My Laid-back Aussie Life

オーストラリア、アデレード発のオージーライフ、家族、看護などについて~

Gold Fish~琉金

2008-06-06 00:03:07 | Gallery


Paper: Blockingford, 300gsm (NOT)

Watercolour: 吉祥顔彩

Brush: ナイロンの8号・12号、コリンスキーセーブル4号、リス/ナイロン混合のNeef16号、隈取筆(中)

そして、なんと岩塩。

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Royal Adelaide Hospitalでの個展を開けるかどうかの審査のために、友人達数人に今まで私が描いた絵の写真をランダムに見せて「もし、病院の廊下に飾ってあっていいな、と思うような絵ってどれだとおもう?」とアンケートをとった。病院だから、あまりさびしい・くらい雰囲気の絵は×。そして、じっくり鑑賞しなきゃいけないような絵も、不適切。と言うわけで、暇があるときに遊ぶ感覚でさらさら描いている、顔彩の日本画調(本当か?)の竹やら花の絵と、パステルの湖畔のボートがだんとつで適切なものだという意見だった。シンプルで新鮮でリラックスできると言う理由。で、病院の担当者に絵をいくつかメールで送るように言われているので、テーマというかジャンルが一応決まったため、同じような系統で最低10点書いて送る用意を始めた。

テーマは…シンプルで静かな空間を感じることの出来る絵。で、硬質な病院の廊下という場所を考えると、花や木の植物、水辺の景色、水や空を連想するようなもの-魚や鳥、などがいいのではないか、と考えた。今までに描いた使えそうな絵は、「Chinese Orchid-蘭」「Wisteria-藤」「Bamboo-竹」「Iris-菖蒲」の4点とパステル画で合計5点。これらを並べてしげしげと眺めると、ほとんどが緑と青・紫系統の色。もうちょっと暖かい色が欲しい。と、思いついたのが金魚や鯉。特に金魚は一匹唐突にあってもそれ自体華やかで絵になる。でも、身近にモデルがない。

早速、ネットで金魚の写真を見つける。でも、数だけはあっても、信じられないことに真上から撮影したものが結構あったり、真横であまり面白みがなかったりしてなかなか見つからない。でも、一番好きなあの尾びれの華やかな金魚を見つけ、それを下絵に使う。

それにしてもネットはとても便利。金魚の図鑑まで出てくる。飼育の仕方とかも。その情報を受け売りすると…金魚には大きく和金・琉金型・ランチュウ型とに分けられるらしい。よくお祭りでやる金魚すくいでもらえるのはコメットや朱文金、頭に冠みたいにでっかいのが付いている丸いのは、ランチュウ型、そしてあの尾びれがひらひらきらびやかなのが琉金型でそれぞれいろんな色がある。それにしてもその種類には花房・羽衣・丹頂、青文魚など、それぞれ趣のある名前が付いている。今回モデルになってもらったのは赤い琉金。下書きしている段階で、モデルの金魚の写真にはいくつヒレが付いているのが微妙に分りにくい。あれ?金魚ってヒレいくつ付いていたっけ?ということで、さらに金魚の解剖学までネットで調べることになる。やっぱり、描く対象はしっっかり観察しないと…。

そして、自分の風景画用の色しかない水彩絵具ではなく、華やかな色がそろっている顔彩で試描きをする。絵具と紙が違うだけで、水系の絵画は微妙な調節をするのがとても難しくなってくる。ここで、水彩画のコースで習った技術や本で学んだ方法を試してみることにする。

まず、水彩のRaw Siennaらしき色を出すために、黄土と鮮光黄という色を使い、グラデーション・ウォッシュを下半分までして紙が半分まだ濡れているところで、岩塩を適当にバラ舞で自然乾燥させる。こうすると塩の結晶が面白い模様を出してくれる。これは水の中の砂や小石を連想するように…。そして、金魚は鮮光黄でWet-on-wetで下塗りしてから紅・上朱で思いっきり存在感を出すためかなり強い色で描く。面白い!紅はAlizarin Crimson、上朱はScarlet LakeかCadmiium Red Lightのような色。そして、ヒレのところには、隈取筆を始めて使い、ぼかしてみる…と、ほー!ようやく日本画でわざわざぼかしようのこの筆が作られているのかが良く分った。きれいにぼかしができる。今度、水彩画でも使ってみよう。あとは、水草を青草・若葉・花百緑・鮮光黄でWet-on-dryで描き、水彩の先生がやっていたように濡れているうちに、水草にムラをつけるためにトイレットペーパーを丸ごとごろごろごろと転がす。仕上げに、コリンスキーの丸筆4号で目玉やヒレの線を入れる。普通は面相筆を使うだろう。墨を摺るのが面倒くさかったので顔彩の黒色を使ったが、物足りない。やっぱり今度は黒はちゃんと墨から作ろう。そして、2時間かかってようやく、サインと印を入れて仕上げ。

色んな方法を使ったり、初めての塩を使う方法や使ったことのない色にチャレンジしたりと、かなり冒険をしたが、まあまあの成果。今度はまた違う方法で、もっと背景に溶け込むような金魚を書きたい。