風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/愚行録

2017年08月10日 | 映画


ひどい映画でした。愚作です。
田向と言うサラリーマン一家が惨殺されます。週刊誌の記者・田中がその真相を探ります。
田中とその妹・光子は、母親は育児放棄と虐待、父親は娘と関係を持つという極貧で崩壊した家庭で育ちました。
光子は、文應大学に入り、セレブにあこがれるのですが、そこで彼女は男子学生の慰みものにされます。
映画のほとんどが、田中が殺された一家の妻の大学時代の関係者のインタビューが延々と続きます。
光子が入った大学は、慶應を連想させる「文應」大学で、付属から来た学生は自分たちは特別なセレブと思い込み、
「見栄と性の欲望と嫉妬、人をさげすんで」いると言うのです。
長々と語られる彼らの下らない話しに、私は嫌気と吐き気を覚えました。
こんな下劣な人間関係の長時間のお話を「人間の本姓」と言うのですから、何をか言わんやです。
光子は、「育児放棄による殺人」で逮捕されます。
田中は、実は彼女が、セレブの親分であった夏原(田向と結婚)を殺していたのをなぜか知っていたのです。
彼は、関係者とのインタビューを通して、その真相を知っている宮村という女を探り出し、彼女を殺害するのです。
つまり、彼の真の狙いは、犯人につながる証拠、証人を隠蔽、削除することにあったのです。
田中がそこまで頑張るのには、田中と光子はただならぬ「禁断」の関係にあったというのですから、
この筋書きは、驚きを通り越してあきれてしまいました。
田中が二人を虐待・乱暴した父親を殺したことはわかるとしても、学生達に乱暴され精神が壊されてしまった光子と
彼が「禁断の関係」を結ぶなんて…。
まして子どもが出来たことも彼は知らなかったようで…。
いかにもサスペンスの謎解きを複雑にするための小細工でしかありえません。
こんな筋書きは全く不要であるばかりでなく、映画の質を大きく落とし込めています。
見終わって何とも救いようのない嫌悪感を覚えた後味の悪い映画でした。
それは、この映画に田中兄妹が育った環境への怒りや彼らへの共感、それでも人には何か希望を見い出したい
と願う感情が全く感じられないからです。
彼らの行動を「愚行」では括れないと私は思います。
田向役は、慶應大学出身で未成年女性とつきあって謹慎中の小出恵介でした。
いやはや大変なオチと言うべきでしょうか。     【8月7日】

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