植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

水滴は風雅を感じる

2021年02月11日 | 書道
3日続いて篆刻印のお話は飽きるので、気分をかえて「水滴」のお話であります。
 
 洋ランを育てていて何よりうれしいのは、花蕾がつくことです。花茎が伸びてその先端にシースと呼ぶ蕾が付きます。今の時期なら胡蝶蘭やシンビジウムです。これをよく観察すると、透明な水滴が蕾の根元や茎に光っているのを見かけます。花外蜜線 というものがあるんだそうです。
 
 ワタシ達がよく目にする光景は、アブラムシと蟻の共生ですね。アブラムシは蜜のような排泄物を出し蟻がそれを舐めに来るので、テントウムシから守ってもらうのです。これは、園芸をやるものにとっては「あり」がた迷惑で、柔らかい野菜の若葉や花の蕾のエキスを吸うので、大きな被害が出ますし、ウィルスを運び病気を媒介します。

 洋ランのツユも、これと同じような「蜜」を分泌し蟻を寄せ集めるのだそうです。蟻はベジタリアンではないので、植物を食べません。蟻によって食害する昆虫の幼虫などから身を守るためと言われています。

 さて、水滴であります。書道で言うと硯や墨池の中の墨汁を薄めるために使います。茶道具でも同じく「水滴」を用いると聞きますがワタシはお茶はやらないので、何に使うかは存じません。どうやら、書道と茶道でさほど明確な違いはないようですが。
 
 似たようなもので「水差し」というものもあります。厳密にいうと、水差しは蓋つきで、持ち上げて傾け水を注ぐもの、水滴は、穴が二つあって片方を指でふさいだまま傾け、ふさいだ指を上げて水を垂らすというものなんだそうです。その区別は、どうでもいいことで、ようは水を少量垂らせればいいのです。

 例によってオークションで、ちびちびこの水差しを集めております。普段の習字には1,2個あれば用が足りるものです。しかし、これは、かなり歴史があって、ちょっとした置物としてもいいような洒落たものが沢山あるのです。安くて、場所を取らずちょっと蒐集欲を満たすのにはピッタリなんです。

 大きく分けると陶磁器製と金属製に分かれますが、個人的な好みで金属製、主に鉄器・銅器中心に所有しています。しつこいようですがワタシは骨董品には興味がなく、ただ古くて風情のある小物、そして「当初販売価格から高くなっていないそうなもの」を前提にしております。骨董価値・希少価値で何十倍もの値段がつけられているものには怖くて手が出せません。なにより自分のお小遣い程度でヤフオクで落札するので、せいぜ2千円が上限というところなんです。

 
これらは、6個まとめて8千円(#^.^#)。実用品として作られたものでしょうか。内3個は「華石」というちょっと知られた金工職人さんの作であります。この人のこうした小物は、一個4,5千円で売られていたりします。

これは、ちゃんとした作家さんらしい忠寛作・青銅製「亀甲紋」、共箱もありますから、そこそこのものでありましょう。

昔から、文房4宝といって「筆・紙・墨・硯」を指しますが、これ以外でも能筆家・文人さんが愛用した水滴・文鎮には趣もあるものが多いのです。


こちらは大きめの鋳物、鉄製だと思われます。デザインから見ると中国かタイあたりかもしれません。

 こちらがつい最近、1,200円で落札した「義道作」銅製の水滴「宝珠型龍」であります。
少し緑錆がういた手のひらに乗るずっしりとした龍の水滴は、重厚感があり美術品を思わせます。細部まで丁寧な細工で、手練れの名工による銘品かもしれない、と思ったりもします。手に取って眺めていれば満悦至極であります。

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