12月2日 NHK「おはよう日本」
タイではいま若者たちを中心とした反政府デモが連日続いている。
こうした若者たちのデモは2020年7月以降活発になっている。
デモは警察の取り締まりに対抗して連日集まる場所を変えながら行われているが
現場に並ぶのがタイでおなじみの屋台。
デモの情報をいち早くつかみ現場に駆け付ける様子が評判になっている。
デモが2時間後から始まる予定の現場。
告知されたばかりの集合場世に駆け付けると
まだデモは始まっていないが
屋台が軒を連ねている。
(屋台店主)
「私が一番乗りです。
材料を仕入れる前にフェイスブックでデモの情報をチェックしています。」
“タイはこれでいいのでしょうか?”
“民主主義を返せ!”
警察とデモ隊が対峙するなか屋台には長い行列が。
(デモ参加者)
「デモは長時間続くので
この場を離れずにすむのは便利です。」
背景にあるのは新型コロナウィルスによる屋台への影響。
(屋台店主)
「最悪です。
デモで商売して収入を得るしかありません。」
「皆外出しません。
だからここに来るしかないのです。」
中には収入が以前の3分の1にまで落ち込んだ屋台もあり
客を求めてデモの現場に集まってくるのである。
8月からクレープの屋台を始めたチャイピチットさん。
以前は宝くじを売っていたが感染拡大の影響で休業。
妻と2人の子どもを養うためデモ隊相手の商売に踏み切ることにした。
(チャイピチットさん)
「ほかに手段がありませんでした。
でも生活していくために道を見つけなければなりませんでした。」
大規模デモが予定されていたこの日
チャイピチットさんは開始2時間前に到着し客が来そうな場所を確保した。
(チャイピチットさん)
「ここなら4~5時間ですぐ売り切れるでしょう。
到着が遅れたら難しかったですね。」
ところがデモ隊が急に動き始めた。
ついていくべきか
とどまるべきか。
屋台仲間に連絡して情報を集める。
結局 首相府を目指したデモの本体ではなく残った参加者たちに売り込む作戦が的中し
クレープは約5時間でほぼ完売。
売り上げは日本円で約1万4,000円と
デモがない時の3倍にのぼった。
きょうも屋台を引くチャイピチットさん。
平和を願いつつも
家族の暮らしのため現場にいち早く駆け付ける。
(チャイピチットさん)
「デモの情報を聞きつければ
私はまたそこで屋台を出します。」