70年代にCBSソニーから立て続けにライブ・イン・ジャパンのレコードが出たことがある。ざっと思い出してもエヴァンス、BBA、サンタナ、シカゴ、F・ハバード、ハンコック、マイルス。その他に自分の知らないロックとかでも出てるのあるかもしれない。なぜ思い出したかというと最近中古でフレディ・ハバードのライブ・イン・ジャパンのCDを買ったから。ハバードは昔からあまり聴かなくて、せいぜいVSOPのくらい。この日本のライブはクロスオーバーと呼ばれた音楽が流行りだした頃で、ジャズはみんな電気楽器の8ビートになっていった。そういう音楽は嫌いだったからハバードなども関心すらなかったのが、何か懐かしく聴いてみた。やはり1曲聴けばたくさんという音楽だったが、会場が静かに聞こえる。ソロ終わっても拍手ない、演奏終わった拍手も何か静か。そんな客入らなかったのかと想像してしまう。ライブなどそのまま出されるほうが珍しく、時にはライブでもないのに拍手をかぶせるのもあるくらい。だいたいは音を足したり消したりとしているので、拍手をかぶせることくらい簡単なはずだがそれもしていない。でもそんなことどうでもいいと思うような今聴くと時代を感じる音楽。よく聴くと単純なフュージョンではないのだけどようするにつまらない。この頃チャック・マンジョーネ、メナード・ファーガソン、ハーブ・アルパートといったトランペットのフュージョンあったけど、それらよりはまし。何でも下を見てもきりない。ハンコックのライブも昔は馬鹿にして買わなかったが、今聴くとこれはなかなかいい気がする。これも「当時の音楽」で古くささはあるのだが。エヴァンスのライブは日本で人気のある「ワルツ・フォー・デビー」をカットしたので売り上げにも影響したと思うが、ライブによくあるヒット曲オンパレードにはしたくなかったのだろう。マイルスの「アガルタ」「パンゲア」はテオ・マセロのハサミが全く入っていないと話題になった。今は違う日のライブもブートで聴けるので、多少の波はあっても連日すごい演奏してたとわかる。なぜその頃日本のライブが多く出たのだろう。ロックもジャズもいい時代で日本のレコード会社は金があってしかもレコードは売れると条件が重ならないとできない。サンタナやマイルスはジャケットデザインを横尾忠則に依頼しているくらいだから制作にどれだけ金を使えたのだろうと思う。この間ホロヴィッツの未発表ライブがボックスで出た。日本でのライブも録音があるようだがカットされた。さすがにぼろくその演奏までは出せなかったようだ。マイルスも81年の東京のライブ、日本でのみ出たが今は廃盤ではないか。それもファンが聴いてもひどい演奏とわかる。