植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

無農薬と言いつつも薬漬けの日々

2022年05月02日 | 植物
二日続いて薬のお話であります。園芸は薬抜きでは成り立ちません。

今年はとにかく不順な天気、異常気象のように思えます。先月を通して晴天の日は1週間もありませんでした、雨降りは一日か二日おきで、土が乾く暇がありません。

 毎朝起きて、雨でなければすぐに草取りから掃除などの外仕事であります。やんでから一日以上の余裕があれば畑に入って野菜物などの植え付け、果樹やばらなどの手入れも出来ます。しかし、多湿・多雨によって、大事な作業である病気を防ぐための殺菌剤の散布のタイミングがなかなかとれません。散布して半日も経たずに雨が降れば薬剤は流されてしまいます。すでにブドウは葉っぱが茂って来て、「甲斐路」には花蕾が付きました。バラたちも青々とした葉っぱが美しく次々に咲き始めました。

昨日も夕方驟雨が来ました。今日はどうやら晴天になりそうなので、念願の薬剤を使おうと思います。

まず殺虫剤「モスピラン」を用います。これを初めて購入したのは柑橘類にハモグリムシ(別名エカキムシ)が発生したからです。柑橘類の葉っぱに白い筋が入り葉縮するのですが、葉の表面の薄い膜の下に潜り込んでしまうので普通の薬剤が効かないのです。こうした殺虫剤が効きにくいのは、アブラムシ・カイガラムシにも共通します。無数に固まってコロニー・おだんご状態になるのです。すると、殺虫剤が中まで届かず、加えて「油分」によって水をはじくので始末が悪いのです。アブラムシなどは柔らかい芽や新葉に集中的に集まり植物の液を吸いますが、それだけではなく、ウィルスなどの病気を媒介するので放置すると植物が弱ってしまうのです。

 モスピランは葉っぱから吸収されて、植物全体にその成分が循環する(浸透移行性)があるので、そうした外からの殺菌剤に抵抗する害虫にも効き目があります。野菜や果樹など全般に使用できます。しかし、自分や家族・友人のみが食べるので、出来れば強い薬・人体に悪影響の有る農薬は使いたくないのです。モスピランも、原則としてバラ・樹木に使い、口に入るものは避けておりますが、それでも実が生るまで数か月前ならば、薬の成分が分解され排出されるので初期段階では最低限ながら撒いてしまいます。逆に収穫間近い作物には使用しません。
 今日はブドウ・柑橘・すもも・桃の果樹に散布いたします。

それから、ジベレリン、これは果物の「無核化」に用いる伝家の宝刀で、数十年間、種なし果物作りの絶対的かつ安全性が高い薬剤であります。種なしブドウでは、花が咲き始めるとこのジベレリン液に花房ごと浸します。2、3週間したらもう一度ジベレリン処理、これはいわばホルモン剤で果粒の肥大化を促進するのです。甲斐路・ロザリオビアンコ・シャインマスカットと3種類あり、少しずつ開花時期もずれますから数回行うことになります。

それから、前述の「殺菌剤」散布を行います。これはモスピランに比べればはるかに毒性は低いので、一年に何度も撒きます。殺菌剤を3,4種類混合したカクテルを作り、黒糖病・さび病・黒星病など植物によってあるいは対象となる病原菌によって特性が異なる薬剤を混ぜるのです。雨続きの後晴れて温度が上がると湿気も強く、病原菌が繁殖する環境が整うので、今日は是非とも撒かなくてはならないのです。

資材倉庫には30種類以上の薬剤があります。大半が蟻・ナメクジ・ヨトウムシ・コガネムシなど害虫ごとに使い分けする殺虫剤です。植物の肥料・液肥・発根促進剤もあります。これに殺菌剤も何種類もあります。

風が無い晴れた日に、噴霧器でおよそ10リットルから15リットルを散布します。マスクはコロナで普通につけるようになっておりますし、頭に帽子、首に手拭、農薬散布用のゴーグルをして完全防護であります。はたから見たらいっぱしの農業従事者でありましょう。自分の歳になると人間様も飲み薬を4.5種類を服用するようになりました。園芸も薬抜きでは立ち行かないのであります。

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