松実ブログ

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継続すること

2008年06月24日 21時52分49秒 | Weblog

20歳の夏、仲間5人と富士山に登った。
泊まる山小屋の手配は、私が買って出た。
電話予約をし、完璧だとその時点では思いこんでいた。

当日までに登山用の靴を新調、酸素ボンベも購入、雨合羽、杖、鈴など
必要な道具は全て揃え、
絶対登るのだ!というやる気を携え勢いよくスタートした。
はじめは軽口などたたいて笑顔も出る、写真も撮り合う。
しかし、日本一の山、富士。頂上への道のりは遠い。
同じ様な光景、道を繰り返しひたすらに歩をすすめる。
雨にもふられる。足がパンパンになってくる。そのうちに高山病にかかる。
頭痛がするので酸素ボンベを使う。

8合目。
私が予約をしておいた山小屋に近付いてきた。
辺りはうす暗くなっていて、見える山小屋の光が、疲れた体を少し楽にさせた。

「こんばんは、予約したHです。」
「Hさん?ご予約はされていませんねぇ?」

凍りつく私の背後で、仲間達が息を呑むのを感じた。
震える手で、予約したはずの電話番号と担当の方の名前を見せた。
「あー、これは登り口が違うあちら側の、山小屋ですよ!」

疲れきって体力も気力も限界の仲間を目の前にして、
ただただ謝るしかなかった。

結局、山小屋のおかみさんの親切で、予約をした小屋に電話をしてくれて、
交換で泊まることが出来た。
トイレの臭いがたちこめる狭い小屋で、勿論シャワーもない、
隣りの人と足と頭を交互にしての仮睡眠だったが、
具のないカレーをほおばり、仲間と笑い、必ず全員で登るぞ
と決意を新たにした。

仮睡眠をとって、午前2時に再び頂上めざして出発した。
ここからもかなり体力的にきつい。
仲間と「もう少しだ!」「頑張れ!」「絶対全員でのぼるよ!」声をかけ合った。
全員無事登頂し、ご来光を待った。
眼下に広がる雲一面の中から、光が煌々とあがってきた。
それまで、あそこまで美しい太陽を見た事がなかった。
この瞬間のために登ってきた、と思った。

日常生活の中では、
何かをし続ける、継続してやる事が多い。
単調、繰り返し、平凡、刺激がない。
でも毎日の少しずつの積み重ねが、ある瞬間に出会える。
心を動かす美しい景色に出会える。


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