My Laid-back Aussie Life

オーストラリア、アデレード発のオージーライフ、家族、看護などについて~

Goldfish~金魚(2)

2008-06-30 00:34:32 | Gallery




Paper: Arches, 300gsm, CP

Watercolor&塩

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前回の金魚を個展に出すにはあまりにも引っかかっていたので、またまた描き直しをした。今度は2匹の出目金。部分的に金魚のところだけWet-in-wetにした。Tonal Valueとデザイン、そして色の配置をかなり気にしたかいがあって、一応納得がいくものになった。でも、もう少し、鮮やかな色あせしない赤を手に入れて試してみたい。長男が金魚がいたく気に入って、以前私が描いた金魚の裏に真似て書いた。結構ユーモラスな金魚でかわいい。「この良い紙のほうが上手に書ける。」とか、一丁前に言っている。自分の持っている安いスケッチブックとの違いが分るらしい。そりゃそうに決まってるでしょう。11×12インチの水彩画紙、1ドル50セントもするのだから…。

咳が止まらなくて、今日の空手の試合は審判業をお休み。今週もかなり忙しい。

Morning Glory~朝顔(2)

2008-06-27 22:42:52 | Gallery


Paper: Arches, 300gsm, cold press, 23×33cm

Watercolor:
Van Gough (Quinacridon rose, Azo Yellow light, Permanent orange)
Holbein (Prussian blue, Burnt sienna)
Art Spectrum (Cobalt blue)

Masking Ink & Charcoal pencil

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風邪で重い身体を引きずりながら、再度朝顔にチャレンジ。一回目は全体をWet-in-wetで描いて見事に失敗。早い段階で諦めて(水彩画は失敗してそれを直そうとすればするほどひどくなることが多い)、また挑戦。今回は部分的Wet-in-wetで花と葉の面と蔓が絡まっている笹の棒を、あとはWet-on-dryで。葉の葉脈と花の折り目の白い線はマスキング・インクで白を残しておく。葉脈は濃い色で描き入れるより、白く残しておいたほうが新鮮な感じがする。仕上げに笹の棒の節をCharcoal Pencilで、そして薄いコバルトブルーを少し下のほうに散布して朝露のイメージを添える。前回の朝顔より大分良い。ただ、5号のコリンスキーの丸筆で朝顔の蔓は苦しかったかも。MKさんが日本から持ち込んできてくれたRigger(長く細い線描き用)を待っていればよかった!

それにしても、Hiromiさんがつい先日、日本から仕入れてくれた、PICABIAのコリンスキーセーブル12号を今回試してみたが…もう、申し分のない使い心地。柔らかいのに腰がある程度あって、穂先がきちっとまとまる。もう、コリンスキー筆の宣伝文句そのまま!日本は世界的に質の高い筆を作ることで有名。MKさんが持ってきてくれた、Holbeinの新しい色も早く試してみたい。

Moring Glory~朝顔

2008-06-25 22:11:47 | Gallery


Paper: Arches, 300gsm, hot press, 23×33cm

Watercolor:吉祥顔彩

油性インク&マスキング液

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なんと、先日、Royal Adelaide Hospitalの中にあるChallingar Galleryでの個展が正式に決まった。しかもなんと、再来週から。でもスペースの都合で、あと小さい絵を1点、大き目のものを1点用意することが条件。大丈夫なんだろうか?以前ボランティアとして働いていたホスピスで私の絵が数点展示されたことがある。たぶん10数年以上たった今でも、建物を壊さない限り未だかかっていると思う。あんなノリの個展だと思って気軽に病院に来る人たちや病院で働く人たちのために安らげるような絵を、とこの数週間描きためた絵の写真を全部メールで、病院の担当者に送ったら、ものすごく喜んで個展のOKをくれた。こんな素人くさい絵でも喜んでくれるなんてこちらもとてもとても嬉しいと単純に感じていた。

が、しかし!この廊下ギャラリーは結構ちゃんとしていて、契約書まで準備しておる!しかも、私の経歴・自分のアートに関する説明・写真・個展のタイトル・各絵のタイトルと…なんと値段まで書類にして提出しなければならない。値段ってどうつけるんだ!?見当も付かないので、担当者数名に聞いてみたら…小さい12×14インチの水彩画が額にちゃんと入れたら、なんと○○ドルという値段をつけてくれた。売るのが主な目的ではないこの個展、慣れないことばかりで、しかも自分の個展を開けるベレルではまだまだないと思っていいたところだったので、担当者に素直に未熟者には身に余るチャンスにとても戸惑っていると言うと、「自分はまだまだだと思っているのなら、今回はよい経験でいい経歴になると思う、という考え方が出来ると思うわ。」と勿体無い言葉まで頂いた。頑張らなければ!

小さめの絵として、朝顔を描こうと準備を始めた。wet-in-wetにしようかwet-on-dryにしようか、水彩のみにしようか墨彩画調にしようか、紙の種類は…なまじ色んな手段を学ぶと(AP先生、有難う!)デザインするときに迷ってしまう。とりあえず、初めてちゃんとしたCold Press(極細めってやつ?)の表面がつるつるした紙を試しに使ってみることにする。下絵は色んな写真を参考に考案。朝顔って、大きく葉っぱが2種類違うものがあることにはじめて気がつく。3つに分かれているものと1つのものと…。あの、自由に気ままに延びていく蔓がとても好き。いろは、なんとなく顔彩を使ってみることにした。でも後で後悔…。この紙と絵具のコンビネーションがあまりよくなかった。透明感のある色にならない。Cold Pressのときはそんなことはなかったのに。この紙は、蘭とか竹とか、一筆で勢いよく書くものの時にはいいかもしれない。でもまあ、試しにマスキング液とインクで自由に遊んでみた。ペンにはお気に入りの割り箸を削った自作のペン。

さて、反省点は。というより、今度の計画が立てられたことが収穫-。それにしても、ペンの線がうるさすぎ。Fiddling現象か?

…紙はCPで色は透明水彩絵具を使いながら部分的にWet-in-wetで、そして、インクではなくてほんのアクセントとして、墨を邪魔にならない程度に入れる。マスキングインクは、最初のウォッシュの前後に分けて入れる。さて、どんな感じになるかな。

目標があると効率よく物事を進めようと意識するようになるので、ありがたい。


我が家の果実園

2008-06-25 19:55:52 | 日常あれこれ
我が家の手入れの全然されていない庭で、初めて口に入るものが最近採れはじめた。まずは、レモン。これは次男が生まれたときに植えたもの(だったっけ?)。植木屋さんのおじさんに、「手間がかからなくてたくさん身のなるような種類のレモンがいいな。」とかいって、あきれられつつも、自信たっぷりに薦められたこの種類。また、私よりちょっと背が高いくらいなのに、しっかりとしたきれいな大振りのレモンが今日で6個ほど取れた。また2個青い実が木についている。

長男次男ともレモンが大好き。そのまま「すっぱいー!」とか言いながら普通にみかんを食べるように食べている。私はひどい風邪をひいて扁桃腺炎があるので、もちろん蜂蜜レモン。あとは、姑が4年前に植えたびわの種がいつの間にか大きくなっているのでそれがいつ収穫が出来るようになることやら…。自分の庭で食べものが取れるって結構楽しい。

でも、後数年で買い換える予定のこの我が家。それを考えるとちょっとさびしい…。






インク&水彩~習作

2008-06-23 20:20:00 | Gallery


油性インク

Watercolor:
Van Gough (Azo yellow light, madder lake deep, permanent orange, quinacridon rose)
Holbein (Prussian blue)

Paper:なんと、ペラペラの安いスケッチブックの切れ端…

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今日、油性のインクを使ってレンブラント(17世紀の巨匠)の人々を描いたインク・スケッチを参考にしながら、光と影、焦点の当てかたとそれを表現するデザインを考え、水彩を使うという事をした。その説明の合間に、「僕がまだ小学校に行っていたころ、木の机の小さい穴にインクを溜めて、そこに虫を泳がせて遊んだよ。そして、その虫を紙の上に歩かせるととてもとても面白い模様ができるんだ。ははは!そして、ペン先は天井に投げてダーツみたいに突き刺したり、友達が椅子に座る前にペンを椅子の上に付き立てたりと、ペンとインクでいろんなことをしたもんだよ。ふふふ。」と、楽しそうに先生はいつものペースで昔話をする。

油性インクは水につけるとすごい勢いで広がるけど、乾いた後に水を塗っても溶け出さない。墨のつもりで、あらかじめ水で濡らした紙に金魚の絵を描いたらとても良い感じの水墨画調の効果があった。墨が半紙にブワッっと広がる様子によく似ている。面白い!今度は、先生が学校の庭からもいできたツタやらベリーやらを自分なりになんとなく描くのではなく、構図・色の使い方・光の当て方など「デザイン」して描くという課題が出される。…げー。私は、描くのはすごく早いほうだけどそれまでにとてつもなく時間がかかる。みんなサクサクはじめているのに、私一人、ウーム…とかなんとか言いながら考え込んでいる。と、先生はいつもどおりにちゃんと見ていて、「まあ、とりあえず“何を”前面に出して描きたいか考えてやってごらん。」とアドバイスを入れてくれる。今回は、使ったことのないがちがちに乾きかかったプルシアンブルーが、捨てるのはもったいないとパレットに出してあったので使ってみる。かなりPhthalo Blueに近い渋い青。インクの黒とかなりあう。インク書きまではよかったが、絵具をのせる段階ではっ!と手が止まる。なんと描いていた紙は、水彩画紙ではなく小さいスケッチブックの切れ端。書き直すのは面倒くさいので一応、頑丈な紙じゃなければ耐えられないようなウォッシュはしないで、Wet-on-dryでレイヤーをいくつか重ねながら淡彩で光を意識して描いてみる。結果は、まあ…無難な絵?もっと、ルーズに大胆にいってもよかったかな。色を重ねるのに気をちょっととられた途端に、光がガクッと消えてしまった。何事にも通じるけど、全体に気を配りながら物事を運ぶのってかなり難しい。バランスをとるってやつ?そして、とても大切なこと。

クラスの最後にみんなの絵を並べて先生がコメントをする。それにしても絵って性格が出る。ちょっと怖い。やさしい色をいつも使う人。計画性がまるでなくて技術的にはかなりへまをするけどものすごいユニークな個性が光っている人。自分を表現するすべをまだ模索している人。かなり激しい、きっと怒らせたら怖いだろうな、という感じの人…。私の絵はどんな風に見えるのだろう?

水彩画のコースも、来週が最終回。まだまだ習うことは山ほどあるけど、今は自分で基礎を固めながらいろんなことを試して視野を広げてみたい。でもまた、来年にでもこのコースに戻ってきてあの先生のジョークと創造性に振り回されたいと思う。

春の夜桜、秋の夕焼け

2008-06-16 23:37:38 | Gallery


Paper:Arches, 300gsm, rough

Watercolor:
Top-
Van Gough (Azo yellow light, quinacridone rose, ultramarine blue)
Art spectrum (cobalt blue)
Hobein (burnt umber)

Bottom-
Van Gough (Azo Yellow light, vermilion, burnt sienna, untramarine blue)
Holbein (burnt umber)

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今日、水彩のクラスでWet-in-wetをしたときに、先生が使っていた色のコンビネーションで夕焼けのお寺をイメージして描いてみたら雰囲気がとてもある絵になった。それが下の絵。

そして、またまた先生が使っていた4つのレイヤーをWet-in-wetでしたときの色のコンビネーションを使って、夜桜を描く。両方とも、紙が濡れているうちに一気に書くため時間と水との戦い。両方とも各、数分ずつしかかけていない。そして、今日先生に習ったこと…Wet-in-wetでは紙の上の水分に細心の注意を払わないとあっという間にすべてが台無しになってしまうので、常に筆の水分を数滴単位でティッシュで拭いたりと調節しなければならない。水彩を描くには我が師匠も言うとおり、右脳・左脳ともに総動員しなければならず、おまけに手先が器用でなければあの水彩画独特の味を出す高度な技術を扱うのが難しい。ボケ防止に相当効果があるのではないかと、本気で思ったりしてしまう。

上の夜桜の建物がかなりゆがんでいるのがとても気になる。後はすごく気に入っているのに。下書きは全然なしだから、同じものを2つ描いて並べると少しの違いがとても目立つ。特に建物。これは展示するにはあまりにもひどすぎるから書き直そう…。

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追記:後日、また書き直しをしたのでUP。


長男の小さな成長

2008-06-16 22:02:25 | 家族について
先日、子供達の空手のクラスで補助指導員として先生と一緒にいつものように練習を始めようとしていた時のこと。

指導員は正面を背にして並び、子供達は一列に並んで正面に向いて、みな正座して先生の号令で「お互いに礼!」で、礼をする。そして、級・段が一番高い生徒が、「先生に礼!」と号令をかけ、皆で礼をする。で、その日はいつも号令をかける一番級が上の女の子が欠席で、なんとその次に級の高いうちの長男が号令をかける役目になった。いつもだったら、誰がなんと言おうと恥ずかしがってだんまりしたままだったから、今回はどうか!と、私も先生も興味深く彼の様子を伺っていたら…なんと!小さな声ながらも、「先生に礼。」とすごく早口で言った。テレながらも、そういう役割に付いたということが誇らしげな様子。幼稚園では卒園直前まで先生が彼の声を知らなかったくらいシャイだった彼。つい最近も、小学校の先生との三者面談で、皆の前で「週末に何をしたか。」という小さなことも、みんなの前では発言できなかったと指摘された彼。親としてはこういう子供の小さな成長がとても嬉しい。

練習が終わった後に、「あの号令とてもよかったよ。ちょっと声小さかったけど。」と褒めたら、彼はとても嬉しそうだった。

水彩山水画~桂林

2008-06-12 13:45:04 | Gallery


Paper: Arches, 300psm, rough, 20×27.5cm

Watercolor: Van Gough (raw sienna, ultramarine blue)

Brush: Nylon brush, no.8, no.4

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病院の個展の審査のための絵で、前にテーマを決めていた通りに水系の風景画を描こうと思って、ある旅行会社のツアーの広告にあった写真を参考に、中国の桂林の景色を自分のイメージで描いてみた。

まず、好きな色のアースカラー、Raw Siennaで画面を刷毛で薄くウォッシュ。完璧に乾かしてから、また画面を刷毛で濡らして一気にRaw Siennaでトーンを落としたUltramarine BlueでWet-in-wetで山と湖に移る影を描く。そしてナイロン筆を使って乾筆で早い運筆で前景の岩場をザザッと刷き、船を一艘浮かべる。全部乾かしてから、またまた水で画面全体を濡らして船の部分の絵具が上手く(というか偶然に)滲み出してきて水面に移る船の影を生み出す。出来上がった絵を見て、直したいところが何箇所あってもぐぐっとこらえて、これでよしとする。水系絵画はいじればいじるほど新鮮さがなくなってくるのを嫌というほど体験済み。でも、あの上手くいってもいかなくても、全ての絵との一期一会みたいなところがとても好き。

画仙紙・墨・付立筆がなくても、水彩画用具一式でこんなにも水墨画に近い表現が出来る。日本外に在住の水墨画を試したい人、是非Wet-in-wetとナイロン筆でチャレンジしてみることをお勧めする。

自分の絵におけるスタイルの傾向

2008-06-10 00:37:08 | Art・その他の趣味ついて
我が水彩画の師匠、APと生徒のいつもの会話。

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APがいつものように楽しそうに生徒達の前で混色やレイヤーのデモンストレーションをしていた時…

AP:「ほーら、こうしてパレットの上で『えい!えい!これでもか!!』というように色を完全に混ぜこぜにしてしまうと、絵具が紙の上で混ざり合う余地をなくしてしまうんだよ。ほら、真平らなつまらない色一色だけになってしまうでしょ?」

生徒達:「うーん、なるほど。いつもやっていたアレがいけなかったんだね。」

AP:「絵具を扱うときはそれはもう、こーんな感じでやさーしくジェントルに扱って、水をたっぷり使うと…ほら、こんな感じにリッチでゴージャス(注:美しい、華やか、と言う意味)なカラーが生まれるだろう?ふふふ。リッチでゴージャス、まるで僕の知っているある女性のよう…。」

ある品の良い年配女性生徒:「あら、奥さんのことかしらっ!」

AP:「僕のワイフはそれはもうゴージャスだけど、リッチじゃないね。彼女も僕と一緒でアーティストだし。」

じゃあ、誰のことだっつーの!

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各色の特性を説明しているとき。

AP:「水彩絵具にも色々あってね。コバルトブルーとかアリザリンクリムソンとかは透明色で水で溶いてレイヤーを他の色の上に重ねるとまるで色の付いたセロファン紙を重ねたみたいに下の色が透けて見えるんだよ。そうそう、シースルーのネグリジェみたいにね。それに対し、セルリアンブルーとかカドミニウム系の絵具は不透明で、下の色をかなり隠してしまうんだ。まるで、フランネルのネグリジェみたいにね。」

生徒達はみなで受ける。

私:「とても分りやすい例えだね。」

ある中年の男性生徒:「家に帰ったら、ネグリジェの事しか覚えてなかったりしてね。」

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こんなふざけたことを数秒おきに言っている先生も、かなりいいことも沢山言う。水彩画をこの先生に習い始めて3ヶ月位したときに、私はクラスの人たちに、「あら、上手く出来たわね。もう私全然上手くいかなくて…。」とかコメントされるたびに、なんか引っかかりを感じるようになった。自分では技術的に上手くいっているとしても全く満足がいかない。彼らの絵を見て私はその度に、「でも、あなたの絵もとてもあなたらしい色や雰囲気が出ていていいと思うよ。」と本当に感じたままを伝えてきた。そして、毎回繰り返される会話の中で、技術的にある程度器用に描けても、これが私だ!みたいな自分らしさが皆のように絵に出ていないからだ、と分った。まあ、自分の独自のスタイルがないことのあせりみたいな。

あるとき先生が、大体の画家は彩度をある程度落として光を明暗(Tonal)で描き分けていて、彩度の高い色ばかり使っているカラフルな色彩感覚の画家はあまりいないと、言っていた。いても、抽象画家とかが多いとか。そして、こういう美的感覚というものはまねできるものではなくて元から備わっているもの。先生は、私が自分の絵のスタイルについて考えているのを鋭く察知して、「画集を何でもいいからぺらぺら何も考えないでめくってごらん。そして、自分が直感的に好きだと思った絵をマークしておくんだ。そのときになぜこの絵が好きかを考えないこと。そうして、後でマークした絵だけを見直すと大抵はある傾向がはっきりと出て来るんだよ。」とアドバイスをしてくれた。オーストラリアの大物水彩画家がそろっているThe Australian Watercolor Instituteという団体の画集を早速ペラペラまくってマークをしてみた。結果は…かなりごった混ぜ。それでもあえて傾向を探してみると…

・静物画にはほとんど眼がいかず風景画ばっかり。あと、人物が入っていないものがほとんど。町の風景もそう。
・静かな中にもダイナミックさ、強さがあるもの。
・抽象・具象のチャンポン。面白いデザインものも、いくつかあった。
・Tonalな絵でも、あるポイントだけインパクトのある強い色が入っているもの。例えば、大部分が青みがかったグレーの絵にヴェネチアンレッドがガッと差してあったりするとピピッと反応してしまう様だ。かなりカラフルな絵もいくつかあった。
・コントラストが色調・明暗ともに強いもの。光と影を、暖色・寒色または明・暗ではっきり表現しているもの。
・レイヤーがいくつか重なっていても、透明感のあるもの。
・緻密な絵をみても、あまり反応しないようだ。大胆な筆使いと、ルーズな感じで絵具が紙の上で混ざり合うその偶然性、そしてWet-in-wetや絵具の粒子化、レイヤーの効果などの技術的に高いレベルが要求されるもの、右脳・左脳両方ともばっちり高いレベルで要求されそうな絵がすきなようだ。

とかなり面白い結果になった。つまり、自分にないものを求めているみたいな。先生、いいことを教えてくれて有難う。今度描く時に意識的に自分が何をどうやって表現したいのかを少し考えながら出来そう。でも、出てきた課題の大きさのほうが問題かも-。