言語空間+備忘録

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今後予想される北朝鮮情勢

2011-12-29 | 日記
リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原剛 『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』 ( p.116 )

春原 さきほど「金正日」後のお話もされていましたが、その時点でも北朝鮮は中国と「血の同盟」関係を維持しているでしょうか?

アーミテージ 歴史的に見て、北朝鮮は必ずしも「中国寄り(Pro-China)」とは言えないと思います。もちろん、彼らは中国に依存していますが、それは必ずしも北朝鮮が中国を信頼しているとか、好きだとかいうことではありません。同時に中国は北朝鮮をしても嫌っているのです!
 その昔、朝鮮戦争に参加した人民解放軍の退役軍人らと話をしたことがあるのですが、彼らは皆、北朝鮮に対する不平、不満を口にしていました。いわく、「北朝鮮は人民解放軍にまったく感謝の念も持っていない」、「朝鮮戦争で村落を解放してあげたのに我々に勝利の行進をさせなかった」、などです。このエピソードでもわかるように中朝関係というのはいつもどこか刺々しい(とげとげしい)ものなのです。だからといって、北朝鮮が突然、「米国寄り」になるとも思えません。なにしろ、過去六十年間も「反米」でやってきたのですから……。まあ、突然の変わり身もあるかもしれませんが、常識的には(反米思想から抜け出すには)相応の時間がかかるでしょうね。

春原 繰り返しになりますが、金正日氏が権力者の座から降り、息子の時代になった後、北朝鮮が「先軍政治」を変える可能性はあると見ているのですね。

アーミテージ 可能性としてはとても小さいと思いますがね。

ナイ 非常に流動的で予見は難しいですね。ある人は軍部が実権を握ると言い、別の人は三男の金正恩とその後見人である張成沢のコンビが権力を継承し、それを朝鮮労働党の第三世代が支えるという構図を描きます。最後は混乱の極みになると指摘する人もいます。つまり、それは(ルーマニアの独裁者だった)チャウシェスクのような状況ですね。
 ここで問題なのは一体、これらのシナリオのうち、どれが本当に起こるのか予見できないことです。恐らく彼らは第二のシナリオに沿って動いているのだと思いますが、それがうまくいかないと判断すれば、第一のシナリオを採用するかもしれません。それでもダメなら崩壊へと続く混乱状態に突入するでしょう。

春原 北朝鮮問題に中国を関わらせるというのはクリントン政権時代からの課題でしたが、ブッシュ政権になってようやく六ヵ国協議の「議長国」という形で中国を引きずり込む格好となりました。今、振りかえって見てなぜ中国は議長国を引き受ける気になったのでしょう?

ナイ 恐らく、中国はこうした事態に蓋をしたかったのではないでしょうか。そのためには六ヵ国協議が彼らにとって便利な道具に思えたのではないかと思います。

春原 米国の過剰な介入を防ぐためですか?

ナイ いや、それだけではなく、北朝鮮を封じ込めるためでしょう。しかし、中国は韓国海軍の艦船「天安」沈没事故で北朝鮮への非難を受け入れず、韓国や他の国々からの信任を落としました。もちろん、それは六ヵ国協議自体にもダメージを与えたと思います。

アーミテージ 理由は二つあります。第一に議長国になることによって、北朝鮮に過剰な圧力がかからない方向にもっていけると踏んだのです。第二の理由は彼らの虚栄心をある程度、刺激したのでしょう。

春原 中国に議長役を委ねることについて、米国内では「中国に主導権を奪われる」と懸念する声もありましたが……。

アーミテージ そんな心配は無用です。中国に議長役を依頼したのは我々(パウエル国務長官とアーミテージ副長官)ですが、その当事者である我々にはアジアから手を引く気などさらさらありませんでしたから。我々が政権を去った二〇〇五年時点では米中関係も良好でした。中国もそれを公言していたぐらいです。
 六ヵ国協議を立ち上げた頃、我々は「太平洋国家」としての自負をしっかりと持っていました。

ナイ 実際、六ヵ国協議以外にどのような選択肢があるのかは不明です。少なくとも六ヵ国協議は北朝鮮に対応するための外交政策を調整する枠組みとしては機能していると思います。


 金正日の時代が終わったあと、北朝鮮がどうなるかはわからない。中朝関係はとげとげしいが、六ヵ国協議では、中国は北朝鮮に過剰な圧力がかからない方向にもっていこうとする、と書かれています。



 上記引用によれば、米国の専門家にとっても、今後、北朝鮮がどうなるかは「非常に流動的で予見は難しい」ようです。

 しかし、「予見は難しい」としつつも、ある程度の予想は示されています。それによれば、
  1. 金正恩とその後見人である張成沢のコンビが権力を継承し、それを朝鮮労働党の第三世代が支える
  2. 軍部が実権を握る
  3. 混乱の極みになる
  4. 崩壊する
の順に起こる、ということになります。上記過程の「どこで止まるか」はわからないが、この順番で進行するだろう、ということです。



 おそらく誰も、この順番に異論はないと思います。したがってこの順番を「示す」ことに意味があるのか、やや疑問がありますが、

 専門家の意見を「整理して示す」ことには一定の意味があると思い、引用しています。



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北朝鮮の核能力

2011-12-29 | 日記
リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原剛 『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮』 ( p.112 )

春原 ところで、肝心の核開発計画ですが、実際のところ、北朝鮮はどれほどの「核能力」を手にしているのでしょうか?

アーミテージ 今、言われているのは最大で十個の核兵器を保有しているということです。

ナイ 一九九〇年代から振りかえって数えてみましょう。まず、寧辺(ニョンビョン)にあったロシア製の実験用原子炉から少なくとも核爆弾二発分のプルトニウムを抽出していますね。その後、(約八千本と言われた使用済み核燃料棒を)再処理したことでさらに六発から八発分のプルトニウムを手にしていると想定できます。
 一方で我々は彼らの高濃縮ウラン(HEU)については情報がありません。一体、どれほど進んでいるのかもわかりません。再処理(プルトニウム)についてはわかりますが、高濃縮(ウラン)については推測するしかないのです。もし、それがかなり進んでいれば(核爆弾数を)上乗せしなければならないでしょうが、結論としては多くの人が「八発から十発ぐらい」という表現を使っています。

春原 お二人が仰っているのは「十発の核弾頭」という意味ですね。つまり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など運搬装置は含んでいないのでしょうか?

アーミテージ そうです。彼らが核爆弾を(攻撃対象にまで)正確に運搬できるかどうかはまだ不明です。少なくともICBMはまだ開発できていない。そして、航空機にも(核爆弾を)搭載できていないと思います。つまり、ある程度の核爆弾は保有しているでしょうが、それを運搬する信頼性のあるシステムについて、彼らが開発したということは確認していません。

ナイ 彼らのICBM技術は彼らが言うほど印象的ではありません。長距離の発射実験はいずれも成功していないと思います。ただ、短距離ミサイルはもう少し印象に残りましたが。

春原 核爆弾を弾道ミサイルなど運搬システムに搭載するためには「小型化」の技術も必要ですが、それを北朝鮮は手にしていないということですか?

ナイ わかりません。確かに彼らにはロケット(弾道ミサイル)技術はありますが、核爆弾を弾頭化してミサイルに搭載できるまでになっているかどうかはわかりません。

春原 ブッシュ政権時代に明らかになった高濃縮ウラン(HEU)の製造計画は今、どうなっていると思いますか?

アーミテージ 個人的な見解ですが、彼らは今もそれ(HEU製造)を続けていると思います。そして、それが今どの程度のものなのかはわかりません。どこにあるのかもわかりません。

春原 北朝鮮の核問題を巡っては以前から歴代米政権が「超えてはならない線(Red Line)がある」と警告してきました。それは使用済み燃料棒の再処理であったり、黒鉛減速炉の建設であったりしましたが、当初、一番懸念されていたのは地下核実験だったと思います。ただ、核実験を強行した後も米国や日本、韓国が思ったほど動揺しなかったことを受けて、北朝鮮は戦略を変えたようにも思えます。ブッシュ政権で大統領補佐官(上級アジア部長)を務めたマイケル・グリーン氏によると、北朝鮮はそれまでの「核実験をするぞ」という脅し文句を捨て、「核を拡散させるぞ」という、新たな恫喝戦術を展開し始めたというのです。


 北朝鮮が保有している核兵器は、多く見積もっても10発である。また、少なくともICBMは開発できていない。北朝鮮は今、「核実験をするぞ」という脅し文句を捨て、「核を拡散させるぞ」という新たな恫喝戦術を展開し始めた、と書かれています。



 引用文中には、「航空機にも(核爆弾を)搭載できていないと思います」とあります。

 しかし、航空機に核爆弾を搭載することは、「技術的に難しくない」と思います。なぜなら、たんに(航空機に)「載せて、落とすだけ」だからです。

 したがって「技術的に難しい」のは、核弾頭の「小型化」だと思います。小型化に成功すれば、あとは(爆撃機に)「載せて、落とすだけ」です。難しいことはなにもありません。



 ここで、すこし古いですが「北朝鮮の核弾頭搭載ミサイル、ムスダンが日本全土を射程に」という報道をみると、

 北朝鮮はどうやら、核弾頭の小型化には成功している、と考えられます。



 したがって、今、最大で10発の核爆弾が、日本(または中国・韓国・ロシア)に落とされる可能性がある、ということになります。



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