比べて劣っているのではないでしょうか。それは、弁護士が報酬を払ってくれる大切な依頼者を、すべて事務所に呼びつけていることから分かります。彼らは、自身の仕事がサービス業であるということを認識していないのでしょう。

その根本は、彼らがやたら難しい試験に合格したことによる、強烈なプライドにあるように思われます。またその試験の難関さは、合格者の「箔付け」になっています。
おそらく彼らの多くは、「弁護士になりさえすれば、一生いい思いができる」と考えて、死ぬ思いの勉強を続けてきたのでしょう。だからその試験に合格して箔が付いた以上は、その「いい思い」は、当然の権利であると考えている節があります。

弁護士の本来の実力は、ペーパー試験のでは測ることはできません。これを一言でいうと「向き・不向き」です。そして先に述べた素養を持っている人が、弁護士に向いている人です。このような人は、おそらく立派な弁護士になるでしょう。
その一方、これらに向いていない人でも、試験にさえメチャ強ければ合格してしまいます。そしてその人も当然のように「いい思い」を要求します。そして弁護士会も、その利益擁護団体である以上は同じことを言います。

日弁連による「弁護士の就職難が深刻になる」という増員反対の理由が、その点を明示しています。つまり、「弁護士になった以上は、従来どおり「いい思い」のできる職場が与えられて当然」という考えです。
何より、試験が易しくなり「合格者の質が低下」したのでは、箔が付かなくなります。となれば、弁護士(さらにいえば法律業界)の社会的地位が大きく下がってしまします。「合格者数の増員防止」の本音はここにあるように思うのです。

しかしそもそも、本来弁護士を必要としている人は、現状の何倍もいるのではないでしょうか。また地方都市には弁護士がほとんどいない、というのもよく知られた事実です。
結局のところ、弁護士報酬が高すぎるために依頼できないのでしょう。であれば、報酬の水準を下げれば仕事が増えるはずです。何より、着手金をゼロ水準にして、成功報酬に一本化すれば、依頼者は相当増えるのではないでしょうか。
要するに汗をかきさえすれば、仕事(したがって就職先も)あるはずです。そして本来それを狙っての合格者増員計画だったはずなのです。

以上から、"人為的に試験を難しくすることにより合格者に箔を付け、汗をかかなくとも合格者全員が「いい思い」ができるように"、と言わんばかりの「合格者数の増員防止」方針は、いかがなものかと思うしだいです。

はっきり申し上げて、護送船団行政を思わせる今日の弁護士業界は、ぬるま湯状態にあるように思えてなりません(むろん多くの立派な弁護士がおられるのも事実ですが)。
やはりこの業界も、切磋琢磨により実力を付けた人が生き残り、そうでない人が脱落するという、あたりまえの競争社会でなければなりません。こうした緊張感が支配する中にあって初めて、われわれ依頼者が、しっかりした法律的サービスを受けることができるようになると考えるしだいです。


 司法試験の合格者数をほぼ3,000人程度まで増やす計画だったにもかかわらず、合格者数が下方修正され、現状2,000人程度になっている根拠は、「無理に増員を目指せば、法曹界の質が低下しかねないため」「弁護士の就職難が深刻になる」だとされている。しかし、弁護士の本音は、「やたら難しい試験に合格したことによる、強烈なプライド」・「箔」・「社会的地位」を維持し、「いい思い」をしたい、ということではないか、と書かれています。



 この指摘は、「当たっている」のではないかと思います。

 まず、合格者数を減らす根拠について考えてみます。上で挙げられているのは、「無理に増員を目指せば、法曹界の質が低下しかねないため」「弁護士の就職難が深刻になる」です。以下、順に考えてみます。



 (1) 「無理に増員を目指せば、法曹界の質が低下しかねない」

 ここでいう「質」とは何か、が問題になります。法曹界・法律家の「質」として考えられるものには、当ブログの過去記事「弁護士増員と、弁護士の質の関係」のコメント欄で指摘されているように、
  1. 知識のレベル
  2. 実務能力
  3. 倫理レベル
  4. 扱う事件の質
などが考えられますが、おそらく増員反対の根拠とされているのは、
「知識のレベル」や「実務能力」という意味での「質」
でしょう。

 しかしながら、旧司法試験合格者(つまり弁護士増員前=合格者数が少なかった時代に司法試験に合格した弁護士)のなかにも、「知識のレベル」や「実務能力」に問題がある弁護士がいることは事実です。私が経験した事例では、たとえば第一東京弁護士会 (一弁) の湯山孝弘弁護士などが、「知識のレベル」や「実務能力」に問題がある弁護士にあたります。

 なお、湯山孝弘弁護士について、私が能力面で問題があると考える根拠は上述の「弁護士増員と、弁護士の質の関係」に記載しています。

 余談ですが、第一東京弁護士会 (一弁) の湯山孝弘弁護士の場合、「倫理レベル」にも問題があると考えられることは、「弁護士法 56 条に定める「品位を失うべき非行」の基準」に記載している通りです。



 (2) 「弁護士の就職難が深刻になる」

 これは根拠としては「論外」です。その根拠は「なぜ弁護士「激増」なのかがわからない」に書いています。引用します。
たとえば調理師やタクシーの運転手など、他の「一般の」職業にも免許制度がありますが、それらの職業では需要を考慮して合格者数を調節しろ、といった話は聞いたことがありません。
 弁護士を「特別扱い」する必要性が示されないかぎり、たとえ弁護士の就職難が深刻になろうと、合格者数を減らす必要はありません。

 「弁護士の就職難が深刻になる」ことを根拠として合格者数を減らすことが正当化されるならば、「大学生の就職難が深刻になる」ことを根拠として大学入試の合格者数(すなわち大学の定員)も減らすべきだということになりますし、「高校生の就職難が深刻になる」ことを根拠として高校入試の合格者数(すなわち高校の定員)も減らさなければならない、ということになりますが、このような結論はあきらかに「おかしい」でしょう。



 次に、弁護士の本音は、「やたら難しい試験に合格したことによる、強烈なプライド」・「箔」・「社会的地位」を維持し、「いい思い」をしたい、ということではないか、という指摘について考えてみます。



 (1) まず、(やたら難しい試験に合格したことによる)「箔」・「社会的地位」を維持し、「いい思い」をしたい、という点についてですが、

 これは要は、弁護士の人数が増えればその分、競争が激しくなり、弁護士1人あたりの平均収入が減る。これが弁護士が増員に反対している本当の理由である、と言っているわけです。

 これが弁護士の本音なのかどうか、それは弁護士でなければわかりません。そこで弁護士はどう考えているのか、をみてみます。弁護士の本音は、「弁護士増員に反対する弁護士の本音」で引用している部分に記載されています。つまり、
「こんなに増やして弁護士は食っていけるのか」が弁護士の本音である
ということです。つまり今回引用している「森田税務会計事務所」の指摘は正しい、ということになります。



 (2) 次に、弁護士の「強烈なプライド」という点はどうでしょうか。

 この点に関しては、前述した第一東京弁護士会 (一弁) の湯山孝弘弁護士の例が参考になります。この弁護士さんが突然、「今まで築き上げてきたものを失いたくないんだ!!」と(私に)怒鳴ったことはすでに「弁護士による「詭弁・とぼけ」かもしれない実例」などに記載していますが、

 この弁護士さんはそのとき、「君は僕よりも頭がいい!!」と(思わず)口走ったのです。それ以後の、この弁護士さんの異常な態度、たとえば威張りながら「(法律を守ることは)で~きないから~あ」と言ったり、意味ありげに笑いながら小馬鹿にしたように「(法律を守ることは)でえっ、きないから~あ」と言ったり、などの異常な態度を考えると、そこには、
  • (弁護士であるオレはエライという)「強烈なプライド」が現れていると同時に、
  • (弁護士ではない)「君は僕よりも頭がいい!!」と思わされる現実に直面した際に、自分の「強烈なプライド」を守るために異常に威張ったり、相手を小馬鹿にしたい、という心理が働いていたのではないか
と考えられます。

 とすれば、弁護士には「強烈なプライド」があり、弁護士には自分の「強烈なプライド」を守ろうとする心理が働いている、と考えられます。

 もちろんこれは、第一東京弁護士会 (一弁) の湯山孝弘弁護士という、限られた例をもとに推論しているにすぎませんが、現にこういう弁護士がいる以上、同様の考えかたをする弁護士さんは、ほかにもいる、と考えることが合理的だと思います。



 以上により、今回引用した「森田税務会計事務所」の「見当違いの,司法試験合格者数の下方修正」で主張されている内容、すなわち、
 司法試験の合格者数をほぼ3,000人程度まで増やす計画だったにもかかわらず、合格者数が下方修正され、現状2,000人程度になっている根拠は、「無理に増員を目指せば、法曹界の質が低下しかねないため」「弁護士の就職難が深刻になる」だとされている。しかし、弁護士の本音は、「やたら難しい試験に合格したことによる、強烈なプライド」・「箔」・「社会的地位」を維持し、「いい思い」をしたい、ということではないか
は、基本的に「正しい」のではないかと考えます。



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 「弁護士増員反対論に対する反論

遠華事件の頼昌星被告、中国に強制送還

2011-12-15 | 日記
産経ニュース」の「密輸手配者、中国に強制送還の見通し カナダから12年ぶり」( 2011.7.13 19:33 )

 13日付の香港各紙は、中国福建省アモイ市を舞台にした巨額密輸事件で指名手配され、1999年から逃亡先のカナダに滞在している頼昌星被告が12年ぶりに中国に強制送還され、裁判を受ける見通しが出てきたと伝えた。

 頼被告は公安関係者や税関幹部と結託して石油や車など総額530億元(約6500億円)分を密輸したとされる。事件では元公安次官ら幹部多数が死刑を含む有罪判決を受けたほか、共産党指導部メンバーの家族の関与もささやかれるなど当時大きな話題を呼んだ。

 香港紙、明報によると、カナダの裁判所は今月下旬、頼被告の「送還されたら(拷問や死刑などの)危険がある」との主張について審理する予定。却下された場合、再度の不服申し立てはできず、月内に送還される予定だという。(共同)


 遠華事件で指名手配され、カナダに逃亡していた頼昌星被告が中国に強制送還される見通しが出てきた、と報じられています。



excite ニュース」の「中国1兆円脱税事件の主犯、12年目でカナダから送還へ」( 2011年7月22日 14時56分 )

 中国史上最大の経済事件である「遠華密輸事件」の主犯とされる、頼昌星容疑者が中国に送還されことが分かった。最短で7月23日。逃亡先のカナダにおける法的手続きがすべて完了したことによる。中国外交部の馬朝旭報道官は22日、カナダ当局の決定を歓迎する、などとコメントしている。

 遠華密輸事件は1996年から1999年にかけて、頼容疑者を総裁とする遠華電子有限公司という貿易会社が、約800億元(現在のレート換算で約1兆円)の関税を脱税したとされている事件。中央政府、地方政府の高級幹部及びその師弟、さらに軍部まで関わっていたとされ、中国共産党最高人事にまで影響を与えたとも言い、実態はまだ不透明な部分が多い。

 頼容疑者は事件が発覚し、当局の追及が迫ってくると、300億元(同上、約3750億円)とされる現金と家族とともに、カナダへ逃亡。中国の実情から考えて、頼容疑者が中国当局によって拘束されれば、死刑判決は確実とされ、死刑制度を廃止したカナダは、中国当局による再三の送還要求を人道的な理由で拒み続けていた。それを踏まえての逃亡先の選定だったとされる。

 香港を含む海外では送還の方向で調整が進められているなどの報道がすでにあった。事件発覚から12年目での送還。10年以上前の事件とはいえ、中国現地でも依然注目度は高く、今回の送還決定に関しても、中国メディア各社がトップで報じている。(編集担当:鈴木義純)


 頼昌星被告が強制送還されたことがわかった、と報じられています。



 どちらも数か月前のニュースですが、重要だと思われるので引用しています。



 今回の強制送還の背景には、胡錦濤と江沢民・習近平の権力闘争があると考えられます。

 事件当時、習近平は現地(福建省)の幹部だったことから、「なんらかの関与があるのではないか」という疑いがあります。もし習近平が関与していれば、それはすなわち、習近平の失脚を意味します。

 一応、習近平は関与していないとされているようですが、取り調べによって、習近平の関与を示す証言を頼昌星がしないともかぎりません。そのようなことになれば、習近平は「終わり」でしょう。



 習近平の関与があったのか、なかったのか、それはわかりませんが、

 習近平が次期・中国国家主席になれない可能性もある、ということです。



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習近平「出世を目的としないのか」と問われて

2011-12-15 | 日記
茅沢勤 『習近平の正体』 ( p.239 )

 近平はインタビューで「出世を目的としないのか」との質問に対し、こんな答え方をしている。
「それは非常に重要な問題です。何を人生の座標軸とするかです。政治の世界に入る前、私はじっくりとこの問題を考えました。政界に足を踏み入れる前に、思想的にはっきりとさせておくべき問題が2つあったからです。まず、『お前はどのような道を歩きたいのか』ということ、そして『お前が求めているものは何か』ということです。
 公僕として大事を成すに当たって志を立てることは大切です。熊の掌(山のもの)と魚(海のもの)をともに得ることができないのと同じように、政治の道に入ったら、財を成すことを考えてはなりません。孫中山(孫文)が言っているように、志を立てて大事を成したいなら、経済的な富が伴う『大官』になってはならない。現在では合法的に富を追求する道はたくさんあります。ビジネスで富を得るのは悪いことではない。大金を稼げば税金をたくさん払うことになり、社会主義市場経済を発展させることに通じるからです。
 しかし、政治の道に足を踏み入れてから金を儲けようとすれば、『貪官』『贓官』と呼ばれ、いつ捕まるかと怯え、最後はよからぬ場所に身を堕とすことにもなりかねません。政治の道に入ったら私利私欲を捨て、役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけないのです」
 確かに、近平が福建省にいた当時、「遠華事件」など多くの汚職が発覚したが、近平はそれらに関与することなく、それもまた出世のきっかけとなった(第四章参照)。


 習近平はインタビューで「出世を目的としないのか」と問われ、「政治の道に入ったら、財を成すことを考えてはなりません」「政治の道に入ったら私利私欲を捨て、役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけないのです」という答えかたをしている、と書かれています。



 習近平のこの「答え」は「ヘン」です。

 「出世を目的としないのか」と問われたにもかかわらず、「役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけない」と答えているからです。

 これでは、習近平は、「あなたは出世を目的としないのか」という問いに「答えたくない」のだと思われても、しかたがありません。



 本当に答えるつもりがあれば、
  • 「私は出世を目的としています」、または、
  • 「私は出世を目的としていません」
と答えているはずです。そもそも、
「あなたは出世を目的としているか」と問われて、「政治家が金持ちになろうとすることの是非」を述べること自体が、おかしい
と思います。これは、
  1. 「論点ずらし」であるうえに、
  2. 「自分が」金持ちになろうとしているかではなく、「一般論として」政治家が金持ちになろうとすることの是非を答えている
点で、「二重におかしい」といえます。



 それではなぜ、習近平がこのような「おかしな」答えかたをしたのか、といえば、

 それはやはり、「習近平の下放時代・その2」などで繰り返し延べてきたように、習近平は「出世したい」と強く望んでいるからでしょう。

 つまり、「出世を目的としないのか」という問いに対して、「いいえ。私は出世を目的としていません」と答えればウソになるし、正直に「はい。私は出世を目的としています」と答えれば、「とんでもない奴だ」ということになり、出世に不利になる。だから問いに答えられない。そこで習近平は、「論点をずらした」答えかたをしたと考えられる、ということです。



 なお、この本の引用は今回で終わりです。明日以降、別のテーマに移ります。



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 「答えない理由

在韓日本大使館前の「慰安婦像」設置について

2011-12-15 | 日記
産経ニュース」の「韓国政府、碑設置に理解 ソウルの日本大使館前」( 2011.12.13 23:39 )

 韓国外交通商省報道官は13日の定例記者会見で、元従軍慰安婦の支援団体がソウルの在韓日本大使館前に慰安婦問題を象徴する「平和の碑」の設置を計画していることに理解を示した。日本政府は韓国政府に設置を止めるよう求めてきたが、これを拒否する姿勢を明確にした。碑は14日に設置される見通し。

 韓国政府は、元従軍慰安婦の賠償請求に関して政府が措置を講じなかったのは違憲とした8月の憲法裁判所の決定を受け、賠償請求権について対日交渉を行うよう迫られている。しかし、日本は応じない方針で、韓国側は反発している。

 1965年の日韓基本条約に基づく請求権協定は、両国の協議が不調の場合は第三国の人物を加えた仲裁委員会で解決を図ると規定しており、報道官は仲裁委にかけることを検討しているとした。(共同)


 韓国外交通商省報道官は、ソウルの在韓日本大使館前に慰安婦問題を象徴する「平和の碑」を、元従軍慰安婦の支援団体が設置することに理解を示した。日本政府は韓国政府に設置を止めるよう求めてきたが、これを拒否する姿勢を明確にした、と報じられています。



 これ、名前は「平和の碑」ですが、要は「慰安婦像」ですよね。

 日本の立場からすれば、これは韓国人による「嫌がらせ」だということになりますが、この「慰安婦像」を日本政府が「強制的に」撤去させるのは難しいでしょう。



 ところで報道文中には
 韓国政府は、元従軍慰安婦の賠償請求に関して政府が措置を講じなかったのは違憲とした8月の憲法裁判所の決定を受け、賠償請求権について対日交渉を行うよう迫られている。しかし、日本は応じない方針で、韓国側は反発している。
とあります。これはすなわち、次のことを意味していると考えられます。
  1. 韓国政府は「賠償問題は決着した」と判断して「日本政府との交渉を終えていた」。
  2. つまり、日本政府と韓国政府のあいだには、「賠償問題はこれで決着した」という合意があった。
  3. ところが、韓国の憲法裁判所は「賠償問題は決着していない。(韓国)政府の行為は違憲である」と判断した。
  4. そこで韓国政府は、「日本政府に再交渉を求めた」。
  5. しかし日本政府は、「すでに賠償問題は決着している」として、再交渉に応じようとしない。
  6. そこで韓国人は、日本政府の態度は「不当である」と世界にアピールするために、「平和の碑」という名の「慰安婦像」を韓国の日本大使館前に設置した。
  7. 日本政府は撤去を求めているが、韓国側は撤去に応じようとしない。




 これをどう考えるか、ですが、
 いったん、「決着した」と「合意した」以上、いかに韓国の憲法裁判所が「賠償問題は決着していない。(韓国)政府の行為は違憲である」と判断しようが、日本政府としては「再交渉に応じる義務はない」
と考えられます。つまり(外交問題ではなく)韓国の「国内問題」だということです。

 それでは、賠償されるべき元・慰安婦はどうなるのか、かわいそうじゃないか、とも考えられますが、
 (韓国の憲法裁判所の判断によれば)賠償されるべき部分を見落として「賠償問題は決着した」と判断し、交渉終了の判断をした「韓国政府が悪い」のであるから、「韓国政府が」元慰安婦に賠償すればよいし、また、そうすべきである。
ということになります。したがってこの観点からも、日本政府の態度に問題はない、と考えられます。



 もっとも、上記は「日本政府は再交渉に応じてはならない」ではありません。日本政府が「自発的に」再交渉に応じ、賠償することは問題ないと思います。

 しかし、もともと、韓国側が「日本に再交渉を求めるのは筋違いである」ことも確かだと思います。したがって、

 韓国政府としては、
  1. 日本政府が「自発的に」再交渉に応じ、賠償するのをじっと待つか、
  2. 再交渉に応じる義務のない日本政府に対し、(韓国側の非礼を詫びたうえで)再交渉に応じてくれるように「お願いをする」か、
  3. 日本政府に再交渉を求めず、韓国政府みずからが元慰安婦に賠償をするか、
のいずれかを選択すべきだということになると思います。

 したがって、どう考えてみても、「撤去してほしければ賠償に応じろ。再交渉に応じろ」と言わんばかりの韓国人・韓国政府のやりかたは、問題があると思います。そもそもこのような態度は「外交儀礼に反する」のではないでしょうか。



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 「慰安婦問題についての日本政府の見解