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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

遠華事件の頼昌星被告、中国に強制送還

2011-12-15 | 日記
産経ニュース」の「密輸手配者、中国に強制送還の見通し カナダから12年ぶり」( 2011.7.13 19:33 )

 13日付の香港各紙は、中国福建省アモイ市を舞台にした巨額密輸事件で指名手配され、1999年から逃亡先のカナダに滞在している頼昌星被告が12年ぶりに中国に強制送還され、裁判を受ける見通しが出てきたと伝えた。

 頼被告は公安関係者や税関幹部と結託して石油や車など総額530億元(約6500億円)分を密輸したとされる。事件では元公安次官ら幹部多数が死刑を含む有罪判決を受けたほか、共産党指導部メンバーの家族の関与もささやかれるなど当時大きな話題を呼んだ。

 香港紙、明報によると、カナダの裁判所は今月下旬、頼被告の「送還されたら(拷問や死刑などの)危険がある」との主張について審理する予定。却下された場合、再度の不服申し立てはできず、月内に送還される予定だという。(共同)


 遠華事件で指名手配され、カナダに逃亡していた頼昌星被告が中国に強制送還される見通しが出てきた、と報じられています。



excite ニュース」の「中国1兆円脱税事件の主犯、12年目でカナダから送還へ」( 2011年7月22日 14時56分 )

 中国史上最大の経済事件である「遠華密輸事件」の主犯とされる、頼昌星容疑者が中国に送還されことが分かった。最短で7月23日。逃亡先のカナダにおける法的手続きがすべて完了したことによる。中国外交部の馬朝旭報道官は22日、カナダ当局の決定を歓迎する、などとコメントしている。

 遠華密輸事件は1996年から1999年にかけて、頼容疑者を総裁とする遠華電子有限公司という貿易会社が、約800億元(現在のレート換算で約1兆円)の関税を脱税したとされている事件。中央政府、地方政府の高級幹部及びその師弟、さらに軍部まで関わっていたとされ、中国共産党最高人事にまで影響を与えたとも言い、実態はまだ不透明な部分が多い。

 頼容疑者は事件が発覚し、当局の追及が迫ってくると、300億元(同上、約3750億円)とされる現金と家族とともに、カナダへ逃亡。中国の実情から考えて、頼容疑者が中国当局によって拘束されれば、死刑判決は確実とされ、死刑制度を廃止したカナダは、中国当局による再三の送還要求を人道的な理由で拒み続けていた。それを踏まえての逃亡先の選定だったとされる。

 香港を含む海外では送還の方向で調整が進められているなどの報道がすでにあった。事件発覚から12年目での送還。10年以上前の事件とはいえ、中国現地でも依然注目度は高く、今回の送還決定に関しても、中国メディア各社がトップで報じている。(編集担当:鈴木義純)


 頼昌星被告が強制送還されたことがわかった、と報じられています。



 どちらも数か月前のニュースですが、重要だと思われるので引用しています。



 今回の強制送還の背景には、胡錦濤と江沢民・習近平の権力闘争があると考えられます。

 事件当時、習近平は現地(福建省)の幹部だったことから、「なんらかの関与があるのではないか」という疑いがあります。もし習近平が関与していれば、それはすなわち、習近平の失脚を意味します。

 一応、習近平は関与していないとされているようですが、取り調べによって、習近平の関与を示す証言を頼昌星がしないともかぎりません。そのようなことになれば、習近平は「終わり」でしょう。



 習近平の関与があったのか、なかったのか、それはわかりませんが、

 習近平が次期・中国国家主席になれない可能性もある、ということです。



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習近平「出世を目的としないのか」と問われて

2011-12-15 | 日記
茅沢勤 『習近平の正体』 ( p.239 )

 近平はインタビューで「出世を目的としないのか」との質問に対し、こんな答え方をしている。
「それは非常に重要な問題です。何を人生の座標軸とするかです。政治の世界に入る前、私はじっくりとこの問題を考えました。政界に足を踏み入れる前に、思想的にはっきりとさせておくべき問題が2つあったからです。まず、『お前はどのような道を歩きたいのか』ということ、そして『お前が求めているものは何か』ということです。
 公僕として大事を成すに当たって志を立てることは大切です。熊の掌(山のもの)と魚(海のもの)をともに得ることができないのと同じように、政治の道に入ったら、財を成すことを考えてはなりません。孫中山(孫文)が言っているように、志を立てて大事を成したいなら、経済的な富が伴う『大官』になってはならない。現在では合法的に富を追求する道はたくさんあります。ビジネスで富を得るのは悪いことではない。大金を稼げば税金をたくさん払うことになり、社会主義市場経済を発展させることに通じるからです。
 しかし、政治の道に足を踏み入れてから金を儲けようとすれば、『貪官』『贓官』と呼ばれ、いつ捕まるかと怯え、最後はよからぬ場所に身を堕とすことにもなりかねません。政治の道に入ったら私利私欲を捨て、役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけないのです」
 確かに、近平が福建省にいた当時、「遠華事件」など多くの汚職が発覚したが、近平はそれらに関与することなく、それもまた出世のきっかけとなった(第四章参照)。


 習近平はインタビューで「出世を目的としないのか」と問われ、「政治の道に入ったら、財を成すことを考えてはなりません」「政治の道に入ったら私利私欲を捨て、役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけないのです」という答えかたをしている、と書かれています。



 習近平のこの「答え」は「ヘン」です。

 「出世を目的としないのか」と問われたにもかかわらず、「役得を得ようなどとは絶対に考えてはいけない」と答えているからです。

 これでは、習近平は、「あなたは出世を目的としないのか」という問いに「答えたくない」のだと思われても、しかたがありません。



 本当に答えるつもりがあれば、
  • 「私は出世を目的としています」、または、
  • 「私は出世を目的としていません」
と答えているはずです。そもそも、
「あなたは出世を目的としているか」と問われて、「政治家が金持ちになろうとすることの是非」を述べること自体が、おかしい
と思います。これは、
  1. 「論点ずらし」であるうえに、
  2. 「自分が」金持ちになろうとしているかではなく、「一般論として」政治家が金持ちになろうとすることの是非を答えている
点で、「二重におかしい」といえます。



 それではなぜ、習近平がこのような「おかしな」答えかたをしたのか、といえば、

 それはやはり、「習近平の下放時代・その2」などで繰り返し延べてきたように、習近平は「出世したい」と強く望んでいるからでしょう。

 つまり、「出世を目的としないのか」という問いに対して、「いいえ。私は出世を目的としていません」と答えればウソになるし、正直に「はい。私は出世を目的としています」と答えれば、「とんでもない奴だ」ということになり、出世に不利になる。だから問いに答えられない。そこで習近平は、「論点をずらした」答えかたをしたと考えられる、ということです。



 なお、この本の引用は今回で終わりです。明日以降、別のテーマに移ります。



■関連記事
 「答えない理由

在韓日本大使館前の「慰安婦像」設置について

2011-12-15 | 日記
産経ニュース」の「韓国政府、碑設置に理解 ソウルの日本大使館前」( 2011.12.13 23:39 )

 韓国外交通商省報道官は13日の定例記者会見で、元従軍慰安婦の支援団体がソウルの在韓日本大使館前に慰安婦問題を象徴する「平和の碑」の設置を計画していることに理解を示した。日本政府は韓国政府に設置を止めるよう求めてきたが、これを拒否する姿勢を明確にした。碑は14日に設置される見通し。

 韓国政府は、元従軍慰安婦の賠償請求に関して政府が措置を講じなかったのは違憲とした8月の憲法裁判所の決定を受け、賠償請求権について対日交渉を行うよう迫られている。しかし、日本は応じない方針で、韓国側は反発している。

 1965年の日韓基本条約に基づく請求権協定は、両国の協議が不調の場合は第三国の人物を加えた仲裁委員会で解決を図ると規定しており、報道官は仲裁委にかけることを検討しているとした。(共同)


 韓国外交通商省報道官は、ソウルの在韓日本大使館前に慰安婦問題を象徴する「平和の碑」を、元従軍慰安婦の支援団体が設置することに理解を示した。日本政府は韓国政府に設置を止めるよう求めてきたが、これを拒否する姿勢を明確にした、と報じられています。



 これ、名前は「平和の碑」ですが、要は「慰安婦像」ですよね。

 日本の立場からすれば、これは韓国人による「嫌がらせ」だということになりますが、この「慰安婦像」を日本政府が「強制的に」撤去させるのは難しいでしょう。



 ところで報道文中には
 韓国政府は、元従軍慰安婦の賠償請求に関して政府が措置を講じなかったのは違憲とした8月の憲法裁判所の決定を受け、賠償請求権について対日交渉を行うよう迫られている。しかし、日本は応じない方針で、韓国側は反発している。
とあります。これはすなわち、次のことを意味していると考えられます。
  1. 韓国政府は「賠償問題は決着した」と判断して「日本政府との交渉を終えていた」。
  2. つまり、日本政府と韓国政府のあいだには、「賠償問題はこれで決着した」という合意があった。
  3. ところが、韓国の憲法裁判所は「賠償問題は決着していない。(韓国)政府の行為は違憲である」と判断した。
  4. そこで韓国政府は、「日本政府に再交渉を求めた」。
  5. しかし日本政府は、「すでに賠償問題は決着している」として、再交渉に応じようとしない。
  6. そこで韓国人は、日本政府の態度は「不当である」と世界にアピールするために、「平和の碑」という名の「慰安婦像」を韓国の日本大使館前に設置した。
  7. 日本政府は撤去を求めているが、韓国側は撤去に応じようとしない。




 これをどう考えるか、ですが、
 いったん、「決着した」と「合意した」以上、いかに韓国の憲法裁判所が「賠償問題は決着していない。(韓国)政府の行為は違憲である」と判断しようが、日本政府としては「再交渉に応じる義務はない」
と考えられます。つまり(外交問題ではなく)韓国の「国内問題」だということです。

 それでは、賠償されるべき元・慰安婦はどうなるのか、かわいそうじゃないか、とも考えられますが、
 (韓国の憲法裁判所の判断によれば)賠償されるべき部分を見落として「賠償問題は決着した」と判断し、交渉終了の判断をした「韓国政府が悪い」のであるから、「韓国政府が」元慰安婦に賠償すればよいし、また、そうすべきである。
ということになります。したがってこの観点からも、日本政府の態度に問題はない、と考えられます。



 もっとも、上記は「日本政府は再交渉に応じてはならない」ではありません。日本政府が「自発的に」再交渉に応じ、賠償することは問題ないと思います。

 しかし、もともと、韓国側が「日本に再交渉を求めるのは筋違いである」ことも確かだと思います。したがって、

 韓国政府としては、
  1. 日本政府が「自発的に」再交渉に応じ、賠償するのをじっと待つか、
  2. 再交渉に応じる義務のない日本政府に対し、(韓国側の非礼を詫びたうえで)再交渉に応じてくれるように「お願いをする」か、
  3. 日本政府に再交渉を求めず、韓国政府みずからが元慰安婦に賠償をするか、
のいずれかを選択すべきだということになると思います。

 したがって、どう考えてみても、「撤去してほしければ賠償に応じろ。再交渉に応じろ」と言わんばかりの韓国人・韓国政府のやりかたは、問題があると思います。そもそもこのような態度は「外交儀礼に反する」のではないでしょうか。



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