世界の街角

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京都大学総合博物館(13)

2021-10-01 07:47:56 | 博物館・京都府

<続き>

今回は漢代の明器(めいき・副葬品)を紹介する。現在では日本の調査団が直接中国の古代遺跡を発掘調査することはできないが、戦前には可能であった。ここでは戦前の1929年に牧城駅東墓から出土した明器類である。

前漢は紀元前206年ー後8年までの王朝である。当時の日本は卑弥呼の時代を遡る、倭国争乱前夜の弥生時代であった。その時代中国では釉薬を用いた施釉陶器がつくられ、明器にも用いられていた。日本では土器の時代である。

当時を大幅に遡る1万5000年前の縄文時代草創期、日本の土器の厚さは5mmほどで、世界最先端の技術を要していた、中国では厚さ1cmの土器しかできなかったのである。しかし中国は日進月歩で施釉陶器を生み出したのである。その間日本は停滞した。

現在、それが再現されようとしている。日本は失われた10年どころか失われた30年になろうとしている。製鐵で負け、造船で負けに始まり近年では半導体で負けた。日本のGDP(国内総生産額)は2020年539兆円で1992年比6.7%で、約30年間で僅かの向上に過ぎないが、その間米国は4培、中国は3倍になった。日本は中国に朝貢外交を目指すのか、それとも縄文草創期のように最先端技術を極限に追及するのか。悪夢は見たくない。

京大総合博物館の展示品を紹介する中で、ついつい愚痴がでてしまった。恐縮である。

<続く>