植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

種苗法改正 農業の未来が見えない 中編

2020年12月08日 | 時事
 自民党の国会議員は、当選4.5回くらいになるとそろそろ入閣の順番待ちだそうです。言っちゃ悪いですが、地方(農村部)の自民党支持地域で当選回数だけは一人前のベテラン議員は、農水大臣がねらい目になります。
 農水大臣は、農水省出身の議員が思い出されますが、事務所問題で自殺した松岡さん、それからは政治資金収支報告書やらなんやらで度々嘘の記載やインチキを繰り返していた赤城さんが居ましたな。事務所費問題で窮地に立たされ、絆創膏を顔じゅうに張り付けて醜態を晒しました。

後は、農協などが支持母体の農林族議員が多いと言われます。
小泉内閣以降に辞任した大臣28人の中で7人が農林水産大臣、国務大臣が平均在任期間10ヶ月に対して6か月と短命なんですね。戦後罷免された大臣5名中3名が農水大臣でもあります。特に第一次安倍内閣から福田さんまでの2年弱で4人の農水相が途中で死亡・辞任に追い込まれました。いずれも、収賄やらなんやらの金がらみの不祥事によるものです。頭抜けて質が悪いのです。
 今回病院に逃げ込んだ元農水相吉川さんは、観光やたばこ(喫煙)にご執心で農政には縁がなかった人物でした。当選回数6選でやっと大臣職にありついたのです。
 現農水省も、裕福な富山の実家からサラリーマン、3期当選で大臣になりました。大出世なのですが、農政には全く無関係なだけでなく、そもそも無名でなんの活躍や専門分野があるわけでもありません。特徴が、安倍さんや菅さんのかばん持ちを続け、無口で余計な失言が無く、口が堅いのが抜擢の理由だと言われています。議員歴が浅いだけ、身辺調査も綺麗だったんでしょうね。

 そんなざっとした人物を大臣に据えてきたのは、時の総理大臣が農政に重きを置かなかったことと、三流省庁の農水相の役人が、農政に明るいうるさ型な議員を遠ざけたからに相違ありません。

 だから、農業がおろそかにされてきたんです。今回の種苗法改正でも、登録品種の海外流出の実態は「ネットで検索」した内容からだそうです。前述(昨日のブログ)の9割は登録品種と言う説明も、雑なくくりで実態がわかりにくくしてあります。すべて結論ありきで資料を都合よく作るという官僚の悪しき慣習です。手抜きの調査と杜撰な計画策定の帰結なのです。

 そもそも、国内外で、日本固有の新開発の品種をちゃんと登録してこなかった農水省の責任なんですね。シャインマスカットなどはその典型であります。著作権や商標権などの知的財産権は国によって制度も考え方もばらばらです。その国の法律を勉強して、日本のブランドを登録させることを民間任せにしてきた、政府の無策の象徴だと思えます。
「無印」とか「松阪牛」などのブランドが勝手に中国で登録されたのも、やったもの勝ち・早い者勝ちの世界なんですよ。

 では、今回の改正で日本の登録品種が他県や他国に流出するのを食い止められるかと言えば、答えはNoであります。ちっちゃな種から、葉、茎、果実まで植物は、種だけでなく接ぎ木、挿し木、根伏せと様々な方法で増殖できます。接ぎ木苗が売られてなくても、栽培されている場所に行って、チョキンと枝を切り取っただけで、誰でも簡単にそのクローンは作れるのです。苗木で海外に運ばなくてもいかようにもなるのです。

 中国が正しいとは到底思えませんが、あの国は、他国や他企業に人を潜入させ、ネットではハッキングし、優秀な技術者は引き抜き、新幹線はバラバラに分解して技術を盗み取る国家です。更に、あれだけの大国で資源に恵まれていながら、情報や技術の優位性を認識して、宇宙開発からバイオ、ITまで最先端の開発力を持つようになりました。欧米から盗んででも技術を高め磨く、追いつけ追い越せは日本のお家芸でもありました。

 例えば「あまおう」福岡が誇るイチゴの有名ブランド、8年かけて生み出されたものを韓国や中国で勝手に栽培されたと騒いでいます。ワタシに言わせればたった8年です、それで何十年も食っていこうと考える発想がもう時代遅れなんです。やっと試行錯誤して研究開発して新種を出したのに盗み出され真似されて、ズルいよ、とダダをこねている場合ではないのです。

 特許権は概ね10年であります。電気製品などのヒット商品、新商品などは、創業者利益を享受できるのはわずか1年程度だ、と家電メーカーさんから聞いたことがあります。特産品、登録品種にあぐらをかいて、いつまでもしがみついているから、開発力が弱まりや爆発的な生産力での販売増も出来ないまま後れを取っているのです。

以下、後編に続きます
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