植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

種苗法改正 農業には未来と希望を持つべきだ 後編

2020年12月11日 | 時事
 以前から、大学に行き直して勉強をしたいと夢見ております。某大学経済学部を奇跡的に4年で卒業しましたが、自分には何一つ身に付かず、無為に4年間を過ごした、その悔いは今になっても消えません。

 勉強するとしたら、農学部(植物学)であります。7年間多くの植物に触れ育ててきた中で、失敗と発見を繰り返してきました。植物の世界は深く広大でもあります。知れば知るほどその不思議や魅力に取りつかれます。

 残念ながら、社会人向けシニア向けの農学部はありません。オープンカレッジなどもほとんどが人文経済分野です。調べてみると全国で大学・短大の数は800校弱、そして農学部はその中では30数校、類似した学部を加えても全部で80校弱しかありません。人気も無ければニーズも無いのでしょう。

 農学は万学の礎なり。という言葉があります。恐らく日本人が「農耕民族」と呼ばれ始めた時代から農業が経済の中心であり、学問もそこから派生していったはずなのです。そして、明治以降、徐々に工業・商業が経済規模のウエートを高めていきました。昔から、「百姓に学問は要らね」というフレーズがあって、農家さんは後継ぎ確保のために、わざと高校や大学へ通わせないという時代も長かったようです。

 本当に、農業に学問は不要か?それは間違いなく「否」であります。戦後、欧米から農薬は化学肥料がどっと押し寄せた時から、植物に関係する科学知識が必要だったのだと思います。植物の生長に関する研究、害虫、病気の防除と農薬の毒性に関わる知識、品種改良、土壌改良などの研究、気候変動から消費者ニーズ、販路・物流、等々知るべきこと学ぶべきことが無数にあるのです。

 農家さんは、お爺さんが子供に伝え、お父さんは孫に習わせる、そんな経験の伝承に頼った前近代的な農業を続けました。必要な情報から資材薬剤の散布まで、全部農協任せにして来た農家さんが多いのです。ワタシの九州に住む同級生は、親からの茶園農家を継ぎました。勉強家で博学、最近では、DIYでお茶カフェを始めました。努力とチャレンジ・工夫などが農家さんにも求められているのです。

 何を為すべきか、取り組みべき課題は多いのです。
まず、農業の近代化と一般法人参入でしょう。大規模かつ利益性追及を組織的に導入しなければ生き残れません。農家さんは、企業に農地を賃貸するか、企業経営または従業員として農業に従事するということです。零細農家のままなら将来は悲観的です。
 
補給金麻薬(公助)に浸かった体質を改め、自由競争(自助)、農家同士の生産調整・情報共有・農業資材の共同使用などによる地域企業体の構築(共助)などで、自立する農業に転換していくべきでしょう。お天気頼み、農協依存から脱却し、合理的・自主的に営農すべきなんです。

 遺伝子組み換え、ハイブリッド、バイオテクノロジー、こうした分野は残念ながら後進国です。品種改良に必要な資金、研究所も科学者も少なく後手に回っているのは、コロナのワクチン開発競争に後塵を拝しているのを見れば一目瞭然であります。

 同時に、農協・青果市場という物流・販路も多様化し、産地から直接流通、直売方式への転換など、どんどん自由化しなければなりません。農協が、生産品の規格判定、販売を一手に握る現行方式が農家の経営を圧迫しているのです。

 農業関連法だけで数十種類あります。農薬取締法、肥料取締法や種苗法に限らず、農業の自由化、構造改革を促進するために、大きく転換すべきなのです。農作物の食の安全性という観点だけで農業に足かせをはめ、経営を圧迫している法制度を改めるのが政治家の役目なのだと思います。

 アメリカ大統領選挙の時「肉屋を応援する豚」というフレーズが用いられました。日本では、農家さんが親の代から支援支持する「おらが先生」が、農村部・地方の票田を握っているために、保守・自民党の地盤となっています。

 いい加減に気付かなければなりません。今の自民党一党独裁政治で、頭がつかえる狭いケージに閉じ込められて、卵が産めなくなると潰される、のは鶏だけではなく、農家さんなんだと。毎日、餌を餌箱に投入してくれるから有難いなどと勘違いしてはならないのです。
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