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松実ブログ

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量子力学の不思議(1)

2015年09月03日 09時00分00秒 | Weblog

日常生活の物理現象は、ニュートン力学と呼ばれる古典的な力学で合理的に説明がつきます。真偽のほどは定かではありませんが、ニュートンが万有引力の法則を見つけ出した事で有名な林檎の落下の話などのように、古典力学では目で見たことと感じることが一致しています。

しかし日常生活から離れた環境、例えば宇宙空間などになると古典力学では説明しきれない現象が発生します。光さえも逃げることができないと考えられている超巨星の最終形態であるブラックホールが引き起こすであろう物理現象は、ニュートン力学では理解できません。それらを解決しようするとアンシュタインの相対性理論が有効になります。相対性理論は、時間と空間の常識が一致しないのでなかなか理解しずらいのですが、例えば私達の日常生活で重要な役割を果たし始めているGPSを利用したスマホの地図では、この理論を応用しないと地図上と実際の位置が大きく外れて使い物になりません。何故なら、地球を周回しながら電波を発射している人工衛星では地球上よりほんの少し時間が未来に進んでいるからです。

更に理解が難しいのは、あのアインシュタインでさえ「神はサイコロ遊びはしない」と言って、生涯その意義を認めようとしなかった量子力学です。量子力学の全体像を正確に理解している科学者はいないそうですが、量子力学で計算される結果は常に正確です。量子力学の根本的な考え方をざっくり説明すると、「存在」は「確率」であり、観察する前の状態はわからないという事です。

もっと簡単に説明すると、あなたの傍に恋人がいたとします。あなたはその人を見つめていますが、少し、眼を下げてコーヒーを飲んだとします。目を上げるとそこにはいつもの彼女の素敵な笑顔があります。でも、実際には、あなたが目を離した隙に彼女は隣の男性とキスをしていたかもしれません。でも、あなたはそれを見ていないので、あなたには彼女がずっとあなたに微笑んでいたと思えるのです。つまり、量子力学では、あなたが彼女の「微笑み」を見るか「隣の男性とキスしている彼女」を見るかの両方の可能性を示唆しています。どちらになるかは偶然であり、観察して初めて現象が確立されるのです。

そんな学問がなんの役に立つのか不思議でしょうが、現在の電子工学は量子力学なしでは成り立ちません。ですから、量子力学により電脳世界が発達してきたわけです。例えば、原子では、原子核を電子が回っていると説明されることが多いですが、実際には月が地球を周回しているように回っているわけではありません。敢えて同じ説明をするなら、地球の周りに靄がかかっていて、その靄の中のどこかに月がある状態です。月(電子)がどこに存在する可能性があるかを計算できるのが量子力学です。ニュートン力学でも、相対性理論でも、電子の位置を正確に予測することはできません。

すなわち、ニュートン力学が日常世界を、アインシュタインの相対性理論が巨大な宇宙を説明するための法則なら、量子力学は分子以下のミクロな世界(量子の世界)を解釈する力学なのです。いつの日か、これら三つの物理学を統一する天才が現れたら、世界はどう変わっていくのでしょうか。もしかしたら、その答えは、原子や電子、それらを作り上げている素粒子さえも存在できず、エネルギーと物質が宇宙の極限を超えて無限に凝縮されたブラックホールの深淵の底にあるのかもしれません。


量子力学の不思議さを表している有名な思考実験に「シュレディンガーの猫」がある。簡単に言うと、放射線が50%の確率で照射される密閉された箱の中に、放射線を感知すると青酸ガスを充満させる仕掛けを作っておく。その箱の中に、猫を1匹閉じ込め、一定時間後に箱の蓋を開けて、猫の状態を確認する。箱の蓋を開けた時、その猫は死んでいるかもしれないし、生きているかもしれない。つまり、蓋を開けて、中を確認する前は、猫は死んでいる状態と生きている状態が重ね合わさった状態であるというのが量子力学の考え方だという例だ。何故なら、現象は観察して始めて確立するものであり、観察する前は可能性でしかないから、生きているとも死んでいるとも確定できないからだ。しかし、死んでいる状態と生きている状態が重ね合わさった状態など実際にはありえない。

これを一般人が発表しても相手にもされなかっただろうが、シュレディンガーは、波動関数やシュレディンガー方程式と呼ばれる量子力学の根本方程式や関数を考え出すなど、ノーベル物理学賞を受賞するほどの多大な功績を残した人であったから、高名な科学者の間でもこの思考実験に関する議論は未だに収束していない。そして、量子力学を理論的に支えてきたはずのシュレディンガーでさえ、最終的には「量子力学はわからん」と、このパラドックスを提唱することで量子力学の欠点を指摘した。

そんな彼が晩年に行き着いた先が、ヒンドゥー教のヴェーダーンタ哲学なのである。彼の著書「精神と物質」では、「量子力学の基礎になった波動方程式が、東洋の哲学の諸原理を記述している」とまで言い切っている。そして、西洋科学の構造に東洋の教理を同化させることによって、すべての謎が解き明かされると考えていた。

次の回では、もう少し量子力学の理解を深める話をしよう。


こんなときは英語でなんて言うの

"I could use a ~." 「~したい気分だ」

ちょっとボヤイてみたりしたいときに使うとぴったりします。

<やんわりと飲みに誘いたいとき>

A.You look very stressed.
(だいぶストレスが溜まってるようだね。)

B.Actually, I am. I could use a drink.
(かなりきてる。一杯やりたい気分だな。)

A.I'll join you.
(付き合うよ。)

<柔らかく忠告したいとき>

A.Have you had lunch yet?
(昼ご飯はもう食べたのかい?)

B.No. I want to finish this first.
(まだ。これを先に終わらせちゃいたくて。)

A.Looks like you could use a little break right now.
(今すぐにでも休憩が必要そうな顔つきだよ。)


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