まさおっちの眼

生きている「今」をどう見るか。まさおっちの発言集です。

絶望から這い上がれるか「家政婦のミタ」!

2011-12-19 | 発言
日テレのドラマ「家政婦のミタ」。スタートの当初は、どうせ市原悦子の「家政婦が見た」の二番煎じだろうと思って、まったく観なかった。ところが視聴率をエラく取っているというので中途から何げなく見たら、これがまたすさまじい。遊川脚本が冴えわたっている。松島菜々子演じる家政婦の三田灯は、幼い頃川でおぼれかけた時、父親が救おうとして逆に父親を死なせ、母親から「あなたのせい」と言われ、またストーカーまがいの義弟に夫と子供ごと放火によって殺された過去を持つ。「あなたのその笑顔が周りの者を不幸にする」そう言われて、以来無表情になったミタは、自分の意志、心を完全に閉ざし、ロボットのように無表情で「承知しました」と業務命令だけをこなす。そんな主人公が、夫の浮気で妻が自殺した家庭に家政婦として入り、崩壊した親子関係の家庭を凄味のある捨て身の手段で更生させていく。その更生させた家族たちがミタの不幸を知って、逆にミタの笑顔を取り戻させようとする。明後日が最終回、ミタは新たな家族の一員となり、封印した笑顔を取り戻せるかというところだ。視聴率は30%に迫り、日テレの屋上にはミタの記念碑が建つというほどだ。どうしてこれほどまでヒットしたのか。それはすさまじいばかりの絶望感を描ききっているからだろう。今のテレビドラマ界は刑事モノ、事件モノばかり、底が浅くマンネリ、見るに堪えないドラマばかりだ。リアリティーがないのである。ところが、ミタの経歴は特殊ながらも、その描かれる絶望感は、津波や原発事故によって生活を破壊された絶望感やワーキングプアの貧困の絶望感など日本の「今」の絶望感に通ずるものがあり、共感を呼んでいるのではないだろうか。大枚をはたいて時代錯誤な「南極大陸」ではなく、こうした「今」を捉えるドラマがもっと出来れば凋落しているテレビ界も復活するのではないか。

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