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ロンドンから徒然に

日本人の元気

2009-07-07 | 旅・イベント
 リクエストのメールもいただいたので、もうちょっとだけ先日の夜のサザークの写真を追加します。



 こんな涼しそうな写真を見るのは昨日までは良かったのですが、暑い暑いと書いている間に、今日はまた20度くらいまで下がってしまい、寒いくらいに感じます。まったくロンドンってところは気候に関しては気まぐれです。

 さて、その寒い日に向いているかどうかはともかく、テート・モダンあたりからテムズ側沿いを西に歩いていくと、やはりビッグ・ベンやロンドン・アイのあるWestminster Bridgeの辺りが散歩の終点かなって感じがします。華やかですものね。



 ところで、その橋の袂、ロンドン・アイのすぐよこにある豪奢な建物ですが、本来はこんな風に赤や青の照明で派手に演出するような場所ではなかったのです。1986年にサッチャー政権によって廃止されるまではロンドンの行政当局の入っていたカウンティ・ホールでした。



 ところが1992年にこの建物を日本の白山殖産という不動産会社が買い上げました。
 当時は、それに先立つバブルの流れの中で、三菱地所によるNYのロックフェラー・ビルの買収、あるいはソニーによるCBSレコード、松下によるMCAレコードなど、建物だけでなくソフト会社まで、日本が金に飽かして買い集めたと避難を浴びていた時代でした。
 当然カウンティ・ホールの場合も、日本人がイギリスの歴史ある建物を買収した、と話題になりました。今はホテルや娯楽施設が中に入って、観光地のひとつになっています。

 最近はこういった形で日本が“悪者”になるケースは殆どなく、映画の中でも大抵アジア系の悪者って中国人か韓国人ですよね。それにこちらへの観光客も圧倒的にその2カ国の人が多くて、日本人は本当に少なくなりました。

 こんな風にアグレッシブな形では存在感の薄くなった日本人ですが、まぁそれはそれでありかな、というのが僕の感想です。かつてのように経済力を頼りに嵩にかかった態度の日本人より、よほど今の慎ましやかな日本人の方が、本当の自分の生活を分かっているような気がするのです。
 まぁ、これもかつてバブルの恩恵を受けて、その後の惨めな状態も知っているからこそ思うことなのかもしれませんが。

 付け加えるなら、若者は減っているのですが、お年寄りの日本人観光客は増えているみたいです。老夫婦の旅の様子が、僕にはけっこう好ましく映ります。