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ロンドンから徒然に

マイケルの葬儀

2009-07-09 | 音楽
 今となってはこのタイミングを不思議に感じますが、マイケル・ジャクソンをテーマにしたミュージカル“Thriller”が始まったのが今年の初めでした。
 バディ・ホリーの半生を描いた“Buddy”のように、既に亡くなった人をミュージカル化するのはともかく、まだ現役のミュージシャンがこうして取り上げられるのも凄いな、と思ったのが皮肉な結果となりました。
 シャフツベリー・アヴェニューにあるその劇場の前はマイケルの祭壇と化して、ファンからの献花が絶えません。またピカデリー・サーカスのHMVの店頭も同様に祭壇状態になっています。



 そんなファンにとっては、昨日LA市街地のステープルズ・センターで行われた葬儀は是非とも出席したかった“イベント”でしょう。
 しかしながら17,500枚のチケットを手に入れることは、世界中の数多くのファンにとっては、本当に一握りの幸運でしかなく、多くの人達はTVの前で、あるいは(日本のように時差のあるところは)録画で見るしかなかったでしょう。

 LAとロンドンの時差は、丁度ロンドンと日本の関係のように8時間差なので、こちらでは夕方6時から生中継となりました。
 マライア・キャリーから始まり、ライオネル・リッチー、ジョン・メイヤーなどが次々とプレイし、ブルック・シールズや マジック・ジョンソンなどが故人との逸話を涙ながらに披露します。
 感動的だったのは、この日のために特別にマイケルの名前を入れた歌詞を力強く歌い上げたスティーヴィー・ワンダーと、マイケルが生前好きだったという『スマイル』を優しく囁いたジャーメインでした。

 




 ところで、当然この場にいると思われたエリザベス・テーラー、ダイアナ・ロス、クインシー・ジョーンズなどは欠席でした。

 エリザベス・テーラーはtwitterにメッセージを綴っていましたが、その中にこんな文章がありました。
 「 I just don’t believe that Michael would want me to share my grief with millions of others. How I feel is between us. Not a public event.」「 I cannot be part of the public whoopla 」

 特に後の文章なんて、きつい訳し方もできるでしょうが、要するに彼女はこういった大騒ぎのイベントではなく、つつましく個人的に悲しみを表したいということなのでしょう。

 これはもしかしたら送られる本人の側からも大きな問題で、故人も本当は家族やごく仲の良い友人達だけで密かに葬儀を行ってほしかったかもしれないわけです。
 でも、マイケルほどのスターになると、本人の意思とは関係なく、死後もファンの存在を無視はできないという宿命を持っているのかもしれません。