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ロンドンから徒然に

月面着陸40周年

2009-07-21 | 日常
 世の中には色々な名言が残されていますが、次の言葉も人々の心に刻まれているに違いありません。
 “That's one small step for a man, one giant leap for mankind”
 ひとりの人間としては小さな一歩に過ぎないが、人類にとっては大きな飛躍だ、というアメリカの宇宙飛行士ニール・アームストロング氏のこの言葉から、今日(イギリスはまだ20日です)で40年が経ったわけです。
 月面着陸というこの偉大な事業のアニヴァーサリーに、イギリスではTVの特集番組が組まれたり、新聞(The TimesやThe Guardian)で当時の復刻版を出したりして祝っています。

 ところが、当時はヴェトナム戦争が泥沼化していた時代でもあり、宇宙事業に関してソ連に遅れをとっていたこともって、国民の目を明るい話題に惹き付けるために、実はNASAが周到に仕組んだ偽物であるという説も当時は出たそうです。
 アリゾナでセットを組んで映画撮影したもので、その証拠に空気のない月面に立てられた星条旗が風になびいているのはおかしい、という説を始め、様々な根拠が出されたと言うのですが...

 それにしても因縁なのか、有人飛行でソ連に遅れをとった母国の宇宙開発に号令をかけて「月をめざす」と言ったケネディ大統領の暗殺を伝え、この月面着陸を27時間に及ぶ長時間の実況中継を伝えて、“アメリカで最も信頼できる男”と言われたW・クロンカイト氏がなくなったのが、つい3日前でした。

 所謂アンカーマンの草分けとなった彼が番組の最後に締めくくる言葉も印象に残っていることでしょう。
 “And that’s the way it is”
 「では、今日はこんなところです」・・・そうです。かつて筑紫哲也さんが意識して真似ていた言葉なんです。彼ももう亡くなってしまいましたね。



 つくづく思うに、科学の進歩=善と信じて何も疑わずに邁進できた時代は、シンプルで幸せだったような気がします。多分このあたりの時代から、前述のヴェトナム戦争を始め社会の矛盾が出てきて、より世の中の幸せの形が見えなくなっているんでしょう。
 今の時代に、こんな風に“国民”といわず“人類全体”が祝福できるような事業っていったい何なのかな?