植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

最終章 斉白石さんの篆刻印は本物か?

2022年09月25日 | 篆刻
これで、泣いても笑ってもお終い、5話に渡って綴ってきたヤフオクで入手した「斉白石印章」の、自己流鑑定の結果発表をいたします。

常識というものは、みんなが共有し、長い期間培ってきた経験と合理性に裏打ちされた概念であります。常識に従い生活し判断・行動の基にするのが恐らく正しく、大きな間違いを起こさずに済む秘訣でありましょう。一方、人類の科学や文明芸術や理論、産業・商売に至るまで、常識にとらわれず大成功を収めた先人がいました。変人が天才となり、常識を覆した世紀の大発見を行い、科学の進歩に貢献したことも事実であります。

今までの常識を疑う事、それが新境地を開き、思わぬ効果が得られることもあろうと思います。そんな気持ちでこの怪しげな石の調査に取り組んだのであります。常識的には、1万円で「中国のピカソ」といわれる巨匠の作品が入手できるはずが無い、ヤフオクなどに出品されるはずもない、であります。常識的な人は、1万円も惜しんで手に入れようとは思いません。しかし、世の中の多くの常識的な人が、当たるはずのない宝くじに嬉々として何万円も投じるというのも事実であります。

そこで空くじなしの宝くじを買ったようなものとして「気楽に欲目を排して」この鑑定にかかったのです。勿論鑑定に関しても篆刻・骨董品に関しても素人同然であります。様々な角度から調べ推理し想像を膨らませました。

そして鑑定結果
「大変精巧に作られた模倣品乃至贋作であろう」であります。そして注目の鑑定価格は、10万円!!としておきましょう。

印材も共箱も布袋・鑑定印までも、上等・丁寧な設えであり、専門の美術商や鑑定家の目を惑わすようなレベルのものであった、と考えます。日本で、目利きの印材業者、美術商、プロの篆刻家などの贋作集団によって、1938年作出の斉先生の真正の印の資料を基に、昭和の中後期頃(1960~1980年あたり)に作られたと想像します。それは白石さんが名声を博したのが1930年頃からですが、その価値が急に上がるのは本人が亡くなってから(1957年)と相場が決まっております。また、鑑定者とおぼしき「山中蘭径」さんが1975年に92歳 で物故しているからです。蘭径さんのお墨付き自体が本物なら鑑定時期はもっと前ですし、偽物なら亡くなってからの偽物制作なら本人が他界してからになりますね。

最初に購入した方は、恐らく骨董好きのお金持ちで、知り合いの美術商から持ち込まれたものを本物として数十万円から100万円ほどの値段で買ったのではないでしょうか。その後人手に渡ったり、鑑定に掛かったりするうちに「贋作」扱いに定まったのでしょう。

そして、こうした怪しげな品物・贋作群は、現在でもそれ専門のマーケットで安く取引されているのではなかろうかと思います。この印の出品者さんは、そうしたルートで安く仕入れてヤフオクで転売したのかもしれません。

ともあれ、よくできた品物だとむしろ安堵しているのです。ワタシの書道の師「藤原先生」からも、本物を上回るような贋作も多い、金儲けでないので、それで心が豊かになるなら良い事です、という言葉を頂きました。追加で投資した2万円、計3万円で色々学ぶことが出来ました。偽田黄石は無価値としても、残った1品は相応の市場価格であろうと思います。

実は、既に中国の大家の作款がある古印は、10個ほど所持しており、恐らくその全てが「贋作」・復刻版であろうと思っているのです。文彭さん、徐三庚さん、秋堂・王福庵さんなどの側款が刻まれているのを、偽物であることを覚悟して数千円から2万円以内で入手しているのです。これらは中国で伝統的に営々と作られている模倣品の可能性が高いのです。しかしながら「虚偽」の中に真実あり、まがい物バッタ物の中に、本物が紛れている、という浪漫を追い求めているのであります。

とはいえ、これにて、しばらくヤフオクは様子見といたしましょう。これ以上のめり込むと「散財」しかねません。何より、本来目指す篆刻家・書道の修練に精を出すことにしたいと思います。
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サッカーワールドカップは期待大 期待できないのはドラフト会議 

2022年09月24日 | スポーツ
昨夜は久々の国際Aマッチ、サッカーワールドカップ本戦を2か月後に控え、最終のテストマッチに入ってきたのです。これがキリンチャレンジカップ、ドイツで開催する珍しい試合なので、試合開始も21:20と遅い時間であったのです。

日本にとっても、有力な選手を集め、最終選考の場になるし、本戦出の戦術を確認する重要な試合です。相手は格上、FIFAランク14位のアメリカでした。試合自体は2-0の完勝で、アメリカの速くて正確なパス回しに苦戦するかと思いましたが、アメリカの中盤のパスミスが目立ち、徐々に日本のペースに変わりました。相手のGKのファインセーブ連発によって、点差は開きませんでしたが、アメリカを沈黙させるに十分な戦いぶりでした。

その勝因は、何と言っても、フル代表でベテランになった常連選手たちを外したことにあります。長友・柴崎・大迫・谷口など、ここまで日本のサッカーを牽引してきた功労者に見切りをつけ、海外で活躍している若手にチャンスを与えたのです。どんなに優れた選手でもいずれ衰えが来ます。名前ではプレーできません。森保さんの指揮で苦戦が続いたのは、明らかにそうした選手たちに拘った結果でした。大迫にせよ、長友・酒井なども海外チームで戦力外になって日本に戻ってきたので衰えは隠せません。

今回、前田、守田、中山などを先発に起用したのは、過去の名選手頼みから脱皮した表れです。鎌田と三笘という新たなストライカーが誕生した今、調子を崩している大迫や南野は更に難しい立場になりました。好きな選手だけに復活して貰いたいとは思いますが。

これで、堂安・久保というキーマンが本来の力を発揮すれば、ドイツ・スペインという2強の入った「死の組」で予選突破する可能性がわずかに見えてきたように思います。

さて、サッカーはともかく、プロ野球もいよいよ終わりであります。早々と優勝戦線から離脱し、秋風が吹くここにきてやっと2勝1敗ペースを取り戻し、かろうじて3位争いに踏みとどまっているわが巨人軍であります。今年は、主砲岡本の長期の絶不調、主力選手のケガによる離脱、中継ぎ陣の崩壊、助っ人外国人投手の不甲斐なさ等、目を覆いたくなるような戦いぶりでありました。

投手では、それでも光明が見えました。ケガ・手術を乗り切った山崎・平内・堀田賢慎などの若手に使えるめどが立ち、新戦力の赤星も、使い方次第では貴重な戦力となりました。昨日は、21歳の井上温大がプロ入り初勝利を飾りました。ドラ1の「翁田大勢」はまさに即戦力の名に恥じない無双の投げっぷりで、近来では唯一と言っていい新人王にふさわしい戦力補強だったのです。

残念ながら、野手には若手の台頭がみられず結局は新たに連れてきたポランコ・ウオーカーという両外国人以外は、ベテランの選手に依存してしまいました。秋広・中山・岡田などの期待の新人は結果を残せず、湯浅・廣岡・北村といった若手も守備の不安や経験不足でレギュラーにはなれません。2軍でも、これはというような目立つ選手はおらず、現状、来年以降も期待できる選手が見つかりません。

そしてあと1か月に迫った「ドラフト会議」であります。球団にとってこの先10年以上の戦いを左右する有力な選手が獲得できるかどうかの最も重要な会議です。このブログで何度も力説していますが、わが巨人軍は①即戦力(大社選手) ②投手主体 ③競合必至の目玉選手を1位指名する、というある意味無策・思考停止の選手指名を続けてきました。

その結果、ほとんどのドラ1を「抽選で外す」という10数年間であったのです。ご丁寧に外れ1までくじを外す、という不運もあって、まともなドラ1に相応しい選手を取り損なってきたのです。大勢選手は、巨人は最初に指名したのは即戦力投手と言われた隅田知一郎 ですが、これを外して指名されたのです。結果オーライであったとも言えます。

今年は、例年に比べると「超目玉」選手が少ない事、大社高・高卒低の傾向が強いのです。毎年のように高校BIG3とか言われ、争奪戦がヒートアップしますが、ドラ1指名が確実なのは高松商浅野翔吾外野手くらいだと言われています。ただでさえ、みんなが認める傑出した投手(かつての佐々木・大谷・奥川など)でもない限り、高校生は、育成に年数が掛かり即戦力として見込めないので敬遠されるのです。

ましてやこの3年コロナの影響で、高校生の試合が極端に減ってスカウト陣の情報収集不足により、過去の能力分析が蓄積されている大卒・社会人に上位指名される傾向が顕著なのです。

ワタシは、従前から伸びしろがある高校生を上位指名すべきだと考えています。原石を磨いて育成する労を惜しむと、開花した(大学生・社会人)時になったら競合して獲得できないからです。また、高校生でプロ入りできず、回り道した有望な選手が、その間楽をしたり怪我したりで結局プロで通用しない、といった例は多いのです。昔の江川、斎藤佑樹、田中正義などが思い浮かびますが、甲子園で騒がれて消えていった逸材は数多いのです。

浅野選手以外の高校生には、捕手松尾汐恩、夏の準優勝山田陽翔投手 U18の4番打者内海優太 などが目立つ程度なのです。巨人が浅野に行くというのは「有り」だと思います。身長170㎝という小柄な野手なので、「伸びしろが無い」と各球団が敬遠することが想定されます。
今回は目玉が少ない分、競合が減り上位指名がばらけることが予想されます。大社でも「日体大矢澤宏太投手」「蛭間拓哉 外野手」「中央大森下翔太外野手」あたりが注目されていますが、いずれも本格的な即戦力投手には当てはまりません。

今年は、不作だと見ていいのです。外すのを前提でいいから浅野に行って、 ハズレ1位を山田陽翔か左腕投手か松尾捕手としたらいいかなと思います。どうせ即戦力投手がいないなら、高校生投手の原石は4,5人指名するくらいの思い切った戦略が必要なのです。

情報やスカウティングが今少し必要なので、来月になったら「ドラフト前夜!今年こそまともな選手をとろう」で記事を書こうと思います。
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斉白石さんの次は呉昌碩 (笑) たかが1万円されど・・・

2022年09月23日 | 篆刻
これで4話目、わずか1万円でヤフオクで入手した斉白石先生の印章と表記された印の真贋を調べる話です。ヤフオクで公開された時に、その写真と説明文には「斉白石」の名前は有りませんでした。目を皿のようにして拡大した側款の写真の文字に「白石」「趙之謙(琛)」の字を読み取って、何気なく入札したら単独で落札出来たものです。オークションで血眼になって出物を探す骨董商や好事家さんが、それに気づいたとしても「ふん、そんなもんがヤフオクなんかに簡単に出品されるかい」と無視したに相違ありません。

この拙文が、もしそういう人の目に触れたとしたら、馬鹿だねと呆れ「これだから素人は困る」と一笑に付されてしまうか、というのも織り込み済みであります。

しかし、おかげで、ワタシはここ2週間、ある意味高揚感を楽しみ、様々な角度からこの謎の珍しい品を眺め調べ、時には他の専門家さんの意見を聞くことが出来たのであります。石拓も実践しノウハウを蓄えました。しかし、言うまでもなく、これが本物であったらどんなに凄い事か、それを想像するとワクワクしているのです。

きれいなお姉さんがいるお店で一杯飲むのも1万円、パチンコで暇つぶしに30分で溶かすのも1万円。それに比べたら何倍も楽しさが持続し、恐らく「偽物」であったと結論づけしたとしても、お金を損したとは毫も思わないはずなのです。トゥームレイダーや「ナショナルトレジャー」などの謎解き映画のごとく、古文書などを頼りにお宝に隠された秘密を調べていくという宝探しと同様「至福」の喜びなのです。

さて、そこで「DKS」作戦であります。
原点に戻るとこの印を出品した人は同時に2点の骨董品を出していました。一つは「 昌碩 」さんの銘が入った石彫りの「筆洗い」、もう一つが同じく「昌碩書 」の側款のある黄色く輝く丸石の篆刻印でありました。

前者は、たしか当初8万円の最低落札価格で出ていました。印材(やや赤みを帯びた材質で皮あり)の中央をくりぬいて筆洗いにしたものです。側面には「騰蛇」(中国の伝説中に出てくる飛行能力を持った蛇)と彫られております。印の方は、反対側には,樹下、石橋の上で語らう二人の老人という図柄の薄意を施しています。田黄石に似てはいますが、明らかに違います。作り物然としていてちゃちでありました。これが当初2万円であったのですが、当然、「紛い物」・粗雑な贋作ならば、誰もそんな値段を払うはずもなく入札なしでした。それが翌週、なんとそれぞれ最低1万円まで値下げして出品されました。

これはもう、出品者が、どういう由来の物かも調べず本来の価値を見定めることよりも、早く処分しようという魂胆であります。(あるいは粗悪品と知っていたか)。言い換えれば、入手した値段がその程度の安物であったと考えられるのです。(だからこの方が長年収蔵していた可能性はゼロであります)

ワタシは、すでに1万円の投資で入手した印が、少なくとも専門家を迷わせるほどよくできた印であることを知る唯一の人間であります。その真贋を見定めることは置いといて、同時出品の3品が多分同じところから買い取った、あるいは似たような怪しげなルートで入手したと踏んだのであります。だとすれば、これらも、もしかすると贋作グループによる品である可能性が高いミステリアスな品だろうと言う想像であります。また、この斉先生の名が付いた石の真贋を読み解くヒントになりうるのではないかと考えたのです。

これが人呼んで「【D】毒【K】食わば【S】皿まで」作戦であります。
ワタシの読み通り、二つの品がそれぞれ1万円で落札出来ました。前回の石が最低でも1万円以上の価値があり、もしかしたら1千万円級の文物である可能性を秘めたものです。これが贋作(毒)であっても、皿(今回の2品)も、同様の価値や由来のある偽物ならば、「入手しても良かろう、騙されついでじゃ」、というのがワタシの兵法であります。既に、十分元をとったという実感があり、2万円は捨てても惜しくないと考えたのです。

そうして、昨日現物が届きました。
はたしてやはり田黄石のような印は、似ても似つかぬ「人造石」でありました。型に溶かし込んだ最低の粗悪な人造石ではなく、一応表面に薄意を彫って艶出しの塗料を塗っています。下手ながら印面に文字も刻まれているので、一応本物ぽく見せようとしています(笑)。が、真っ赤なまがい物の人工石でありました。1万円で真の田黄石は絶対に入手できない、という鉄則通りで、予想したことでもあります。

残念ながらこうした物は、本当に扱いに困るのです。捨てるのも悔しいし、彫り直すのは、印材石でないので面白くない。かといってヤフオクに再出品するわけにもいきません。飾るには安っぽいのです。

もう一つの「筆洗い」は自然石で間違いありません。
石質は、問題の斉白石さん作かもしれない印の表面に似て、皮が残されています。中の石はかなり透明感があり、灰色に赤茶色の筋が流れておりますが、さすがに一個数万円もするような高級な銘石では無いでしょう。
8㎝×4㎝×2㎝(高さ)の小さな石の側面に「騰蛇」と彫られ「石友属 昌碩」の文字が見えますが、これもなんだか怪しいものであります。白文で彫られたその文字は朱と緑のグラデーションの着彩が施されていて、決して悪くないもので「がらくた」とは言えない印象のものでした。

桐の友箱は、確りと出来ていて「呉昌碩 寿山石 筆洗」と墨書されています。書体自体は「篆書体」なので、全くの素人が書いたものでは無いでしょうが、この箱も後付けかもしれません。くるんでいたのが変哲もない黄色い布袋、実はこれがこの品の正体を表していると思います。

呉昌碩は印泥などのメッカである学術機関「西冷印社」の初代社長であります。浙江省の郊外にある風光明媚な場所で湖や森に囲まれて、観光スポットの一つでもあるようです。そこでは印泥・印材の製造、篆刻関連商品も販売しています。
ワタシは、そこで売られている土産物や篆刻道具の中に陳列され販売されていて、買った時に、この黄色い布袋にくるまれていたのではないかとにらんでいます。こうした呉昌碩さんの名前を使った品は多く、ワタシの印泥コレクションにもあるのです。

これです。
残念ながら印泥は空なのですが、こんなものでもヤフオクで1万円で落札しました。昌碩さんが木彫りをしたとはだれも思いませんが、これと同様の箱で、ヤフオクで見かけたのは白磁らしい印泥が入って8万円くらいでしたか。

現地に行けば、ショップで今でもこんな木箱に入った印泥が売られていると思います。といったことから、おそらく今回の「筆洗い」は「珍品」ではありますが、割合い最近の品で、1万円前後で販売されていたお土産、書道具とするのが妥当かも知れません。

さて、ここ1週間、長々と入手した斉先生の印章らしき品について述べてきましたが、はい!結論が出ました。次回は、最終章であります。
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少し見直した ホリエモンと村上誠一郎

2022年09月22日 | 時事
はんこの話が続いたので、本日はお休みにします。

先日ネットに流れる雑多なニュースや記事を眺めておりましたら、ホリエモンこと堀江貴文さんのYouTubeチャンネル での発言が話題になっておりました。この人物は、東大を出て自分がオピニオンリーダーであると勘違いし、若手の新進実業家で犯罪を犯して実刑を受けたご仁であります。他の人とは、違うのだ感を前面に出してくる、ワタシにとっては、いけ好かないタイプの芸能人です。

そのホリエモンの意見が珍しくワタシの考えと一致いたしました。それがダウンタウンの松本人志さんを「面白いと思ったことが無い」、発言です。全く同感であります。作られた意図が見え見えの笑いが白々しく、面白くないのは映画も同様、薄ら汚い下品でセンスのない演出やネタには辟易します。そんな人が芸能界では、お笑い界の重鎮・大物扱いされ、CMでも盛んに起用されます。恐らく吉本興業の力によるものでしょうが、この程度の芸人さんを有難がる芸能界全体も、ある種同じような人で構成され、政治家と結託し、税金に群がって露骨な商売を売り込む電通が取り仕切っているのでしょう。

まぁ、少しホリエモンを見直したわけですが、もっと見直したのは自民党の「村上誠一郎元行政改革担当相 」です。今度の安倍さんの国葬に反対し、不参加を表明しました。その理由は「国葬を決定する経緯にいろいろな問題がある」ということでした。更に国民の半分以上が反対すること、安倍氏の業績が国葬に値するか定かではないことを理由に上げました。久々に自民党の議員からまっとうな意見を聞きました。

それまで、あの二階さんはじめ、安倍さんの功績を褒めたたえ、「その多大な功績が国葬に値するという」曖昧な表現で具体的な検証なくして、世論を抑え込もうとしています。また統一教会問題に至っては、関与した自民党議員は、巻き込まれた被害者との立場をとっています。

件の村上さん、安倍さんのやってきたことは「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ 」と話したと伝えられ、自民党議員が激怒しているようです。このブログでも再三述べてきましたが、全く同感であります。

2回の消費税増税を敢行したため、消費・景気の腰を砕き長期間の不況を放置してきました。野放図な金融緩和と財政規律を崩壊させた結果国債の残高を倍増させました。雇用は見た目は増えても、そのほとんどが65歳以上の高齢者と女性(パート)という非正規雇用であり、生産性や個人所得は大きく減ったのです。外交では北方四島はロシアは割譲しないと憲法に定められ、中国韓国とも疎遠となりむしろ関係悪化を招きました。歴代最多の海外訪問は結局後進国へのバラマキで終わっているのです。

そうして、国家公務員への人事介入の結果「森友・かけい」問題、「賭けマージャン黒川」さんの公務員定年延長という爆弾まで用意し、官僚による忖度行政という黒を白にするあり方が、日本の政治行政と言う根幹に対する不信感も増幅したのでした。また、国会を軽視し閣議決定でなんでも決めてしまうという悪弊を作ったのも安倍さん、そのおかげで国葬になったのです。

安倍さんの最大の功績は、自公連立政権を10年間維持したという、自民党にとってだけの利益であります。自民党葬に相当する業績で良かろうと思います。

今、世界的な物価高・急激なインフレに対し先進国の中央銀行は一斉にその抑制策として利上げを決めました。一方、日銀はマイナス金利から1歩も動けません。利上げをすると即、政府が負担する国債の利息支払いに反映し「国債費」が跳ね上がるからであります。日銀が備えるべき金融政策は実質「羽をもがれている」のです。その物価対策が、税金も払わない低所得者層に対する5万円の支給というから、あきれてものが言えません。

村上議員の発言は、彼自身の考えと言うより、日本人の大半の人が口にし考えている自民党の強権政治へ反発や違和感を肌で感じたのだろうと思います。

岸田総理は、盛んに口にする言葉は「現実的でない(現状維持)」「丁寧に説明する(口先で誤魔化す)」であります。ワタシの記憶では、総理になる前は「きっちりと」「確り」という言葉を多用していましたが、これも、実を伴わない印象操作に感じられました。今の総理は、なる前から党内での評価も低く小物でリーダーシップが無いとみられていましたが、やはりその通りでした。支持率がどんどん下がっているのも、メッキが剥がれたに過ぎません。

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斉白石先生の印章 ここに鑑定結果を発表!とはいかない

2022年09月21日 | 篆刻
斉先生の印と箱に表記され、底には「蘭径」さんという美術研究家の鑑定印がある篆刻印であります。

ネット上で見つかった、同じ内容の側款がある印は、とうてい斉白石の真作・オリジナルではないだろうということが、前回までの結論でした。だからと言ってワタシの手元にある印が真正の作と言う証拠には全くなりません。少なくとも二つの印に共通する情報(印影や側款の拓本等)のソースになる印がどこかに存在したと考えるべきでしょう。中国の文化研究院みたいな場所に資料が有ったり、もしかしたら現物が、中国の富豪か故宮博物館かどこかにあるかもしれません。
その情報さえ見つかれば、ワタシの印が贋作か否かはたちどころに判明します。

摸作・贋作だと仮定しましょう。その場合、作者は中国の文献か何かでこの印を摸刻した可能性が高いのです。必ずや側款の拓あるいは現物の写真も見ているはずであります。共箱・鑑定印などの細工は、日本で扱われる骨董品に見られるものですから、日本人あるいは日本国内で行われたと考えるべきでしょう。

中国内の文物ならば、布箱が一般的ですが、更に高級な品物であれば、内側に派手な赤や金地の布を張った木箱(黒檀などの硬木)で、台座なども誂えます。こうした中国高級品の箱に入っていないのは①斉先生が作出した時点ですでに「箱」は無かった ②印箱はどこかに行ってしまった(壊れたか紛失)という事が考えられます。

従って、中国で作られた偽物は、ちゃんとした印箱がないまま日本に渡って来て、そこで本物に仕立てるために箱を作ったとも考えられます。偽物と知っていて、日本仕様の箱書きを拵えたのなら、日本人向けに販売したのでしょう。この友箱はとてもしっかりとした細工物で指物師によるものと思われます。骨董に詳しい人なら、鑑定したという紙を底に張り付けたのも、本物と信じ込ませるのに役立ちますね。もう一つ、既に出来上がった偽印と印箱で「本物」の鑑定家を騙したという可能性もあります。
そうして、日本で、さほど専門的な知識がない財閥やお金持ちに売り込んだ、というシナリオが考えられます。あくまで想像ですが、現在の価格に換算して数十万円であったかもしれませんし、数百万円以上であったかもしれないのです。

ワタシにとって都合がいいのは、専門の鑑定家に見て貰って、本物との鑑定結果であったのを機に、箱や布箱を発注し、これに「蘭径鑑」の紙(お墨付き)を張ったという筋書きですが(笑)。これに、由来や名前・作者名などの保証書(折り紙)が付いていれば言うことなしであったのですが。

そこで気になるのが、印の背面の縦にある3㎝の切り傷です。
これは自然にできたものでは無く、明らかに印刀などで彫った跡であります。まさに印材に使われた丸石の材質・種類を確かめる為に刃を入れたのでしょう。これが、実際に鑑定した、あるいは、相当期間経過していて数人の方の手に渡っているであろうという事実を裏付けるものであります。本物であれ偽物であれ、入手した人にとって「品物としての価値が高く高価格」だったことを意味するかもしれません。

さて、肝心の印の彫りであります。オリジナルが分からない以上、その彫り方や技法を想像するよりないのです。
篆刻家さん(Kisen先生やPekepekeさん)によれば「是」の字が「弱い」点が気になるというご指摘がありました。ワタシは単純に、石の形故に、その字のスペースが狭かった分、やや文字全体が小さくなったかなという印象でありますが。

ただ子細に観察すると、斉先生が駆使したと言われる単入刀法による特有の線が出ております。大きめの印刀で、片側から、ざっくりと刃を進め一刀のもとに線を引いて終わり。すると、片側は直線的になり反対側は、石がはじけ欠けるために凸凹・ぎざぎざとなります。そうした特徴が良く出ていると思います。
因みにワタシのような(へぼ)中級篆刻では、遠巻きに何度も刃をあてて少しづつ削る、という彫り方をする結果、線の鋭さや迫力に欠ける出来になるのです。(´;ω;`)。専門家さんがみれば、もたもたした線ですぐにばれてしまいますね。

また、篆刻で注目することの一つは、彫った深さです。これは白文・朱文でも差異がでますし、なにより印材の硬さにも左右されます。ワタシが印を彫っていて意識するのは、出来るだけ浅く彫る、であります。特に白文(文字の部分を彫下げる)は、よほど線を太くしない限り彫り残しは出にくいのです。高級な印材であればあるほど浅く彫るようにしています。

今までに数知れず入手している中古の印には、下手な彫りが多く見られます。そんな彫りに限って、深く彫り下げた箇所があります。ワタシは、これは彫ったのではなく、石を無闇に傷つけたと言うべきなのです。万一失敗して彫り直す、あるいは人に渡ったものが再利用されるという観点からは、浅く彫るのが正しいのだと思っております。
※この印に対しては随分深堀りしておりますが・・・💦

この印は、全体的に浅く彫られております。また、躊躇なく一刀で一気に彫り進んだように見え、後から手を入れ補刻されてはいないのです。 

斉先生が74歳ならば、当然筋力も衰えていたでしょう。枯淡の心境が持ち味で、痩せ細って髭を長く蓄えた風貌の年寄りが、野太い線でガリガリと深く彫っていくことは想像できません。目の前にあるこの石の浅い彫は、そうした観点からも、斉先生の手によるものかと思い抱かせるのであります。 

こうした調査・推理の過程で、さらにワタシは禁断の手を打ったのであります。名付けてDKS作戦であります。続きはまた明日m(__)m

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