11月13日 NHK「おはよう日本」
滋賀県のシンボル びわ湖。
そのびわ湖で“やっかいもの”なっているのが毎年大量に発生する水草である。
船の航行を妨げたり悪臭を放ったりするため
年間5,000t以上が撤去されている。
地元の企業は汚泥を処理する技術を応用し水草を肥料に変える取り組みを進めている。
(水草を肥料化する企業)
「水分を飛ばすのに15時間かかる。」
水分の多い水草に特殊な処理をして粉末状に肥料に加工している。
この肥料に意外な人が目をつけた。
吹きガラス職人の神永さん。
大学を卒業後北海道のガラスメーカーに勤めていたが
ガラスに魅せられ
3年前 大津市で独立。
以来 滋賀ならではの材料を使った美しい作品作りを模索してきた。
(吹きガラス職人 神永さん)
「滋賀県に来てからこの地域の人たちにすごくお世話になっていて
なにかひとつこの地域にしかできないものを作りたいという思いから
色ガラスを作ろうと。」
色ガラスの材料として
滋賀らしくしかも簡単に手に入るものはないか。
たどり着いたのはびわ湖の水草だった。
水草で作られた肥料をさらに加工してガラス原料に混ぜ込み
焼き上げると
緑色が出た。
水草そのものの色ではなく
水草に含まれる鉄分が化学反応を起こして偶然生まれた色。
配分を工夫し1年がかりで安定した色を出せるようになった。
神永さんはこの色に琵琶湖をイメージし
「琵琶湖彩(びわこいろ)」と名付けた。
(神永さん)
「淡く優しいいろになりました。
びわ湖が育んだガラスの色彩にロマンを感じてもらえたらうれしい。」
今年2月に作品が完成し披露されると
地元ではその色合いとともに
材料にやっかいものの水草が使われていることに驚きの声が上がった。
(来場者)
「緑がきれいで優しい感じがしていい。」
「水草は邪魔なものとしか思わないけど
こんな色が出るんだなと思って。」
神永さんは今後
琵琶湖彩のノウハウを他のガラス作家たちにも公開し
地域全体でびわ湖の新たな魅力としてアピールしたいと考えている。
(吹きガラス職人 神永さん)
「作り手によって作るものの雰囲気も全く違いますので
同じ琵琶湖彩でもいろいろな表情が見られると思う。
地域のブランドになってくれればいいですね。
それだったらうれしいですね。」
滋賀らしさを追求し見いだされた水草。
“やっかいもの”でも発想次第で生かす道がある。