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小松の親分 あんたはエライ!

2021-01-17 07:08:57 | 編集手帳

2020年12月16日 読売新聞「編集手帳」


先週、
小松政夫さんのに接した。
享年78。
急逝を悼みながら、
本棚から小松さんの自伝的小説『のぼせもんやけん』を引っ張り出した。

植木等さんの付き人になる前、
横浜で車のセールスマンをしていた時代を書いている。
営業先で何時間も粘るのが常で、
女性をつかまえては
「いやあ、キレイ! たまりませ~ん、どうしてどうして?」。
活字からあの甲高い声が聞こえてくる。

「のぼせもん」とは故郷の博多で、
何でもすぐに夢中になる人を言う。
自伝の題にしたのは、
がむしゃらな明るさで頑張って良かったと思えたからだろう。

横浜時代の会社の仲間への感謝も多くつづっている。
有名なギャグのうち「どうかひとつ」は、
同僚のセールストークから着想したという。
つぶやいてみると何がおかしいのかわからないけれど、
おかしい。
人間関係のなかで、
嘲笑のようなものとは反対に身を置く小松さんだから導けたおかしみなのではないか。

思えば、
「のぼせもん」は「しらけ鳥」のムードと対極にある。
コメディアン人生を夢中で駆け抜け、
お茶の間に笑いを届けてくれた小松の親分、
あんたはエライ!

 

 

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