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島国キリバス 水没の危機 

2013-11-18 07:00:00 | 海外ネットワーク
11月10日 NHK海外ネットワーク


9月 世界の科学者が集まる国連の組織が温暖化の予測について新たな報告をまとめた。
今後対策を取らなかった場合は今世紀末には世界の平均気温が最大で4,8度上昇するというのである。
国際社会が有効な手立てを打てないでいるなか温暖化の影響はますます深刻になってきている。
地球温暖化対策を話し合う国際会議COPでは先進国と途上国との主張の対立が続きここ数年議論は滞りがちである。
こうしたなか温暖化による海面の上昇で自分たちの国の存続すら脅かされかねないと
国際社会に早急な対応を求めてきたのが南太平洋の島国である。
こうした国々の中にはもはや国際社会の対応には期待できないとして
国民をほかの国に移住させることも視野に入れて対策を取り始めたところもある。

南太平洋のキリバス。
車道に押し寄せる高波。
住宅への浸水。
キリバスでは海面の上昇による被害が相次いでいる。
人口は10万人余。
首都がある最大の島でも広さは25平方キロで小さな島々からなる国である。
一番高いところでも海面からわずか3m。
海面上昇の影響を受けやすい地形なのである。
毎年海面が上昇し1年で4ミリ上がった場所もある。
住宅のすぐそばまで海面が迫りこどもが泳げるほどである。
「キリバスのことが心配。
 でもどうすればいいのかわからない。」
「今のような生活を孫の時代になっても続けられるとは思えない。」
ある井戸は海水が入り込んだことで水質が悪化した。
今では飲み水として使うことができない。
海水が入り込み作物を植えることができなくなった畑。
キリバスでは10年余の間に農地が1割近く減少したと推定されている。
住み慣れた土地を離れざるを得なくなった人も少なくない。
海沿いの集落で暮らしてきた牧師のマエレレさんは度重なる浸水で集落から去っていく住人を見てきた。
(マエレレさん)
「ここはかつて家族が暮らしていた場所。
 でも引っ越してしまい床や物置のあとだけが残っている。
 他の場所に引っ越すしかなかったのだろう。」
温暖化の影響から逃れたいとキリバスを離れ難民として国外で暮らしたいと訴える人まで出てきた。
キリバス出身の男性は9月にニュージーランドの裁判所に自分を難民として受け入れるよう訴えを起こした。
キリバスでは海面の上昇で生活環境が悪化しているからというのがその理由。
(キリバス出身の男性)
「キリバスは沈んでしまう。
 身を守るためここで暮らしたい。」
男性は6年前にキリバスを離れてニュージーランドに移り住んだ。
(男性の弁護士)
「温暖化がもたらす被害から逃れようという人たちを難民として認めるべき。
 キリバスではこの先30年の間に大惨事が起きることになる。
 キリバスは30年後には消滅しているだろう。」
今後温暖化がすすめば海面はどれだけ上昇するのかを研究グループが予測した。
気象庁や東京大学などがスーパーコンピューターで計算。
2035年には地球全体の平均で約20センチ海面が上昇するという結果になった。
キリバス周辺でも20センチ以上の海面上昇という予測になっている。
農地や住宅地の更なる水没は避けられそうにない。
このためキリバス政府は思い切った対策を進めている。
飛行機で行くと3時間の2000キロ以上離れたところにある同じ南太平洋の島国フィジーで広大な土地を買おうというのである。
広さは約2,000ヘクタールで購入額は日本円で8億円余。
まずは農地として使い主食のタロイモなどを育てる。
海面上昇でキリバス本国では農地が減っているため食糧不足を補おうというねらいである。
そして将来はこの土地にキリバスの国民が移り住むことも視野に入れている。
(キリバス 大統領府 秘書官)
「現時点では食糧を生産するための土地を確保することが一番の目的。
 ただ今後 状況が変わればキリバス政府は住民の移住も検討することになるだろう。」
急速に進む温暖化の影響にもはや対処できなくなってしまうのではないか。
キリバス政府では最悪の場合 今ある土地を離れざるを得なくなることも考え備えを進めている。
(キリバス 大統領府 政策顧問)
「国土が完全に水没してしまうこともありうると想定している。
 我々はあらゆる可能性に備えなければならず国際社会にはぜひ支援してもらいたい。」



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