シーサッチャナーライ窯、いわゆる宋古録については素人であるので、以下に記す内容については、不見識からくる誤解もあるやもしれない。そのような前提で御覧願いたい。
宋古録の青磁鳥形水注は現物・図録共々それなりの数をみてきた。その眼で見ると、蓋付であるのが不思議と云うか、多少疑問に思われる。いままでに蓋付水注は一度も目にしていない。
宋古録には大きく二つの流れがある。一つは伝世品で桃山期頃からの茶人や豪商あるいは武家からのもの、タイの寺院に伝世したものもあるかもしれない。もう一つは発掘・出土品である。
オークション出品の写真の品は、蓋付であることと貫入に時代錆や土銹がみられないことから、本歌であれば伝世品と思われる。胴の下腹部に貼り付けられた紙に時代焼けが見られることから、近年のコピーではなさそうだ。不審に思われるのは、日本の伝世品であれば、箱や包みがないことである。先に記した茶人・豪商・武家の伝世であれば、必ず箱書きがあるはずだ・・・それがみられない。タイの古刹の伝世品がオークションに出る筈もない。
しからば、出土品か?・・・出土品であれば、貫入に土銹が必ずみられるが、それが確認できない。600年も土中に埋もれていれば、その土銹は容易に洗い流れることはない。さらに蓋と水注本体が揃って出土する事例は皆無とは云わないが、レアケースである。
コピーとは断言できないが、上記の理由により本歌とも断言できない。君子危うきに近寄らず・・・であろう。
<了>
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