全国の多くが梅雨入りしておりますが、世間ではスポーツが多く行われているのです。
このところマスコミで大きく取りあげられているのが「全仏オープンテニス」加藤未唯選手が参加した女子ダブルスの失格問題であります。テレビにとっては都合の悪い「ジャニーズ問題」から視聴者の目をそらすにはもってこい の話題で、1週間前に起きた事件なのにいまだに報道されております。彼女はそれにめげずに、4日後に混合ダブルスで、急造ペアにも関わらず見事優勝し、面目躍如を果たしました。
それでも、失格に至る経緯や賞金・ランク剥奪というペナルティーに、テニス選手たちが作る選手会からの抗議、加藤選手側からの提訴など、簡単に幕引きは出来ません。主催者側は「ルールに法ってとった処置である」と、失格にした形式的には正しい手順であったことを強調しておりますが、これは団体側の自己防衛であり、訴訟などに対抗するための強弁に聞こえます。
「女の子が7分間泣いているから」という「現象」で失格を言い渡すのは、ルールには載っていないのです。もしかしたら、女の子はお腹が痛くて泣いていたのかもしれないのですよ。(勿論それは無いと思いますが) 同じシチュエーションで、もし相手が男の子だったら、自分に向かってきたボールを捕りに行ったでしょうし(ボールボーイの主たる仕事です)、顔面にあたっても、照れ隠しに笑うことはあっても、泣かなかったでしょう。何事もなく終わった話であります。
抗議に行った相手のペアも、実際は目撃していなかったのです。だいぶバッシングされているようですが、スポーツマンシップにもとる行為であったという誹りはまぬかれません。彼女たちは、その試合に不戦勝で勝ったメリットの何倍もの損を蒙ることになりました。
審判もオフィサーも、加藤選手が、オンプレーではないタイミングで相手コートにボールをふつうに返しただけ、それを見ていないのです。それを相手ペアが猛抗議して狙って強いボールを当て、怪我をさせているという「間違った説明」を鵜吞みにして、最初は警告とした判定を覆して失格にしたというのが、その後の報道や、映像を見る限りの推移でありました。
責任者によると「ルール通り」やっている、しかし失格をした選手はほかのダブルスには出場は禁じられているのに、大会側の配慮で出場できた、という加藤選手の言葉は、まさに主催者側が、団体やイベントの利益・都合によってルールをいいように解釈し使い分けている、ということをはしなくも露呈したことになります。
伝統的な大会で、伝統的な運営と規定を重んじているのは、伝統という名に胡坐をかいているだけであります。いかなる競技であろうがスポーツであろうが何百年の間に、幾度もルールを改訂し時代に合わなくなった部分をなくす努力をいたしております。そのもっとも顕著なツールが「ビデオ判定」です。複数の映像を用いて検証し、①何が起きたかを正確に認識する ②映像をもとに不公平、あるいは人為的感情的な判断を排除する ③複数の人物によってチェックする という最先端のシステムはベースボール・サッカーなど多くのメジャースポーツで採用されております。
全仏テニス協会や4大大会側は、そうして改善努力を怠っていた、肝心の瞬間の状況を見過ごした、相手ペアの抗議に屈した、ルールをまげて加藤ペアの混合ダブルスの出場を認めた、といった幾重にもわたる重大なミスを繰り返した、と断じざるを得ません。子供にあてたら失格、としたらそれは何歳まで?大人ならあててもいいの?もしその大人が7分泣いたら失格なの?では観客席の関係者にあててケガさせても失格にはならないの?、偶然であろうが故意であろうが関係ないの?・・・・
そんな、突発的で滅多に起きないようなことをちゃんと判断して、スポーツの本来の精神・スポーツ選手たちの姿勢などを見極め、公平公正に仕切るのがオフィシャルです。ルール通りと言うだけなら、あんたら不要でしょう。
再発防止にはビデオ検証が有効に相違ありません。
しかし敢えて言います。女の子などのボランティアでボールガールをやらせるのは、金を払いたくないから、のほかに理由があるの。
アクシデントを避けるのにヘルメットさせるか?
「だったら、テニスコートに、女の子を入れなきゃいいんですよ、違いますか。」