風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/アメリカン・スナイパー

2015年04月01日 | 映画

movixの試写券が当たり、『アメリカン・スナイパー』を見て来ました。
クリント・イーストウッドの監督というので期待したのですが、大いなる期待外れでした。
アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイルの自伝の映画化だそうです。
スナイパーの彼は4回イラク戦争に出征した「英雄」です。
妻と携帯電話で話しながら「標的」を探し、射殺します。そう、まるで日常のルーティンのように。
子どもであろうが女性であろうが武器を行使しようとする人間すべてです。
アメリカンフットボールでは何ヤードランしたとか成功パス率は何%とかすべてを数字化しますが、
彼が殺した人間の数はカウントされ160人以上だといいます。
「この戦争・殺人が国、家族を守る」ことだと、彼は確固と信じています。
私は、映画の中程からこの余りの無機質な殺人に気持ち悪くなりました。
アメリカは最近、無人飛行機、ロボット兵器を多用していると聞きます。
人的被害、損害を減らすのが第一の理由ですが、戦争帰還兵の多くがPSTDに陥るのを避けるためとも言われます。
スパイナーとなれば自分が引いた引き金で人が死ぬのですから彼らの多くがPSTDを抱えることになるでしょう。
映画では彼は心に深い傷を負ったと言いますが、その扱いは刺身のツマ程度でしかありません。
彼が人々の共感支持を受けるのは、PSTDにも打ち勝つと祭り上げられた彼の精神的タフさにあるのではないでしょうか。
映画では、彼に生身のイラク人にはせる思い、感情、想像力は皆無です。
彼に殺された人々と関わりのある人がアメリカ人を恨み、殺意を抱くことは至極当然のことで、それは彼らの「正義」となります。
かつてイーストウッドは「硫黄島の戦争」を日米両方の側から描こうとしましたが(全く描けてはいませんが)、
果たして彼は、イラク人サイドからこの出来事・戦争をどう描くのでしょうか?
彼の葬式はまさに国葬並みだったそうで、この映画は今アメリカで大ヒット中だそうで、私は恐ろしくなります。
アメリカは、やはりと言おうか、ベトナム戦争・イラク戦争などから何にも学んでいないだとおもいます。
「強いアメリカ、永遠の星条旗、強い男、家族と妻愛」といういかにも「アメリカの価値観」はカビどころか
人々の心を蝕んでいるウイルスのように感じです。
私は、「永遠の0」に喝采する日本人がオーバーラップしています。     【3月29日鑑賞】

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