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タイ 王制めぐる議論 急増する親子対立

2020-12-15 07:06:21 | 報道/ニュース

11月13日 NHKBS1「国際報道2020」


タイの首都バンコクでは
警察が大規模な反政府デモの排除に乗り出してからほぼ1か月になるが
抗議はなお続いている。
デモの矛先はプラユット首相だけではなく
これまで批判がタブーとされてきた王制にも向けられている。
王制のあり方に疑問を投げかけているのは若者たちである。
一方で中高年の人たちの多くは王制を擁護する立場をとっている。
世代間の考え方の違いはいま親子の関係にまで影響を与え始めている。

「国民こそが国のパワーだ!」
タイで続く若者たちのデモ。
大学生のほか多くの中高生も参加。
これまでタブーとされてきた王制のあり方に疑問を投げかけている。
(デモ参加者 16才)
「解決策は政府と王制のすべてを改革することだ。」
(デモ参加者 17才)
「国民には好きなことを発言する自由がある。」
一方 王制を指示する人たちの集会は中高年が中心。
「王室 万歳!」
世代によって考え方が大きく異なっている。
(王党派)
「子どもたちは何も分かっていない。
 タイ人がどれほど王室を尊敬しているか教えなければ。」
こうした主張の違いは親子の関係にまで影響を及ぼしている。
インターネットなどを通じて世界中のさまざまな情報を得るなかで
王制のあり方に疑問を持つようになったという25歳の女性。
「王室を利用する人たちがいて
 そうしたことが不公平を生んでいる。
 それを変えたいんです。
この女性の父親は
国のために尽くしてきた王室への議論や反論はたとえ娘であっても認められないという。
(父親)
「娘が王制について異論を唱えるなんて信じられません。
 タイは王室を中心に統一し平和に生きてきました。
 部族で分かれている隣国とは違います。
 批判する前に王制について学ぶべきです。」
中高年の人たちが生まれ育った時代
1947年から70年にわたってプミポン国王が国を治めた。
前国王は農村部の開発や医療の普及・教育の発展に尽力。
政治的な混乱などが起きた時にはたびたび国王が指導力を発揮し混乱を鎮める。
こうしたことからプミポン前国王は国民の絶大な尊敬を集めた。
あとを継いだのはワチラロンコン国王。
しかし新型コロナウィルスの影響で経済が低迷。
貧富の格差も問題になるなか
3兆円以上とされる王室の財産の管理などが
若者たちの間で批判の対象として取り上げられるようになったのである。
25才の女性と父親の対立は日を追うごとにエスカレートしていったという。
女性がSNSに王制のあり方を問う投稿をしたときのことだった。
これを見た父親は激怒。
そして
“王制に批判的な態度をとるなら名字を使わせない!”
父親は親子の縁を切るとまで言い出したのである。
さらに
女性が父親とのやりとりをSNSの掲示板に掲載すると
父親はやりとりを勝手にSNSで広めたとして実の娘を名誉棄損で警察に訴えた。
(女性)
「心が焼けるように痛いです。
 若者たちは王制について質問したり話し合ったりしたいだけです。
 家族が異なる意見を受け入れてくれたら
 こんな問題にならないのに。」
思い切った行動に出た父親・
しかし一緒に過ごした日々を思い複雑な気持ちになることもあるという。
(父親)
「愛しています 娘ですから。」
対立が深まり親が暴力を振るうようになったと訴える若者も少なくない。
14才の少女は
デモに参加したことを父親に気づかれ何度もたたかれたという。
「釣りざおが折れるまでたたかれました。
 家は安心できる場所だと思いません。
 昔はお父さんが好きだったけど
 今は変わってしまった。
 もう何も感じません。」
デモに出たことが分かるたびに暴力をふるわれる毎日。
それでもデモに参加することに大きな意義を感じている。
「私はひとりの小さな人間ですが
 私の世代から変化が起こると信じています。
 デモに参加してほしくないなら暴力ではなく言葉で説明してほしい。」
バンコクで家族関係の相談を受け付けるNGO。
8月からの3か月間でデモに関連する相談が急増。
この結果ふだんの15倍もの相談が寄せられているという。
“デモに参加するため子どもが家出して戻りません”
“子どもがものを壊して叫び続けます”
子どもが家出したり心の病になったりするケースも報告されていて
早急な対応が必要だという。
(相談を受けているNGO 代表)
「政治的なことはいつか忘れ去られるかもしれないが
 家族はいつまでも家族。
 親子でちゃんとコミュニケーションをとっていかないといけない。」


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