My Laid-back Aussie Life

オーストラリア、アデレード発のオージーライフ、家族、看護などについて~

水彩画コース・ノート~(3)

2008-02-26 09:12:04 | Art・その他の趣味ついて
今回は、主題と背景の関係について。細かいことはあまり説明せず、ある画家をレイにとって、どういうように主題をハイライトしているかを見ていった。

例えば人物画で背景が空と草原。よく見ると晴れた青く見える空が現実離れしているくらいくすんでいる。でも太陽が当たっている人物(彩度の高い色)を置いてバランスをとっている。そうしたらなんと、空がきれいな澄んでいる青空に見える。眼の錯覚ってやつ?主題に彩度の高い色、バックに中間色を持ってくることによって遠近・明暗をつけている。同じように、もうひとつの絵は、2人の黒人が釣りをしているところで、後ろの人はほとんどバーント・シエンナで、前の人はそれプラス光のあたっているところにバーント・アンバー。明暗を単純に色を薄くするのではなく、同じ系統の絵具でも明度の高低で調節している。すごい…。

今まで散々色んなものを書いてきてけど、きれいに見えても、なんだかいつも平坦な動きの無い画になってしまう。見たままの形・色を紙に写そうとしているからだと思う。まず、「眼で見て」「頭で考える」のではなく、「眼で見て」「心でイメージ感じる」ことが必要だ。その右脳が掴んだイメージを、左脳の助けで表現する。しばらくはイメージトレーニングに忙しそうだ。何ごとにもバランスが大切ってことか。空手の形も一緒…。



と言うわけで、「先週描いたリンゴの周りに、何でもいいから他の果物と葉っぱを薄い色彩で描いてみてくださーい。そして、その背景をこういう風に塗ってみて。」とあまり細かい説明なしに、先生は見せてくれる。背景を塗りながら、「灘絵具がぬれているうちにこういう風に乾いた筆で部分的に絵具を葉の形に取り除くと…ほら、細かいことは描かなくても奥の奥になんとなく葉が重なっているように見えるでしょ?」と、どさくさにまぎれて教えてくれたりする。先生が数分でやってのけたことでも、実際やるとなるととても難しい。クラスメートがあちらこちらでため息をついているのが作業をしていると聞こえてくる。

そして、背景を決めると、なるほど、前景にある果物や葉の調節が必要になって来るのが分る。バランス、バランス。でも、一回濃い色を塗ってしまったものは後でやり直しが効かないので、最初は慎重に薄い色を置いて、後で周りの色との関係で重ねていけばいい。ほんと、水彩画のテクニックだけではなくて、画の基本がなっていなかったのをとことん思い知らされる。この画のつづきはたぶん、来週にやらされるだろう。
 
ことろで、先生に誰かからもらったと言う、中国産のリス毛の筆(モップ形)を貸してもらって試してみた。水の含みがナイロン製とはまったく違う。そしてとても柔らかい。背景の左側を書いたのがそれ。右側はナイロンの一番安い筆で書いたもの。本当にこうも出来が違うものかと思う。紙も、絵具も(ウルトラマリンブルー・アーゾイエローライト・マダーレーキディープの青・黄・赤)描いた本人も一緒。左側はむらがひどく絵具の流れが滞っているまま乾いている。とても気に入ったので、先生はどこでその筆を買えるのか調べてくれるそうだ。そんな話をしているときに先生は私に「HAKEってどういう風に読むの?」と、こそっと聞いてきた。「日本語ではハキ(大抵こちらではこう発音している)ではなく、ハケと発音しまーす。」と教えてあげた。とてもお茶目な人。

さてさて、来週までにグレーとグリーンの混色と、イメージトレーニング。

メモ:

・使いっぱなしで彫っておいて固まったパレット上の絵具を再び柔らかくするのに、小瓶に少量のグリセリンを混ぜた水でスプレーすると乾きにくくなって作業しやすい。グリセリンは薬局なんかで安く売っているとのこと。

・レイヤーを重ねるとき、透明水彩色でも上に重ねた色が強く出る。これは、ウェット・イン・ウェットでも同じ。

・混色のテストをするときは紙によって色のでかたが違うため、本番用の紙で試すこと。そのときは水もパレットも筆も完全にきれいなものを使って混ぜること。ちょっとでもどこかに他の色が混ざっていたりすると、大きく結果が左右する。私の混色のテストで色が下の写真みたいににごっているのは上の2つのせいだろう、と先生は言っていた。



〈茶系とブル系との混色で作る中間色のテスト…かなりあちらこちらで使えそう〉




戦争の傷跡のひとつ~PTSD

2008-02-25 21:55:56 | 看護に関するあれこれ
今勤めている病院は、退役軍人病院だから一般人を含めても当然退役軍人の患者が多い。
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昨日、受け持った患者さん(84才)はPTSD(心的外傷後ストレス障害)をもつ、整形の患者さん。PTSDは第二次世界大戦からのものらしい。詳しいことは申し送りからは分らなかったけど、日本がらみの可能性も多い。とても柔和な、回復をしようと一生懸命にリハビリをする自立心にあふれる人。シャワーの介助をしながら彼自身についての話を聞くと、とてもよい幸せな家庭を築いているようだ。

先週、精神科病棟にかなーり久しぶりに送られた。もちろんナースとして働きに。バイタルをとりにいった患者さんのなかに、退役軍人でPTSDを持つ人がいた。いまだにフラッシュバックがあるらしい。一見、元気なよく話しフレンドリーに見える。その病棟にはオーストラリア軍の歴史を写真入りで展示している。その写真のひとつに、日本軍に捕らえられたオーストラリア軍人の捕虜が文字通りに骨と皮だけになった姿で、解放されたところを映したものがあった。

オーストラリアにはアンザック・デイという戦争記念日がある。その日には、退役軍人は勲章や軍服を身に付け、集会をする。病棟でも特別に集まりがある。そんな日に、「…そんでよー、ジャップの野郎達がそのとき来やがってさ…。」とか言う会話が病室から聞こえてくる。

数年前、大学で勉強しているときに、よく遅くまで勉強していて、大学のセキュリティーに家まで送っていた。その途中で世間話をしたときに、「オーストラリアにとっては日本が唯一侵略をしてきた国。だからその恐怖心がまだ強く残っている年配の人は結構多い。」と初めて聞かされた。

義理の姉は、韓国生まれのアメリカ育ち。彼女の大叔父さんは第二次世界大戦時、とても有名な詩人だったそうだ。大戦中。日本軍に捕らえられ、「日本国を称える詩を書け。」と強いられ、断固として拒否した。でも、獄中で亡くなったそうだ。彼女とあって、会話らしい会話の第一発目が、「ねえ、日本人って国粋主義者だと思わない?」だった。まあ、これはオーストラリアとは関係ないけど、これも戦争が残す傷跡…。

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一般にオーストラリア人は日本を観光地として、言葉・習慣・芸術もろもろ含めてかなり特有の文化を持つ国として、経済大国として、最先端の技術を生み出す国として、かなり興味を持っている。公立・私立の小学校や高校などでの第二ヶ国語科目として日本語を履修させるところも多い。個人的に日本語を習う人も多い。だから片言の日本語が話せる人も多いし、日本に交換留学や旅行に行ったことのある人はかなり多い。そしてとても親日家。日本人にとってもオーストラリアはとても近い存在。こういった関係はつらい過去の上に成り立っている。

その今でも、在豪日本人として、オーストラリアにとって日本はとてもつらい経験をさせられた国であると言うことをもっとちゃんと知っておきたい。

墨と戯れる~初めての水墨画

2008-02-22 23:06:45 | Art・その他の趣味ついて
ぷっ!何か、このタイトル、水墨画の初心者向けの本のタイトルみたい…。

最近水彩画を先生についてちゃんと習うようになってから、絵具と水と紙の関係についてく考えるようになった。で、今日は字の上手い友達(習字を習ったことがあるらしい)が遊びに来てくれたときに何気に硯を引っ張り出して漢字を書いてもらった。そんで、自分も初めて水墨画にトライ。筆で字を書くのは嫌い。漢字って右利きの人のために出来ているし…。

友達が中国・西安に行ったときにお土産に買ってきてくれた硯・筆・文鎮・半紙・下敷き・墨、そして世界堂から仕入れてくれた顔彩。今回は墨だけで竹・欄・梅、願彩と墨で柿やナスを試書きした。結構面白い。水彩画と一緒で、紙の性質を見分けて、それに絵具・墨の濃さを調節しなければならない。あと、水墨画ではさらに、筆圧・筆の方向と角度を細かく調節し、用途に合わせて筆を慎重に選ぶことが重要になってくる。



このお土産の筆、山羊の毛を使ってあると書いてあるが、水につけて毛先をほぐしてみてびっくり!何十本も毛が折れたりごっそりと抜けたり大変な代物。毛先のまとまりも全然無い。げー、こんなんで描けるのかい?と思いきや、墨につけるとそれなりに滑らかになり、墨の含みも良い。でも、細かい作業には毛先があまりきかないのでかなり心もとない。で、いきなり大きな半紙をビリビリと小さくちぎって濃淡の墨を使って山らしきものを書いてみた。ついでに、空いたさびしそうなスペースに川を描いてそれらしく船を浮かべてみた。おおっ!なんだか水墨画らしくなってきたぞ。そして、一応名前を草書っぽく書いて、シンガポールで作ってもらった印を捺したら…なんと結構雰囲気のある画になった。色が無い分、筆の動きがダイレクトに出て面白い。そして、このシンプルさと、それが故の奥の深さ。ぼかしとか、筆の中の部分的な墨の濃淡のテクニックをちゃんとマスターしたらかなり幅の広い画が描けそう。



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小学校3年から対岸に日本人にとって身近であった墨と半紙。時間をかけて黙々と墨をすり、淡濃の墨で遊ぶ。とても、心が落ち着く…。

形の特訓

2008-02-21 14:11:07 | 空手道場日誌
今日は、いきなりウォームアップとしてチューブトレーニングの逆突きと刻み逆突きの前進・後進。そして合間合間に各自ストレッチ。これは体が温まっていないうちにストレッチをガンガンやるよりずっと効果的。そしてなんと珍しく、最初から最後までほとんど形の特訓。今日は先生は色んなことを具体的に説明してくれた。

・最初に私をいきなり皆の前に出して、観空大を力をまったく抜いてテクニックの正確さなんかも無視して、順番にとにかく早くするように言った。1分半かかるのを30秒しかかからない。これはひとつの型の呼吸の流れを掴むのに良い。

・次に、同じくリラックスして形を早く流してするけど、個々の技のときだけしっかりときめを「ふん!」と極端に強くする。メリハリのある形のための練習。

・最後に全速・全力で一つ一つの形のシークエンスごとに、細かいテクニックの正確さを一切気にしないで「組手形」をする。自分の中に眠っているトラを起こして戦うようにとか…。表現が面白い…。私の中のトラは年中冬眠中。たまーに起き出して大暴れしてさっさと棲家に戻っていってしまう-。形試合では技術の正確さと見栄えが重要だけど、本来形をする意味である、想定する相手と戦っているつもりでする、気構えが大切だ、忘れないように、と先生は念を押していた。

今度、試合の前にチューブトレーニングの後、観空小を5回(この形は鍛錬用としてとてもよい)組手バージョンとパワー・フルスピードでやってみよう。

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これらは、基本の基本。そして、形の三大原則:「力の強弱」「技の緩急」「体の伸縮」…。頭で理解するのはそんなに難しくないように思われても、心と体と気が調和されてバランスよく行うのはとてもとても難しい。物事は、やればやるほど山が高くなっていき、難しい。

Sky習作~(1)

2008-02-20 23:15:41 | Art・その他の趣味ついて


今日、緑色の混色のテストをしたくて空を書いてウォッシュ法の練習をしながら、Mannumの近郊の農場のど真ん中にあった廃墟を書いてみた。空まではよし。その下の遠くに見える丘陵(青でほとんど見えない)もよし。後はすべて見事に失敗。その部分を書き始める前にそんな気がしていた。油絵・パステル画ととことん違うこの計画性が一番重要な水彩画、勉強することが山のようにある。

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反省(涙;)

・本物ものの風景をしっかりと見て、ちゃんとデッサンの基本(光と影・遠近法)を踏まえて描くこと!違和感ありまくりの絵になってしまう。ちなみにこの画は写真をチラッと一瞬見ただけで描いた…。この画では、どこに太陽があるかすら分らない。そして普通、この廃墟をど真ん中に持ってこないでしょう、やっぱり。

・その場所に、混色を持ってきたいのか、重色にしたいのか先に決めること。両方とも気ままに混ぜこぜにしてやってしまうと、色がくすみ、まとまりの無い絵になる。計画性!計画性!!スケッチをどっかに紙の端に描いて、色のテストをするとよいかも。プロの人はそうしているらしい。水彩画は「げっ!まずい!塗りなおししなきゃ。」と言うのは通用しない。

・緑色の混色・重色の練習を暇があったらすること。緑色は私の一番好きな色。でも、とても難しい。中・上級者水彩画の教書に「Greenの作り方」がGrayの作り方と並んで詳しく書かれているくらいだ。絵具で色々な色の緑色が市販されているけど、それをそのまま出して使うととても平坦なつまらない絵になる。他の部分とのバランスもあるし?

・個人的好みが結構この一枚で分った。私は、部分を乾いたらまたチョコチョコと書き足すのではなく(ウェット・オン・ドライ)、ウェット・オン・ウェットでレイヤーを重ねながら書いたもののほうが好き。そのほうがダイナミックで新鮮に見える。でもかなり難しい。本番では時間・手間をかけない分、慎重な下準備が必要。これこそWritingではなくPaintingの醍醐味だと思う。

水彩画コース・ノート~(2)

2008-02-19 23:50:08 | Art・その他の趣味ついて
今回は、先生はおしゃべりもそこそこに、いきなり色彩の説明をしだした。かなり美術専門用語が出てくる。日本でも理論的なことは一切無視して書いていたため、「Hue」とか「Opaque」とか「Staining Colour」とか出てくる度に、「は?」と思考が止まる。そのたびに、マイペースなわりに生徒の反応をよく見ている先生は細かく実際にある色を使って説明してくれる。今回の要点は:

・カラーウィール(色相環っていうんだっけ?)について-原色、つまり赤・青・黄があれば、全部の色を作ることが出来る。たとえば、このうちの2色を混ぜればオレンジ・緑・紫になる。ここまでは小学校でも習った。問題はその先。この環の反対側にある色を補色という。そしてその色同士を合わせると(つまり三次的な色)どんどん原色から中間色、つまりグレーに近づいていき、最終的には黒になる。よし、ここまでもなんとかよし。そして、具体的に水彩を描くにあたって、使う色は実際は本当に純粋な赤・青・黄色はほんの一部。大抵は何かしらの色が入っている。たとえば、コバルトブルーは本当の青でもウルトラマリンブルーは紫がちょっと入っている青色、カドニウム・イエロー・ペールは黄色でもほんのわずかに緑が入っている黄色。いままでは、この違いを「濃い青と薄い青」とか「落ち着いた青と、鮮やかな青」としか認識していなかった。で、絵を描くときにこれらの色を使って影をつけたり、色のトーンを落としたかったりする時に、混ぜている色の中に含まれている色の補色をさらにちょっといれるとよいとか。ここまで来ると、生徒の皆は眉間にしわをう寄せて悩んでいる。

まま、ではとりあえずやってみようではないか、と言うことで、先週したウォッシュの宿題の上に、いろんな色を重ねて彩度をあげたり、落としたりして試してみた。そして同じ紙を使ってしたのが、そのグレーの作り方。下の画が、ウルトラマリンブルーとマダーレーキディープを混ぜて、その補色関係にあるローシェンナを刷毛にちょこっとだけつけて(余談:こちらでは刷毛をそのままHAKEと言っている。)水にぬらした空に自由に躍らせると…なんと、なんともいえない色合いのグレーの雲が浮かんでいる夕焼けの空が出来上がった。



あとは、紙一面にリンゴを一個書いて、影に当たるところの色を補色を使って混色する。えっとー、緑のリンゴをウルトラマリンとペールイエローで描いてと…ペールイエローには緑が入っているから緑の補色は…なんだっけ?ああ、赤か。ちょっと赤を影のあたりに入れるが、もともとの下に塗った絵具の量が水分に対し少なすぎて上手くいかず。別に何を言わなくても何が悪かったか分った私には、見回りに来た先生は何もいわない。



こんな、中間色を作るためだけにArchesの高級紙を使うのはとても勿体無い気がする…。しかもリンゴ一個に!そんなことを考えていたら、先生がタイミングよく「この紙はしっかりしているし、表も裏もかけるようになっているんだよ。だから裏も使うといいよ。」と言ってくる。この先生、ふざけたことばっかり言っていると思うと、かなり生徒をよく見ているし、ちゃんと必要なだけの情報をくれる。とぼけた爺さんだ。

この水彩画コースは、予定表というものを生徒に渡されない。だから、毎週毎週何をするか私たちは全然分らない。そういえば先生は最初の最初に、「今まで画を書いたことがある人無い人、今まで習ったことはきれいさっぱり忘れてくださいねー。」といきなり言った。待ったくタイプのちがう絵具と方法はまったく違うアプローチが必要だから、そして変なバイアスが無い新鮮な気持ちでのぞんで欲しかったのかも。この、何があるか分らない水彩画コースはまたまた続く。とても楽しみ-。

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画は右脳と左脳を両方上手く使って書くもの。でも、私の右左の脳はまだなかなか仲良くしてくれないらしい-。

Churchシリーズ

2008-02-17 22:55:43 | Gallery
あるアメリカ東部にある教会の写真から構図をとったもの。いろんな技法の効果を見るために、同じものを描いている。先生に最初の3つを見せたら、「ある画家はひとつの構図をなんと300回も描いたんだよ。君は300回までには遠い道のりがあるね。」とかふざけたことを言っていた。でも、空はあるし、植物はあるし、建物はあるし、いい練習材料だ。

すべて紙は Arches 300gsm Rough、幅5cmの刷毛とリス混合の16号の丸筆使用。






Perspective-遠近法習作

2008-02-17 22:50:11 | Gallery
創造の産物。クラスで遠近法と陰影を学ぶ。

Paper:Arches,300gsm,rough

Colour:
Cobalt blue
Azo yellow light
Madder lake deep



今度、いわゆるアース・カラーと言われる落ち着いた色の赤・青・黄の代わりになる3色で同じものを描いてみよう。

Ultramarine blue
Raw sieena
Burnt sienna