2020年12月25日 NHK「おはよう日本」
誰でも自由に演奏することができるストリートピアノ。
三重県では
ちょっと変わった場所にお目見えして
癒しの空間として人気を集めている。
美しい音色を響かせる1台のグランドピアノ。
誰でも自由に弾くことのできるストリートピアノである。
人が集まる理由は
(訪れた人)
「海がすごくきれいで気持ち良いですね。」
「景色に没頭しながら気分良く弾ける。」
山の上に静かにたたずむ三重県の鳥羽展望台。
標高約160mの箱田山の山頂である。
施設の一角に置かれた
“絶景ピアノ”と呼ばれている。
新型コロナウィルスの感染が広がるなかピアノの音色で訪れた人を元気づけようと
2020年の夏この場所に設置された。
(鳥羽展望台スタッフ 野村さん)
「コロナのニュースもあって暗い雰囲気になっていたので
気分が明るくなってほしいなと。
なるべくお客さんに絶景を見せてあげたい。」
ピアノのもとには毎日多くの人が訪ねてくる。
京都府からやってきた女性。
この日は家族旅行である。
♪ アラベスク第1番 ドビュッシー
中学生の時に発表会で弾いた曲。
(母親)
「懐かしかったですね。
昔 練習してた曲だなと思って。」
春には実家を離れ社会人に。
三重県多気町から訪れた男性。
ここで弾くのは3回目である。
♪ 幻想即興曲 ショパン
ピアノは高校時代から独学で。
“絶景ピアノ”が唯一の披露の場。
「一番印象に残るような舞台というか
景色を含めてこういう空間は他にはない。」
ピアノに感謝したいという女性もいる。
亀山市でピアノ教室を開いている。
絶景ピアノで演奏したことがコンクールでの金賞受賞につながったという。
「ピアノに本当にありがとうと伝えたい。」
♪ 前奏曲集第1巻から 第5曲 アナカプリの丘 ドビュッシー
イタリアの青い空と海をモチーフにした曲。
このピアノに出会う前は演奏に“もの足りなさ”を感じていた。
鳥羽の景色や海の輝きを曲の表現に取り入れた。
「以前は下に落ち気味な音になっていたが
景色を見てからは上向きの音に輝いたと思います。」
“絶景ピアノ”は訪れた人の心に残る特別な場所となっている。
この“絶景ピアノ”は当初は年内いっぱいで終了する予定だったということだが
利用客からの要望を受けて
常設が決まったということである。